JPH022496B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は水溶性の熱硬化性接合剤（heat
curable cement）で繊維間が接合されたアラミ
ド繊維からなるクラツチ板及びデイスクブレーキ
板等の摩擦板及びその製法に関する。 従来技術及びその問題点 従来より自動車工業界は、自動車、トラツク及
びその他の動力乗物に使用される改善された摩擦
板の探索を広く行つてきている。改善された摩擦
板が特に要求される部分の一つとしてクラツチ板
が挙げられる。クラツチ板の製造上特に重要なこ
とは、乗物の駆動チエインの回転速度を従来の速
度よりも更に高くしても破壊強度に耐え得るこ
と、また高い摩擦系数を有し且つ通常のクラツチ
板の疲労を減少せしめてその使用寿命を増大せし
めることにある。 クラツチ板が熱破壊強度試験に於いて好成績を
納め得ることは主要な自動車製造業者の強く望む
ところである。この試験はクラツチ板の受ける最
も苛酷な試験であつて、通常この試験を実施する
とクラツチ板を形成している繊維状の物質や樹脂
やゴムなどのバインダーが高温に耐えられず強度
が低下し、この結果比較的低い回転速度で破壊し
てしまうのである。外径が11インチで内径が6.5
インチの石綿繊維で構成される通常のクラツチ板
は、熱破壊強度試験により約8000から9000r.p.m
の回転速度で破壊することが知られている。 このようなクラツチ板の欠点を改善するため
に、石綿繊維を摩擦物質として維持する一方、こ
の補強材としてガラス繊維が用いられてきた。 近年、熱破壊強度を改善するためにガラス長繊
維束を螺旋状又はランダムに巻いて環状の板と
し、これを熱硬化性の接合剤に含浸せしめてなる
クラツチ板が、米国特許第3743069号、第3756910
号及び第4118528号に開示されている。 米国特許第4130537号の記載によれば、摩擦材
の摩擦成分としてのガラスは、ガラスからなる摩
擦材と他の板の表面とを摩擦せしめるとき騒音や
振動その他の異常な摩擦による影響が現れるため
実用に供するには致らず、これらの欠点を克服す
るために、前記特許では約400〓から800〓の分解
温度を有する不熔性の有機質繊維、即ち例えばノ
メツクスという名のデユポンより発売されている
アラミド繊維の使用を提案している。 従来より使用されている石綿繊維からなるクラ
ツチ板は従来の熱破壊強度試験に対しては限界で
あり、例えば約0.22から約0.44程度の摩擦系数を
有しているが、10、000回の試験により約0.01−
0.012インチの高い摩耗性能を示す。 一方、ガラス繊維クラツチ板は改善された熱破
壊強度を示すのであるが、石綿繊維クラツチ板に
比較すれば耐疲労性が低い。 このためこれらの主要特性については更に改善
が必要であるのが実情である。 また、アラミド繊維を摩擦材及び補強材として
使用することが検討されているが、アラミド繊維
を使用したクラツチ板は次の欠点を有している。
即ち、許容交差でのグラインドが困難であり、内
燃機関の動力伝達系統に取付けるための孔のドリ
リングが困難であつた。また、グラインドしてい
るときに発熱しこれが排出系統中でダストを発火
させた。また、グラインドしたクラツチ板の表面
に毛羽立ちが目立つた。水をスプレーしながら板
をグラインドすれば火災の危険性は減少するが、
板表面の毛羽立ちは著しかつた。また水スプレー
下で、或いはその他の方法でクラツチ板表面をせ
ん孔した場合でも明瞭な孔を得ることは非常に困
難であつた。 アラミド繊維でデイスクブレーキ板及び関連す
る摩擦部材を製造する際にも前記部材は穿孔し且
つ許容公差で研磨しなければならないから同様の
問題があつた。 本発明の目的は、新規な摩擦板に関し、特に摩
擦表面がアラミド繊維から成り且つこの摩擦板が
比較的に安価に製造できるようにすることにあ
る。 問題点を解決するための手段及び作用 本発明は、水溶性の熱硬化性接合剤で接合し
た、アラミド繊維からなるクラツチ板及びデイス
クブレーキ板の如き摩擦板とその製法を開示す
る。 以下、本発明を図面に基づいて説明する。 図中数字１０はクラツチ板の如き円板状の環状
摩擦板であつて、熱硬化性接合剤を被覆した通常
アラミド長繊維からなる連続糸束或はテープ１２
を、第１図及び第２図に示すように波形に巻いて
円板状の板に成型することによつて得られる。 第１図は回転軸２０上に連続テープ１２を半径
が刻々変化するように巻いていく方法を示す。テ
ープは図示するようにランダムに巻くことが好ま
しいが望むならば螺旋状に巻いてもよい。 第２図はクラツチ板部材１０の製造工程を、
、の区分に分けて図示するものであり、は
クラツチ板の完成部、は中間過程を、は環状
板の初期の形成段階を示す。 摩擦板に使用する部材は加熱及び加圧して合体
しめて接合剤を固着させる。成形段階に次いで、
得られた摩擦板を更に熱処理し、接合剤を不熔性
且つ不溶性にする。 デイスクブレーキ板の如き摩擦板についても、
本発明記載の方法により製造し得る。 本発明によりブレーキ板を製造するには、例え
ば切断繊維の如きアラミド短繊維、望むならば捲
縮短繊維と、後述の水溶性ベースの熱硬化性接合
剤を撹はん翼の付いた混合機で均一に混合せし
め、150〓の熱風乾燥機中で揮発性分が約４から
６％になるまで乾燥する。次いでこのペレツト状
の乾燥物を、前もつて加熱した成形器に入れてデ
イスクブレーキ板状に冷却成型し、後熱処理を行
い、穿孔及び研磨する。 他の方法としては、図面に記載の如き環状のク
ラツチ板よりデイスクブレーキ板を製造すること
ができる。デイスクブレーキ板は、前もつて加熱
してある成形機に入れて加圧し、後熱処理をし、
穿孔、研磨して得られる。 本発明の摩擦剤に用いるアラミド繊維は、“ケ
ブラー”と称する市販の糸であつて、アラミドと
は、低温（212〓以下）に於いてジアシツドクロ
ライドの酸基とジアミンのアミノ基が相互にメタ
又はパラの位置にある繊維の名称である。 アラミド繊維を形成する重合体は次のような循
環構造単位の高分子物質である。 ここに、R₁は水素又は低アルキルであり、Ar₁
及びAr₂は同種又は異種の、置換されない二価の
芳香族ラジカルであり、二価芳香族ラジカルの鎖
の結合手は相互にメタ又はパラの位置にあつて、
芳香族分子についている置換基としては低アルキ
ル、低アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、低カルバ
ルコキシ、重合時にポリアミドを生成しないよう
な他の基等の１個或いは複数個の混合物等が挙げ
られる。 本発明の摩擦剤成分として用いられるアラミド
繊維の重合体については、米国特許第3094511号
に記載されている。アラミド繊維は、少くとも約
850〓、好ましくは900〓を越える分解温度を有し
ているものにすべきである。 本発明の摩擦板に用いることのできるアラミド
繊維は、テレフタル酸とｐ−フエニレンジアミン
の縮重合物である重合体からなるものが望まし
い。一例として、約930〓の分解温度、1.44ｇ／
cm³の密度、約0.0005インチの繊維直径、21ｇ／デ
ニールの強度及び約400000psiの引張強度等の繊
維特性を有するものが好ましい。 摩擦板及びその用途に望まれる繊維の形態は、
長繊維又は短繊維或いは切断繊維であり、短繊維
の場合は約1/8から２インチ長の繊維が用いられ
る。 本発明の摩擦材からなるクラツチ板は、例え
ば、長繊維からなるアラミド糸を使用してなるも
のが望ましい。一方、短繊維からなる糸をコスト
減少の目的で長繊維の代替として用いることがで
き、短繊維或いは切断繊維はデイスクブレーキ板
及びブレーキライニング材の製造上有利である。 アラミド繊維の代替繊維としては、約30重量％
の非アラミド繊維、木綿、麻、大麻、ナイロン、
レーヨン、ガラス繊維、石綿繊維等の有機繊維及
び無機繊維、また銅繊維のような金属線状物も使
用できる。 本発明の明細書及び特許請求の範囲記載の
“糸”（yarn）は、アラミド長繊維（filament）
或いは短繊維（staple fibers）の集束したもの又
は組合せたものである。長繊維からなる糸は100
本から2000本、好ましくは1500本から2000本の繊
維を公知の技術によつて各々ほぼ平行に集束した
ものである。短繊維からなる糸は、約500から約
10000デニール、好ましくは約4000から6000デニ
ールの糸である。糸を形成する長繊維は極めて細
い繊維直径を有するものであつて加撚していない
のが通常であるが、多少の撚りがあつてもよい。 短繊維からなる糸は繊維束がほつれないよう充
分加撚されている。図示のクラツチ板１０の摩擦
材はアラミド繊維の他に熱硬化性樹脂、加硫性弾
性体及び摩擦緩和剤を含むものである。 アラミド繊維に被覆すなわち含浸せしめる熱硬
化性接合剤は、加硫性ゴム、好ましくはカルボキ
シル化ゴム（後に詳述する）を含有しており、水
溶性の熱硬化性樹脂及び摩擦緩和剤を所定の配合
比を含んで成るものである。接合剤は表面活性剤
を含むことある水分散体の形で使用される。 アクリル系ゴム又は弾性体は一般にエチルアク
リレート、ブチルアクリレート或はこれらの組合
せの重合体或いは共重合物である。これらのゴム
は、通常２−クロロエチルビニルエーテル、２−
クロロエチルアクリレート、アクリロニトリル、
ビニルクロルアセテート、メタクリル酸又はエタ
コン酸の如き共重合物を含有する。アクリロニト
リル、クロロエチルビニル及びクロロエチルアク
リレート等の共重合物は、耐油性を付与する効果
がある。共重合物を含むアクリル系ゴムはアンモ
ニウムベンゾエートや石鹸及び硫黄等により熱硬
化させることができる。 加硫性カルボキシゴムは、少なくとも三種類の
単量対からなる耐油性の高強力ゴムである。即ち
主としてイソプレン、クロロピレン及び１種又は
各種のアクリル系酸又はアクリルニトリル又はス
チレン、ブタジエン、及び１種又は各種のアクリ
ル系酸等の単量体である。これらの単量体を共重
合すると、通常のネオプレンSBR或いはニトリ
ルゴムと同じ鎖を生じるが、約１個から100又は
200個の炭素原子の周期をもつ鎖にそつて分布し
ているカルボキシ基は生じない。 これらの種類の重合体は、カルボキシル系基や
通常の硫黄系の加硫反応によつてキユアリング又
は硬化が行われる特長がある。キユアリングの一
つの手法として、カルボキシル系基を多価の金属
塩又は酸素で中和反応させて鎖を結合せしめるこ
とが挙げられる。この反応の促進にはCa＋＋イ
オン、Mg＋＋イオン及びpb＋＋イオンが用いら
れる。この重合体鎖は、SBR及びブタジエン、
アクリロニトリルゴムに生じる二重結合も有して
いるので通常の硫黄加硫剤が適用できる。金属オ
キサイド及び硫黄−熱加硫系のものは、乾燥ゴム
及びラテツクス状のカルボキシル化ゴムの両方に
使用することができる。 通常のSBR又は等価耐油性のニトリルゴムと
比較すると、カルボキシル化したものは、引張り
強度及び系数が高く、低伸度で硬度が高く、熱引
裂及び引張りに強く、低温破壊が少く、耐オゾン
性があり、耐熱オイル性や耐候性など多くの物理
特性を示す。 カルボキシゴムとしては、PH3.5から9.5の範囲
で安定なラテツクス状のものを使用する。前述の
ように、このラテツクスは、硫黄、金属オキサイ
ド及び促進剤のような通常の熱加硫系或いは金属
オキサイドの単独使用により、熱硬化させる。後
者の場合は固形重合体100に対して５から10部を
使用する。 アクリルゴム又はカルボキシル化ゴムの他に、
熱硬化性接合剤系は水溶性、熱硬化性フエノール
樹脂を含んでいる。“水溶性”とは、重量で約10
％以下の水に樹脂が可溶性であることを意味す
る。硬化前の該樹脂は、後記の構造を有するホル
ムアルデヒドの如き、１種又は多種のアルデヒド
分子で反応させたフエノールの混合物を含んでい
る。

【式】

【式】 ここに、Ｘは低アルキル又はヒドロキシアルキ
ル又はアクリルである。他に適当な熱硬化性樹脂
としてはレゾルシノールホルムアルデヒド、フエ
ノール−クレゾールホルムアルデヒド及びメラミ
ンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これら
の樹脂は、約265−285〓の加熱板上にて、１分か
ら２分熱処理を行う。 而して、アラミド繊維に熱硬化性接合剤系が水
溶性の分散物状で固着されるので、火災の危険性
や、有機溶剤の使用による生態学的な有害性の問
題が解消され、且つ製造工程に於けるコストを減
少せしめることができるものである。また、この
ような水溶性の処理剤を使用するため、本発明の
摩擦板の研磨や穿孔が改善できる。 アラミド繊維に用いられる熱硬化性接合剤系
は、例えば固形分が30〜85％の水分散液状であ
り、通常接合剤固形全重量に対し、約５〜約40％
のゴム、約５〜約40％のフエノール系樹脂及び約
20〜約80％の摩擦緩和剤を含んでいる。水分散液
には、固形物が長繊維を湿潤せしめるに充分な少
量の表面活性剤を加えてもよい。通常約0.01〜５
％の添加で充分である。表面活性剤を添加してラ
テツクスを調製するので、接合剤を調製する場合
に表面活性剤を追加する必要はない。 また、熱硬化性接合剤は、ゴムや樹脂用の熱硬
化剤（curing agent）、及び熱硬化時間を短縮さ
せるための促進剤を含む。 接合剤系に使用する粒子状の摩擦緩和剤として
は周知のカーボンブラツク、グラフアイト、金属
オキサイド、金属粉体、重晶石、粘土、けい素、
アルミナ、氷晶石、一酸化鉛等が挙げられる。熱
硬化性接合剤には周知の有機質の充填物例えば重
合したカシユーナツツ油の細い分離物を併用する
ことができる。 アラミド繊維には、好ましくは糸の状態で、接
合剤が被覆された繊維の重量に対し、約40〜95
％、好ましくは60〜約80％の接合剤固形物を被覆
せしめる。 糸束に各種の被覆物をスプレー或いは付着せし
める繊維織物仕上装置が種々あり、これらの装置
を用いて繊維束又は糸をし櫛状目のある装置にて
開繊してのち、通常ローラ型の被覆処理液槽中を
通過させ、被覆剤成分を繊維に密接に付着させる
ことができる。 本発明の摩擦材のアラミド繊維を接合させる代
表的な接合剤成分を第１表に示す。 第 １ 表組成物 重量部（乾燥時） 加硫性ゴム ５−20 フエノール系樹脂 ５−20 促進剤 １−２ 熱硬化剤（curing agent） １−15 粒子状摩擦緩和剤 30−60 熱硬化性接合剤を付着処理後、脱水し、通常２
本から15本、好ましくは５本から10本の糸を、ロ
ーラー等によりテープ状に集束し、僅か加撚され
たテープ状にする。このテープは、次いで螺旋状
好ましくは波形状に、回転軸上にテープの渦が巻
かれていくに従い刻々半径が変化してゆくように
巻きつける。 第２図は、この巻き方を示すものである。 このようにして得られた一枚のクラツチ板を成
型機に入れ、約3500から5000psiの加圧下で、例
えば、２〜３分間約350〓から375〓で加熱せし
め、少くとも部分的に接合剤を熱硬化させ、該板
を硬化せしめ、次いでこれを約400から450〓の乾
燥機中にて、数時間加熱せしめて接合剤を不熔且
つ不溶性に変質させる。このクラツチ板は更に研
磨用の通常の機械工程にて、内燃機関の動力伝達
系統に該板を取付けるための孔を数個所穿孔す
る。（第３及び第４図参照） 次に実施例に基いて本発明を更に詳細に説明す
る。 実施例 実施例 １ 本発明のアラミド繊維摩擦材を用いたクラツチ
板を本実施例の方法により製造した。 2/1のアラミド紡績糸（47.8重量％）を10ミリ
メートルの銅線（28.8重量％）と5/1木綿糸
（23.3重量％）と共に混繊して糸とし、該糸に第
表に示す組成の熱硬化性接合剤の水溶液を付着
被覆せしめ、固形物が46％付着するよう仕上げ
た。 第 ２ 表組成物 重量部（乾燥固形分時） カルボキシニトリルゴム 16.5 熱硬化性フエノールホルム アルデヒド樹脂 13.9 粒子状摩擦緩和剤 55.5 熱硬化促進剤 ０ 熱硬化剤 14.1 該糸を浸漬タンクに連続通過せしめた後、115
〓に保つた乾燥器により乾燥したところ、処理後
の糸の全量に対し52.5％の乾燥接合剤を被覆した
糸が得られた。 乾燥器から出た糸を集束してテープ状となし回
転軸上に、渦巻上テープが刻々半径が変化するよ
うに巻きとり環状の板を得た。次いで該環状板を
成形機に入れ、4000psiの加圧下で350〓にて３分
間、部分的に接合前を熱硬化させて固化せしめ
た。このクラツチ板を更に300〓から450〓にて全
５時間半後加熱処理を行つた。このクラツチ板の
ひずみ収縮その他型崩れ現象はみられなかつた。
クラツチ板は外径11インチ、内径6.5インチ、厚
さ0.137インチ±0.002インチになるように研磨
し、クラツチ組立用の孔を穿孔した。この研磨、
穿孔工程中に於ける板表面に毛羽立ち、ダストの
発火或いは発煙現象などは起らず明瞭な孔が得ら
れた。 実施例 ２ 実施例１で得られたクラツチ板をロングのクラ
ツチ動力計を使用して制御トルク試験を行つた。
この試験に於いて、クラツチ板の外径及び内径に
つき10ケ所を前もつて測定した後、摩擦特性を測
定し次のような結果を得た。 Ａ クラツチ板を1100rpmで４秒間、235 1b.ft.
のトルク条件下で試験を実施した。クラツチ出
力トルクは装置内の機構をリリースしクラツチ
板の接触を限定することにより４秒間の試験中
に出力トルクの平均値が維持できるように制御
した。 Ｂ 56秒間クラツチをリリースし再試験した。 Ｃ 100回試験後、全圧で15秒間熱フエード試験
（heat fade test）を行つた。 Ｄ 無冷却で、圧力を直ちに調整してトルクを
235 1b.ft.に調節し、更に100回繰返し試験を行
つた。 Ｅ 全圧下で更に15秒間熱フエード試験を行い、
無冷却で更に100回繰返し試験を行つた。 Ｆ 最後に15秒間全圧で熱フエード試験を行つ
た。 第３表は、第１、第２、第３の15秒間のフエー
ド試験中に得られた摩擦系数の最大値と最小値を
示す。 第 ３ 表 フエード(fade)番号 最大値μ 最小値μ １ 0.47 0.26 ２ 0.47 0.27 ３ 0.46 0.28 試験中の平均摩耗は僅か0.009インチという秀
れた結果が得られた。 発明の効果 本発明による摩擦板は耐摩耗特性を有するため
極めて長期の使用に耐え得るものであり、また、
今日の自動車業界が要求している高度の熱破壊強
度を有するものである。 特に、本発明の摩擦材は、研磨及び穿孔が容易
である点が有利である。研磨した摩擦部材の表面
の毛羽立ちは目立たず且つその穿孔部分は明瞭で
あり滑らかである。これらの長所は、特殊な熱硬
化性接合剤を使用したこと、摩擦板にアラミド繊
維を併用したことにより得られたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は熱硬化性接合剤を付着せしめたアラミ
ド繊維からなるテープを、波形状に巻いて円板状
のクラツチ板部材を製造する態様を示す。第２図
は、熱硬化性接合剤を付着せしめたアラミド繊維
でクラツチ板部材を形成する段階を三段階に分け
て示す。第３図は本発明によるクラツチ板の正面
図である。第４図は第３図に示すクラツチ板の側
面図である。 １０……クラツチ板、１２……テープ、２０…
…回転軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ テープに水溶性の熱硬硬化性接合剤を付着せ
   しめ、前記テープを螺旋又は波形状に巻いて加
   熱、加圧せしめて円形状板に成型し且つ前記接合
   剤を硬化せしめた摩擦板に於いて、前記テープは
   少くとも約850〓の分解温度を有するアラミド繊
   維の複数本の糸に熱硬化性接合剤を被覆して成
   り、前記接合剤は、熱硬化性樹脂と、カルボキシ
   ル化可能のアクリル系ゴム、カルボキシニトリル
   ゴム、カルボキシブタジエンスチレンゴムの群か
   ら選ばれる熱加硫性弾性体と、粒子状の摩擦緩和
   剤から成り、前記摩擦板は被覆処理後の繊維と接
   合剤の総重量に対し約40％から95％の熱硬化性接
   合剤を含み、内径及び外径を有する円板状摩擦
   板。 ２ 前記糸が主として長繊維アラミド繊維からな
   り、前記テープが波形状に巻かれている特許請求
   の範囲第１項記載の摩擦板。 ３ 約60％から約80％の熱硬化性接合剤を含む特
   許請求の範囲第１項記載の摩擦板。 ４ 前記接合剤が約５％から40重量％の熱硬化性
   樹脂と約５％から約40％の熱加硫性弾性体及び約
   20％から80％の摩擦緩和剤を含む特許請求の範囲
   第１項記載の摩擦板。 ５ 前記熱硬化性接合剤が約５％から20％の樹脂
   と約５％から20％のゴム及び約30％から60％の摩
   擦緩和剤を含む特許請求の範囲第４項記載の摩擦
   板。 ６ 前記アラミド繊維が少くとも約900〓の分解
   温度を有する特許請求の範囲第１項記載の摩擦
   板。 ７ 前記熱硬化性接合剤がフエノールホルムアル
   デヒト樹脂とカルボキシニトリルゴムを含む特許
   請求の範囲第１項記載の摩擦板。 ８ 前記アラミド繊維がテレフタル酸とｐ−フエ
   ニレンジアミンの縮重合物を含む特許請求の範囲
   第１項記載の摩擦板。 ９ 前記アラミド繊維が約930〓の分解温度を有
   する特許請求の範囲第８項記載の摩擦板。 １０ 次に記載する方法によるクラツチ板等に用
   いる環状板の製造方法。 (A) 約850〓以上の分解温度を有するアラミド長
   繊維からなる複数本の糸に、カルボキシル化可
   能のアクリル系ゴム、カルボキシニトリルゴ
   ム、カルボキシブタジエンスチレンゴムの群か
   ら選ばれる約５％から約40％の加硫性ゴム、約
   ５％から約40％の水溶性の低分子量の熱硬化性
   フエノール系樹脂、及び約20％から80％の粒子
   状摩擦緩和剤から成る熱硬化性接合剤（前記％
   は接合剤の混合全量に対する％）を、接合剤固
   形物重量に対し約0.01％から約５％の表面活性
   剤又は分散剤を含む前記接合剤の水溶性分散液
   中を通過させて含浸せしめる。 (B) 前記熱硬化性接合剤を含浸させた前記糸を乾
   燥する。 (C) 前記糸を螺旋状又は波形状に巻いて円板状摩
   擦板を成型する。 (D) 次いで前記板を加熱及び加圧して前記板を固
   化し前記接合剤を硬化させる。 １１ 工程(A)に於ける前記糸が、被覆処理後の長
   繊維の重量に対し約65％から約90％の熱硬化性接
   合剤系を含む特許請求の範囲第１０項記載の製造
   方法。 １２ 前記糸を波形状に巻く特許請求の範囲第１
   ０項記載の製造方法。 １３ 約100本から2000本の実質的に連続したア
   ラミド長繊維からなる前記含浸アラミド糸を約２
   本から15本集束してテープとなし、該テープを波
   形状に巻いて摩擦板を形成せしめる特許請求の範
   囲第１０項記載の製造方法。 １４ 前記テープを巻いて摩擦板成型をする前
   に、少くとも１本の螺旋状のフイラメント状物質
   を前記含浸テープの周囲に巻く特許請求の範囲第
   １３項記載の製造方法。 １５ 前記フイラメントが金属線からなる特許請
   求の範囲第１４項記載の製造方法。 １６ 前記アラミド繊維が短繊維である特許請求
   の範囲第１０項記載の製造方法。 １７ 前記摩擦板を形成する前記テープが約30重
   量％以下の非アラミド繊維を含む特許請求の範囲
   第１３項記載の製造方法。 １８ 前記アラミド繊維がテレフタール酸とｐ−
   フエニレンジアミンの縮重合物からなり且つ約
   930〓の熱分解温度を有する特許請求の範囲第１
   ０項記載の製造方法。 １９ 前記糸が熱硬化性接合剤に含浸せめしる前
   は織物又は編物の形状であり、前記接合剤を含浸
   せしめた後波形状に巻いて環状板を形成せしめる
   特許請求の範囲第１０項記載の製造方法。