JPH0227032B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、籾を籾摺機構において脱し、次い
でこの脱後の摺落米から玄米のみを選別して取
り出すようにした籾摺選別装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

先行技術としての実開昭57―12279号公報は、
籾供給ホツパー付き籾摺機構と、内周面に多数の
くぼみを備えて回転する選別筒体内に玄米受樋を
設けた回転式選別機構とを、当該回転式選別機構
における選別筒体の一端部における排出側が前記
籾摺機構に隣接するように並設して成る籾摺選別
装置において、「前記選別筒体の排出側の内周面
には、籾の掬い羽根を円周方向に適宜間隔で複数
枚設け、且つ、選別筒体の排出側内と前記籾供給
ホツパーとの間に、前記掬い羽根で掬い上げた籾
を籾供給ホツパーに還元するための籾還元シユー
トを配設する」ことにより、回転式選別機構にお
ける選別筒体の排出側から排出される籾を籾摺機
構に還元するための還元機構の構造の簡単化及び
軽量化を図ることを提案している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、前記先行技術に記載された籾摺選別装
置は、籾摺機構で脱された摺落米を、回転式選
別機構における選別筒体の他端部の供給側に移送
供給するための摺落米移送手段を、選別筒体の外
側に配設しているので、籾摺選別装置が前記摺落
米移送手段の分だけ大型になるものである。

また、前記のように「内周面に多数のくぼみを
備えて回転する選別筒体内に玄米受樋を設けた回
転式選別機構」は、その選別筒体における他端部
の供給側に供給された摺落米が、選別筒体の回転
によつて或る高さまで掻き上げられたのち落下す
る流動を繰り返しつつ、一端部の排出側に向つて
移動する途次において、摺落米中の玄米はくぼみ
に嵌まつて高い位置まで持ち上げられて落下する
一方、摺落米中の籾は前記玄米よりも低い位置か
ら落下する運動を行うことを利用して、高い位置
から落下する玄米を玄米受樋に受けて取り出すも
のであるから、選別筒体内において流動する摺落
米は、玄米の選別が進行するのに伴つて、これに
含まれる籾の比率が高くなる傾向を呈する。

その結果、選別筒体の内周面におけるくぼみに
籾が嵌まる頻度が増大し、それだけ玄米がくぼみ
に嵌まることを妨げることになるから、玄米受樋
に入る籾の数が多くなつて玄米の選別精度が低下
すると共に、玄米受樋に入る玄米の数が少なくな
つて玄米の選別能力が低下するのである。

本発明は、この問題を、籾摺選別装置の大型化
を招来することなく、解消することを目的とする
ものである。

〔問題を解決するための手段〕

この目的を達成するために本発明は、籾供給ホ
ツパー付き籾摺機構と、内周面に多数のくぼみを
備えて回転する選別筒体内に玄米受樋を設けた回
転式選別機構とを、当該回転式選別機構における
選別筒体の一端部における排出側が前記籾摺機構
に隣接するように並設する一方、前記選別筒体の
排出側の内周面には、籾の掬い羽根を円周方向に
適宜間隔で複数枚設け、且つ、選別筒体の排出側
内と前記籾供給ホツパーとの間に、前記掬い羽根
で掬い上げた籾を籾供給ホツパーに還元するため
の上面開放型の籾還元シユートに配設して成る籾
摺選別機において、前記回転式選別機構における
選別筒体内には、前記玄米受樋に対して選別筒体
内における摺落米の掻上げ側の部位に、内部に前
記籾摺機構による脱後の摺落米を選別筒体の一
端部における排出側から他端部における供給側に
移送するための摺落米移送手段を備えた摺落米供
給移送兼用の上面開放型循環樋を並設する一方、
前記籾還元シユートには、前記掬い羽根で掬い上
げた籾が前記循環樋内に入るのを阻止するための
カバーを、斜め下向きの傾斜状に設け、更に、前
記籾還元シユートを選別筒体の軸線方向から見た
場合において、当該籾還元シユートの左右両側部
のうち前記循環樋側における側部の上端と前記選
別筒体の内周面との間の隙間を広く、前記籾還元
シユートの左右両側部のうち前記玄米受樋側にお
ける側部の上端と前記選別筒体の内周面との間の
隙間を狭くする構成にした。

〔発明の作用・効果〕

このように、回転式選別機構の選別筒体内にお
ける前記玄米受樋に対して選別筒体内の摺落米の
掻上げ側の部位に、内部に摺落米を選別筒体の他
端部における供給側に移送するための移送手段を
備えた上面開放型循環樋を並設したことにより、
選別筒体の回転に伴つて、その内面のくぼみに嵌
まつて比較的高い位置まで持ち上げられた玄米
は、玄米受樋と循環樋との両方に入るが、循環樋
は、玄米受樋よりも選別筒体内における摺落米の
掻き上げ側に位置しているので、当該循環樋内に
は、玄米と共に若干の籾が入るが、籾の比率は、
籾摺機構による脱後の摺落米における籾比率よ
りも少ないので、この循環樋に入つた籾比率の少
ない摺落米が、選別筒体の供給側に供給されるこ
とによつて、選別筒体内において流動する摺落米
における籾の比率は下げられ、これに伴つてくぼ
みに嵌まる籾の頻度が低下する一方、玄米が嵌ま
るくぼみの数が増大することになるから、玄米の
選別精度と、玄米の選別能力とを向上できるので
ある。

一方、選別筒体を流動しつつ排出側に移動する
摺落米は、排出側に近付くにつれて籾の比率が増
大し、排出側では殆ど籾のみとなり、選別筒体の
回転に伴いその排出側の内周面に設けた複数枚の
掬い羽根によつて高い位置まで掬い上げられたの
ち籾還元シユートを介して籾摺機構における籾供
給ホツパー内に還元されて再び脱が行なわれる
のである。

そして、この掬い羽根による籾の掬い上げに際
して、この掬い羽根らかこぼれ落ちる籾が、前記
上面開放型の循環樋に入り、当該循環樋における
摺落米の籾の比率が高くなることになるから、前
記循環樋による効果が減殺されることになる。

これに対して本発明は、前記籾還元シユート
に、前記掬い羽根で掬い上げた籾が前記循環樋内
に入るのを阻止するためのカバーを、籾還元シユ
ートから斜め下向き傾斜状に設けたもので、この
カバーによつて、前記掬い羽根による籾の掬い上
げ途中において、掬い羽根からこぼれ落ちる籾が
前記循環樋に入るのを確実に防止することができ
るのである。

すなわち、本発明によると、選別筒体内に循環
樋を設けた場合において、選別後の籾を選別筒体
の内周面に設けた複数枚の掬い羽根によつて籾摺
機構に還元するとき、その還元途中の籾が前記循
環樋に入ることによつて循環樋の効果が減殺され
ることを、確実に回避することができるから、籾
摺選別装置における玄米の選別精度及び玄米の選
別能力を共に向上できるのである。

しかも、本発明は、前記循環樋内に、籾摺機構
による脱後の摺落米を選別筒体の排出側から供
給側に移送するための摺落米移送手段を設けるに
おいて、前記循環樋を、摺落米供給移送兼用に構
成したことにより、脱後の摺落米を選別筒体内
に供給移送するための手段を、選別筒体内に内蔵
することができる。

また、前記選別筒体の排出側の内周面に設けた
複数枚の掬い羽根によつて高い位置まで掬い上げ
られた籾は、選別筒体の回転に伴い掬い羽根から
選別筒体の中心に向つて斜め下向きに落下するも
のであるから、掬い羽根から落下する籾を受ける
籾還元シユートを、例えば、前記実開昭57―
12279号公報に記載されているように、これを選
別筒体の軸線の方向から見た場合に、当該籾還元
シユートにおける左右両側部の上端と、選別筒体
との内周面との間の隙間を、左右両側部の両方に
おいて狭く構成した場合には、選別筒体の回転に
伴い掬い羽根から選別筒体の中心に向つて斜め下
向きに落下する籾は、前記狭い間隔の隙間に遮ら
れることにより、籾還元シユート内に入る籾の量
が低下する。従つて、掬い羽根と籾還元シユート
によつて所定の籾排出量を得るには、前記掬い羽
根における選別筒体の軸線方向の長さ寸法を大き
くしなければならないから、選別筒体の軸線の長
さの増大、延いては、籾摺選別装置の大型化を招
来する。

これに対して、本発明は、籾還元シユートを選
別筒体の軸線方向から見た場合において、当該籾
還元シユートの左右両側部のうち循環樋側におけ
る側部の上端と選別筒体の内周面との間の隙間を
広く、籾還元シユートの左右両側部のうち玄米受
樋側における側部の上端と選別筒体の内周面との
間の隙間を狭くする構成にしたのである。

このように、籾還元シユートにおける左右両側
部の上端と、選別筒体の内周面との間の隙間を、
循環樋側において広くしたことにより、選別筒体
の回転に伴い掬い羽根から選別筒体の中心に向つ
て斜め下向きに落下する籾は、籾還元シユート内
に、当該籾還元シユートにおける循環樋側の側部
によつて遮られる量が少ない状態で、多量に入る
ことになり、換言すると、籾還元シユートによつ
て排出することができ、籾の量を増大することが
できるから、前記掬い羽根における選別筒体の軸
線方向の長さ寸法を縮小できるのである。

従つて、本発明によると、このように掬い羽根
における選別筒体の軸線方向の長さ寸法を縮小で
きることと、前記したように、脱後の摺落米を
選別筒体内に供給移送するための手段を、選別筒
体内に内蔵することができることとの二者が相俟
つて、籾摺選別装置の小型化を達成することがで
きるのである。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面について説明する
と、図において符号ａは、籾供給ホツパーa′付き
籾摺機構を、符号ｂは風選部を、符号ｃは回転式
選別機構を各々示し、前記籾摺機構ａと回転式選
別機構ｃとは、前記風選部ｂの上面に並設されて
いる。

図中符号１は、内周面に多数のくぼみ２を設
け、両端部を各々駆動輪３，４によつて回動自在
に支持した横向きの選別筒体を示し、該選別筒体
１における前記籾摺機構ａよりも遠い一端部は供
給側Ｘに、前記籾摺機構ａに近い他端部は排出側
Ｙに各々構成されている。

符号５と６とは、前記選別筒体１内に供給側Ｘ
から排出側Ｙにわたつて装架した上面開放型の循
環樋と、同じく上面開放型の玄米受樋とを各々示
し、循環樋５内には、これに入る摺落米を排出側
Ｙから供給側Ｘに向つて移送したのち一端部にお
ける落下口９から選別筒体１内における供給側Ｘ
に供給するための螺旋コンベヤ７が、また、玄米
受樋５内には、これに入つた玄米を供給側Ｘから
排出側Ｙに向つて移送するようにした螺旋コンベ
ヤ８が各々設けられており、また、前記循環樋５
における排出側Ｙの一端部には、前記籾摺機構ａ
で脱され次いで前記風選部ｂで風選されたあと
の摺落米を移送するための摺落米スロワー２０の
先端が連通しており、更に、前記玄米受樋６にお
ける排出側Ｙの一端部は、玄米取出シユート２１
に連通している。

そして、前記選別筒体１の排出側Ｙにおける内
周面には、複数枚の掬い羽根１０を円周方向に適
宜間隔で設ける。なお、この掬い羽根１０の外側
には、籾の溢流を防止するための環状の堰板１１
が設けられている。

また、図中符号１２は、前記掬い羽根１０にて
掬い上げた籾を、前記籾摺機構ａにおける籾供給
ホツパーa′に還元するための籾還元シユートを示
し、該籾還元シユート１２は、前記籾供給ホツパ
ーa′に向つて下向きに傾斜する底板１３と左右両
側板１８，１９とで構成され、前壁板１６に設け
た開口部１７を介して前記籾供給ホツパーa′に連
通している。

この場合において、前記籾還元シユート１２に
おける左右両側板１８，１９のうち前記循環樋５
側の側板１９上端と前記掬い羽根１０との間の間
隙は、広い寸法Ｎに、前記両側板１８，１９のう
ち前記玄米受樋６側の側板１８上端と掬い羽根１
０との間の隙間は、狭い寸法Ｍに各々構成されて
おり、場合によつては、他方の側板１９は第４図
に示すように省略しても良い。なお、前記籾還元
シユート１２における底板１３は、前記選別筒体
１の中心を通る鉛直線Ｏに対して、選別筒体１に
おける回転方向の上手側の幅ｌが回転方向の下手
側の幅Ｌよりも短い寸法に構成されている。

そして、前記籾還元シユート１２には、前記掬
い羽根１０で掬い上げた籾が前記循環樋５内に入
るのを阻止するためのカバー１４を、籾還元シユ
ート１２から斜め下向き傾斜状に設ける。なお、
符号１５は、前記玄米受樋６に対するカバーであ
る。

しかして、籾供給ホツパーa′に供給された籾
は、籾摺機構ａで脱され、次いで風選部ｂで籾
殻が除かれるように風選される。この風選後の摺
落米は、摺落米スロワー２０により選別筒体１内
の循環樋５における排出側Ｙ内に入り、該循環樋
５内における螺旋コンベヤ７にて供給側Ｘの方向
に移送されたのち、選別筒体１内における供給側
Ｘに供給される。

このようにして選別筒体１内に供給された摺落
米は、選別筒体１の矢印イ方向への回転により或
る高さまで掻き上げられたのち落下する流動を繰
り返しつつ矢印ロのように排出側Ｙに向つて移動
する。この途次において摺落米中の玄米は、くぼ
み２に嵌まつて高い位置から落下することによ
り、循環樋５と玄米受樋６との両方に入る。

この場合、循環樋５は、選別筒体内における摺
落米の掻き上げ側に位置しているので、この循環
樋５には玄米と共に若干の籾が入るが、玄米受樋
６には、玄米のみが入ることになり、玄米受樋６
に入つて玄米は、螺旋コンベヤ８にて移送された
のち玄米取出シユーート２１から機外に取り出さ
れる。前記循環樋５に入つた玄米は、摺落米と一
緒に選別筒体１内に供給側に再び戻されるので、
選別筒体１内における摺落米の籾比率を低減でき
る。

一方、選別筒体１内を流動しつつ排出側Ｙに移
動する摺落米は、排出側Ｙに近付くにつれて籾比
率が高くなり、排出側Ｙでは殆ど籾のみとなり、
掬い羽根１０にて掬い上げられたのち籾還元シユ
ート１２を介して籾摺機構ａにおける籾供給ホツ
パーa′に還元されて再び脱が行なわれるのであ
り、前記掬い羽根１０による籾の掬い上げの途中
において掬い羽根１０からこぼれ落ちる籾は、前
記籾還元シユート１２から斜め下向きに傾斜する
カバー１５の上面を滑つて、選別筒体１の内底部
に流下するから、前記循環樋５内に、掬い羽根１
０からこぼれ落ちる籾が入ることを防止できるの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は籾摺選
別装置全体の縦断正面図、第２図は第１図のＡ―
Ａ視断面図、第３図は第１図のＢ―Ｂ視断面図、
第４図は別の実施例における第３図と同じ部分の
断面図である。 ａ……籾摺機構、a′……籾供給ホツパー、ｂ…
…風選部、ｃ……回転式選別機構、１……選別筒
体、Ｘ……供給側、Ｙ……排出側、２……くぼ
み、５……循環樋、６……玄米受樋、７，８……
螺旋コンベヤ、２０……摺落米スロワー、１０…
…掬い羽根、１２……籾還元シユート、１４……
カバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 籾供給ホツパー付き籾摺機構と、内周面に多
   数のくぼみを備えて回転する選別筒体内に玄米受
   樋を設けた回転式選別機構とを、当該回転式選別
   機構における選別筒体の一端部における排出側が
   前記籾摺機構に隣接するように並設する一方、前
   記選別筒体の排出側の内周面には、籾の掬い羽根
   を円周方向に適宜間隔で複数枚設け、且つ、選別
   筒体の排出側内と前記籾供給ホツパーとの間に、
   前記掬い羽根で掬い上げた籾を籾供給ホツパーに
   還元するための上面開放型の籾還元シユートを配
   設して成る籾摺選別機において、前記回転式選別
   機構における選別筒体内には、前記玄米受樋に対
   して選別筒体内における摺落米の掻上げ側の部位
   に、内部に前記籾摺機構による脱後の摺落米を
   選別筒体の一端部における排出側から他端部にお
   ける供給側に移送するための移送手段を備えた摺
   落米移送兼用の上面開放型循環樋を並設する一
   方、前記籾還元シユートには、前記掬い羽根で掬
   い上げた籾が前記循環樋内に入るのを阻止するた
   めのカバーを、斜め下向きの傾斜状に設け、更
   に、前記籾還元シユートを選別筒体の軸線方向か
   ら見た場合において、当該籾還元シユートの左右
   両側部のうち前記循環樋側における側部の上端と
   前記選別筒体の内周面との間の隙間を広く、前記
   籾還元シユートの左右両側部のうち前記玄米受樋
   側における側部の上端と前記選別筒体の内周面と
   の間の隙間を狭く構成したことを特徴とする籾摺
   選別装置。