JPH0225453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はトランスミツシヨンのミツシヨンケー
ス底部に配置され、各潤滑部分などに用いられる
ミツシヨン内の潤滑油を濾過するようにしたミツ
シヨンフイルタに関する。

《従来の技術》 一般に、オートトランスミツシヨンは遊星歯車
を変速ギアとして用い、この遊星歯車を油圧制御
回路によつて適宜切り換えることにより最適な変
速段が自動的に得られるようになつている。

また、かかるオートトランスミツシヨンは、ト
ルクコンバータを介してエンジン動力が伝達され
るようになつており、このトルクコンバータおよ
び前記油圧制御回路の作動油および遊星歯車等の
潤滑にはミツシヨンケース内に溜められる潤滑油
が用いられるようになつている。

しかし、このケース内の潤滑油は摩耗屑などの
異物が混入されており、そのまま使用すると作動
不良を生ずる惧れがある。従つて、従来はミツシ
ヨンフイルタを用いて前記の溜められた潤滑油を
濾過してから用いるようになつている。

ミツシヨンフイルタは、ミツシヨンケースの底
部に配置される関係上、ミツシヨンケース底部の
余剰スペースに無理なく収納されるように偏平状
となつたものが提案されている。

例えば、２枚の多孔板からなるプレートを偏平
な閉断面形状に接合し、この閉断面プレートの外
側に濾紙を被覆することによりミツシヨンフイル
タを構成し、前記濾紙を通過してプレートの閉断
面内に取り入れられる潤滑油をポンプで吸い上げ
るようになつている。

《考案が解決しようとする問題点》 しかしながら、かかる従来のミツシヨンフイル
タにあつては、閉断面形状に接合されたプレート
は偏平状に形成されていたため、ポンプで潤滑油
を吸い上げた際、濾材の潤滑油通過抵抗によりプ
レートの内、外で大きな圧力差が生じ、該プレー
トが内方に変形されてしまう。

従つて、プレートの強度を増大するためプレー
トの板厚を大きくする必要があり、コストアツプ
がきたされるとともに、重量の大幅な増大を余儀
なくされてしまうという問題点があつた。

そこで、本考案はプレートを厚くすることなく
強度を増大することができるようにしたミツシヨ
ンフイルタを提供することを目的とする。

《問題点を解決するための手段》 かかる目的を達成するために本考案は、多孔板
からなるアツパープレートおよびロアプレートを
偏平状の閉断面形状に接合し、かつこれらアツパ
ープレート、ロアプレートの外側が濾材で覆われ
ることにより構成され、ミツシヨンケースの底部
に位置して、該ケース内の潤滑油を前記濾材の外
側からアツパー、ロアプレート内へと通過させ、
そして該アツプ、ロアプレート内から吸い上げら
れるようになつたミツシヨンフイルタにおいて、
前記アツパープレートまたは前記ロアプレートも
しくはこれら両プレートから相手側プレートに当
接される突起部を形成することにより構成されて
いる。

《作用》 かかる構成により、本考案のミツシヨンフイル
タにあつては、突起部によりアツパー、ロアプレ
ートが相手側に変形されようとするのが阻止され
るため、アツパー、ロアプレートは板厚を大きく
することなくその強度が著しく向上するようにな
つている。

《実施例》 以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に説
明する。

すなわち、第１図、第２図は本考案の一実施例
を示すミツシヨンフイルタ１０を示し、多孔板で
形成されたアツパープレート１２およびロアプレ
ート１４を有している。ロアプレート１４は皿状
に形成され、その周縁部をアツパープレート１２
の周縁部にスポツト溶接などにより固着し、これ
らアツパー、ロアプレート１２，１４により偏平
状の閉断面形状に形成されている。

該アツパー、ロアプレート１２，１４の外側は
濾紙などの濾材１６で覆われ、該濾材１６は前記
アツパー、ロアプレート１２，１４の接合周縁部
にかしめられるかしめ板１８によつて固定される
ようになつている。

２０は前記アツパー、ロアプレート１２，１４
の閉断面空間内に連通されるアウトレツトポート
で、このアウトレツトポート２０は図外のポンプ
へと接続されるようになつている。

そして、このように構成されたミツシヨンフイ
ルタ１０は、潤滑油が溜められるミツシヨンケー
ス２２の底部に配置され、濾材１６を通過してア
ツパー、ロアプレート１２，１４内に吸引された
潤滑油をポンプによつて前記アウトレツトポート
２０から吸い上げ、この吸い上げた潤滑油を変速
ギアの潤滑部とか油圧制御回路およびトルクコン
バータの作動油として用いるようになつている。

ここで、本実施例にあつては、前記アツパー、
ロアプレート１２，１４からエンボス加工により
突起部２４，２６を内方に成形し、これら突起部
２４，２６の先端を互いに当接させてある。

以上の構成により、本実施例のミツシヨンフイ
ルタ１０にあつては、ポンプにより潤滑油を吸い
上げた場合、潤滑油の濾材１６の通過抵抗が大き
いため、該ミツシヨンフイルタ１０の内、外には
大きな圧力差が発生する。

すると、アツパー、ロアプレート１２，１４間
には空間部が形成されているため、互いに内方へ
変形されようとするが、前記突起部２４，２６で
支えられて各プレート１２，１４の変形は防止さ
れる。

つまり、該突起部２４，２６によつてアツパ
ー、ロアプレート１２，１４の強度が大幅に向上
されることになり、その分だけこれらプレート１
２，１４を薄板で形成することができる。従つ
て、ミツシヨンフイルタ１０の軽量化を達成で
き、車両重量の低減が計られる。

なお、前記突起部はアツパープレート１２また
はロアプレート１４の一方から他方に当接される
ように突設させてもよい。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案のミツシヨンフイ
ルタにあつては、アツパープレートまたはロアプ
レートもしくはこれら両プレートから相手側プレ
ートに当接される突起部を形成したので、この突
起部で各プレートを支えることができ、潤滑油の
吸い上げ時に、アツパー、ロアプレートの内、外
に圧力差が作用した際における該アツパー、ロア
プレートの変形を防止することができる。従つ
て、アツパー、ロアプレートの板厚を薄くするこ
とができるため、ミツシヨンフイルタの軽量化お
よびコストダウンを計ることができるという優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のミツシヨンフイルタの断面
図、第２図は本考案のミツシヨンフイルタの平面
図である。 １０……ミツシヨンフイルタ、１２……アツパ
ープレート、１４……ロアプレート、１６……濾
材、１８……かしめ板、２０……アウトレツトポ
ート、２２……ミツシヨンケース、２４，２６…
…突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多孔板からなるアツパープレートおよびロアプ
   レートを偏平状の閉断面形状に接合し、かつこれ
   らアツパープレート、ロアプレートの外側が濾材
   で覆われることにより構成され、ミツシヨンケー
   スの底部に位置して、該ケース内の潤滑油を前記
   濾材の外側からアツパー、ロアプレート内へと通
   過させ、そして該アツパー、ロアプレート内から
   吸い上げられるようになつたミツシヨンフイルタ
   において、前記アツパープレートまたは前記ロア
   プレートもしくはこれら両プレートから相手側プ
   レートに当接される突起部を形成したことを特徴
   とするミツシヨンフイルタ。