JPH0230070A - 有機電解液電池およびその製造方法 - Google Patents

有機電解液電池およびその製造方法

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JPH0230070A
JPH0230070A JP63182391A JP18239188A JPH0230070A JP H0230070 A JPH0230070 A JP H0230070A JP 63182391 A JP63182391 A JP 63182391A JP 18239188 A JP18239188 A JP 18239188A JP H0230070 A JPH0230070 A JP H0230070A
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宏和 貴堂
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、リチウムなどのアルカリ金属を負極活物質と
して用い、二酸化マンガンを正極活物質として用いる有
機電解液電池およびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
リチウムなどのアルカリ金属を負極活物質として用いる
有機電解液電池では、その電解液溶媒としてプロピレン
カーボネート、1.2−ジメトキシエタン、1.3−ジ
オキソランなどの有機溶媒が用いられている。それらの
有機溶媒のうち、特にプロピレンカーボネートは、誘電
率が高く、かつ電解質の溶解能が大きく、しかも使用温
度範囲が広いなど、電解液溶媒として非常に優れた特性
を有することから、この種の電池では主溶媒として(つ
まり、単独でまたは他の有機溶媒と混合して)用いられ
ることが多い。
ところで、上記電池の正極活物質として二酸化マンガン
を用いた場合、二酸化マンガンが表面に付着水、結合水
、表面官能基などを有しているため表面の活性能が高く
、これが電池形成した場合に理論電位より高電位を生じ
る原因となり、また電解液溶媒として前記プロピレンカ
ーボネートのように環状でエステル結合を有する有機溶
媒が使用されていると、貯蔵中に二酸化マンガンとプロ
ピレンカーボネートとが反応し、プロピレンカーボネー
トが酸化されて分解するため、電池内部に炭酸ガス(C
o、)が発生し、電池総高の増加や、内部インピーダン
スの増加など、電池性能の低下を引き起こすことになる
そのため、これまでにも特開昭55−80276号公報
に示されるように、電池製造直後に予備放電して、プロ
ピレンカーボネートの分解を防止する方法が提案されて
いるが、この方法による場合、電池を1個ずつ所定電圧
まで放電させなければならず、工業的には大変な手間を
要する上に、予備放電によって放電容量が低下するとい
う問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、上述したように二酸化マンガンを正極活物質
として用いた従来の有機電解液電池が二酸化マンガンの
プロピレンカーボネートに対する強い反応性のために貯
蔵中に電池内部にガスが発生して、電池総高の増加や電
池性能の低下を引き起こしていたという問題点を解決し
、貯蔵安定性の優れた有機電解液電池を提供することを
目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化合物
を存在させることによって、二酸化マンガンのプロピレ
ンカーボネートに対する反応性を低下させ、貯蔵中にお
ける二酸化マンガンとプロピレンカーボネートとの反応
に基づくガス発生を抑制して、電池総高の増加や電池性
能の低下が少ない有機電解液電池を提供したものである
上記のように、二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化
合物を存在させるには、例えば二酸化マンガンを有機イ
オウ化合物で処理して、二酸化マンガン粒子の表面に有
機イオウ化合物を吸着させ、ついで高温で加熱処理する
ことによって行われる。
このようにして二酸化マンガン粒子の表面層に存在する
ようになるイオウ化合物は主に硫酸マンガンなどの硫酸
塩であると推定されるが、この二酸化マンガン粒子の表
面層に存在するイオウ化合物はX線光電子分光分析で確
認することができる。
また、二酸化マンガンを有機イオウ化合物で処理して、
二酸化マンガン粒子の表面に有機イオウ化合物を吸着さ
せるだけでも、二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化
合物を存在させることができるが、この場合は、単に吸
着しているだけであって、短期間は二酸化マンガンの表
面活性を低下させてガス発生を抑制することができるが
、時間の経過とともに効果が低下していく傾向があり、
また、吸着した有機イオウ化合物が電解液中に溶は出し
てガス発生を抑制する作用が発揮されなくなるおそれが
ある。
これに対して、二酸化マンガンを有機イオウ化合物で処
理した後、高温で加熱処理しておくと、二酸化マンガン
粒子の表面に単に吸着していた有機イオウ化合物が二酸
化マンガン粒子の表面活性点と反応して、二酸化マンガ
ン粒子の表面層に長期間にわたって存在するようになり
、ガス発生を抑制する作用が長期間持続するようになる
本発明におけるように、二酸化マンガン粒子の表面層に
イオウ化合物を存在させることによって、二酸化マンガ
ンのプロピレンカーボネートに対する反応性を低下させ
、二酸化マンガンとプロピレンカーボネートとの反応に
基づくガス発生を抑制できる理由は、次のように考えら
れる。
まず、二酸化マンガンを正極活物質として用いた有機電
解液電池において、貯蔵中に、ガスが発生して電池総高
増加や電池性能の低下が生じるのは、一般には二酸化マ
ンガンとプロピレンカーボネートとの反応によるもので
あるといわれているが、正確には、二酸化マンガンその
ものがプロピレンカーボネートと反応するのではなく、
二酸化マンガン粒子の表面に存在する付着水、結合水、
表面水酸基などの水分がプロピレンカーボネートと反応
して、プロピレンカーボネートが分解するからである。
この反応を反応式で示すと、下記式(I)および式f1
)のとおりである。
CH,−CH−CH。
CHsCHO+ COx f + ”/2°MnzOs
Y−MnOOCH3(I) 二酸化マンガン粒子の表面の水分は、付着水、結合水や
、表面水酸基などの表面官能基として存在し、そのいず
れもがプロピレンカーボネートと反応する。また、プロ
ピレンカーボネート以外にも、γ−ブチロラクトンやエ
チレンカーボネートのように、環状でエステル結合を有
する有機溶媒では同様に二酸化マンガン粒子の表面の水
分と反応して同様の問題を生じる。
そこで、本発明では、まず、二酸化マンガン粒子の表面
の水分に基づく活性点に選択的に吸着する有機イオウ化
合物を用いて二酸化マンガンを処理することにより、二
酸化マンガン粒子の表面の活性点を消失させ、二酸化マ
ンガンのプロピレンカーボネートに対する反応性を低下
させて、ガスの発生を抑制し、電池総高増加や電池性能
の低下などを可及的に防止できるようにしたのである。
しかし、上記の有機イオウ化合物の吸着処理だけでは、
前述したように、有機イオウ化合物が二酸化マンガン粒
子の表面の活性点に吸着しているだけなので、吸着後、
短期間の間はガス発生を抑制できるが、時間の経過とと
もに効果が低下していく傾向があり、また、吸着した有
機イオウ化合物が電解液中に溶は出すおそれもあるので
、本発明では、二酸化マンガンを有機イオウ化合物で処
理した後、高温で加熱処理することによって、単に吸着
していただけの有機イオウ化合物を二酸化マンガン粒子
の表面で反応させ、その表面活性点との結合力を強くし
た状態で二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化合物を
存在させ、長期間にわたってガス発生を抑制する作用が
持続するようにしたのである。
二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化合物を存在させ
るにあたって、まず、二酸化マンガンを有機イオウ化合
物で処理して、二酸化マンガン粒子の表面に有機イオウ
化合物を吸着させるが、その吸着処理にあたって用いる
有機イオウ化合物は、1分子中に少なくとも炭素原子が
1個以上で、イオウ原子が1個以上あることが必要であ
る。具体的に上記有機イオウ化合物を例示すると、例え
ば二硫化炭素(C3,)、チオシアン酸メチル(CH,
5CN)、エタンチオール(Ct Hs S H) 、
硫化ジフェニル((Cd(s)is)、 t−ブチル−メチルサルファイド((CH,)、CSル
((C!H5)!S)などがあげられる、特に二硫化炭
素はガス発生を抑制する効果が大きく、本発明において
好用される。
これらの有機イオウ化合物の二酸化マンガン粒子の表面
活性点に吸着しようとする作用は強力であり、二酸化マ
ンガンを上記有機イオウ化合物中に浸漬する必要はなく
、上記有機イオウ化合物の蒸気を二酸化マンガンに一定
時間当てるだけで処理することができる。このように有
機イオウ化合物の蒸気を一定時間当てるだけで二酸化マ
ンガンを処理することができるので、きわめて作業性よ
く二酸化マンガンを処理することが可能である。
また、この蒸気による処理を可能にするために、有機イ
オウ化合物としては、ある程度気化しやすいものが好ま
しく、沸点が150°Cより低いもの、特に沸点が10
0℃以下のものが望ましい。
有機イオウ化合物による処理に際し、二酸化マンガンは
それ単独で処理してもよいし、また、二酸化マンガンを
正極活物質とし、これにりん状黒鉛などの導電剤やポリ
テトラフルオロエチレンなどの結着側を添加した正極合
剤の状態で処理してもよい、そして、上記正極合剤の状
態での処理においては、正極合剤調製後の粉末状のもの
で処理してもよいし、またシート状あるいはペレット状
に加圧成形した成形体の状態で処理してもよい。
有機イオウ化合物による処理後、高温で加熱処理を行う
が、本発明において、この高温とは通常150℃以上を
いう、加熱処理を高温で行うのは、加熱処理温度が低い
と、有機イオウ化合物と二酸化マンガン粒子の表面活性
点との反応が充分に進行せず、吸着状態でとどまり、時
間の経過に伴ってガス発生を抑制する効果が低下してい
くからである。加熱温度が高いほど二酸化マンガン粒子
の表面活性点と有機イオウ化合物との反応はよく進行す
るようになるが、あまりにも温度が高くなると二酸化マ
ンガンが変質したり、電気化学的な活性が低下して、電
池特性が低下する原因にな、るので、加熱処理は350
℃以下で行うのが好ましい。
加熱時間は加熱温度や処理物の量によっても異なるが、
通常は1〜4時間である。
上記のようにして、二酸化マンガン粒子の表面層に存在
するようになるイオウ化合物は、前述したようにX線光
電子分光分析で確認することかできる。
この二酸化マンガン粒子の表面層に存在するイオウ化合
物の量としては、二酸化マンガンに対するモル比で2〜
20%の範囲にする必要があり、特に5〜10%の範囲
が好ましい、すなわち、二酸化マンガン粒子の表面層に
存在するイオウ化合物が、二酸化マンガンに対するモル
比で2%より少ない場合は、二酸化マンガンのプロピレ
ンカーボネートに対する反応性を低下させてガス発生を
抑制する効果が充分に発渾されず、また、二酸化マンガ
ン粒子の表面層に存在するイオウ化合物が、二酸化マン
ガンに対するモル比で20%を超えるようになると、二
酸化マンガン粒子の表面活性が低下しすぎて、充分な放
電容量が得られなくなる。なお、本発明において、二酸
化マンガン粒子の表面層とは、二酸化マンガン粒子の表
面から内部側へ向かって5nm(50人)以内の領域を
いう。
本発明の電池の製造にあたり、負極活物質としては、例
えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属が用いられる。負極は上記アルカリ金属そのもので構
成してもよいが、リチウム合金などのように合金の状態
で構成してもよい。
このリチウム合金で負極を構成する場合も負極活物質と
して作用するのはリチウムである。上記のようなリチウ
ム合金としては、例えばリチウム−アルミニウム合金、
リチウム−ケイ素合金、リチウム−錫合金、リチウム−
鉛合金、リチウム−アンチモン合金、リチウム−インジ
ウム合金、リチウム−ガリウム合金、リチウム−ビスマ
ス合金、リチウム−ゲルマニウム合金、リチウム−イン
ジウム−ガリウム合金などがあげられる。また、上記リ
チウム合金にさらに他の金属を少量添加したものを負極
に用いることもできる。
有機電解液は、プロピレンカーボネートや、上記プロピ
レンカーボネートと同様に環状でエステル結合を有し二
酸化マンガンとの反応によって分解するおそれがあるエ
チレンカーボネート、T−ブチロラクトンなどを含む有
機溶媒からなる電解液溶媒に、LIC104、LiPF
、、LiAsF、、L 1sbF、、L 1BF4、L
 i B(C4H6)4などの電解質の1種または2種
以上を溶解したものが用いられる。上記プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、T−ブチロラクトン
などは、それらをそれぞれ単独で電解液溶媒として用い
てもよく、また、それら同士を混合するかまたはそれら
と1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジェトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、1.3−ジオキソラン、4−
メチル−1,3−ジオキソランなどの有機溶媒とを混合
して電解液溶媒として用いてもよい。
二酸化マンガン粒子の表面層にイオウ化合物を存在させ
るにあたって採用される有機イオウ化合物による二酸化
マンガンの処理や、それに続く加熱処理は、多量の二酸
化マンガンまたは二酸化マンガンを正極活物質として用
いた多量の正極合剤や多数個の成形済み正極合剤を一度
に効率よく処理することができるので、個々の電池を1
個ずつ放電させなければならない予備放電による場合に
比べて生産性が優れている。
〔実施例〕
つぎに実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 200°Cで4時間加熱乾燥を行った二酸化マンガン1
0gと二硫化炭素1mlを容器内に入れ、80℃の恒温
槽中に2時間放置して、二硫化炭素を二酸化マンガンに
吸着させた。上記二硫化炭素による処理後、二酸化マン
ガンを200℃の恒温槽中で1時間加熱処理を行った。
使用した二酸化マンガンは電解二酸化マンガンである。
以後の実施例および比較例においても、使用する二酸化
マンガンはいずれも電解二酸化マンガンである。
このようにνて、二酸化マンガン粒子の表面層に存在さ
せたイオウ化合物の量を、X線光電子分光分析の検出元
素の各狭域スペクトル<Mnze ays、011、C
11,5xp)を測定し、そのピークの原子数比を計算
して、二酸化マンガンに対するモル比で求めたところ1
0%であった。また、上記の粒子表面層にイオウ化合物
を存在させた二酸化マンガンのX線光電子分光分析によ
るSzpスペクトルおよびol、スペクトルは、それぞ
れ第2図の(1)および第2図の(2)に示すとおりで
ある。この第2図の(1)および第2図の(2)に示す
X線光電子分光分析の吸収スペクトルの測定は下記の条
件下で行ったものである。
X線源ニアルミニウム/マグネシウム 出力 : 10k V20mA 真空度: 5X10−”m bar 温度 :25℃ 第2図の(1)の32.スペクトルにおいて、バンドエ
ネルギーが165〜17OEV付近にピークが認められ
るが、このピークは二酸化マンガン粒子の表面層にイオ
ウ化合物が存在していることを示している。そして、第
2図の(2)の曲線aは、前記のように二硫化炭素を吸
着させ9、ついで高温で加熱処理した二酸化マンガンの
01.スペクトルであるが、これを解析すると、曲線す
およびCで示される2つの吸収スペクトルに分解される
0曲線すは二酸化マンガンの酸素に起因するスペクトル
であり、曲線Cは硫酸塩などの酸素に起因するスペクト
ルである。未処理の二酸化マンガンのSteスペクトル
および0、スペクトルはそれぞれ第3図の(1)および
第3図の(2)に示すとおりであるが、未処理の二酸化
マンガンの場合は、第3図の(1)のsueスペクトル
において、処理済みの二酸化マンガンに見られたような
イオウ化合物に基づくピークがなく、また、第3図の(
2)の曲線Cで示される硫酸塩などの酸素に起因するピ
ークが第2図の(2)の場合より小さい、この第2図の
(2)の曲線Cで示されるピークと第3図の(2)の曲
線Cで示されるピークとの差は、二酸化マンガンに二硫
化炭素を吸着させることによって二酸化マンガン粒子の
表面層に存在させたイオウ化合物の量に対応している。
上記のように処理して粒子の表面層にイオウ化合物を存
在させた二酸化マンガン100重量部に対してりん状黒
鉛10重量部およびポリテトラフルオロエチレン1重量
部の割合で添加した正極合剤を加圧成形して直径16−
霧、厚さ0.6−−の円板状の成形体を作製した。この
成形体を正極として用い、常法にしたがって電池組立を
行い、第1図に示す電池を製造した。
第1図において、1はリチウムからなる負極であり、こ
の負極lはステンレス鋼製で表面にニッケルメッキを施
した負極缶2の内面にあらかじめスポット溶接しておい
たステンレス鋼製網からなる負極集電体3に直径161
111%厚さ0.2mmのリチウム板を圧着して形成し
たものである。4は微孔性ポリプロピレンフィルムから
なるセパレータで、5は上記のように処理して粒子の表
面層にイオウ化合物を存在させたニー酸化マンガンを正
極活物質とし、これにりん状黒鉛とポリテトラフルオロ
エチレンを添加した正極合剤を加圧成形することによっ
て作製した正極であり、6は上記正極5の加圧成形時に
正極5の一方の側に配設したステンレス鋼製網からなる
正極集電体である。7はステンレス鋼製の正極缶で、8
はポリプロピレン製の環状ガスケットである。そして、
この電池にはプロピレンカーボネートと1.2−ジメト
キシエタンとの容量比2:lの混合溶媒に過塩素酸リチ
ウム(LicI04)を1+sol/f溶解させた有機
電解液が注入されており、電池は直径20m−のボタン
形電池である。
実施例2 二酸化マンガンの処理にあたって使用する二硫化炭素の
量を0.5mA!Zこ変え、かつ加熱処理温度を150
°Cに変えたほかは実施例1と同様にして粒子の表面層
にイオウ化合物を存在させた二酸化マンガンを得た。こ
の二酸化マンガン粒子の表面層のイオウ化合物の存在量
を実施例1と同様にして二酸化マンガンに対するモル比
で求めたところ5%であった。
上記の二酸化マンガンを用いたほかは実施例1と同様に
して電池を製造した。
実施例3〜4 二酸化マンガンの処理にあたって使用する二硫化炭素の
量を変えたほかは実施例1と同様にして、粒子の表面層
にイオウ化合物を二酸化マンガンに対するモル比でそれ
ぞれ20%および2%存在させた二酸化マンガンを得た
上記の二酸化マンガンを用いたほかは実施例1と同様に
して電池を製造した。
実施例5 二酸化マンガンを処理する有機イオウ化合物として、二
硫化炭素に代えてチオフェンを用い、その使用量を2m
lとしたほかは実施例1と同様にして、粒子の表面層に
イオウ化合物を存在させた二酸化マンガンを得た。この
二酸化マンガン粒子の表面層のイオウ化合物の存在量を
実施例1と同様にして二酸化マンガンに対するモルで求
めたところ4%であった。
上記の二酸化マンガンを用いたほかは実施例1と同様に
して電池を製造した。
実施例6 二酸化マンガンを処理する有機イオウ化合物として、二
硫化炭素に代えて硫化ジエチルを用い、その使用量を2
mlとしたほかは実施例1と同様に処理して、粒子の表
面層にイオウ化合物を存在させた二酸化マンガンを得た
。この二酸化マンガン粒子の表面層のイオウ化合物の存
在量を実施例1と同様にして、二酸化マンガンに対する
モル比で求めたところ5%であった。
上記の二酸化マンガンを用いたほかは実施例1と同様に
して電池を製造した。
比較例に 酸化マンガンを二硫化炭素で処理せず、かつそれに続く
加熱処理もしなかったほかは、実施例1と同様にして電
池を製造した。
この比較例1の電池に使用された二酸化マンガン、つま
り市販の電解二酸化マンガンを200℃で4時間加熱乾
燥したもののX線光電子分光分析によるSt、スペクト
ルおよび0.1スペクトルはそれぞれ第3図の(1)お
よび第3図の(2)に示すとおりである。この第3図の
(1)および第3図の(2)に示すSatスペクトルお
よび011スペクトルの測定条件は、前記第2図の(]
)および第2図の(2)の場合と同様であり、また、第
3図の(2)において、曲線aは未処理の二酸化マンガ
ンのO1tスペクトルである。この未処理の二酸化マン
ガンのopsスペクトルを解析すると、曲線すおよびC
で示される2つの吸収スペクトルに分解され、曲線すは
上記未処理の二酸化マンガンの酸素に起因するスペクト
ルであり、曲線Cは上記未処理の二酸化マンガンの硫酸
塩などの酸素に起因するスペクトルである。また、この
二酸化マンガン粒子の表面層のイオウ化合物の存在量を
実施例1と同様にして二酸化マンガンに対するモル比で
求めたところ0.8%であった。なお、このように、有
機イオウ化合物による処理をしていない二酸化マンガン
にもイオウ化合物が少量存在するのは、電解二酸化マン
ガンが硫酸マンガンを原料に用いて製造されていること
によるものと考えられる。
比較例2 二酸化マンガンの処理にあたって使用する二硫化炭素の
量を変えたほかは実施例1と同様にして、粒子の表面層
にイオウ化合物を二酸化マンガンに対するモル比で25
%存在させた二酸化マンガンを得た。
上記の二酸化マンガンを用いたほかは実施例1と同様に
して電池を製造した。
以上のようにして製造された実施例1〜6の電池および
比較例1〜2の電池に関して次の3種類の試験を行った
まず、上記電池の正極の作製に使用された二酸化マンガ
ン3gを10m J!のプロピレンカーボネート中に浸
漬し、それら全体を80°Cの恒温槽中に入れ、10時
間および30時間経過するまでの間に発生するガス量を
測定した。その結果を第1表に示す。
第 表 第1表に示すように、二酸化マンガンを有機イオウ化合
物で処理し、ついで高温で加熱処理して、二酸化マンガ
ン粒子の表面層にイオウ化合物を存在させた実施例1〜
6の場合は、それぞれの表面層に存在するイオウ化合物
の量や種類により若干の相違があるものの、二酸化マン
ガンの処理をしていない比較例1に比べてガス発生量が
少なかった。また、10時間後と30時間後のガス発生
率に差異がなく、長時間経過後においても、優れたガス
発生防止効果を有していた。また、二酸化マンガン粒子
の表面層に多量のイオウ化合物を存在させた比較例2の
場合は、ガス発生を防止する効果は優れていたが、後記
の第3表で明らかにするように、該二酸化マンガンを正
極活物質として用いた電池の放電持続時間が短くなると
いう問題を有していた。
つぎに、前記実施例1〜6の電池および比較例1〜2の
電池を各10個ずつ60℃で20日間貯蔵し、貯蔵によ
る電池総高の増加を調べた。貯蔵前の電池総高はいずれ
の電池も1.52±0.02+u+の範囲内にあり、貯
蔵により電池総高が1.56m5を超えたものを総高不
良として、第2表に総高不良発生電池個数で示した。第
2表中の数値の分母は試験に供した電池個数を示し、分
子は総高不良が発生した電池個数を示す。
第    2    表 第2表に示すように、本発明の実施例1〜6の電池では
総高不良がまったく発生しなかったが、未処理の二酸化
マンガンを用いた比較例1の電池では、試験に供したす
べての電池に貯蔵による総高不良が発生した。また、二
酸化マンガン粒子の表面層に多量のイオウ化合物を存在
させた比較例2の電池では、その優れたガス発生防止効
果により、貯蔵による総高不良はまったく発生しなかっ
たが、二酸化マンガン粒子の表面層に多量のイオウ化合
物が存在するため、その表面活性が低下しすぎて、後記
の第3表で明らかにするように1.放電持続時間が短く
なるという問題を有していた。
さらに、上記実施例1〜6および比較例1〜2の電池を
20℃、抵抗15にΩで放電終止電圧2.5vまで連続
放電させたときの放電持続時間を調べた。
その結果を第3表に示す。
第    3    表 第3表に示すように、実施例1〜6の電池は、二酸化マ
ンガン粒子の表面層のイオウ化合物の存在量の相違によ
り多少の相違があるものの、未処理の二酸化マンガンを
用いた比較例1の電池に近い放電持続時間を有しており
、二酸化マンガンへの有機イオウ化合物による処理やそ
れに続く高温処理による大きな放電容量の低下は認めら
れなかった。しかし、二酸化マンガン粒子の表面層にイ
オウ化合物を多量に存在させた比較例2の電池では、未
処理の二酸化マンガンを用いた比較例1の電池に比べて
、かなりの放電持続時間の低下が認められた。
二酸化マンガンと電解液溶媒との反応は、電解液溶媒と
してプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
T−ブチロラクトンなどを用いた場合に生じるので、本
発明は電解液溶媒としてプロピレンカーボネート、エチ
レンカーボネート、T−ブチロラクトンなどを含む有機
溶媒を電解液溶媒として用いた場合にその効果を顕著に
発揮するものであるが、二酸化マンガンを有機イオウ化
合物により処理し、次いで加熱処理することによって、
二酸化マンガン表面の付着水、結合水、表面官能基など
による高電位部分が生じなくなり、平坦な放電特性を有
する電池が得られるようになるので、本発明をプロピレ
ンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラ
クトンなどを含まない電解液溶媒を用いる有機電解液電
池に適用してもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、二酸化マンガン
粒子の表面層にイオウ化合物を存在させることにより、
二酸化マンガンのプロピレンカーボネートなどの電解液
溶媒に対する反応性を低下させて、貯蔵中における電池
内部でのガス発生を抑制して、電池の貯蔵安定性を高め
ることができた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る有機電解液電池の一例を示す断面
図である。第2図の(1)は実施例1の二酸化マンガン
のX線光電子分光分析によるSteスペクトルであり、
第2図の(2)は実施例1の二酸化マンガンのX線光電
子分光分析によるopsスペクトルである。第3図の(
1)は比較例1の二酸化マンガンのX線光電子分光分析
によるS2.スペクトルであり、第3図の(2)は比較
例1の二酸化マンガンのX線光電子分光分析による01
1スペクトルである。 l・・・負極、 5・・・正極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)リチウムなどのアルカリ金属を負極活物質として
    用い、二酸化マンガンを正極活物質として用いる有機電
    解液電池において、二酸化マンガン粒子の少なくとも表
    面層に、イオウ化合物が二酸化マンガンに対するモル比
    で2〜20%存在することを特徴とする有機電解液電池
  2. (2)有機電解液の電解液溶媒が少なくともプロピレン
    カーボネートを含む有機溶媒で、イオウ化合物が硫酸塩
    である請求項1記載の有機電解液電池。
  3. (3)リチウムなどのアルカリ金属を負極活物質として
    用い、二酸化マンガンを正極活物質として用いる有機電
    解液電池を製造するにあたり、二酸化マンガンを有機イ
    オウ化合物で処理し、ついで高温で加熱処理して、二酸
    化マンガン粒子の少なくとも表面層にイオウ化合物を二
    酸化マンガンに対するモル比で2〜20%存在させるこ
    とを特徴とする有機電解液電池の製造方法。
  4. (4)有機電解液の電解液溶媒が少なくともプロピレン
    カーボネートを含む有機溶媒で、有機イオウ化合物が二
    硫化炭素である請求項3記載の有機電解液電池の製造方
    法。
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