JPH0226674B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規な洗浄剤組成物に関するものであ
り、その目的とするところはすぐれた洗浄力と泡
立ち性を発揮すると共に、しかも皮フ、毛髪に対
し温和な作用を有する洗浄剤組成物を提供するこ
とにある。 近年、各種洗浄剤に対する安全性への要求が強
まつてきており、安全性の高い新規界面活性剤な
いしは従来より使用されている界面活性剤のうち
安全性の高いものが見直されている。しかし、一
方で安全性を要求したとき、洗浄性、泡立ち性な
どの機能面で満足すべき界面活性剤は比較的少な
い。そこで、従来から知られている界面活性剤同
志の配合を通じて、その性質の相乗効果を期待し
た新しい洗浄剤を作る試みが多くなされている。
又、当然ながら従来ほとんど検討されていなかつ
た界面活性剤に新しい観点からの見直しがなされ
ている。これらの界面活性剤の中で、近年分子中
にアミノ酸の骨格を有する化合物、特にＮ―長鎖
アシルアミノ酸塩が、そのすぐれた機能性と安全
性の面から見直しがなされ、更に他の界面活性剤
との配合研究の進展により新しい知見が得られ、
多く使われるようになつてきた。代表的なものに
Ｎ―長鎖アシルザコシン塩、Ｎ―長鎖アシルグル
タミン酸塩があり、シヤンプー、固形洗剤、台所
用洗剤等にすでに多く用いられている。 本発明者はこれらいわゆるアミノ酸系界面活性
剤に関し、更に機能性の高い性質を有し、かつ安
全性の高い化合物を求めるとともにこれらと他の
界面活性剤との組み合わせによる新しい洗浄剤の
開発に鋭意取りくんできた結果、従来ほとんど又
は全く知られていなかつたN〓―長鎖アシルリジ
ンのN〓―メチル誘導体が水溶性を有しかつ泡立
ち性などの界面活性能にすぐれ、かつ皮膚に対し
安全性が高く新しい洗浄剤組成物の原料となるこ
とを確認すると共に、非イオン界面活性剤と混合
したとき、両者の性質が相乗的に作用し、従来に
ないすぐれた相溶性、泡立ち性、洗浄性を示すと
共に安全性も高い新しい洗浄剤組成物が得られる
ことを見い出し、本発明を完成するに至つた。 本発明の洗浄剤組成物で用いられる一方の成分
であるN〓―長鎖アシル―N〓，N〓―ジメチル又は
N〓，N〓，N〓―トリメチルリジンは、それぞれ下
記一般式（）及び（）で示される構造を有し
ている。 （Ｒ―CO―は炭素数８ないし22の脂肪族アシル
基を表わす） ここで、N〓―メチル化されていないN〓―長鎖
アシルリジンは両性界面活性剤として知られてい
る（特公昭51−28610、特公昭52−30285）が、本
物質は通常の使用条件である中性付近では水に極
めて難溶であり、実用に供せられない（油化学
26，110（1977））。この事実は本発明者らも再確認
をしている。そこで先ず水溶性を発現させるため
α位のアミノ基のジメチル化又はトリメチル化を
はかつた所、水溶性が洗浄剤として使用できる程
度に向上することが判明した。又、これらの化合
物の中で（）は特殊な洗剤又は殺菌剤として若
干報告されているにすぎず（特公昭42−11926、
特公昭51−44172、特公昭51−28610）、化合物
（）は界面活性剤として全く検討されていない。 水溶性を賦与することによつて初めて測定が可
能となつたこれら化合物（）及び（）の界面
活性能を測定したところ、低濃度においても泡立
ち性、洗浄性がよく、布などに対する浸透性もき
わめて良いことが判明した。又、本物質は、水溶
性アルカリ土類金属塩によつて溶解性が向上する
興味ある性質を有し、硬水中でも性能が低下しな
いことも判明した。更に、皮フに対する安全性も
すぐれていることが判り、通常の洗浄剤はもとよ
りシヤンプー、練状洗剤、固形洗剤等の皮膚、毛
髪の洗浄剤の原料として用いられることを確認
し、本洗浄剤組成物の一方の主要成分として充分
使用できることを見い出した。（実施例１、表１
参照） これら化合物（）、（）を得るには、リジン
のN〓，N〓―ジメチル体、及びN〓，N〓，N〓―トリ
メチル体をC₈〜C₂₂の脂肪酸クロリドとアルカリ
とを用いるいわゆるSchotten―Baumann反応に
よりN〓―アシル化する方法によるか、あらかじ
めリジンの高級脂肪酸塩を加熱脱水して得たN〓
―長鎖アシルリジンをヨウ化メチルなどのメチル
化剤にて、N〓―位をジメチル化、トリメチル化
する方法によればよい。製造にあたつては（）
及び（）の混合物あるいは場合によつてはN〓
―モノメチル化体が副生することがあるが、本発
明洗浄剤原料として用いる場合には何ら支障がな
い。又、光学活性体であつてもラセシ体であつて
もよい。 N〓―アシル基としては、炭素数８ないし22の
ものが用いられ、例えば２―エチルヘキサノイ
ル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、
ステアロイル、オレオイル、イソステアロイル、
等の単一脂肪酸アシルの他、ヤシ油脂肪酸、硬化
牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸アシルが上げられる。
該物質（）ないし（）の選択は用いられる洗
浄剤の形態からなされるが、水への溶解性は
（）より（）の方が大きく、又、両者ともア
シル基が短かい方が大きいことを考慮して用いら
れる。更に（）ないし（）は単独でも用いら
れるが、混合物も用いられる。 該物質の等電点は中性付近にあり、通常この等
電点で用いられるが、アルカリ性を示す洗浄剤に
際してはナトリウム、カリウム、アンモニウム、
アルキロールアミン、塩基性アミノ酸などの塩が
用いられ、又、酸性洗浄剤にあつては、塩酸、硫
酸、有機酸、酸性アミノ酸などの塩が適宜用いら
れる。 本発明の洗浄剤組成物の他の一方の成分として
は、一般的な非イオン界面活性剤が適用できる
が、特に分子中にエーテル基とエステル基を含有
する非イオン界面活性剤、又はアミド基を有する
非イオン界面活性剤が、その相乗効果においてす
ぐれている。具体的な例としては、エーテル、エ
ステル基を有する化合物としてポリオキシエチレ
ン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン
グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステルなど、アミド基を有する化合物と
して脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アルカノ
ールアミド・エチレンオキサイド付加物、ポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸、ピログルタミン
酸モノグリセライド等が挙げられる。なお、上記
の非イオン界面活性剤中の脂肪酸残基の炭素数は
８ないし22のものが一般に適用され、又、用いら
れる非イオン界面活性剤は洗浄剤の用途により適
宜選択され、単独ないしは混合物の形で用いられ
る。 本発明の洗浄剤組成物におけるN〓―長鎖アシ
ル―N〓―メチルリジン誘導体（），（）、又は
それらの塩と上記非イオン界面活性剤との配合比
は個々の組成物で異なるが、通常１／９〜９／
１、特に２：８〜８：２付近にすぐれた相乗効果
が認められる。洗浄剤の形態としては固形、粉
体、練、液体と種々の形態のものが得られ、用途
としてはシヤンプー、クレンジングフオーム、固
形洗剤、台所用洗剤、衣料用液体洗剤又は粉末洗
剤などが特に重要で代表的なものとして挙げられ
る。又、本洗浄剤組成物には使用用途、形態に応
じ、種々の補助剤が用いられる。特に重要な溶解
補助剤として種々検討した結果、液状の場合しば
しば用いられる尿素、エチルアルコール、プロピ
レングリコール、トルエンスルホン酸等が有効で
ある他、上に述べた如く化合物（）ないし
（）のすぐれた溶解補助剤として水溶性のアル
カリ土類金属塩である塩化マグネシウム、硫酸マ
グネシウム、塩化カルシウム等がその溶解性向上
に有効である。その他の補助剤として、例えば性
能をさらに向上せしめる陰イオン界面活性剤、両
性界面活性剤など、ビルダーとしてクエン酸塩、
グルタミン酸、ピログルタミン酸塩などの有機酸
や硫酸ナトリウム、リン酸塩、ゼオライトなどの
無機塩、エモリエント剤としてプロテイン、各種
アミノ酸、ラノリン、レシチン、カチオン化ポリ
マーなど、形態保持剤、稀釈剤等としてグリセリ
ン、ポリエチレングリコール、高級アルコール
等、その他ジンクピリチオンなどの薬剤、香料、
染料などを目的とする用途、形態に合わせて加え
ることが可能である。 かくして得られた洗浄剤組成物の特長を列記す
るならば、次の通りである。 (1) 液体、練状、固形、粉体の種々の形態の製品
が巾広く得られる。 (2) 泡立ち、洗浄性、浸透性にすぐれ、又硬水中
でも性能を低下することなく使用できる。 (3) 皮膚、毛髪に対して作用が温和である。 以下実施例により具体的に説明する。なお実施
例中％は重量％を意味する。 実施例 １ N〓―長鎖アシル―N〓，N〓―ジメチル（又は
N〓，N〓，N〓―トリメチル）リジンと各種非イオ
ン界面活性剤と種々配合せしめて、溶解性、泡立
ち力を測定した。測定条件及び測定結果は以下の
通りである。 １ 測定条件 (1) 溶解性 界面活性剤の0.25％水溶液における室温及
び40℃での溶解性をみた。 表中の略号；Ｓ：溶解、SH：白濁 (2) 泡立ち力 界面活性剤の0.25％水溶液40℃でロスマイ
ル法により測定し、その直後の値で表わし
た。 ２ 測定結果 表１に示す。 【表】 実施例 ２ 下記の組成を有する(1)のシヤンプーと(2)のLES
を主成分とする対照品シヤンプーの性能と、家兎
を用いた皮膚一次刺激性を測定し、夫々の結果を
表２、表３に示した。 (1) N〓―ラウロイル―N〓，N〓―ジメチルリジン
７％ N〓―パルミトイル―N〓，N〓，N〓―トリメチル
リジン ４ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド ６ 水 83.0 (2) 対称品 ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム
（LES） 11.0 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 6.0 水 83.0 表２の結果から明らかなように本発明の配合組
成物は対称品(2)に比べ泡立ち力、泡の感触にすぐ
れ、使用後の髪の感触も良好であつた。一方、皮
膚一次刺激性において対照品(2)に比し(1)は刺激性
を緩和していることが認められた。 【表】 官能評価方法：20〜30代の女性10名により、頭髪
を左右半分に分け、上記の試料を用いて洗髪
し、対称品(2)を０としたとき、供試シヤンプー
(1)の印象を以下の５段階評価により点数をつ
け、その平均点を示した。 【表】 皮膚一次刺激性試験：ニユージーランドホワイト
雄性家兎体重2.5〜3.0Kg１群６匹を用い、クロ
ーズドパツチする。１日後パツチテスト用絆創
膏をはがし、Draize評価基準により刺激性を
判定した。試料濃度は５％水溶液にして用い
た。 判定 ＜２……Mild ２〜５……Moderate ＞５……Serere 実施例 ３ シヤンプー N〓―ラウロイル―N〓，N〓―ジメチルリジン
5.0％ N〓―ヤシ油脂肪酸アシル―N〓，N〓，N〓―トリ
メチルリジン 4.0 ポリオキシエチレン（25）モノステアレート
4.0 ピロテルCPI―40（日本エマルジヨンKK製非イ
オン界面活性剤） 3.0％ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド―エチレンオ
キサイド付加物 4.0 グリセリン 1.5 ピログルタルミン酸ナトリウム 1.0 水 77.5 上記の配合組成物により、頭髪及び皮膚に温和
で泡立ち力と泡の保持性にすぐれ、又、使用後の
感触もすぐれたシヤンプーが得られた。 実施例 ４ シヤンプー N〓―ラウロイル―N〓，N〓―ジメチルリジン
5.0％ N〓―パルミトイル―N〓，N〓―ジメチルリジン
5.0 ポリオキシエチレン（20）ソルビタンモノラウ
レート 4.0 Ｎ―ココイルグルタミン酸トリエタノールアミ
ン 1.0 プロデユウ＃100（味の素KK製湿潤剤） 1.0 カチオン化セルローズ 0.5 水 83.5 上記の配合組成により頭髪に対し泡立ち性、泡
の感触にすぐれ、使用時きしみの少ないすぐれた
シヤンプーが得られた。 実施例 ５ 洗顔用練状洗剤 N〓―ヤシ油脂肪酸アシル―N〓，N〓―ジメチル
リジン 17.0％ N〓―硬化牛脂脂肪酸アシル―N〓，N〓，N〓―ト
リメチルリジン 12.0 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 7.0 ポリグリセリンステアリン酸エステル 3.0 ポリエチレングリコール 1.0 グリセリルモノステアレート 2.0 グリセリン 1.0 NaCl 0.5 水 56.5 上記の配合組成物により皮膚に温和で泡立ち力
のすぐれた洗顔用練状洗剤が得られた。 実施例 ６ 液体洗剤 N〓―パルミトイル―N〓，N〓，N〓―トリメチル
リジン 11.5％ N〓―ヤシ油脂肪酸アシル―N〓，N〓―ジメチル
リジン 10.5 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド・エチレンオ
キサイド付加物 7.0 ポリオキシエチレン(3)ラウリル硫酸ナトリウム
2.0 塩化カルシウム６水和物 2.0 尿 素 4.5 エチルアルコール 10.0 水 52.5 上記の配合組成物により、洗浄力にすぐれ、皮
膚に対して温和な感触を有した液体洗剤が得られ
た。 実施例 ７ 固形洗剤 N〓―硬化牛脂脂肪酸アシル―N〓，N〓―ジメチ
ルリジン 70.0％ ポリオキシエチレン（15）グリセリルモノオレ
ート 10.0 ステアリン酸ジエタノールアミド 7.0 ラウリン酸ジエタノールアミド 3.0 セチルアルコール 5.0 水 5.0 上記組成物をそれぞれ小型ローラーで充分に混
練した後、口型を40〜50℃に保つた小型固形石鹸
試作装置で押し出して得た棒状洗剤を足踏み式成
型機で成型した。かくして得られた固形洗剤は泡
立ち性と形態保持性にすぐれ、使用後皮膚に対し
温和な感触を与えた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記一般式（）又は（）で表わされる
   N〓―長鎖アシル―N〓，N〓―ジメチル又はN〓，
   N〓，N〓―トリメチルリジン又はそれらの塩の少
   くとも一種と、非イオン界面活性剤を主要成分と
   してなる洗浄剤組成物。 （但し、（）、（）式中RCOは炭素数８ないし
   22を有する脂肪族アシル基を表わす） ２ 非イオン界面活性剤が分子中にエーテル基と
   エステル基を含有する化合物又は分子中にアミド
   基を有する化合物である特許請求の範囲１項に記
   載の洗浄剤組成物。