JPH0230981B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は軸駆動式のシート巻取機に関し、よ
り具体的には駆動軸の外周に芯管受け環を多数は
め、これらをスリツプさせつつ摩擦駆動し、それ
ら環の上にはめた芯管の長さにほぼ比例する巻取
トルクを働かせ、芯管相互の速度差を可能にした
環群つき巻軸（所謂フリクシヨン式巻軸）を用い
たシート巻取機に関する。

（従来の技術） この種の環群つき巻軸は従来から使われている
が、その巻取張力制御は一般の巻軸に比して面倒
なため、技術的に遅れていた。これを、はじめて
近代的なコンピユータ制御にかけられるようにし
たのが、特公昭59−13418号公報に記載の「摩擦
軸駆動式巻取機の張力制御装置」である。

そして、上記公報に記載のものは、軸端から入
れた流体により内圧をかけられる中空駆動軸と、
この駆動軸に摩擦係合するようにはめた多数の紙
管受け環と、上記駆動軸の内圧増減により上記
軸、環間摩擦を増減する圧力伝達機構と、上記流
体供給側の圧力調整装置と、巻取量検出装置と、
張力−巻取量線図パターン設定部、シート諸数値
設定つまみをもち、上記巻取量検出装置の検出値
を受け入れて上記軸、環間摩擦駆動トルクが設定
パターン張力に適するよう上記圧力調整装置を制
御するようにしている。

（発明が解決しようとする問題点） 上記公報に記載の発明は理論上、完全な張力制
御のもとに巻取りを進められるものであるが、実
際には種々の誤差が入り込み、必ずしも所要の巻
取張力で巻取られているとはいえない。

つまり、上記発明を含めて、従来は環群つき巻
軸の軸、環間摩擦伝動機構のスリツプを制御対象
としていない。巻取張力を左右するのは、各環が
軸から受け取つた摩擦トルクであつて、スリツプ
の多少はあまり関係しないからである。しかし、
最近のように巻き上げるシートロールの直径が大
きくなると、一定の供給速度で送られる走行シー
トを巻取る巻軸の回転速度は大きく変化する。し
たがつて、環群つき巻軸の場合には、巻取回転数
が低下し、スリツプがある程度大きくなつたら変
速機構で段階的に変速比を変え、その速度を遅く
している。

しかし、上記の手法による場合にはスリツプの
大な部分と小な部分とが生ずる。そして、全体的
にはスリツプが大になる。この場合、スリツプが
大きいということは、エネルギの浪費であるほ
か、発熱し、摩耗を逸め、摩擦係数にも影響をも
たらす。つまり、発熱により焼き付けを生じた
り、スリツプの回転数の急変でトルクが瞬時的に
変化してシートロールに巻きずれを生じさせたり
する。また、高速で巻取りを行うことが困難とな
る。

（問題点を解決するための手段） そこで、本発明に係るシート巻取機は、巻取駆
動軸と、上記巻取駆動軸にはめた多数の芯管受け
環と、上記芯管受け環に前記巻取駆動軸の回転を
伝える摩擦伝動機構と、その摩擦調整装置と、巻
取量検出装置と、巻取張力又は巻取トルク−巻取
量関係設定部をもち、巻取量検出値を受け入れ
て、作動中の上記芯管受け環の巻取トルクが設定
張力に適するよう上記摩擦調整装置を制御するコ
ンピユータと、シート走行速度検出装置と、上記
巻取駆動軸の駆動速度調節機構と、巻取量検出装
置による巻取量検出値及びシート走行速度検出装
置によるシート走行速度検出値を受け、巻取中に
おけるシートロールの周速度を、シートの供給速
度に対応する速度よりも僅かに大にするよう巻取
駆動軸の駆動速度調節機構を制御する速度制御部
とを備えることを特徴とする。

（作用） したがつて、本発明によれば、巻取量検出値及
びシート走行速度検出値に基づき、速度制御部で
巻取駆動軸の駆動速度調節機構を制御し、巻取中
のシートロールの周速度をシートの供給速度に対
応する速度よりも僅かに大にしておくことができ
る。つまり、シート走行速度の変化、巻取径の変
化に応じて駆動軸の回転速度を円滑に変化させる
ので、駆動軸と芯管受け環のスリツプ量が過大に
なつたり、またスリツプ量が急変したりすること
はなく、円滑にシートを巻取ることができる。

（実施例） 以下、本発明を図示した実施例に基づいて説明
する。

先ず、第１図は環群つき巻軸を使用したシート
巻取機の概要を示すもので、シート原反Ｓがスリ
ツター刃１により複数条に分割され、中央の共通
タツチローラ２の両側に寄せかけた環群つき巻軸
３，３に振り分けて巻取られ、シートロールＲに
なる状況を示す。両巻軸３，３は、夫々、巻取ア
ーム４により支持されており、所定の回転速度で
駆動される。すなわち、図示しないモータによ
り、駆動伝達経路を構成する歯車を回転させ、こ
の歯車が次々と噛み合つて歯車、ベルト車、ベル
トを回し、そのベルトにより巻軸３の巻取駆動軸
を回している。なお、図示のように共通タツチロ
ーラ２の両側にシートロールＲを寄せかけるよう
にはせず、例えば分割したシートを上下に振分
け、上下の巻軸夫々に小さなタツチローラを寄せ
かける形式のスリツター付きシート巻取機であつ
てもよい。

扨、第２図は環群つき巻軸３の一例を示すもの
であり、中空な巻取駆動軸５に形成した放射方向
穴に遊合した押出部材６を外向きに押出し、該押
出部材６の外周と芯管受け環８の内周とを摩擦係
合させる手段、つまり前記押出部材６と共に摩擦
伝動機構を構成する手段として柔軟、且つ強靭な
空気チユーブ７を採用し、又、芯管受け環８の外
周には芯管内周を固定するために周知のローラロ
ツク機構９を備えさせている。また、図示は省略
したが、摩擦調節装置として、巻取駆動軸５内の
空気チユーブ７の内圧を加減し、これを膨張等さ
せる圧力調整弁等を採用している。そして、芯管
受け環８の内周の両端には、巻取駆動軸５の外周
と内周が接するリング１０を設け、これにより一
の押出部材６で一つの芯管受け環８を押出すよう
にしてあり、更に押出部材６外端と芯管受け環８
内周との接触位置は、一つの環８の幅内で適宜変
更可能である。

第３図は本発明に係る制御用ブロツク図であ
り、図中、Ｓ０は供給シート原反、１１は繰出ロ
ーラ、Ｍ１は繰出モータ、Ｍ２は巻取モータ、１
２は可動タツチローラであり、上記タツチローラ
１２はシートロールＲの成長につれて起き上がる
周知のものである。シートＳを繰り出すピンチロ
ーラ１１の駆動モータとしての繰出モータＭ１は
可変速モータである。

例えば、原反Ｓ０からはじめてシートＳを繰出
す時や、巻軸への巻取り開始時、終了時、シート
繰り出し速度を漸増、漸減させ、その中間は一定
速度とする。その速度変化はあらかじめ繰出モー
タＭ１に附属する速度設定器１３に設定してお
く。これには、巻取り全工程を設定する場合と、
半自動的に漸増、漸減期間だけ設定する場合等が
あるが、何れにしてもこの設定器１３の電気信号
により、モータＭ１の速度調節装置１４を介して
速度制御をする。

繰り出されたシートＳが走行速度を漸増、漸減
させている時も、一定の時も、図示したように繰
出しモータＭ１に速度検出器１５をつけるか、或
いは直接シート走行速度を検出し、その信号を巻
取モータＭ２に附属の速度制御部１６へ入れる。

その速度制御部１６へは、この場合一個のタツ
チローラ１２の起き上がり角度により巻取量を知
る巻取量検出装置１７からの信号も入るので、シ
ートＳの走行速度、シートロールＲの直径（巻取
量）の両者から、必要なシートロールＲの回転速
度（周速度）が演算される。

したがつて、シートロールＲの必要回転速度に
基づいて巻取駆動軸５の所要回転速度が求められ
るが、その回転速度に適当なスリツプ分だけ加え
るか、乗ずるかした演算値により、駆動軸の駆動
速度調節機構１８を介して巻取モータＭ２を制御
し、シートロールＲの周速度をシート供給速度に
対応する速度よりも僅かに大にするのである。な
お、巻取駆動軸５をスリツプ分だけ速く回す手段
は電気制御部、機械伝動部の何れにあつてもよ
い。無論、巻取モータＭ２も繰出モータＭ１と同
様、可変速モータである。巻取モータＭ２が直流
電動機等の可変速電動機である場合には、駆動速
度調節機構として静止形等の速度制御装置を用
い、速度制御部からの電気信号を受けて回転速度
を制御する。

巻取量検出装置１７は、上述のようにタツチロ
ーラ１２の起き上がり角度をポテンシヨメータ等
により検出するものの他、シートの供給長さを検
出するもの等、従来から使用されているものを用
いることができ、その検出値から巻取り中のシー
トロール直径（巻取量）を演算させればよい。

なお、鎖線で囲んだ小型コンピユータ１９は、
巻取量検出装置１７による検出値を受け入れ、そ
の制御部１９ｂにおいて、設定部１９ａで設定し
た巻取張力−巻取量（又は、巻取トルク−巻取
量）関係から演算した所要摩擦駆動トルクを演算
し、摩擦調整装置２０を制御する。

以上、一実施例により本発明を説明したが、図
示したものは代表的なものを示したに過ぎず、こ
れらが実施条件等に応じて設計者が多様に変化、
応用し得ることは言うまでもない。例えば、環群
つき巻軸は機械的に軸、環間摩擦を調節するもの
であれば、その形式や操作性を問わない。つま
り、図示した実施例のように空気チユーブを使用
するのではなく、駆動軸中にあつて軸線方向に押
し引きされる押引棒に設けたカムにより押出部材
を放射方向に移動する等してもよい。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明は、環群つき巻軸
において、従来、摩擦部の発熱が不同で、過大な
発熱によつて部材の焼き付けを生じさせたり、摩
擦係数の変動を生じさせて肝心の摩擦トルクに悪
影響を与え、シートロールの巻きずれを生じさせ
ていたのを改善した。すなわち、常時、巻取量と
シート走行速度に照らし、巻取中のシートロール
の周速度をシートの供給速度に対応する速度より
も僅かに大きくするように駆動軸の回転速度を制
御するから、巻取中の軸、環間のスリツプは僅か
な量に保たれる。したがつて、摩擦熱が減ずる結
果、摩擦部の寿命は画期的に延び、保守、修理に
要する時間、労力が軽減される。また、従来のよ
うに巻取中に軸、環間のスリツプ量が急変しない
ので巻取張力は安定し、シート巻取りを円滑に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は環群つき巻軸の使用状況を示す説明図、第２図
はその巻軸の詳細を示す正面図、第３図は制御の
ためのブロツク図である。 ３……環群つき巻軸、５……中空駆動軸、８…
…芯管受け環。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 巻取駆動軸と、上記巻取駆動軸にはめた多数
   の芯管受け環と、上記芯管受け環に前記巻取駆動
   軸の回転を伝える摩擦伝動機構と、その摩擦調整
   装置と、巻取量検出装置と、巻取張力又は巻取ト
   ルク−巻取量関係設定部をもち、巻取量検出値を
   受け入れて、作動中の上記芯管受け環の巻取トル
   クが設定張力に適するよう上記摩擦調整装置を制
   御するコンピユータと、シート走行速度検出装置
   と、上記巻取駆動軸の駆動速度調節機構と、巻取
   量検出装置による巻取量検出値及びシート走行速
   度検出装置によるシート走行速度検出値を受け、
   巻取中におけるシートロールの周速度を、シート
   の供給速度に対応する速度よりも僅かに大にする
   よう巻取駆動軸の駆動速度調節機構を制御する速
   度制御部とを備えることを特徴とするシート巻取
   機。