JPH022896Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車等の車輌に搭載される水冷式
内燃機関の温度制御装置に係り、特に機関潤滑油
を冷却するオイルクーラとスロツトル弁やアイド
ル制御弁の如き吸気系装置を気候寒冷時にアイシ
ング防止のために加熱する吸気系ヒータとを機関
のシリンダブロツク及びシリンダヘツドの冷却の
ための主冷却装置を利用して作動させ、水冷式内
燃機関の全体的温度制御を機関の各部の間の温度
の調和を保つて行う装置に係る。

考案の背景 従来、自動車等の車輌に搭載された水冷式内燃
機関に於て、シリンダブロツクやシリンダヘツド
を冷却する冷却水を用いて機関の潤滑油を水冷式
オイルクーラによつて冷却しまたスロツトル弁や
アイドル制御弁の如く気候寒冷時にアイシング防
止のための加熱を要する吸気系部を機関冷却水に
よつて加熱する場合、これらのオイルクーラや加
熱部に対し個々に機関冷却水を導く配管が行われ
ていた。しかしこれら各部に対し個別の配管を行
うことは機関の構造を複雑にし、機関の組付性及
び保守性を悪くする。

機関の潤滑油のためのオイルクーラをシリンダ
ブロツク及びシリンダヘツドの冷却のための冷却
水の循環回路の途中に組込むことが実公昭50−
28283号公報に於て提案されている。しかしシリ
ンダブロツク及びシリンダヘツドを冷却する冷却
水の全量がオイルクーラを通過する場合、冷却水
量が多いことから、オイルクーラの設計上の自由
度が大きく制限される。またこの公報にはスロツ
トル弁やアイドル制御弁に対するアイシング防止
のための加熱に機関冷却水を用いることは示され
ていない。

考案の目的 本考案は、機関の潤滑油の冷却のためのオイル
クーラに要する冷却媒体は機関の冷却水の一部で
十分であり、またスロツトル弁やアイドル制御弁
の気候寒冷時に於けるアイシング防止のための加
熱には、同じく比較的少量の加熱流体であつてオ
イルクーラに冷却流体として通された機関冷却水
の一部がオイルクーラに於て幾分加熱された流体
が丁度適していることに着目し、機関の潤滑油の
冷却のためのオイルクーラとスロツトル弁やアイ
ドル制御弁の如き気候寒冷時にアイシング防止の
ための加熱を要する吸気系部に対する吸気系ヒー
タとを組合せ、機関冷却水のうちの任意の一部を
用いてこれら両者をクーラ及びヒータとして作動
させることを目的としている。

考案の構成 上記の目的を達成すべく、本考案は、水冷式内
燃機関の温度制御装置にして、シリンダブロツク
及びシリンダヘツドを通つて冷却水を導く主冷却
水通路と、前記主冷却水通路へ冷却水を圧送する
ポンプと、前記ポンプより圧送された冷却水の一
部を前記主冷却水通路を実質的にバイパスして導
く副冷却水通路とを有し、前記副冷却水通路は機
関の潤滑油を冷却するオイルクーラと気候寒冷時
にスロツトル弁やアイドル制御弁の如き吸気系装
置のアイシングを防止する吸気系ヒータとをこの
順に含んでいることを特徴とする温度制御装置を
提案するものである。

考案の効果 上記の如き水冷式内燃機関の温度制御装置の構
成によれば、機関の潤滑油を冷却するオイルクー
ラは機関のシリンダブロツク及びシリンダヘツド
を冷却する主冷却水通路を実質的にバイパスして
設けられた副冷却水通路中に設けられるので、こ
の副冷却水通路に通される機関の冷却水の一部の
量はオイルクーラの設計にとつて便利な任意の水
量とされてよく、オイルクーラの設計に大きな自
由度が得られる。かくしてオイルクーラに通され
る冷却水の量は比較的少量となるので、オイルク
ーラを通つた冷却水の温度は潤滑油との熱交換に
より幾分上昇し、オイルクーラの設計を適当に行
うことによつて、オイルクーラを出た冷却水の温
度をスロツトル弁やアイドル制御弁のアイシング
防止のための加熱に最も適した温度とすることが
できる。

このオイルクーラとスロツトル弁やアイドル制
御弁のアイシング防止のための吸気系とヒータと
を含む副冷却水通路は、シリンダブロツク及びシ
リンダヘツドを通る主冷却水通路を実質的にバイ
パスして設けられるので、主として主冷却水通路
を通つて冷却水を循環させるためのポンプによる
冷却水の圧送作用によつて副冷却水通路を貫流す
る冷却水の流れが維持され、従つてこの副冷却水
通路のための特別のポンプ装置は必要とされな
い。。

実施例の説明 以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による温度制御装置を備えた水
冷式内燃機関の一つの実施例を示す概略構成図で
ある。第１図に於て、１は機関本体を示してお
り、該機関本体はシリンダブロツク側冷却水通路
２とシリンダヘツド側冷却水通路３とを有してい
る。シリンダブロツク側冷却水通路２には冷却水
入口４より冷却水が供給され、該冷却水通路に供
給された冷却水はシリンダヘツド側冷却水通路３
を経て冷却水出口５へ流れ、主冷却水通路を構成
している。

冷却水入口４は冷却水通路６によつて冷却水ポ
ンプ７の吐出口に接続され、該冷却水ポンプの吸
入口は導管８によつてラジエータ９の出口側タン
ク１２に設けられた冷却水出口１３に接続されて
いる。

シリンダヘツド側冷却水通路３の冷却水出口５
は冷却水通路１５によつて感温弁１６のポートａ
に接続されている。感温弁１６は、ポートａ以外
にポートｂとｃとを有しており、冷却水出口５よ
り流出した冷却水の温度に感応し、該冷却水の温
度が所定値以下の暖気過程時に於てはポートａを
ポートｃにのみ接続し、前記冷却水温度が所定値
以上の時にはポートａをポートｃに加えてポート
ｂに連通接続するようになつている。感温弁１６
のポートｂは導管１７によつてラジエータ９の入
口側タンク１０に設けられた冷却水入口１１に接
続され、ポートｃはバイパス通路１８によつて冷
却水ポンプ７の吸入口に接続されている。

シリンダヘツド側冷却水通路３の冷却水出口５
より流出した冷却水の温度が所定値以下である暖
気過程時に於ては、冷却水は、冷却水ポンプ７よ
り冷却水通路６、冷却水入口４、シリンダブロツ
ク側冷却水通路２、シリンダヘツド側冷却水通路
３、冷却水出口５、冷却水通路１５、感温弁１
６、バイパス通路１８を経て冷却水ポンプ７に戻
る循環路を流れ、これに対し前記冷却水の温度が
所定値以上である時には冷却水の多部分は冷却水
ポンプ７、冷却水通路６、冷却水入口４、シリン
ダブロツク側冷却水通路２、シリンダヘツド側冷
却水通路３、冷却水出口５、冷却水通路１５、感
温弁１６、導管１７、ラジエータ９、導管８を経
て冷却水ポンプ７に戻る循環路を流れる。

また図に於て、２０は機関の潤滑油を冷却する
オイルクーラを、２１はスロツトル弁のアイシン
グ防止用ヒータを、２２はアイドル制御弁のアシ
シング防止用ヒータを各々示している。オイルク
ーラ２０は内燃機関１の冷却水の一部を冷却流体
として供給されて内燃機関１の機関潤滑油を冷却
するようになつている。スロツトル弁及びアイド
ル制御弁のアイシング防止用ヒータ２１及び２２
は、各々オイルクーラ２０を通つた後の冷却水を
加熱流体として供給されてスロツトル弁或いはア
イドル制御弁を加熱し、これらのアイシング（凍
結）を防止するようになつている。

オイルクーラ２０の冷却水入口は導管２３によ
つてシリンダブロツク側冷却水通路２の入口部分
に接続され、オイルクーラ２０の冷却水出口は導
管２４によつてスロツトル弁のアイシング防止用
ヒータ２１の冷却水入口に接続されている。スロ
ツトル弁のアイシング防止用ヒータ２１の冷却水
出口は導管２５によつてアイドル制御弁のアイシ
ング防止用ヒータ２２の冷却水入口に接続されて
いる。アイドル制御弁のアイシング防止用ヒータ
２２の冷却水出口は導管２６によつて冷却水ポン
プ７の吸入口に接続されている。即ち、オイルク
ーラ２０とスロツトル弁のアイシング防止用ヒー
タ２１とアイドル制御弁のアイシング防止用ヒー
タ２２とはこれらに供給される冷却水の流れで見
て互いに直列に接続され、シリンダブロツク側冷
却水通路２とシリンダヘツド側冷却水通路３とか
らなる主冷却水通路を実質的にバイパスする副冷
却水通路を構成し、オイルクーラ２０はこの副冷
却水通路に於て最も上流側に設けられている。

従つて、冷却水ポンプ７によつてシリンダブロ
ツク側冷却水通路２に供給された冷却水の一部
は、導管２３を経てまずオイルクーラ２０へ流
れ、該オイルクーラに於て内燃機関１の潤滑油の
冷却を行い、この後に導管２４を経てアイシング
防止用ヒータ２１へ流れ、該アイシング防止用ヒ
ータに於てスロツトル弁のアイシング防止のため
にスロツトル弁を加熱し、この後に導管２５を経
てアイシング防止用ヒータ２２へ流れ、該アイシ
ング防止用ヒータに於てアイドル制御弁のアイシ
ング防止のために該アイドル制御弁の加熱を行
い、この後に導管２６を経て冷却水ポンプ７に戻
る。

オイルクーラ２０にはシリンダブロツク側冷却
水通路２の入口部分より比較的低温の冷却水が供
給されることによつて内燃機関１の潤滑油の冷却
が効果的に行われ、アイシング防止用ヒータ２１
及び２２には、オイルクーラ２０を通過し、機関
潤滑油の冷却によつて昇温した冷却水が供給され
ることにより、スロツトル弁或いはアイドル制御
弁の加熱が効果的に行われ、これらのアイシング
が防止される。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は、これらに限定され
るものではなく、本考案の範囲内にて種々の実施
例が可能であることは当業者にとつて明らかであ
ろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による温度制御装置を備えた内
燃機関の一つの実施例を示す概略構成図である。 １……水冷式内燃機関の機関本体、２……シリ
ンダブロツク側冷却水通路、３……シリンダヘツ
ド側冷却水通路、４……冷却水入口、５……冷却
水出口、６……冷却水通路、７……冷却水ポン
プ、８……導管、９……ラジエータ、１０……入
口側タンク、１１……冷却水入口、１２……出口
側タンク、１３……冷却水出口、１５……冷却水
通路、１６……感温弁、１７……導管、１８……
バイパス通路、２０……オイルクーラ、２１……
スロツトル弁のアイシング防止用ヒータ、２２…
…アイドル制御弁のアイシング防止用ヒータ、２
３〜２６……導管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水冷式内燃機関の温度制御装置にして、シリン
   ダブロツク及びシリンダヘツドを通つて冷却水を
   導く主冷却水通路と、前記主冷却水通路へ冷却水
   を圧送するポンプと、前記ポンプより圧送された
   冷却水の一部を前記主冷却水通路を実質的にバイ
   パスして導く副冷却水通路とを有し、前記副冷却
   水通路は機関の潤滑油を冷却するオイルクーラと
   気候寒冷時にスロツトル弁やアイドル制御弁の如
   き吸気系装置のアイシングを防止する吸気系ヒー
   タとをこの順に含んでいることを特徴とする温度
   制御装置。