JPH0232688Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の属する技術分野） 本考案は単結晶引上げ装置の気密容器として用
いるチヤンバの安全構造に関するものである。

（従来の技術） 単結晶引上げ装置においては、るつぼに保持さ
れている融液がるつぼの破損、成長した単結晶の
落下、その他の事故の発生などによつてるつぼ融
液が水冷されたステンレス鋼製チヤンバベースに
に落下した場合には、高温の融液によつて冷却水
が水蒸気となり、気密容器となつているチヤンバ
の内圧が瞬時に過加圧となり、水蒸気爆発を引き
起こし災害となる危険があつた。

しかし従来の単結晶引上げ装置は原料の充填量
が少なく、チヤンバベースにはグラフアイトカー
ボン製の受け皿を設けておく程度の対策で済み、
またチヤンバの気密性が重視されていなかつたた
め、気密構造も幼稚であつてチヤンバ内圧が過加
圧になると、チヤンバの継目より水蒸気が吹き出
してチヤンバ内の過加圧状態を解除する程度で済
んでいた。

（考案の具体的な目的） 今日のように原料の充填量がSiの場合60〜100
Kgのように大きく、また成長結晶の重量も非常に
大きくなつて低圧雰囲気中で結晶成長を行うた
め、チヤンバの気密保持方法も強固な構造を持た
せてある。そこで本考案は水蒸気爆発の際にチヤ
ンバ内圧の過加圧状態を速やかに解除し、かつ正
常状態では気密保持できるような構造を有する防
爆弁をチヤンバ側壁に設けて、爆発の際にチヤン
バ支持部の変形やチヤンバのぞき窓の破損などの
装置の破損を防止すると共に、水蒸気の吹出しに
対する作業者の保護を目的としている。

（考案の構成と作用） 図面は本考案を実施したチヤンバの構造例を示
す断面図で、防爆弁のある側を含む半分のみ示し
ている。図中１はチヤンバ（の周壁）、２はチヤ
ンバベース、３は防爆弁用ポート（円筒形の出入
口）、４は防爆弁（弁と略記す、ポート３の面を
覆う円板状の蓋）、５は弁４の支持部でヒンジ構
造、６は気密保持用Ｏリングである。

図示のように弁４はポート３を開閉できるよう
にヒンジ５で支持されている。この単結晶引上装
置の運転休止時においては弁４はばね、磁石、ま
たは弁の自重等でポート３に軽く押付けられてい
る。この押付力は初期押付力と呼ばれる。装置運
転時にはチヤンバ１の内部が減圧となるからチヤ
ンバ内外の圧力差により弁４はポート３に強く押
し付けられ、これによつてチヤンバ内の気密が保
たれる。また逆にチヤンバ内部が加圧状態となり
チヤンバ内部より弁４を開く力が働くとき、この
力が初期押付力より大きくなると弁４は直ちに開
きチヤンバ内部の過加圧状態は直ちに解除され
る。

（考案の効果） 本考案によつて前記水蒸気爆発時の単結晶引上
装置の破損を最小限に抑止しかつ作業者の安全を
確保することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を実施した単結晶引上装置の気密
容器の構造例断面図である。 １……気密容器（チヤンバ）、２……チヤンバ
ベース、３……防爆弁用ポート、４……防爆弁、
５……支持部、６……オーリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 単結晶引上装置の気密容器内が加圧状態となる
   ことを防止するために前記気密容器の側壁に設け
   たポート（出入口）とこのポートの前面を開閉可
   能な扉状の弁にて形成した防爆弁を設け、前記弁
   はポートの上方より支持され前記引上装置の運転
   停止または休止時には弁の自重とばねまたは磁石
   によつてポートに軽く押付けられ、前記引上装置
   の運転時には減圧となつたポート側に気密容器内
   外に差圧分で強く押付けられて気密を維持し、ま
   た気密容器が加圧状態となれば弁はポートを開く
   ように外方に押出されるように構成したことを特
   徴とする防爆弁を有する単結晶引上装置。