JPH022486B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はオーバランニングクラツチ装置の製
造方法に関するものである。

第１図は従来のオーバランニングクラツチ装置
を示す側部断面図である。第１図において、直流
電動機の電機子１は内燃機関（図示せず）の始動
時に駆動されて出力回転軸２を回転させるもので
ある。オーバランニングクラツチ３は出力回転軸
２のヘリカルスプライン部２０１に軸方向に摺動
可能にヘリカルスプライン結合され、出力回転軸
２の一方向の回転力のみを伝達する機能を有する
もので、次の各構成部品により構成されている。
クラツチアウタ４は出力回転軸２との間に空間を
形成し、電機子１と反対側に開口を有する筒状部
４０１と、出力回転軸２にヘリカルスプライン結
合する筒状部４０４と、これらの筒状部４０１，
４０４を連結する壁部４０３とからなり、筒状部
４０１の内周面には円周方向に複数個の鋸歯状突
起を形成して構成された凹状のカム部を備えてい
る。クラツチインナ６は出力回転軸２の精密加工
部２０２にスリーブベアリング６を介して回転可
能に、且つ軸方向に摺動可能に支承され、その一
端部５０１は筒状部４０１内に挿入されている。
楔形空間７は筒状部４０１内周面とクラツチイン
ナ５の一端部５０１とによつて、出力回転軸２に
対して同心円周状に楔状に複数個形成されてい
る。ローラ８は円柱もしくは円筒状に構成され、
楔形空間７に出力回転軸２と同軸方向に設置され
てクラツチアウタ４の一方向の回転力のみをクラ
ツチインナ５に伝えるものである。ワツシヤ９は
クラツチインナ５の外周面に設けられた環状の溝
５０２内に挿入され、筒状部４０１の開口部を塞
ぐもので、クラツチインナ５が精密加工部２０２
に挿入される前に装着されている。カバー１０は
ワツシヤ９をクラツチアウタ４に固定するもので
ある。ピニオン１１はクラツチインナ５の他端部
の外周表面に取付けられている。環状体１２はク
ラツチアウタ４における筒状部４０４の外周表面
に設けられた環状の溝４０２内に挿入されて壁面
４０３との間に凹部を形成し、その凹部にピニオ
ン１１を軸方向に摺動移動させるシフトレバー
（図示せず）を係止するものである。

このようなオーバランニングクラツチ３はま
ず、クラツチインナ５の溝５０２内にワツシヤ９
を挿入しておき、次に、クラツチアウタ４におけ
る複数の筒状部４０１内周にそれぞれローラ８を
配置してこれらの内周にクラツチインナ５の一端
部を挿入し、その後、ワツシヤ９およびクラツチ
アウタ４の外表面にカバー１０をかしめ付けする
ことによつて形成されている。

なお、内燃機関（図示せず）のリングギヤ１３
はピニオン１１の右方向の摺動移動時に、ピニオ
ン１１と噛合して内燃機関（図示せず）を始動す
るものである。また、ストツパ１４はピニオン１
１の右方向の摺動移動を係止するもので、精密加
工部２０２の外周表面に設けられた環状の溝２０
３にリング１５を挿入して形成されている。

次に上記構成の従来装置の動作を説明する。オ
ーバランニングクラツチ３がシフトレバー（図示
せず）によつて図中の右方向に出力回転軸２上を
移送され、ピニオン１１がリングギヤ１３に噛合
される。次に電機子１が通電付勢されて回転力を
発生し、この回転力が出力回転軸２のヘリカルス
プライン部２０１を介してクラツチアウタ４に伝
えられ、ローラ８の一方向係合作用によつてクラ
ツチインナ５及びピニオン１１が駆動され、リン
グギヤ１３を回転駆動して内燃機関（図示せず）
を始動することになる。

このような従来のオーバランニングクラツチ装
置においては、ピニオン１１の径が小さいために
カバー１０をクラツチアウタ４およびワツシヤ９
に固定する場合、かしめ工具の当接方向を自由に
選択することができるが、リングギヤ１３とのギ
ヤ比を変更する必要がある場合、ピニオン１１が
クラツチアウタ４より大径となると、カバー１０
の組付けが困難なものとなつていた。

この発明は上記従来のものの欠点を除去するた
めになされたもので、以下、図面を用いてこの発
明を説明する。

第２図はこの発明によつて形成されたオーバラ
ンニングクラツチ装置を示す側部断面図である。
図中、第１図と同一部分には同一符号を付してい
る。

第２図において、ワツシヤ９′は２枚の半割り
ワツシヤであり、筒状部４０１の開口部を塞ぐも
のである。カバー１０′はクラツチアウタ４の外
周表面を覆う筒状部１０１と、筒状部１０１の一
端部に取付けられたクラツチインナ５を貫通挿入
する貫通孔１０２を備えた底面部１０３とから構
成され、筒状部１０１の他端部をクラツチアウタ
４にかしめ付けることにより、ワツシヤ９′をク
ラツチアウタ４に固着するものである。ピニオン
１１′はクラツチアウタ４より大きな外径を有し、
リム部１１１とボス部１１２との間に軸方向に貫
通する貫通孔１１３が設けられた平歯車からな
り、クラツチインナ４の他端部の外周表面に固着
されている。

次に、このようなオーバランニングラツチ装置
を組み立てる場合について第３図を用いて説明す
る。

まず、クラツチインナ５の溝５０２内にカバー
１０′を挿入しておき、クラツチアウタ４の筒状
部４０１にローラ８を配置してこの内周にクラツ
チインナ５の一端部５０１を挿入する。このと
き、カバー１０′の筒状部１０１がクラツチアウ
タ４の筒状部４０１外周表面上を覆うように配置
する。次に、クラツチアウタ４とカバー１０′と
の間に２枚の半割りワツシヤ９′を挿入してクラ
ツチアウタ４の開口部を塞ぐように位置決めす
る。その後、ピニオン１１′の貫通孔１１３を通
して軸方向にマンドレル（芯金）１６を挿入し、
第３図に示すようにカバー１０′の底面部１０３
をクラツチアウタ４の端面に押し当てる。次い
で、かしめ治具１７を第３図の矢印Ａ方向に押圧
してカバー１０′の筒状部１０１の先端部を矢印
Ｂ方向に折り曲げ、カバー１０′をクラツチアウ
タ４の筒状部４０１外周にかしめ固定する。

すなわち、ピニオン１１′に軸方向の貫通孔１
１３を設けることによつてオーバランニングクラ
ツチ装置のかしめ作業を容易に行なわせることが
可能となる。また、貫通孔１１３にかしめ治具１
７を挿通するため、かしめ治具１７の位置決めを
容易とする効果も有している。

以上のように、この発明によれば、ピニオンの
径がクラツチアウタの径より大となつてもカバー
のかしめ付けを容易に行なわせることが可能とな
り、オーバーランニングクラツチ装置における組
立作業を効率よく行なわせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のオーバランニング装置を示す側
部断面図、第２図はこの発明によるオーバランニ
ング装置を示す側部断面図、第３図はこの発明に
おける組立作業を説明する状態図である。 図において、各図中同一部分もしくは相当部分
は同一符号もしくは同一符号にダツシユを付して
おり、２……出力回転軸、２０１……ヘリカルス
プライン部、３……オーバランニングクラツチ、
４……クラツチアウタ、４０１……筒状部、５…
…クラツチインナ、５０１……一端部、６……ス
リーブベアリング、７……楔形空間、８……ロー
ラ、９……ワツシヤ、１０′……カバー、１０１
……筒状部、１０２……貫通孔、１０３……底面
部、１１′……ピニオン、１１１……リム部、１
１２……ボス部、１１３……貫通孔である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内燃機関の始動時に駆動され回転する回転
   軸、内周面に円周方向に複数の鋸歯状突起が形成
   され、かつ前記回転軸との間に空間を形成する筒
   状部を有し、前記回転軸に軸方向に摺動可能に装
   着されるクラツチアウタ、このクラツチアウタの
   筒状部内に挿入され、前記筒状部内周面との間で
   複数個の楔形空間を形成するクラツチインナ、前
   記複数個の楔形空間にそれぞれ挿入された複数個
   のローラ、前記クラツチアウタの筒状部外周を覆
   う筒状部と、前記楔形空間の開口を塞ぐ底面部と
   からなるカバー、前記クラツチアウタより大なる
   外径を有し、前記クラツチインナに固着されたピ
   ニオンを備えたものにおいて、前記ピニオンに軸
   方向の貫通孔を設け、該貫通孔を通してマンドレ
   ルを挿入して前記カバーの底面部を前記クラツチ
   アウタの筒状部端面に押圧した後、前記カバーの
   筒状部先端部にかしめ治具を押圧して折り曲げ、
   前記クラツチアウタの筒状部外周にかしめ付けす
   るようにしたことを特徴とするオーバランニング
   クラツチ装置の製造方法。