JPH0225808Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は糸巻機械の糸案内機構に関し、特
に、一固定軸線を中心にボビンを回転すると共
に、ボビンの回転軸線に平行する直線に沿い糸案
内を往復動させてボビンに糸を巻く型式の糸巻機
械における糸案内機構に関するものである。

（従来の技術） この種糸巻機械の糸案内機構は、第５図に示す
ように前後に往復動する移動体１に糸案内２の基
部を回動自在に支持し、糸案内２の先端に糸案内
孔３を形成し、糸案内孔３を回転するボビン軸４
上に自重により対向させると共に、固定糸案内５
をボビン軸４の側方に設けたものが提案されてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の機構には次のような問題点があつ
た。

即ち、第５図の機構において、例えばテーパー
ボビンＢに糸を巻く場合、径の小さい部分と大き
い部分では糸案内２が実線と二点鎖線のように回
動して、糸案内孔３の位置が変化し、これにより
糸Ｔの径路がＸ，Ｘ１のように変わつて特に糸案
内孔３の部分における糸の屈曲抵抗が変わり、小
径部と大径部での糸の張力が変わつて巻きが不安
定となつて所定のテーパー状に糸が巻けず、また
糸案内２の回動がテーパーの径の変化についてゆ
けず、高速での糸巻きができない欠点があつた。

また同様にして、ストレートボビンにおいても
ボビンへの糸巻きを始めてから巻き終るまでに、
糸案内孔３の位置が徐々に変わり、糸の屈曲抵抗
も徐々に変化するので、糸がボビンに対して均一
に巻けない等の欠点が生ずる。

（問題点を解決するための手段） この考案は一固定軸線を中心にボビンを回転す
ると共に、ボビンの回転軸線に平行する直線に沿
い糸案内を往復動させてボビンに糸を巻く糸巻き
機械において、 糸案内体に対しボビンの回転軸線にほゞ直交す
る方向に摺動自在に支持すると共に、ボビンの回
転軸線上に位置しその軸線に直交する方向の糸孔
を形成した摺動体と、 摺動体と糸案内との間に設け常には摺動体をボ
ビンの回転軸に接近する方向に押圧する弾性体
と、 摺動体の糸孔の方向で且つ糸孔から離れた位置
に固定配置した固定糸案内と、 を設けることにより上記従来の欠点をなくすこと
を目的とする。

（実施例） 以下この考案の実施例を図面によつて説明す
る。１０は糸巻機械の本体であり、この本体１０
には下方に四本の糸巻軸１１ａ，１１ｂ，１１
ｃ，１１ｄ，を回転自在に支持し、その上方に
は、糸巻軸に平行な軸線をもち隣接する二本の糸
巻軸の中間に位置する二本の糸案内軸１２ａ，１
２ｂを軸線方向に摺動自在に支持し、さらに、そ
れら糸案内軸の上方には二本の固定軸１３ａ，１
３ｂを支持する。１４ａ，１４ｂは糸案内体であ
り、基部を糸案内軸１２ａ，１２ｂの先端に固定
する。１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄは摺動体
であり、これら摺動体はそれぞれ同構造であるの
で摺動体１５ｂについて第２，４図において説明
する。摺動体１５ｂは糸案内１４ａの溝１６に対
し、糸巻軸１１ａ〜ｄの軸線に直交する方向に摺
動自在に支持して、後述する下端の糸案内２２が
ボビンの糸巻量の増減に対応して上下動するよう
に設けると共に、上端を直角に折曲する。１７は
下向きコの字状の蓋体であり、溝１６に遊嵌した
摺動体１５ｂの外側から糸案内体１４ａの側端面
にねじにより固定する。

１８ｂは調節体であり、Ｌ字型に折曲し、垂直
部に孔１９と円弧孔２０とを形成し、水平部に糸
孔２１をもつ糸案内２２を支持する。この調節体
１８ｂはその垂直部の孔１９と円弧孔２０とを摺
動体１５ｂの下端に対しねじ２３，２４により固
定し、これらねじをゆるめることによつて、円弧
孔２０の範囲で回動でき、所定位置に回動した後
にそれらのねじを締めることによつて調節体１８
ｂの摺動体１５ｂに対する傾きを調節することが
できる。

２５はばねであり、上端を摺動体１５ｂに引掛
け、下端を糸案内体１４ａに設けたばね掛け２６
にかけ渡し、摺動体１５ｂを常には糸巻軸に接近
する方向に押圧するよう作用する。

また上記の調節体１８ｂの糸案内２２の糸孔２
１は、第２図に示すように糸巻軸１１ｂの中心軸
線上に位置させる。

２７ａ，２７ｂは支持体であり、固定軸１３
ａ，１３ｂの端に固定すると共に、その側端面に
は垂直に延びる支持板２８ａ，２８ｂ，２８ｃ，
２８ｄのそれぞれ下端を固定する。それら支持板
の上端には固定糸案内としての周知の糸調子器２
９ａ，２９ｂ，２９ｃ，２９ｄを設け、それら糸
調子器の上下側端には二本の案内ピン３０ａ，３
０ｂを設ける。そして、これら案内ピンの位置
は、糸案内軸１２ａ，１２ｂの移動ストロークの
ほゞ中央となるように設ける。

なお、糸巻軸１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１ｄ
は本体１０内に設けた周知の駆動装置（実公昭55
−24052号）によつて回転され、また糸案内軸１
２ａ，１２ｂも本体１０内に設けた周知の駆動装
置（上記公報）によつてその軸線方向に往復動す
る。

この考案は以上の構成であり、次に作用を説明
する。テーパーボビン３１に糸を巻くには、まず
摺動体１５ｂを上方に押し上げて糸巻軸１１ｂに
テーパーボビン３１ｂを装着し、調節体１８ｂの
ねじ２３，２４をゆるめて、調節体１８ｂを第３
図に示すようにテーパーボビン３１ｂのテーパー
面に糸案内２２ｂの糸孔２１ｂを直交させ、ねじ
２３，２４を締めて固定する。

糸Ｔは、まず上の案内ピン３０ａにかけた後に
糸調子器２９ｂにかけ、次いで下の案内ピン３０
ｂにかけ渡して下方に導き、さらに糸案内２２ｂ
の糸孔２１ｂに通した後に糸端をテーパーボビン
３１ｂにとめる。

上記状態から糸巻機械を駆動させると、糸巻軸
１１ｂが回転を始めると共に、糸案内軸１２ａが
軸線方向に往復動し、糸案内２２ｂはばね２５の
弾性力によつてテーパーボビンの外周に圧接した
状態で第３図のように往復動して糸を巻く。そし
て糸巻量が増加すると、調節体１８ａ〜ｄ下面が
ボビンに巻かれた糸によつて上方に押し上げら
れ、摺動体１５ａ〜ｄは溝１６中をばね２５抗し
て糸巻軸１１ａ〜ｄの軸線に直交する上方に徐々
に移動する。

また、ストレートボビンに糸を巻く場合は、糸
案内２２ｂの糸孔２１ｂが、ストレートボビンの
外周に対して垂直となるように調節体１８ｂを調
節し、上述したテーパーボビンへの糸巻きと同様
にしてストレートボビンに糸を巻く。

（考案の効果） 以上のようにこの考案は、糸孔をもつ摺動体が
糸巻軸の軸線に直交する方向に移動すると共に、
弾性力によつて糸孔がボビン外周に圧接され、且
つ固定糸案内を糸孔の方向で且つそれから離れた
位置に設けたので、糸巻き時における糸の屈曲抵
抗の変化が極めて少なくボビンに正確且均一に糸
を巻くことができるから、品質が安定し商品価値
の高い製品が得られる効果があると共に、高速度
の糸巻きが可能となつて作業能率が向上する効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は糸巻装置の斜視図、第２図は糸案内体
１４ａの一方の中央部断面図、第３図はテーパー
ボビンへの巻き状態における側面図、第４図は糸
案内体１４ａの一部の分解斜視図、第５図は従来
の糸案内部を示す説明図である。 図中、１１ａ〜１１ｄは糸巻軸、１４ａ，１４
ｂは糸案内体、１５ａ〜１５ｄは摺動体、２１ａ
〜２１ｄは糸孔、２９ａ〜２９ｄは固定糸案内と
しての糸調子器である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 一固定軸線を中心にボビンを回転すると共に、
   糸巻軸の軸線に平行する直線に沿い糸案内を往復
   動させてボビンに糸を巻く糸巻き機械において、 糸案内体に対し糸巻軸の軸線にほゞ直交する方
   向に摺動自在に支持すると共に、糸巻軸の軸線上
   に位置しその軸線に直交する方向の糸孔を形成し
   た摺動体と、 摺動体と糸案内体との間に設け常には摺動体を
   糸巻軸に接近する方向に押圧する弾性体と、 摺動体の糸孔の方向で且つ糸孔から離れた位置
   に固定配置した固定糸案内と、 を備えたことを特徴とする糸巻機械の糸案内機
   構。