JPH0230791B2 - - Google Patents
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- JPH0230791B2 JPH0230791B2 JP58167245A JP16724583A JPH0230791B2 JP H0230791 B2 JPH0230791 B2 JP H0230791B2 JP 58167245 A JP58167245 A JP 58167245A JP 16724583 A JP16724583 A JP 16724583A JP H0230791 B2 JPH0230791 B2 JP H0230791B2
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B22—CASTING; POWDER METALLURGY
- B22D—CASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
- B22D19/00—Casting in, on, or around objects which form part of the product
- B22D19/14—Casting in, on, or around objects which form part of the product the objects being filamentary or particulate in form
-
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-
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- F05C2253/16—Fibres
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
本発明は、摺動部材に関し、詳しくは、摺動部
材にして、アルミナ−シリカ繊維にて複合強化さ
れたエンジン用ピストンと、軟窒化層を有する鋼
にて構成されたピストンリングとの組合せによつ
て、両者の耐摩耗性を優れたものとすることので
きる摺動部材にかかる。 各種機械の構成要素や部材においては、部分的
な特別な性能を要求されることが多い。 たとえば、自動車用エンジンにおいては、エン
ジンの性能に対する要求が高くなると、ピストン
においては、その比強度や剛性に優れていること
が要求されるばかりでなく、その摺動面では、耐
摩耗性に優れていることが、強く要請されるよう
になつてきている。 このような要求性能に対する対策として、ピス
トンの特定部位を、アルミニウム合金のような、
軽金属をマトリツクスとし、各種の無機質繊維等
で強化した複合材料にて、構成することが検討さ
れている。 このような、繊維強化金属複合材料の一つとし
て、アルミニウム、マグネシウム、または、それ
らの合金をマトリツクスとし、アルミナ質繊維に
よつて強化した、繊維強化金属複合材料は既に知
られており、この繊維強化金属複合材料にて構成
された部材の、比強度や耐摩耗性を向上させるこ
とができる。 しかし、摺動部材にして、エンジン用ピストン
のピストンリング溝を、上述のような繊維強化金
属複合材料にて構成した場合には、ピストンリン
グの材質により、このピストンリングの摩耗が著
しく増大する。 このため、上述のような、エンジン用ピストン
のピストンリング溝にピストンリングを嵌込み、
使用することができないという欠点がある。 本発明は、摺動部材として、エンジン用ピスト
ンを、アルミニウム合金等の軽金属をマトリツク
スとし、アルミナ−シリカ繊維により強化した、
繊維強化金属複合材料にて構成し、ピストンリン
グを、軟窒化層を有する鋼にて構成することによ
つて、エンジン用ピストン及びピストンリング、
双方の耐摩耗性を改善することのできる、摺動部
材を提供することを目的としている。 このような目的は、本発明によれば、摺動部材
として、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金等の軽金属をマトリツクスとし、ピス
トンリング溝の摺動面部が重量比率で40%以上の
アルミナと残部シリカからなるアルミナ−シリカ
繊維で強化された複合金属材料にて構成されたエ
ンジン用ピストンと、軟窒化層を有する鋼にて構
成され、前記ピストンリング溝に嵌込まれたピス
トンリングとを有することを特徴とする摺動部材
によつて達成される。 以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例を
説明する。 実施例 1 アルミニウム合金(JIS規格AC8A)をマトリ
ツクスとし、繊維径2.8μのアルミナ−シリカ繊維
(55wt.%Al2O3−45wt.SiO2)を、嵩密度0.16g/
cm3にて、アトランダムに配向した繊維成形体によ
り強化した複合材料を製造し、大きさ16×6×10
mmで、その一つの面(16×10mm)を試験面とする
ブロツク試験片を作成した。 また、比較材として、繊維強化されていないア
ルミニウム合金(JIS規格AC8A)のみよりなる、
上述形状と同一のブロツク試験片を作成した。 これらの試験片を、順次、摩耗試験機に装着
し、摺動相手部材である、外径35mm、内径30mm、
幅10mmの、鋼(JIS規格SUS420J2)製、及び、
同鋼に軟窒化処理した、円筒試験片の外周面と接
触させ、そして、それら試験片の接触部に、常温
の潤滑油(モータオイル5W−30)を供給しつつ、
荷重60Kg、回転数160r.p.mにて円筒試験片を回転
させ、1時間の摩耗試験を行なつた。 試験は、第1表に示すブロツク試験片と、円筒
試験片との組合せ、A〜Dについて行なつた。
材にして、アルミナ−シリカ繊維にて複合強化さ
れたエンジン用ピストンと、軟窒化層を有する鋼
にて構成されたピストンリングとの組合せによつ
て、両者の耐摩耗性を優れたものとすることので
きる摺動部材にかかる。 各種機械の構成要素や部材においては、部分的
な特別な性能を要求されることが多い。 たとえば、自動車用エンジンにおいては、エン
ジンの性能に対する要求が高くなると、ピストン
においては、その比強度や剛性に優れていること
が要求されるばかりでなく、その摺動面では、耐
摩耗性に優れていることが、強く要請されるよう
になつてきている。 このような要求性能に対する対策として、ピス
トンの特定部位を、アルミニウム合金のような、
軽金属をマトリツクスとし、各種の無機質繊維等
で強化した複合材料にて、構成することが検討さ
れている。 このような、繊維強化金属複合材料の一つとし
て、アルミニウム、マグネシウム、または、それ
らの合金をマトリツクスとし、アルミナ質繊維に
よつて強化した、繊維強化金属複合材料は既に知
られており、この繊維強化金属複合材料にて構成
された部材の、比強度や耐摩耗性を向上させるこ
とができる。 しかし、摺動部材にして、エンジン用ピストン
のピストンリング溝を、上述のような繊維強化金
属複合材料にて構成した場合には、ピストンリン
グの材質により、このピストンリングの摩耗が著
しく増大する。 このため、上述のような、エンジン用ピストン
のピストンリング溝にピストンリングを嵌込み、
使用することができないという欠点がある。 本発明は、摺動部材として、エンジン用ピスト
ンを、アルミニウム合金等の軽金属をマトリツク
スとし、アルミナ−シリカ繊維により強化した、
繊維強化金属複合材料にて構成し、ピストンリン
グを、軟窒化層を有する鋼にて構成することによ
つて、エンジン用ピストン及びピストンリング、
双方の耐摩耗性を改善することのできる、摺動部
材を提供することを目的としている。 このような目的は、本発明によれば、摺動部材
として、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金等の軽金属をマトリツクスとし、ピス
トンリング溝の摺動面部が重量比率で40%以上の
アルミナと残部シリカからなるアルミナ−シリカ
繊維で強化された複合金属材料にて構成されたエ
ンジン用ピストンと、軟窒化層を有する鋼にて構
成され、前記ピストンリング溝に嵌込まれたピス
トンリングとを有することを特徴とする摺動部材
によつて達成される。 以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例を
説明する。 実施例 1 アルミニウム合金(JIS規格AC8A)をマトリ
ツクスとし、繊維径2.8μのアルミナ−シリカ繊維
(55wt.%Al2O3−45wt.SiO2)を、嵩密度0.16g/
cm3にて、アトランダムに配向した繊維成形体によ
り強化した複合材料を製造し、大きさ16×6×10
mmで、その一つの面(16×10mm)を試験面とする
ブロツク試験片を作成した。 また、比較材として、繊維強化されていないア
ルミニウム合金(JIS規格AC8A)のみよりなる、
上述形状と同一のブロツク試験片を作成した。 これらの試験片を、順次、摩耗試験機に装着
し、摺動相手部材である、外径35mm、内径30mm、
幅10mmの、鋼(JIS規格SUS420J2)製、及び、
同鋼に軟窒化処理した、円筒試験片の外周面と接
触させ、そして、それら試験片の接触部に、常温
の潤滑油(モータオイル5W−30)を供給しつつ、
荷重60Kg、回転数160r.p.mにて円筒試験片を回転
させ、1時間の摩耗試験を行なつた。 試験は、第1表に示すブロツク試験片と、円筒
試験片との組合せ、A〜Dについて行なつた。
【表】
その摩耗試験結果を第1図に示す。
この図において、上半分はブロツク試験片の摩
耗量(摩耗痕深さμ)を示しており、下半分は摺
動する相手材である円筒試験片の摩耗量(摩耗減
量mg)を示している。 なお、記号AないしDは、第1表における試験
片の組合せ記号AないしDに対応している。 第1図から明らかなように、アルミニウム合金
のみで作成したブロツク試験片(C,D)は、そ
の摩耗量が著しく大きいのに対し、繊維強化され
たアルミニウム合金にて作成したブロツク試験片
(A,B)は、摩耗量が著しく少なく、特に、摺
動する相手材が「鋼+軟窒化」の場合における、
ブロツク試験片Bの摩耗量は、極めて少ないこと
が理解される。 一方、摺動する相手材としての、円筒試験片の
摩耗は、試験片組合せA,C,Dがほゞ同等であ
るのに対し、試験片組合せBの円筒試験片の摩耗
量が、試験片組合せA,C,Dの約1/2と少ない
ことが理解される。 また、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金をマトリツクスとし、55wt.%のアル
ミナと残部シリカからなる、アルミナ−シリカ繊
維を種々の比率で配合して、繊維強化した複合材
料にてブロツク試験片を作成し、上述の摩耗試験
を行なつたところ、第1図に示す結果と、実質的
に同様の傾向を示す試験結果を得た。 以上の摩耗試験の結果より、互いに当接して相
対的に摺動する摺動部材であつて、摺動する第1
の部材を構成する複合材料がアルミニウム、マグ
ネシウム、ないし、それらの合金をマトリツクス
とし、55wt.%アルミナと残部シリカとからなる
アルミナ−シリカ繊維によつて強化した、複合材
料であり、摺動する第2の部材が、軟窒化層を有
する鋼の場合において、特に摺動特性に優れてい
ることが理解される。 実施例 2 アルミニウム合金(JIS規格AC8A)をマトリ
ツクスとし、繊維径3.0μのアルミナ繊維(95wt.
%Al2O3+5wt.%SiO2、α−アルミナ含有率30
%)を、嵩密度;0.15g/cm3にて、アトランダム
に配向した繊維成形体により強化した複合材料を
製造し、実施例1と同様なブロツク試験片を作成
した。 また、比較材としても、実施例1と同様にし
て、ブロツク試験片を作成した。 これらの試験片を、順次、摩耗試験機に装着
し、実施例1と同様の摺動相手部材からなる、円
筒試験片の外周面と接触させ、そして、それら試
験片の接触部に、150℃の潤滑油(モータオイル
5W−30)を供給しつつ、荷重60Kg、回転数160r.
p.mにて円筒試験片を回転させ、1時間の摩耗試
験を行なつた。 試験は、第2表に示すブロツク試験片と、円筒
試験片との組合せ、A〜Dについて行なつた。
耗量(摩耗痕深さμ)を示しており、下半分は摺
動する相手材である円筒試験片の摩耗量(摩耗減
量mg)を示している。 なお、記号AないしDは、第1表における試験
片の組合せ記号AないしDに対応している。 第1図から明らかなように、アルミニウム合金
のみで作成したブロツク試験片(C,D)は、そ
の摩耗量が著しく大きいのに対し、繊維強化され
たアルミニウム合金にて作成したブロツク試験片
(A,B)は、摩耗量が著しく少なく、特に、摺
動する相手材が「鋼+軟窒化」の場合における、
ブロツク試験片Bの摩耗量は、極めて少ないこと
が理解される。 一方、摺動する相手材としての、円筒試験片の
摩耗は、試験片組合せA,C,Dがほゞ同等であ
るのに対し、試験片組合せBの円筒試験片の摩耗
量が、試験片組合せA,C,Dの約1/2と少ない
ことが理解される。 また、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金をマトリツクスとし、55wt.%のアル
ミナと残部シリカからなる、アルミナ−シリカ繊
維を種々の比率で配合して、繊維強化した複合材
料にてブロツク試験片を作成し、上述の摩耗試験
を行なつたところ、第1図に示す結果と、実質的
に同様の傾向を示す試験結果を得た。 以上の摩耗試験の結果より、互いに当接して相
対的に摺動する摺動部材であつて、摺動する第1
の部材を構成する複合材料がアルミニウム、マグ
ネシウム、ないし、それらの合金をマトリツクス
とし、55wt.%アルミナと残部シリカとからなる
アルミナ−シリカ繊維によつて強化した、複合材
料であり、摺動する第2の部材が、軟窒化層を有
する鋼の場合において、特に摺動特性に優れてい
ることが理解される。 実施例 2 アルミニウム合金(JIS規格AC8A)をマトリ
ツクスとし、繊維径3.0μのアルミナ繊維(95wt.
%Al2O3+5wt.%SiO2、α−アルミナ含有率30
%)を、嵩密度;0.15g/cm3にて、アトランダム
に配向した繊維成形体により強化した複合材料を
製造し、実施例1と同様なブロツク試験片を作成
した。 また、比較材としても、実施例1と同様にし
て、ブロツク試験片を作成した。 これらの試験片を、順次、摩耗試験機に装着
し、実施例1と同様の摺動相手部材からなる、円
筒試験片の外周面と接触させ、そして、それら試
験片の接触部に、150℃の潤滑油(モータオイル
5W−30)を供給しつつ、荷重60Kg、回転数160r.
p.mにて円筒試験片を回転させ、1時間の摩耗試
験を行なつた。 試験は、第2表に示すブロツク試験片と、円筒
試験片との組合せ、A〜Dについて行なつた。
【表】
その摩耗試験結果を第2図に示す。
この図において、上半分はブロツク試験片の摩
耗量(摩耗痕深さμ)を示しており、下半分は摺
動する相手材である円筒試験片の摩耗量(摩耗減
量mg)を示している。 なお、記号AないしDは、第2表における試験
片の組合せ記号AないしDに対応している。 第2図から明らかなように、アルミニウム合金
のみで作成したブロツク試験片(C,D)は、そ
の摩耗量が著しく大きいのに対し、繊維強化され
たアルミニウム合金にて作成したブロツク試験片
(A,B)は、摩耗量が著しく少なく、特に、摺
動する相手材が「鋼+軟窒化」の場合における、
ブロツク試験片Bの摩耗量は、極めて少ないこと
が理解される。 一方、摺動する相手材としての、円筒試験片の
摩耗は、試験片組合せA,C,Dがほゞ同等であ
るのに対し、試験片組合せBの円筒試験片の摩耗
量が、試験片組合せA,C,Dの約1/2と少ない
ことが理解される。 また、同様の実験を、α−アルミナ含有率を変
化させて、試験した結果から、α−アルミナ含有
率が5〜55wt・%では、試験片組合せBとほゞ
同程度の摺動相手材(円筒試験片)の摩耗量を示
したのに対し、α−アルミナ含有率5〜55wt.%
以外では、試験片組合せBより若干摩耗量が増加
した。 また、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金をマトリツクスとし、95wt.%のアル
ミナと残部シリカからなる、アルミナ−シリカ繊
維を種々のα−アルミナ組成の、アルミナ繊維強
化した複合材料にてブロツク試験片を作成し、上
述の摩耗試験を行なつたところ、第2図に示す結
果と、実質的に同様の傾向を示す試験結果を得
た。 以上の摩耗試験の結果より、互いに当接して相
対的に摺動する摺動部材であつて、摺動する第1
の部材を構成する複合材料がアルミニウム、マグ
ネシウム、ないし、それらの合金をマトリツクス
とし、95wt.%アルミナと残部シリカとからなる
アルミナ−シリカ繊維によつて強化した、複合材
料であり、摺動する第2の部材が、軟窒化層を有
する鋼の場合において、特に摺動特性に優れてい
ることが理解される。 さらに、α−アルミナの含有率が5〜55wt.%
において、特に摺動特性が優れている。 次に、エンジン用ピストンとピストンリングと
の、組合せに対して適用された、本発明はの摺動
部材の具体的実施例について説明する。 実施例 3 第3図は、上述の実施例を示す縦断面図、第4
図は、その要部を示す部分拡大縦断面図、第5図
は、ピストンリング(トツプリング)の部分拡大
縦断面図である。 これらの図において、ピストン1はアルミニウ
ム合金(JIS規格AC8A)にて構成されている。 ピストン1の側部外周面2には、燃焼ガスがピ
ストン1とシリンダブロツク3のシリンダ壁面と
の間を経て、エンジンの燃焼室より漏洩するのを
防止する、コンプレツシヨンリング4及び5を受
け入れる2つのリング溝6及び7と、余剰のオイ
ルを掻き落す、オイルリング8を受け入れるオイ
ルリング溝9とが形成されている。 第3図に示す実施例においては、ピストン1の
側部外周面2に沿つて、トツプリング溝6の下面
11の下方までの部分は、アルミニウム合金
(JIS規格AC8A)をマトリツクスとし、繊維径3μ
のアルミナ−シリカ繊維(55wt.%Al2O3+45wt.
%SiO2)を、嵩密度0.14g/cm3にて、アトランダ
ムに配向させた、繊維成形体により強化した複合
材料12によつて構成されている。 この複合材料には、トツプリング4を受け入れ
る、トツプリング溝6の壁面を郭定しており、ま
た、ピストン1の側部外周面2に露出する部分に
て、トツプランド13及びセカンドランド14の
一部を郭定している。 なお、このピストン1は、それを鋳造するため
の、鋳型のモールドキヤビテイ底壁上に繊維成形
体を載置し、その鋳型内に、溶融アルミニウム合
金を注湯し、その鋳型に液密的に嵌合するプラン
ジヤにより、アルミニウム合金を加圧しつつ、凝
固させてピストン予成形体とし、それを熱処理
(T6処理)した後、所定の寸法に加工し、さら
に、リング溝6,7,9を加工形成することによ
つて、製造される。 上述のような、ピストン1と互いに当接して、
相対的に摺動するトツプリング4は、ステンレス
鋼(JIS規格SUS420J2、内部硬さHv420)に、軟
窒化処理(軟窒化層厚さ;60μ、表面硬さ;
Hv1000)したものである。 特に、この実施例は、7゜のキーストリングとし
て構成されており、そのシリンダブロツク3のシ
リンダ壁面との摺動面に、モリブデン溶射層15
が形成されたものである。 上述のように構成されたピストン1とピストン
リング4を、4気筒4サイクルのデイーゼルエン
ジンに組み込み、第3表に示す試験条件にて、摩
耗試験を行なつた。
耗量(摩耗痕深さμ)を示しており、下半分は摺
動する相手材である円筒試験片の摩耗量(摩耗減
量mg)を示している。 なお、記号AないしDは、第2表における試験
片の組合せ記号AないしDに対応している。 第2図から明らかなように、アルミニウム合金
のみで作成したブロツク試験片(C,D)は、そ
の摩耗量が著しく大きいのに対し、繊維強化され
たアルミニウム合金にて作成したブロツク試験片
(A,B)は、摩耗量が著しく少なく、特に、摺
動する相手材が「鋼+軟窒化」の場合における、
ブロツク試験片Bの摩耗量は、極めて少ないこと
が理解される。 一方、摺動する相手材としての、円筒試験片の
摩耗は、試験片組合せA,C,Dがほゞ同等であ
るのに対し、試験片組合せBの円筒試験片の摩耗
量が、試験片組合せA,C,Dの約1/2と少ない
ことが理解される。 また、同様の実験を、α−アルミナ含有率を変
化させて、試験した結果から、α−アルミナ含有
率が5〜55wt・%では、試験片組合せBとほゞ
同程度の摺動相手材(円筒試験片)の摩耗量を示
したのに対し、α−アルミナ含有率5〜55wt.%
以外では、試験片組合せBより若干摩耗量が増加
した。 また、アルミニウム、マグネシウム、及び、そ
れらの合金をマトリツクスとし、95wt.%のアル
ミナと残部シリカからなる、アルミナ−シリカ繊
維を種々のα−アルミナ組成の、アルミナ繊維強
化した複合材料にてブロツク試験片を作成し、上
述の摩耗試験を行なつたところ、第2図に示す結
果と、実質的に同様の傾向を示す試験結果を得
た。 以上の摩耗試験の結果より、互いに当接して相
対的に摺動する摺動部材であつて、摺動する第1
の部材を構成する複合材料がアルミニウム、マグ
ネシウム、ないし、それらの合金をマトリツクス
とし、95wt.%アルミナと残部シリカとからなる
アルミナ−シリカ繊維によつて強化した、複合材
料であり、摺動する第2の部材が、軟窒化層を有
する鋼の場合において、特に摺動特性に優れてい
ることが理解される。 さらに、α−アルミナの含有率が5〜55wt.%
において、特に摺動特性が優れている。 次に、エンジン用ピストンとピストンリングと
の、組合せに対して適用された、本発明はの摺動
部材の具体的実施例について説明する。 実施例 3 第3図は、上述の実施例を示す縦断面図、第4
図は、その要部を示す部分拡大縦断面図、第5図
は、ピストンリング(トツプリング)の部分拡大
縦断面図である。 これらの図において、ピストン1はアルミニウ
ム合金(JIS規格AC8A)にて構成されている。 ピストン1の側部外周面2には、燃焼ガスがピ
ストン1とシリンダブロツク3のシリンダ壁面と
の間を経て、エンジンの燃焼室より漏洩するのを
防止する、コンプレツシヨンリング4及び5を受
け入れる2つのリング溝6及び7と、余剰のオイ
ルを掻き落す、オイルリング8を受け入れるオイ
ルリング溝9とが形成されている。 第3図に示す実施例においては、ピストン1の
側部外周面2に沿つて、トツプリング溝6の下面
11の下方までの部分は、アルミニウム合金
(JIS規格AC8A)をマトリツクスとし、繊維径3μ
のアルミナ−シリカ繊維(55wt.%Al2O3+45wt.
%SiO2)を、嵩密度0.14g/cm3にて、アトランダ
ムに配向させた、繊維成形体により強化した複合
材料12によつて構成されている。 この複合材料には、トツプリング4を受け入れ
る、トツプリング溝6の壁面を郭定しており、ま
た、ピストン1の側部外周面2に露出する部分に
て、トツプランド13及びセカンドランド14の
一部を郭定している。 なお、このピストン1は、それを鋳造するため
の、鋳型のモールドキヤビテイ底壁上に繊維成形
体を載置し、その鋳型内に、溶融アルミニウム合
金を注湯し、その鋳型に液密的に嵌合するプラン
ジヤにより、アルミニウム合金を加圧しつつ、凝
固させてピストン予成形体とし、それを熱処理
(T6処理)した後、所定の寸法に加工し、さら
に、リング溝6,7,9を加工形成することによ
つて、製造される。 上述のような、ピストン1と互いに当接して、
相対的に摺動するトツプリング4は、ステンレス
鋼(JIS規格SUS420J2、内部硬さHv420)に、軟
窒化処理(軟窒化層厚さ;60μ、表面硬さ;
Hv1000)したものである。 特に、この実施例は、7゜のキーストリングとし
て構成されており、そのシリンダブロツク3のシ
リンダ壁面との摺動面に、モリブデン溶射層15
が形成されたものである。 上述のように構成されたピストン1とピストン
リング4を、4気筒4サイクルのデイーゼルエン
ジンに組み込み、第3表に示す試験条件にて、摩
耗試験を行なつた。
【表】
【表】
試験の結果、トツプリング溝6の上面16及び
下面11の摩耗量はともに3.5μであり、トツプリ
ング4の下面17の摩耗量は3.0μであることがわ
かつた。 この試験結果より明らかなように、上述の実施
例によれば、現在、汎用されているアルミニウム
合金(JIS規格AC8A)製のピストン1と、鋳鉄
製のピストンリングとの組合せに比較して、リン
グ溝の摩耗量は1/8に低減できた。 また、ピストンリングの上下面の摩耗は、それ
らの場合の約1/2となつた。 実施例 4 実施例3と同様の試験を、複合材料中のアルミ
ナ−シリカ繊維のアルミナ組成を変化させて、実
機での確認試験を行なつた。
下面11の摩耗量はともに3.5μであり、トツプリ
ング4の下面17の摩耗量は3.0μであることがわ
かつた。 この試験結果より明らかなように、上述の実施
例によれば、現在、汎用されているアルミニウム
合金(JIS規格AC8A)製のピストン1と、鋳鉄
製のピストンリングとの組合せに比較して、リン
グ溝の摩耗量は1/8に低減できた。 また、ピストンリングの上下面の摩耗は、それ
らの場合の約1/2となつた。 実施例 4 実施例3と同様の試験を、複合材料中のアルミ
ナ−シリカ繊維のアルミナ組成を変化させて、実
機での確認試験を行なつた。
【表】
繊維径3μのアルミナ繊維(95wt.%Al2O3+
5wt.%SiO2、α−アルミナ含有率30wt.%)、の嵩
密度0.15g/cm3の繊維成形体を使用し、他は実施
例3と同様の諸元のピストンとピストンリングの
組合せによつて、第4表に示す試験条件にて、摩
耗試験を行なつた。 試験の結果、トツプリング溝6の上面16及び
下面11の耐摩量はともに3.0μであり、トツプリ
ング4の下面17の摩耗量は3.0μであることがわ
かつた。 この試験結果より明らかなように、上述の実施
例によれば、現在、汎用されているアルミニウム
合金(JIS規格AC8A)製のピストン1と、鋳鉄
製のピストンリングとの組合せに比較して、リン
グ溝の摩耗量は1/7に低減できた。 また、ピストンリングの上下面の摩耗は、それ
らの場合の約1/3となつた。 さらに、上述の、実機による摩耗試験と同様の
試験を、アルミナの組成値が40wt.%未満の場合
について検討を行なつた結果、トツプリング溝6
下面11の摩耗量が増大し、アルミナ−シリカ繊
維による、アルミニウム合金の強化効果を得るこ
とができなかつた。 以上のことから、複合材料用強化繊維として
の、アルミナ−シリカ繊維は、40wt.%以上のア
ルミナと残部シリカとからなるものが好ましいこ
とが理解される。 以上により明らかなように、本発明にかかる摺
動部材によれば、アルミナ−シリカ繊維にて複合
強化されたエンジン用ピストンと、軟窒化層を有
する鋼にて構成されたピストンリングとを有する
ことによつて、エンジン用ピストン及びピストン
リング、双方の耐摩耗性を改善することができる
利点がある。
5wt.%SiO2、α−アルミナ含有率30wt.%)、の嵩
密度0.15g/cm3の繊維成形体を使用し、他は実施
例3と同様の諸元のピストンとピストンリングの
組合せによつて、第4表に示す試験条件にて、摩
耗試験を行なつた。 試験の結果、トツプリング溝6の上面16及び
下面11の耐摩量はともに3.0μであり、トツプリ
ング4の下面17の摩耗量は3.0μであることがわ
かつた。 この試験結果より明らかなように、上述の実施
例によれば、現在、汎用されているアルミニウム
合金(JIS規格AC8A)製のピストン1と、鋳鉄
製のピストンリングとの組合せに比較して、リン
グ溝の摩耗量は1/7に低減できた。 また、ピストンリングの上下面の摩耗は、それ
らの場合の約1/3となつた。 さらに、上述の、実機による摩耗試験と同様の
試験を、アルミナの組成値が40wt.%未満の場合
について検討を行なつた結果、トツプリング溝6
下面11の摩耗量が増大し、アルミナ−シリカ繊
維による、アルミニウム合金の強化効果を得るこ
とができなかつた。 以上のことから、複合材料用強化繊維として
の、アルミナ−シリカ繊維は、40wt.%以上のア
ルミナと残部シリカとからなるものが好ましいこ
とが理解される。 以上により明らかなように、本発明にかかる摺
動部材によれば、アルミナ−シリカ繊維にて複合
強化されたエンジン用ピストンと、軟窒化層を有
する鋼にて構成されたピストンリングとを有する
ことによつて、エンジン用ピストン及びピストン
リング、双方の耐摩耗性を改善することができる
利点がある。
第1図及び第2図は、本発明の摺動部材と従来
材の摩耗試験結果を示すグラフ、第3図は、本発
明の摺動部材を、ピストンとピストンリングに適
用した実施例の縦断面図、第4図は、第3図の要
部を示す部分拡大縦断面図、第5図は、ピストン
トツプリングの部分拡大断面図である。 1…ピストン、2…側部外周面、3…シリンダ
ブロツク、4,5…コンプレツシヨンリング、6
…トツプリング溝、7…セカンドリング溝、8…
オイルリング、9…オイルリング溝、10…ピス
トンヘツド、11…トツプリング溝下面、12…
複合材料、13…トツプランド、14…セカンド
ランド、15…モリブデン溶射層、16…トツプ
リング溝上面、17…トツプリング下面。
材の摩耗試験結果を示すグラフ、第3図は、本発
明の摺動部材を、ピストンとピストンリングに適
用した実施例の縦断面図、第4図は、第3図の要
部を示す部分拡大縦断面図、第5図は、ピストン
トツプリングの部分拡大断面図である。 1…ピストン、2…側部外周面、3…シリンダ
ブロツク、4,5…コンプレツシヨンリング、6
…トツプリング溝、7…セカンドリング溝、8…
オイルリング、9…オイルリング溝、10…ピス
トンヘツド、11…トツプリング溝下面、12…
複合材料、13…トツプランド、14…セカンド
ランド、15…モリブデン溶射層、16…トツプ
リング溝上面、17…トツプリング下面。
Claims (1)
- 1 摺動部材にして、アルミニウム、マグネシウ
ム、及び、それらの合金等の軽金属をマトリツク
スとし、ピストンリング溝の摺動面部が重量比率
で40%以上のアルミナと残部シリカからなるアル
ミナ−シリカ繊維で強化された複合金属材料にて
構成されたエンジン用ピストンと、軟窒化層を有
する鋼にて構成され、前記ピストンリング溝に嵌
込まれたピストンリングとを有することを特徴と
する摺動部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16724583A JPS6056467A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16724583A JPS6056467A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 摺動部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6056467A JPS6056467A (ja) | 1985-04-02 |
JPH0230791B2 true JPH0230791B2 (ja) | 1990-07-09 |
Family
ID=15846148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16724583A Granted JPS6056467A (ja) | 1983-09-09 | 1983-09-09 | 摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6056467A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SG11201909084SA (en) | 2017-03-31 | 2019-10-30 | Corning Inc | High transmission glasses |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5720534A (en) * | 1980-07-14 | 1982-02-03 | Toyota Motor Corp | Combination of cylinder bore and piston ring |
JPS5893837A (ja) * | 1981-11-30 | 1983-06-03 | Toyota Motor Corp | 複合材料及びその製造方法 |
-
1983
- 1983-09-09 JP JP16724583A patent/JPS6056467A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5720534A (en) * | 1980-07-14 | 1982-02-03 | Toyota Motor Corp | Combination of cylinder bore and piston ring |
JPS5893837A (ja) * | 1981-11-30 | 1983-06-03 | Toyota Motor Corp | 複合材料及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6056467A (ja) | 1985-04-02 |
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