JPH0228036Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、離型に際して型開き方向と異なつ
た方向に二段抜きをする必要がある管状凸部を備
えた成形品を成形するのに使用し、二段抜き可能
な親子スライドコアを有する注入成形用金型に関
する。

上記注入成形とは、射出成形、トランスフア成
形等を含む。ここでは、上記管状凸部を有する成
形品として、ニツプルを備えたオイルタンクを例
に採り説明するが、これに限られるものではな
い。

例えば、第１図に示すようなニツプル２１が二
本仕様のオイルタンクを成形する場合、第３〜７
図に示すような親子スライドコアを備えた金型を
用いて成形していた。具体的には、親スライドコ
ア１は可動型３上を、子スライドコア２は親スラ
イドコア１上を抜き方向にスライド可能とされて
いるとともに、ニツプル２１の内側を付形するス
ライドピン４が子スライドコア２にねじ止め−着
脱可能−されている。そして、スライドコア１，
２の前進・後退は固定型５に装着されたアンギユ
ラピン６に規制される。即ち、親スライドコア１
のアンギユラピン挿入部位は軸方向の長孔１ａと
され、型開き前半においては子スライドコア２の
みが後退してスライドピン４がニツプル部２１か
ら抜かれ（第４図）、型開き後半においては親ス
ライドコア１も−子スライドコア２とともに−後
退して親スライドコア１がニツプル部２１から抜
かれ（第５図）二段抜きが完了する。なお、ニツ
プル２１の先端は張り出し部２１があるが、先に
スライドピンが抜かれてニツプル２１は中空とな
つているため親スライドコア１を強制的に抜き可
能となる。

この金型を用いて、第２図に示すようなニツプ
ル一本仕様のオイルタンクを成形しようとする場
合、スライドピン４を短いスライドピン４Ａ（第
６図一点鎖線）に取り替えて、一方のニツプルを
非貫通仕様として成形し、成形後非貫通ニツプル
を切除していた。しかし、この方法ではニツプル
切除前において、両成形品の外観が第１図に示す
ように同一となるため、外観による識別検査がで
きず、ニツプル一本仕様のものと二本仕様のもの
が相互に混入するおそれがあつた。また、一本仕
様の成形に際しては、余分な材料を必要とすると
ともに、非貫通ニツプルの切除作業も必要とし仕
上作業工数も嵩んだ。

この考案は、上記にかんがみて、ニツプル（管
状凸部）が二本仕様と一本仕様のオイルタンクの
ように仕様の異なる同種成形品を同一金型で成形
するに際して、仕様の異なる成形品相互の混入の
おそれがなく、しかも材料及び仕上工数の削減に
つながる注入成形用金型を提供することを目的と
する。

この考案の注入成形用金型は、管状凸部を備え
た成形品を成形するのに使用し、二段抜き可能な
親子スライドコアを有するものであつて、管状凸
部の内側を付形するスライドピンを着脱可能な第
１取付け部を子スライドコアに設けるとともに、
前記第１取付部と同一軸上においてプラグ固定ピ
ンを着脱可能な第２取付け部を親スライドコアに
設け、プラグ固定ピンは管状凸部用キヤビテイへ
材料流入を阻止するプラグを具備することにより
上記目的を達成する。

以下、この考案の一実施態様を、図例に基づい
て説明する。

第８〜９図に示すように、第６図に示す従来の
親子スライドコアにおいて−ニツプルの内側を付
形するスライドピン４を着脱可能な雌ねじ部で構
成される第１取付け部７を子スライドコア２が備
えている−、第１取付け部７と同一軸上において
プラグ固定ピン９を着脱可能な雌ねじ部で構成さ
れる第２取付け部８を親スライドコア１が備えて
いる。当然、親スライドコア１に形成されたニツ
プル用キヤビテイ１０と第２取付け部８との間
は、スライドピン４又はプラグ固定ピン９の先端
部が嵌合可能な貫通孔とされ、子スライドコア２
に形成された第１取付け部７と第２取付け部８と
の間は前者の雌ねじ径より小さく後者の雌ねじ径
より大きい貫通孔とされている。またプラグ固定
ピン９は、図例では第２取付け部８にねじ込み可
能な雄ねじ部を備えた大径部と、ニツプル用キヤ
ビテイ１０への材料流入を阻止するプラグ１１を
ねじ止め可能な小径部とからなつている。

この金型の使用態様を説明する。第１図に示す
ようなニツプル二本仕様の場合は、従来と同様
に、二本のスライドピン４を第８図に示すように
子スライドコアの第１取付け部７にねじ止めした
状態で、型閉じを行ない、合成樹脂材料（ポリア
ミド、ABC等）を注入して成形した後型開きし
て離型する。他方、第２図に示すような一本仕様
の場合は、ニツプル不要側のスライドピン４を取
り外して、第２取付け部８にプラグ固定ピン９を
ねじ止めする。なお、プラグ１１はキヤビテイ側
からねじ止めする。続いて型閉じを行ない合成樹
脂材料を注入して成形する。このとき、一方のニ
ツプル用キヤビテイ１０はプラグ１１で材料流入
が阻止されるので、ニツプル一本仕様の第２図に
示すオイルタンクが成形される。型開き時、スラ
イドピン４は従来と同様に作動してニツプル２１
は離型される。プラグ固定ピン９は親スライドコ
ア１に固定され、子スライドコア２内を相対移動
して後退しないので、ニツプル用キヤビテイ１０
を傷つけることはない。

この考案の注入成形用金型は、上記のような構
成なので、ニツプル部が二本仕様と一本仕様のオ
イルタンクのように仕様の異なる同種成形品を同
一金型で成形するに際して、異なる外観に成形さ
れるので、仕様の異なる成形品相互が混入するお
それがない。また、一本仕様を成形する場合、ニ
ツプル部キヤビテイへの材料流入がないので材料
の節減ができるとともに、余分なニツプル部を切
除する必要もないので仕上工数の削減にもつなが
る。なお、この考案の管状凸部としてはタツピン
グねじを立てるボスを備えた成形品の場合にも適
用可能である。ボスが長い場合には、抜き方向に
張り出し部（アンダーカツト）がなくても内側付
形のピンと外側付形のスライドコアを二段抜きし
ないと円滑な離型が行われないおれがある。

【図面の簡単な説明】

第１図はニツプル二本仕様のオイルタンクの俯
斜視図、第２図はニツプル一本仕様のオイルタン
クの俯斜視図、第３図は親子スライドコアを備え
た金型の型閉じ時における要部断面図、第４図は
スライドピン抜き完了時の要部断面図、第５図は
親スライドコア抜き完了時の要部断面図、第６図
は第３図におけるスライドピン取付け部位の要部
断面図、第７図は第６図の−線部位要部断面
図、第８図はこの考案における金型のスライドピ
ン取付け側の要部断面図、第９図は同じくプラグ
固定ピン取付け側の要部断面図である。 １……親スライドコア、２……子スライドコ
ア、４……スライドピン、７……第１取付け部、
８……第２取付け部、９……プラグ固定ピン、１
０……ニツプル用キヤビテイ（管状凸部用キヤビ
テイ）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 離型に際して、型開き方向と異なつた方向に二
   段抜きをする必要がある管状凸部を備えた成形品
   を成形するのに使用し、二段抜き可能な親子スラ
   イドコアを有する注入成形用金型であつて、 前記管状凸部の内側を付形するスライドピンを
   着脱可能な第１取付け部を子スライドコアに設け
   るとともに、前記第１取付け部と同一軸上におい
   てプラグ固定ピンを着脱可能な第２取付け部を親
   スライドコアに設け、前記プラグ固定ピンは管状
   凸部用キヤビテイへの材料流入を阻止するプラグ
   を具備することを特徴とする注入成形用金型。