JPH0230490B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (1) 発明の技術分野 本発明は光回路素子、特に光スイツチ、光サー
キユレーターなどに用いられる偏光素子に関す
る。

(2) 技術の背景 現在の光回路においては、第１図に示すような
偏光素子ａおよびｂとフアラデー回転素子３とか
らなる光スイツチが用いられているほか、これら
の組合せを基本としてなる光サーキユレーターな
ども用いられている。

第１図を参照して光スイツチの原理を説明する
と、偏光素子ａに例えばＸ１の方向から入射した
光は偏光分離膜４によつて水平偏波Ｐと垂直偏波
Ｓとに分離される。すなわち前記偏光分離膜４は
入射光に含まれる水平偏波のみは透過し、垂直偏
波は反射する膜である。

偏光分離膜４を透過した水平偏波Ｐは偏光素子
ａの反射面２によつて反射された後、また垂直偏
波Ｓは偏光分離膜４によつて反射された後フアラ
デー回転素子３に入射する。フアラデー回転素子
３は外部磁場の存在する下で入射光の偏光面を90
度回転する素子で、これによつて水平偏波Ｐは垂
直偏波Ｓとなり、また逆に垂直偏波Ｓは水平偏波
Ｐとなる。従つてフアラデー回転素子３に入射し
た垂直偏波Ｓは通過後水平偏波Ｐとなつて偏光素
子ｂに入射し、反射面６で反射された後偏光分離
膜７を透過してＹ２方向に出射する。同様にフア
ラデー回転素子３に入射する水平偏波Ｐは垂直偏
波Ｓとなつて偏光素子ｂに入射し、偏光分離膜７
で反射された後Ｙ２方向に出射する。

上記において、フアラデー回転素子３により偏
光面を回転させない場合には、偏光素子ａで分離
された垂直偏波Ｓおよび水平偏波Ｐはそのまま透
過し偏光素子ｂに入射する。この場合垂直偏波Ｓ
は反射面６で反射された後、偏光分離膜７で反射
されてＹ１方向に出射する。同様に水平偏波Ｐは
偏光分離膜７を透過してＹ１方向に出射する。

以上のように入射光を偏光素子ａにより分離
し、次いでフアラデー回転素子３により分離され
た光の偏光面を回転制御することで偏光素子ｂか
らの出射方向を切り換えることができる。

またＸ２の方向からの入射光に対しても同様の
ことが可能であり、これによつて入射方向の異な
る２つの光を選択的に取り出すこともできる。

ところで上記偏光素子ａによつて分離された水
平偏波Ｐと垂直偏波Ｓの光路差の距離ｄ（第１図
参照）は10mm程度である。そのためフアラデー回
転素子の小型化が困難であるだけでなく、動作効
率の向上、高速動作の実現が妨げられる欠点があ
り、また上記距離ｄを１mm程度にする偏光素子を
製造するには精度の維持、製造コストの面で問題
があつた。

(3) 従来技術と問題点 本願の発明者は上記問題を解決するために第２
図に示す光スイツチを提供した。（特願昭57−
151529号）同図を参照するとｃおよびｄは偏光素
子、１６はフアラデー回転素子、１７はフアラデ
ー回転素子１６による偏光面の回転が不十分なと
きその不足分だけの回転を生じさせる波長板であ
る。

偏光素子ｃ，ｄは第３図に示す如く、平行平面
をもつた透明平板１２の片面と第１の直角プリズ
ム（直角二等辺プリズム）１３の直角に交わる面
の一方との間の一部に反射膜１４を挾設し、透明
平板１２の他の片面と第２の直角プリズム（直角
二等辺プリズム）１１の直角に臨む面との間の一
部に偏光分離膜１５を挾設して構成されている。

上記偏光素子において、入射光の垂直偏波成
分Ｓは偏光分離膜１５で反射され、次いで反射膜
１４で反射されて出射される。他方、水平偏波成
分Ｐは偏光分離膜１５を透過して出射され、この
ときの垂直偏波成分Ｐとの離隔距離ｄは１mm程度
と狭い。また破線で示される入射光′について
も同様にして垂直偏波成分Ｓと水平偏波成分Ｐに
分離される。ところで、かかる偏光素子において
は、反射膜１４の反射率が97〜98％と低く、また
反射膜１４の形成位置や大きさなどに係わる精度
上の問題と相まつて特性および信頼性が低下する
欠点がある。また製造工程も複雑多岐にわたり、
製造コストが増加する問題がある。

(4) 発明の目的 本発明は上記従来の問題点に鑑み、反射膜を使
用することなく、高い反射率、高特性および高信
頼性が得られる偏光素子の提供を目的とする。

(5) 発明の構成 そしてこの目的は本発明によれば、平行平面を
もつた透明平板の片面と第１の直角プリズムの直
角を臨む面とを接着し、この接着面の一部に偏光
分離膜を挾設し、上記透明平板の他の片面の一部
に第２のプリズムを接着してなることを特徴とす
る偏光素子を提供することによつて達成される。

(6) 発明の実施例 以下本発明実施例を図面により説明する。

第４図は本発明に係わる偏光素子の側面図で、
同図を参照すると、当該偏光素子は平行平面をも
つた透明平板２２の片面と第１の直角プリズム２
１の直角に交わる面の一方との間の一部に偏光分
離膜２５を挾設し、透明平面２２の他の片面には
第２のプリズム２３をその２つの平行平面のうち
の面ｆが平行平板２２の側面ｅと連続面を形成す
るように貼り合せた構成である。なお偏光分離膜
２５は例えば誘電体多層膜から成り、通常の真空
蒸着もしくはスパツタリングとフオトエツチング
の技術を用いて形成しうる。また第２のプリズム
２３の大きさは、入射した光を全反射することが
できる程度で、かつ偏光分離膜２５を透過もしく
は反射された光が平行平板２２の面ｇで全反射す
るように空気、ガラスの境界面が形成される程度
とする。

かかる偏光素子において例えば第２プリズム２
３の１つの面ｈに垂直に入射した光Ｉは、他の１
つの面ｆで全反射された後平行平板２２を透過し
て偏光分離膜２５に到達する。

ここでは到達した光のうちの水平偏波成分Ｐの
みが偏光分離膜２５を透過し、垂直偏波成分Ｓは
反射されて再び平行平板２２内を進み、空気、ガ
ラスの境界を形成する面ｇで全反射された後、第
１のプリズム２１の面ｊから出射する。なお偏光
分離膜２５を透過した水平偏波成分Ｐはそのまま
プリズム２１の面ｊから出射される。また他の入
力光学系（図示せず）から入射した光′に対し
ても同様にして水平偏波成分P′と垂直偏波成分
S′とに分離される。

第５図は本発明の偏光素子を用いた光スイツチ
の構成図で、同図においてｎおよびｍは本発明の
偏光素子、１６はフアラデー回転素子、１７は波
長板を示す。

かかる構成において例えばＸ６から偏光素子ｎ
に入射した光は、上述した如く垂直偏波成分と水
平偏波成分とに分離されて出射され、次いでフア
ラデー回転素子１６および波長板１７で偏光片が
回転させられた後、偏光素子ｍに入射し、それぞ
れの成分ともＹ５方向へ出射される。他方、フア
ラデー回転素子１６および波長板１７で偏光面を
回転しない場合には偏光素子ｍに入射後Ｙ６方向
に出射する。またＸ５方向から入射した光に対し
ても同様に、フアラデー回転素子１６および波長
板１７により偏光面を回転した場合にはＹ６方
向、そうでない場合にはＹ５方向にそれぞれ出射
される。

以上のように本発明の偏光素子を用いた光スイ
ツチによつて従来と同様の光スイツチを構成で
き、かつ光の減衰を従来より低減することができ
るため、十分な強度の出射光を得ることができ
る。

(7) 発明の効果 以上詳細に説明した如く本発明によれば、反射
膜を使用せず、空気、ガラスの境界面での全反射
を利用した偏光素子を提供することができるた
め、反射率の改善による偏光素子の特性および信
頼性の向上、また製造工程の簡略化および製造コ
スト低減に効果大である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の光スイツチの構成
図、第３図は従来の偏光素子の側面図、第４図は
本発明に係わる偏光素子の側面図、第５図は本発
明に係わる偏光素子を用いた光スイツチの構成図
である。 ３，１６……フアラデー回転素子、４，１５，
２５……偏光分離膜、１１，１３，２１……直角
プリズム、１２，２２……平行平板、１４……反
射膜、１７……波長板、２３……プリズム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 平行平面を有する透明平板の片面と直角二等
   辺プリズムの直角に交わる面の一方の面にほぼ平
   行に頭部を除去した第１の直角台形プリズムの該
   直角に交わりかつ除去された側の面とを接着して
   該透明平板の片面の一部を光の反射面となし、 上記透明平板の他の片面と第２の直角二等辺プ
   リズムの直角を臨む面との間の一部に偏光分離膜
   を狭設し、入射光の垂直偏波成分は上記偏光分離
   膜で反射されて出射され、入射光の水平偏波成分
   は上記偏光分離膜を透過し、上記光反射面で反射
   されて出射され、 上記入射光の垂直偏波成分と水平偏波成分との
   離隔距離が１mm程度であることを特徴とする偏光
   素子。 ２ 平行平面を有する透明平板の片面と直角二等
   辺プリズムの直角に交わる一方の面にほぼ平行に
   頭部を除去した第１の直角台形プリズムの該直角
   に交わりかつ除去された側の面とを接着して該透
   明平板の片面の一部を光の反射面となし、上記透
   明平板の他の片面と第２の直角二等辺プリズムの
   直角を臨む面との間の一部に偏光分離膜を狭設
   し、入射光の垂直偏波成分は上記偏光分離膜で反
   射されて出射され、入射光の水平偏波成分は上記
   偏光分離膜を透過し、上記光反射面で反射されて
   出射され、 上記入射光の垂直偏波成分と水平偏波成分との
   離隔距離が１mm程度である第１及び第２の偏光素
   子を、該第１の偏光素子の第２の直角二等辺プリ
   ズムの端面と該第２の偏光素子の第２の直角二等
   辺プリズムの端面とを対向させ、かつ、該第１の
   偏光素子の透明平板と該第２の偏光素子の透明平
   板を平行配置し、第１の偏光素子で垂直偏波成分
   と水平偏波成分とに分離された入射光を、第２の
   偏光素子で合成し出射光とするように配設し、上
   記第１の偏光素子と第２の偏光素子の間に、フア
   ラデー回転子を設けたことを特徴とする光スイツ
   チ。 ３ 上記偏光素子と上記フアラデー回転子の間に
   波長板を設けたことを特徴とする特許請求の範囲
   第２項記載の光スイツチ。