JPH0138284Y2

JPH0138284Y2 -

Info

Publication number: JPH0138284Y2
Application number: JP1982005412U
Authority: JP
Priority date: 1982-01-19
Filing date: 1982-01-19
Publication date: 1989-11-16
Also published as: JPS58108253U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は内燃機関のオイルパンに関するもので
ある。

内燃機関のオイルパンはエンジン油をため、か
つ、オイルパンから外気に熱を放散し油温を下げ
る働きと、車両走行中の急旋回、急制動や坂道の
傾きなどにより、オイルストレーナーの吸い込み
口が空中に露出して空気を吸い込まないよう仕切
板等で油面を保持し、かつ、内燃機関との間で確
実に油量を確保する働きがある。

［従来の技術］従来のオイルパンは第４図に示すように、オイ
ルパン１の上縁部には外方へ張出してフランジ面
２が形成され、このフランジ面２に数十箇所の取
付穴３，３…とこの穴の間に平面度の確保と補強
を兼ねた長円状の大きな凹溝４，４…がプレスに
より設けられている。従つて、従来のオイルパン
においては、前述の油量の確保ということに対
し、内燃機関のシリンダとオイルパンとの間にパ
ツキン５を挟み込み、数十箇所の取付穴をねじ止
めして気密を保持させるか、又はパツキンとオイ
ルパンとの間に液体シール剤の充填を追加して行
うのが一般的であつた。尚、前記の液体シール剤
とは、当初液状のものが空気との接触によつて弾
性状の固体に変化するシリコン系の接着剤やコー
キング剤である。

また、オイルパンとこれを取り付けるシリンダ
ブロツクとの間のオイルシールに際し、実開昭57
−153751号に示されるように、細条凹溝を機械加
工によりシリンダブロツク側に設けることが考え
られる。

［考案が解決しようとする課題］しかし、従来のオイルパンでは、取付穴付近に
例え液体シール剤を多量に用いても、オイルパン
取付時に取付穴付近では液体シール剤が強く押し
付けられて周囲に薄く広がり、これが時間の経過
とともに薄膜状の弾性体となり、シール剤がちぎ
れて役に立たなかつたり、又、パツキン５の耐久
性劣化によつてオイル洩れを生じたり、又、劣化
に至らなくても、シリンダブロツクへの締付トル
ク管理が厳しく行えないようなサービス機関で
は、修理等のメンテナンス時に締付不備がおきや
すく、これによりオイル洩れを生じる場合が多
い。

さらにパツキン５を使用するものでは、その性
能、特に耐熱、耐油を考慮した材質形状の設定に
よつて高コストにつながり、かつ、工場生産する
場合にパツキン５の存在によつて自動組立ができ
にくく、組立工数を要していた。

さらに、第５図のごとく、従来の長円状の大き
な凹溝４，４間を、同じ幅の連結溝４′にて連結
する方法も考えられるが、これはフランジ面の幅
Ａに対してプラスαの分だけ幅を大きくしなけれ
ばならないという問題がある。

また、別の方法として第６図のごとく、細条凹
溝６だけで連続させた場合、取付穴３，３間に、
従来のような平面度の確保と補強を兼ねた長円形
の大きな凹溝４が設けられていないので、締付時
におけるその部分での面圧不足によりシール機能
を低下させるという問題がある。また、細条凹溝
をシリンダブロツク側に設けるものでは、機械加
工によりコストアツプとなるだけでなく、シール
剤の充填時にはシリンダブロツクを裏返しにしな
ければならないので作業性が悪く、さらに、機械
加工のため細条凹溝の幅がかなり広くなるので高
価な液体シール剤を多量に使わなければならない
という問題があつた。

［課題を解決するための手段］本考案はこういつた傾向と最近の内燃機関の構
造及び材質の改良等により耐久性が向上し、ほと
んどオイルパンを取り外すことがなくなつたこと
に鑑み、従来のオイルパンのフランジ面に形成さ
れている長円状の大きな凹溝４，４間に、プレス
のコイニング加工により細条凹溝６を設けたもの
で、この細条凹溝内にシリコン、コーキング等の
液体シール剤を使用してシリンダブロツクとオイ
ルパンとの間を確実にシールし、かつ、両者間の
振動、変形等によるシール性の劣化を防止し、耐
久性の向上と組立工数の短縮を図つたものであ
る。

即ち、本考案のオイルパンは、プレスによりオ
イルパンのフランジ面２に多数個の取付穴３と長
円状の大きな凹溝４が交互に設けられたオイルパ
ンにおいて、フランジの幅を代えることなく、取
付穴３を挾んで設けられた相隣接する長円状の大
きな凹溝４，４の端部間を、プレスのコイニング
加工により、取付穴３を避けてその内側に、例え
ば図示の如き弓状の細条凹溝６にて連結したもの
である。

［実施例］以下、本考案の一実施例を第１〜３図に基づい
て説明する。

本考案の円弧状の細条凹溝６は、トランスフア
ープレス等の自動加工工程内でコイニング加工に
より形成されるもので、第１〜２図に示すよう
に、小型トラツク用のオイルパンの場合、取付穴
径は９mmで、且つ穴ピツチは、65mmにて設けられ
ている。そして、オイルパンの取付穴３，３…の
間に設けられた長円状の大きな凹溝４は、幅３mm
×深さ1.5mm×長さ40mmに形成されている。

細条凹溝６は、例えば弓状に形成され、前記し
た相隣接する長円状の大きな凹溝４，４…の端部
間を連結するように、フランジ面２の取付穴３の
内側に、取付穴３を避けて設けられている。

そして、この細条凹溝６は、液体シール剤の使
用量が極力少なくてすむように、幅１mm×深さ
0.1〜0.2mmになつている。

第２図はねじ締め部分の拡大図で、７は、シリ
ンダブロツク、８は、ねじ、９は、ばね座金、１
０は、平座金、１１は、液体シール剤である。

［作用］すなわち、本考案は、第１図、第３図に示すよ
うな従来の大きな凹溝４と細条凹溝６を組合せる
ことにより、第５図に示すような、大きな凹溝と
これと同じ幅の連結溝４′とを連結させた時に生
じるフランジ面の大形化という問題が解決され
る。

また、第６図に示すような、細条凹溝６のみを
連続的に設けた時に、従来のような平面度の確保
と補強を兼ねた長円形の大きな凹溝４がないこと
により、取付穴のまわりを除く他の部分での平面
度並びに剛性不足から生じる取付穴３間の面圧不
足によるシール機能の低下という問題も解決で
き、限られた狭小スペースでも十分シール機能を
果たすことができる。

尚、細条凹溝６の成形に際しては、コイニング
加工により行うものであるから、フランジ下面に
突起が生じないようにしておくことができ、ねじ
８の締付時にフランジ面が傾いたり、又、その為
に締付後にねじがゆるむということは全く生じな
いものである。

［考案の効果］本考案は上述のように構成されるので、オイル
パンのフランジ面上に形成された長円状の大きな
凹溝４により、フランジ面２の平面度並びに剛性
不足から生じる取付穴３間の面圧不足によるシー
ル機能の低下という問題が起きず、また細条凹溝
６内に液体シール剤１１を充填することによつ
て、従来取付穴３のまわりに多量の液体シール剤
１１を使用していたのが少ない液体シール剤の使
用で、従来のパツキンを使用することなく、シリ
ンダブロツクとオイルパンとの間を確実にシール
でき、かつ、両者間の振動、衝撃等により、従来
では取付穴付近の薄膜状の弾性体となつたシール
材がちぎれてしまうという問題が解決できる。

さらに、シリンダブロツク側に凹溝を形成した
ものに比べて、シール剤の充填をオイルパンの上
面に行えるので組立工数の短縮を図ることがで
き、自動車産業が発展している現在、特に産業利
用性の大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るオイルパンのフランジ面
の部分斜視図。第２図は第１図のＡ−Ａ断面図。
第３図は第１図のＢ−Ｂ断面図。第４図は従来の
オイルパンとパツキンの斜視図。第５〜６図は、
従来の他のオイルパンのフランジ面の一部分を示
す平面図。１……オイルパン、２……フランジ面、３……
取付穴、４……大きな凹溝、４′……連結溝、６
……細条凹溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

フランジ面２に多数個の取付穴３と長円状の大
きな凹溝４が交互に設けられたオイルパンにおい
て、取付穴３を挟んで設けられた相隣接する長円
状の大きな凹溝４，４の端部間を、プレスのコイ
ニング加工により、取付穴３を避けてその内側に
形成した細条凹溝６にて連結してなるオイルパ
ン。