JPH0234452Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は例えば内燃機関のシリンダブロツク
側フランジ部とオイルパンのシール構造の改良に
関する。

従来技術 例えば自動車用エンジンのハーフスカート型エ
ンジンにあつては、第１図に示すようにオイルパ
ン１の上端部に形成される取付用フランジ部２
は、前後端部がシリンダブロツク（図示せず）の
前後端部に配設されるクランクシヤフトの軸受部
やオイルリーテーナあるいはオイルポンプ等の機
関構造の関係から一部が半円形に形成されている
と共に、他は平面形に形成されている。

そして、このようなオイルパン１は、例えばゴ
ム材又はコルク質で、かつ全体が上記フランジ部
２の形状に合わせた半円形及び平面形の平板で一
体に形成されたシール部材３を介してシリンダブ
ロツク側のフランジ部（図示せず）にボルト（図
示せず）で取付けられて、オイルパン１とシリン
ダブロツク側がシールされている。

しかしながら、従来のシール構造は、シール部
材３全体が上記のようにコルク等の材質で一体成
形されているため、半円部３ａと平面部３ｂとで
はボルトによる締付の弾性変形度合、つまり締付
圧によるヘタリ量が相違する。このため、全体の
シール状態が不均一となつてシール部材３接触面
から潤滑油が漏れ易いという問題があつた。

また、シール部材３の半円部３ａと平面部３ｂ
を夫々別体に成形することも提案されてはいる
（実公昭58−13096号公報）が、材質の点から十分
な効果が期待できない。

そこで、例えば実開昭58−109539号公報に記載
された考案のように、シリンダブロツクとオイル
パンの対向する各半円形フランジ部間に湾曲状の
弾性シール部材を介装すると共に、上記各半円形
フランジ部と、各平面形フランジ部間に液体パツ
キンを充填配設して、シリンダブロツクとオイル
パン間のシール作用を得る技術も提供されてい
る。しかし、この従来技術は、弾性シール部材の
折曲した両端部を含めた全体が同一の肉厚に設定
されているため、取付ボルトを締め付けていく
と、まず弾性シール部材の折曲両端部が両半円形
フランジ部と両平面形フランジ部との連結付近で
挾圧され、その後、湾曲状の中央部位が両半円形
フランジ部で挾圧されるようになる。このため、
弾性シール部材の全体の圧縮代つまり圧縮変形量
が不均一となると共に、両平面形フランジ部の十
分なメタル接触が得られない。この結果、弾性シ
ール部材及び液状パツキンによる十分なシール作
用が得られない。

また、弾性シール部材の長溝への組付け時にお
ける位置決めが困難となり、斯かる組付け作業性
が悪化する。更に、弾性シール部材による液体パ
ツキンの流れ出しを防止する工夫もなされていな
いため、この点からも効果的なシール作用を期待
できない。

本考案の目的 この考案は上記のような従来のシール構造の問
題点に鑑みてなされたもので、その目的とすると
ころはボルトによるシール部材全体の締付力を均
一にして、安定した締付状態を得て十分な油密性
を確保できるオイルパンのシール構造を提供する
ことを目的とする。

本考案の構成 この考案は、シリンダブロツク側の前後端部に
形成された半円形フランジ部に対応して前後端部
に半円形フランジ部が形成されたオイルパンのシ
ール構造において、上記シリンダブロツク側の半
円形フランジ部の下端面長手方向に、両端部が
序々に浅くなる長溝が形成されると共に、該長溝
の所定外側縁に係合溝が形成されている一方、上
記各半円形フランジ部間に介装される湾曲状の弾
性シール部材は、巾寸法が上記長溝と略同一に設
定されていると共に、所定位置に上記係合溝に係
合する突部が形成され、かつ両端部には巾寸法が
上記各半円形フランジ部の両端側に有する平面形
フランジ部の巾と略同一でかつ先端側に向かつて
序々に薄肉に形成されたリツプ部が設けられ、更
に上記各平面形フランジ部間に液体パツキンが充
填配設されたことを特徴とするものである。

実施例 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳述
する。

第２図は一例としてハーフスカート型の自動車
用エンジンに本考案を適用したものの要部を示
し、前端部にオイルポンプ１１を設けたシリンダ
ブロツクとオイルパン１２をシール部材１３と液
体パツキン１４でシールしたシール構造を表わし
ている。

具体的に説明すれば、上記オイルポンプ１１
は、第２図〜第４図に示すようにオイルポンプ１
１の下端部に形成された半円形フランジ部１１ａ
の下端面長手方向に両端部１５ａ，１５ｂが序々
に浅くなる矩形状の長溝１５が形成されていると
共に、該長溝１５の略中央には外向きの係合溝１
６が一体に形成されている。

一方、上記シール部材１３は、第５図及び第６
図に示すようにゴム材によつて全体が上記オイル
ポンプ１１の半円形フランジ部１１ａに馴染むよ
うな湾曲状に形成されていると共に、巾寸法がオ
イルポンプ１１の長溝１５と略同寸法に形成され
ている。また、自身の略中央には上記オイルポン
プ１１の係合溝１６と係合する突部１７が形成さ
れ、両端部１３ａ，１３ｂに矩形状の薄肉リツプ
部１８ａ，１８ｂが一体に形成されている。この
リツプ部１８ａ，１８ｂは、第５図及び第６図に
示すように長溝１５に埋入する部分より広くなつ
ており、その巾寸法が上記オイルポンプ１１とオ
イルパン１２の半円形フランジ部１１ａ，１２ａ
と平面形フランジ部１１ｂ，１２ｂの巾と略同程
度に形成されていると共に、先端に向うに従つて
序々に薄肉に形成されるが、第７図に示すよう
に、半円形フランジ部１１ａ，１２ａと平面形フ
ランジ部１１ｂ，１２ｂが連続する個所に形成さ
れるすきまαより肉厚に形成されている。

また、上記オイルポンプ１１とオイルパン１２
の各平面形フランジ部１１ｂ，１２ｂの間には液
体パツキン１４が充填配設されている。

すなわち、オイルポンプ１１の長溝１５に湾曲
状のシール部材１３を係合溝１６と突部１７を合
わせて係合させた上で、オイルパン１２の平面状
フランジ部１２ｂ全域に粘性流動状の液体パツキ
ン１４が塗布され、液体パツキン１４の硬化前に
ボルト（図示せず）で締付けられるものであつ
て、液体パツキン１４は経時と共に硬化してゴム
状弾性体となるのである。

したがつて、液体パツキン１４の自由度により
ボルトの十分な締付けが可能になることは勿論の
こと、長溝１５の両端部１５ａ，１５ｂが序々に
浅く形成されていると共に、弾性シール部材１３
の両端部１３ａ，１３ｂに有する各リツプ部１８
ａ，１８ｂが先端に向かうに従つて序々に薄肉に
形成されているため、前述のようにボルトを締め
付けていくと、弾性シール部材１３の肉厚な中央
部位が長溝１５内で圧縮変形すると同時に、各リ
ツプ部１８ａ，１８ｂも両平面形フランジ部１１
ｂ，１２ｂ間で圧縮変形すると共に、平面形フラ
ンジ部１１ｂ，１２ｂが液体パツキン１４を介し
てメタル接触する。依つて、弾性シール部材１３
の全体の圧縮変形量、つまりシリンダブロツクと
オイルパンに対する全体の圧接力を均一にするこ
とができる。したがつて、該弾性シール部材１３
によるシール性能が一段と向上する。

また、上記各リツプ部１８ａ，１８ｂの巾寸法
が平面形フランジ部１１ｂ，１２ｂの巾寸法と略
同一に設定されているため、ボルトを締め付ける
と、液体パツキン１４が圧縮されてすきまα内に
入り込んで、このすきまαに充満すると共に、該
すきまα内に入り込んだ液体パツキン１４の外部
への流れ出しがリツプ部１８ａ，１８ｂの外端縁
で塞止められる。したがつて、斯かるリツプ部１
８ａ，１８ｂと平面形フランジ部１１ｂ，１２ｂ
間の確実なシール作用が得られる。

しかも、弾性シール部材１３は、長溝１５内に
嵌入されるに際し、突部１７を係合溝１６内に係
合するため、該シール部材１３の長手方向（周方
向）の位置決めが極めて容易になり、組付作業性
が向上すると共に、シール部材１３の位置ズレに
よる油漏れが防止できる。即ち、弾性シール部材
１３の組付位置が周方向にズレると、長溝１５の
深さに対応する弾性シール部材１３の肉厚が変化
してしまうため、各フランジ１１ａ，１２ａに対
する圧接が不均一となりシール性能が悪化してし
まうが、前述のように突部１７と係合溝１６との
係合による確実な位置決めが可能となるので、シ
ール性能の低下を十分に防止できる。

尚、液体パツキン１４は、振動や温度変化に伴
う各フランジ部１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂ
の変形に追従するため、常時安定したシール状態
を維持できる。

以上実施例としてオイルポンプ取付部のシール
構造について述べたが、このオイルポンプ取付部
と反対側の湾曲部のシール構造も同様なものであ
る。

本考案の効果 以上の説明で明らかなように、この考案に係る
オイルパンのシール構造によれば、とりわけシリ
ンダブロツクの半円形フランジ部に有する長溝の
両端部を序々に浅く形成する一方、弾性シール部
材の両端部を先端に向かつて薄肉に形成したた
め、ボルト締付け時における弾性シール部材の全
体の圧縮変形量を均一にすることができると共
に、両平面形フランジ部を液体パツキンを挾圧し
た状態でメタル接触させることができる。これに
よつて、シリンダブロツクとオイルパン間のシー
ル性能が向上する。

また、前述のように、ボルト締付け時における
液体パツキンが各リツプ部によつて外部への流出
が防止されるため、該液体パツキンによるシール
性能が一段と向上する。

更に、弾性シール部材の組付け時には、突部を
係合溝内に係合して確実な位置決めが可能になる
ため、組付作業性が良好になると共に、弾性シー
ル部材のシール作用が良好になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用エンジンに適用した従来のシ
ール構造を示す斜視図、第２図はこの考案に係る
シール構造を自動車用エンジンの前端部に適用し
た第１実施例を示す正面図、第３図は第１実施例
に供されるオイルポンプの前端部底面図、第４図
は第２図の−線断面図、第５図は本実施
例に供されるシール部材を示す正面図、第６図は
同シール部材の平面図、第７図は第２図のＡ個所
を示す拡大断面図である。 １１……オイルポンプ、１１ａ，１２ａ……半
円形フランジ部、１１ｂ，１２ｂ……平面形フラ
ンジ部、１２……オイルパン、１３……弾性シー
ル部材、１４……液体パツキン、１５ａ，１５ｂ
……両端部、１６……係合溝、１７……突部、１
８ａ，１８ｂ……リツプ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド側の前後端部に形成された半円
   形フランジ部に対応して前後端部に半円形フラン
   ジ部が形成されたオイルパンのシール構造におい
   て、上記シリンダブロツク側の半円形フランジ部
   の下端面長手方向に、両端部が序々に浅くなる長
   溝が形成されると共に、該長溝の所定外側縁に係
   合溝が形成されている一方、上記各半円形フラン
   ジ部間に介装される湾曲状の弾性シール部材は、
   巾寸法が上記長溝と略同一に設定されていると共
   に、所定位置に上記係合溝に係合する突部が形成
   され、かつ両端部には巾寸法が上記各半円形フラ
   ンジ部の両端側に有する平面形フランジ部の巾と
   略同一でかつ先端側に向かつて序々に薄肉に形成
   されたリツプ部が設けられ、更に上記各平面形フ
   ランジ部間に液体パツキンが充填配設されたこと
   を特徴とするオイルパンのシール構造。