JPH0233978Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はいわゆるシエルアンドチユーブ型の熱
交換器であつて、シエルとチユーブプレートとを
ろう付けする際に用いられるろう付け用介装部材
に関する。

〔従来技術及びその問題点〕

シエルアンドチユーブ型熱交換器は、一例とし
て次のような構成からなつていた。即ち、多数の
チユーブの夫々の両端部を一対のチユーブプレー
トに夫々貫通して固定する。そして、それらを円
筒形のシエル内に挿通し、チユーブプレートの周
縁とシエルの端面とを接合する。さらに、シエル
の上下端にタンクを被嵌して、液密に両者を固定
するものであつた。そして、シエルの一端部と他
端部とに夫々冷却水の流入孔及び流出孔を配設し
且つ、シエル内に冷却水を循環させる。そして、
一方のタンクに高温のオイル等の熱交換媒体を流
入させ、各チユーブを介し他方のタンクから冷却
されたその熱交換媒体を取り出していた。

従来、このようなシエルアンドチユーブ型熱交
換器の接合は一例として次のようにしていた。即
ち、第４図に示す如く、シエル２とチユーブプレ
ート３との接合を介装部材本体５を介して行つて
いた。この介装部材本体５は比較的厚肉のリング
状の鋼材からなつていた。そして、この介装部材
本体５の一端面には適宜間隔でボルト孔４が穿設
されると共に、内周面の他端側には嵌着部７が段
付き状に形成されている。そして図においてチユ
ーブプレート３の外周縁を介装部材本体５の図に
おいて上端部内周面に位置させ、それらの間にろ
う材９を介してチユーブプレート３と介装部材本
体５とをろう付け固定していた。それと共に、シ
エル２を嵌着部７に嵌着し、両者の間をろう材９
によりろう付け固定していた。

ところが、介装部材本体５はタンク取付け用の
ボルト孔４を有し、比較的厚肉に形成され、熱容
量が大きいため、バーナー１０での加熱時にろう
付けしたろう材９が下方に流れ出し、液密性が損
なわれる虞れがあつた。

〔考案の目的及び構成〕

そこで本考案はろう材が流出しないろう溜まり
用の溝６を介装部材本体自体に設け、確実なろう
付け構造を提供すると共に、タンク本体と介装部
材とのシール面を正確に確保できる構造を提供す
るものである。そしてその構成は次のとおりであ
る。

即ち、互いに離間した多数のチユーブ１を内装
して筒状に形成されたシエル２と、前記夫々のチ
ユーブ１の端が貫通して固定されるチユーブプレ
ート３とを有し、該チユーブプレート３の周縁と
前記シエル２の端縁との間に介装されて両者がろ
う付け固定される介装部材において、全体が半径
方向に厚肉のリング状に形成されると共に、軸方
向一端面にタンク被嵌用の複数のボルト孔４が設
けられた介装部材本体５と、該本体５の前記一端
面で且つ前記ボルト孔４より内側に形成したチユ
ーブプレート嵌着用の溝部６と、該本体５の他方
の端面に形成したシエル嵌着部７と、を具備し、
前記溝部６の該リング中心側の側壁の高さを、前
記一端面よりも低くし、前記チユーブプレート３
の全周縁にその軸線方向に折り曲げ形成した嵌入
用縁部８が前記溝部６に嵌入してろう付け固定さ
れると共に、該チユーブプレート３の前記一端面
側の平面が該一端面よりも低く位置し、前記嵌着
部７に前記シエル２の端部が嵌着して固定される
ように構成したことを特徴とする。

〔実施例〕

次に図面に基づいて本考案の一実施例につき説
明する。

この実施例はトルクコンバーター用のオイルク
ーラーとして用いられる熱交換器に関する。そし
て、第１図はその要部縦断面略図であり、第２図
は同要部拡大図である。

第１図及び第２図から明らかなように、本考案
のろう付け用介装部材は比較的厚肉でリング状に
形成された独立の介装部材本体５を用いる。この
介装部材本体５には適宜間隔毎にボルト孔４が設
けられ、そこにネジ溝が螺刻されている。なお、
このボルト孔４は、第１図の如く、タンク本体１
４のボルト１５に整合する位置に夫々穿設されて
いる。次に、介装部材本体５の内周面には図にお
いて、上部側に溝部６が形成されている。この溝
部６の一方の端縁は介装部材本体５の上端面より
低く位置されている。又、介装部材本体５の内周
面の下端側には階段状のシエル嵌着部７が形成さ
れている。又、チユーブプレート３には多数のチ
ユーブ孔が穿設される共に、全周縁には嵌入用縁
部８が軸方向に折り曲げ形成されている。そし
て、この縁部８が溝部６に嵌着され、それらの間
にろう材９を介装してろう付け固定するものであ
る。このチユーブプレート３はシエル２より薄い
銅又は真鍮等の金属板からなり、両者を接合する
ろう材９は一例として銀ろうが用いられる。な
お、シエル２は銅又はアルミ合金からなり、両者
の間がろう材９によりろう付け固定される。この
シエル２は全体が円筒形に形成されると共に、そ
の上端に冷却水出口１１がろう付け等により突設
形成される。それと共に、シエル２の図示しない
下端位置に冷却水入口が形成される。そして、介
装部材本体５の上端にタンク本体１４が被嵌さ
れ、それらの間にパツキンを介してボルトにより
両者が締結固定される。なお、上部に位置するこ
のタンク本体１４には図示しないオイル流入孔が
設けられると共に、下部に位置する図示しないタ
ンク本体にはオイル流出孔が形成される。又、こ
の熱交換器は必ずしも、上下方向には位置される
とは限らず、チユーブ１が水平にくるように保持
されてもよい。而して、一方のタンク本体１４か
ら高温のオイルが流入し、各チユーブ１を流通し
て他方の図示しないタンク本体に導かれる。又シ
エル２内には冷却水１３が矢印の如く循環し、オ
イル１２と冷却水１３との間で熱交換される。そ
して、冷却されたオイル１２が図示しない他方の
タンク本体のオイル流出孔からトルクコンバータ
ーに供給される。そして、トルクコンバーター内
で高温となつたオイルが再び入口側のタンク本体
１４に供給され、それが循環する。

〔変形例〕

本考案は上記実施例に限定されるものでは勿論
なく、例えば介装部材本体５は、ボルト孔４が設
けられる位置でより厚く形成し、その他の部分で
は比較的薄く形成しておいてもよい。又、冷却水
出口１１及び冷却水導入口の取付け位置は適宜設
計変更し得る。又、チユーブ１は偏平チユーブで
あつても、円形チユーブであつてもよい。又、各
チユーブ１，１間に図示しないアウターフインを
設け、さらにはチユーブ１内にインナーフインを
設けることもできる。

又、チユーブ１としてＵ字状に形成されたもの
を用いると共に、一方のタンク本体１４の中央部
に仕切を設けてオイル１２をＵターンさせるよう
に流通させてもよい。さらには、シエル嵌着部７
を溝状に形成してもよい。又、介装部材本体５の
ボルト孔４は貫通孔であつてもよい。

〔考案の作用〕

次に、本介装部材を用いてシエル２とチユーブ
プレート３とをろう付け固定する手順の一例につ
き説明する。

先ず、シエル２の端部を嵌着部７に嵌着し、両
者の間にろう材９を介してろう付け固定する。次
に、第２図において介装部材本体５の溝部６にチ
ユーブプレート３の嵌入用縁部８を嵌入する。そ
して、それらの間にろう材９を介装し、図に示す
ように位置させてバーナーにより溝部６近傍を加
熱しつつろう材を溶融させてチユーブプレート３
と本介装部材とをろう付け固定する。このろう付
けの際には、介装部材本体５の下半分を水等によ
り冷却することが好ましい。そして、このような
作業を上下のチユーブプレート３において行えば
よい。

〔考案の効果〕

本考案の介装部材は以上のような構成からな
り、次の効果を有する。

(1) 比較的厚肉のリング状に形成された介装部材
本体５を有し、該介装部材本体５の一方の端面
で且つ、ボルト孔４より内側にチユーブプレー
ト嵌着用の溝部６が形成されているから、チユ
ーブプレート３の嵌入用縁部８をそこに嵌入し
て抱持することができる。そして、かかる抱持
状態で、それらの接触部をろう付け固定できる
ように構成されているから、ろう材を両者の間
に確実に保持し、ろう材が流出することがな
い。それにより、熱交換器の信頼性を向上でき
る。即ち、全体が比較的厚肉のリング状に形成
された介装部材本体５とチユーブプレート３と
をろう付けする際には、該介装部材本体５自体
の熱容量が大きいため、ろう材が重力方向に流
れ出してしまう虞れがある。しかしながら、本
介装部材によれば、ろう付け部に溝部６が形成
されているため、そこに確実にろう材が保持さ
れる効果がある。しかも本考案のろう付け用介
装部材は、溝部６のリング中心側の側壁の高さ
を介装部材本体５の一端面よりも低くし、チユ
ーブプレート３の一端面側の平面がその一端面
よりも低く位置するように構成したから、タン
ク本体１４のシール面となる本体５の上面にろ
う材が流出することを確実に防止し、タンク本
体のシールの信頼性を向上できる。

(2) さらに、本介装部材によれば、チユーブプレ
ート３の嵌入用縁部８を介装部材本体５の溝部
６に嵌着した状態でろう付け固定できるため、
ろう付け作業が容易で且つ、それを迅速に行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のろう付け用介装部材を用いた
熱交換器の要部縦断面図、第２図は同部分拡大
図、第３図は同ろう付け用介装部材の斜視略図、
第４図は従来型介装部材によるろう付け構造を示
す要部縦断面拡大図。 １……チユーブ、２……シエル、３……チユー
ブプレート、４……ボルト孔、５……介装部材本
体、６……溝部、７……シエル嵌着部、８……嵌
入用縁部、９……ろう材、１０……バーナー、１
１……冷却水出口、１２……オイル、１３……冷
却水、１４……タンク本体、１５……ボルト孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに離間した多数のチユーブ１を内装して筒
   状に形成されたシエル２と、前記夫々のチユーブ
   １の端が貫通して固定されるチユーブプレート３
   とを有し、該チユーブプレート３の周縁と前記シ
   エル２の端縁との間に介装されて両者がろう付け
   固定される介装部材において、全体が半径方向に
   厚肉のリング状に形成されると共に、軸方向一端
   面にタンク被嵌用の複数のボルト孔４が設けられ
   た介装部材本体５と、該本体５の前記一端面で且
   つ前記ボルト孔４より内側に形成したチユーブプ
   レート嵌着用の溝部６と、該本体５の他方の端面
   に形成したシエル嵌着部７と、を具備し、前記溝
   部６の該リング中心側の側壁の高さを、前記一端
   面よりも低くし、前記チユーブプレート３の全周
   縁にその軸線方向に折り曲げ形成した嵌入用縁部
   ８が前記溝部６に嵌入してろう付け固定されると
   共に、該チユーブプレート３の前記一端面側の平
   面が該一端面よりも低く位置し、前記嵌着部７に
   前記シエル２の端部が嵌着して固定されるように
   構成したことを特徴とする熱交換器のろう付け用
   介装部材。