JPH0227524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、油圧、エアー等の各種流体通路の
開閉や切換えに使用される電磁弁等の操作用電磁
石の改良に関する。

（従来技術） 例えば第１図に示す油圧油切換用電磁弁（スプ
ール形）に使用されている操作用電磁石１は、内
面にコイル２を巻回した筒状の固定鉄芯３と該固
定鉄芯３内を摺動するＴ型の可動鉄芯４よりな
り、上記コイル２を直流電流で励磁し、コイル２
内に可動鉄芯４を吸引することによつて、この可
動鉄芯４に直結させたスプール５の位置を移動さ
せる仕組になつている。従つて、前記コイル２に
はスプール５を中立位置に保持するスプリング
６，６の反撥力に抗して可動鉄芯４を引込む強力
な吸引力を発生させる必要があり、その電力消費
量はかなり大きなものであつた。

（考案の目的） 本考案は、永久磁石と電磁石とを有効に組合せ
ることにより励磁コイルの電力消費量を大巾に節
約する省電力型電磁石を提供しようとするもので
ある。

以下、実施例として掲げた図面に基き本考案を
詳細に説明する。

（考案の構成） 第２図は本考案に係る電磁石にて操作される油
圧切換用電磁弁（スプール形）の断面図で、ポー
トＰ，Ａ，Ｂ，Ｔの油の流れを切換えるスプール
５は左右の本考案電磁石１，１によつて操作さ
れ、電磁石を消磁するとスプリング６，６の反撥
力によつて図示中立位置にもどされる。

上記左右の電磁石１，１は弁本体７両端のエン
ドカバー８，８内に収容してあり、スプール５を
吸引し操作する永久磁石９と該永久磁石を垂直に
移動させる電磁石１０とで構成される。

棒状ないし角柱状の永久磁石９はスプール５を
スプリング６，６の反撥力に抗して吸引可能な吸
引力を有するもので、その両極Ｎ，Ｓを結ぶ軸線
１１の延長方向磁界中に弁本体７側壁軸孔１２内
のスプール軸５′が位置するよう水平に保持され、
一端がエンドカバー８上面に固着されたスプリン
グ１３にて電磁石１０の固定鉄芯３に圧着させて
ある。

エンドカバー８の下面部壁体に組込まれた電磁
石１０はＴ型の可動鉄芯４を固定鉄芯３のコイル
２内へ上向きに垂直に吸引するもので、吸引され
た可動鉄芯４の先端が固定鉄芯３より突出し、前
記永久磁石９をスプール軸５′と対面する位置す
なわち前記軸孔１２位置までスプリング１３に抗
して水平に押上げるようになつている。１４，１
４は永久磁石９の垂直移動をスムーズに行なわせ
るためのガイドレールである。

前記電磁石１０の可動鉄芯４吸引力は永久磁石
９の有する前記吸引力のおよそ1/5程度に設定さ
れている。

すなわち、第３図に示す如く一般に永久磁石９
は、その両極Ｎ，Ｓを結ぶ軸方向の吸引力Ｆが強
く、被吸着物１５との吸着をこの軸方向に切離す
には大きな力を必要とするが、上記軸方向に垂直
方向の吸引力ｆは上記Ｆのおよそ1/5程度と極め
て弱く、この垂直方向へは被吸着物１５との吸着
を小さな力で容易に切離すことができるという特
性を有しているからである。

従つて、第２図に示す本考案電磁石１のように
永久磁石９の両極Ｎ，Ｓを結ぶ軸線１１方向の吸
引力Ｆを利用して被吸着物すなわちスプール５の
吸引、操作を行ない、上記永久磁石９を垂直に移
動させスプール５との接近および切離しを行なう
手段として電磁石１０を用いた構造では、該電磁
石１０の吸引力は永久磁石９の前記垂直方向の吸
引力ｆと略々同じ程度であればよく、第１図に示
したような電磁石そのものの吸引力でスプール５
を吸引し操作する通常の電磁石より遥かに少ない
およそ1/5程度の電力消費量で同等の機能を奏す
ることができるのである。

なお、第２図に示す実施例では永久磁石９に取
付けてあるスプリング１３の反撥力が永久磁石９
の垂直方向の吸引力ｆよりやや大きく設定される
から、電磁石１０の吸引力は上記スプリング１３
の反撥力に抗して可動鉄芯４を吸引できる程度に
設定しておく必要がある。

次に作用について記載する。

（作 用） 左側エンドカバー８内の電磁石１０を励磁する
と可動鉄芯４がコイル２内に引込まれ、スプリン
グ１３の反撓力に抗して永久磁石９がガイドレー
ル１４，１４に沿い弁本体７の軸孔１２位置まで
垂直に押上げられる。すると、軸孔１２内のスプ
ール軸５′が永久磁石９の極に吸引され、スプー
ル５が左側へ移動する。これによつてポートＰと
Ａはスプール５の同じ溝部に位置することとなり
油はＰからＡとＢからＴへと流れる。電磁石１０
を消磁するとスプリング１３の反撓力によつて永
久磁石９はエンドカバー８の下面に押下げられ、
スプール軸５′との吸着が切離されることとなり
スプール５はスプリング６の反撥力によつて元の
図示中立位置にもどり、油の流れがカツトされ
る。反対に右側エンドカバー８内の電磁石１０を
励磁すると前記同様の作動によつてスプール５が
右側へ移動し、油の流れがポートＰからＢとＡか
らＴに切換えられる。

上記構成よりなる本考案電磁石は永久磁石９の
周囲を非磁性体１６で保護したり、またスプール
５等の被吸着物にも永久磁石を使用することによ
つて、より強力な吸引力を得ることができる。

また、永久磁石９に切離し用スプリング１３，
１３を用いない場合は被吸着物１５にも永久磁石
を使用し、第４図に示す如く吸着用永久磁石９に
180゜回転機構を設けたり、あるいは第５図に示す
如く磁極の向きが左右で異なる吸着用永久磁石９
を二段に組合せて上下にスライドさせることによ
り、磁極同志の反撥力を利用して被吸着物１５を
元の位置に復帰させる方法等が考えられる。

さらに、本考案の電磁石構造を数段組合せれば
さらに少ない電力で大きな吸引力を得ることも可
能である。

（考案の効果） 以上に説明したとおり、本考案の電磁石は極め
て少ない電力でスプール等の作動体の操作が可能
であり、従来のこの種電磁石に比べて大巾に電力
を節約することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はスプール形油圧切換用電磁弁に使用さ
れている従来の電磁石を説明する断面図、第２図
は本考案に係る電磁石にて操作されるスプール形
油圧切換用電磁弁の断面図、第３図は永久磁石の
吸引力特性を説明する模式図、第４図および第５
図は本考案電磁石の他の実施例を説明する模式図
である。 ９……永久磁石、１０……電磁石、１１……永
久磁石の両極を結ぶ軸線、１２……軸孔、１３…
…スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 必要な磁力を有する永久磁石９の両磁極を結ぶ
   軸線１１の延長方向磁界中に被吸着物１５をお
   き、永久磁石９の磁力よりも小さい磁力の電磁石
   １０により永久磁石９をその両磁極を結ぶ軸線１
   １と略々直角の方向に移動せしめるよう設けたこ
   とを特徴とする電磁石。