JPH0223567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属キヤツプに関し、さらに詳しく
は、天板に沿つて１対の対向するスコア線が形成
され、かつ該スコア線を引裂いて開封するための
タブが設けられた開封容易な金属キヤツプに関す
る。

ビールや炭酸飲料等の正内圧性内容品（すなわ
ち充填密封後、室温において大気圧よりも高い内
圧を発生する内容品）の充填された容器を密封す
るための金属キヤツプは、高い正内圧（例えば７
気圧）に対しても密封性を確保するため、容器口
部の端部の形状に対応して、好ましくはサイドシ
ール可能に形成されたシール部を有するライナー
層を備えることが望ましい。

このようなライナー層の形成は、金属キヤツプ
の天板内面に一定量の溶融プラスチツク粒を供給
して、該溶融プラスチツク粒を押型成形すること
によつて行なわれるので、ライナー層は天板内面
の全面またはほぼ全面にわたり（本明細書におい
ては、ほぼ全面にわたる場合を含めて、全面にわ
たるとよぶことにする）設けられる。

そのため、金属キヤツプが、天板に沿つて形成
された１対の対向するスコア線を、タブによつて
引裂いて開封するタイプのものである場合、開封
途中において、金属キヤツプと容器口部間の巻締
力は低減するが、容器口部は依然としてライナー
層によつて全体が蔽われているため、内圧によつ
て爆発的に金属キヤツプが吹飛ばされる危険を生
ずるという問題が起る。

本考案は以上に述べた従来技術の問題点の解消
を図ることを目的とする。

上記目的を達成するため、本考案は天板に沿つ
て１対の対向するスコア線が形成され、該スコア
線を引裂いて開封するためのタブが設けられ、か
つ該天板の内面の全面にわたりライナー層が設け
られた開封可能な金属キヤツプであつて、該対向
するスコア線に挾まれた領域に対応する該ライナ
ー層の部分のタブ側シール部近傍に、引裂き容易
な環状のスコア部が形成され、該スコア部の内部
には強接着部が形成されており、かつ該ライナー
層の部分の該スコア部外側の、少なくとも該タブ
側シール部より該金属キヤツプのほぼ中心部に至
る区域が、開封のさい該ライナー層が該天板より
容易に離れる程度の弱接着域，または非接着域と
なつていて、該タブを引上げて該スコア線を引裂
いて開封するさい、該スコア部が引裂かれて、該
ライナー層の該スコア部内の領域が開口するよう
になつていることを特徴とする開封容易な金属キ
ヤツプを提供するものである。

以下実施例である図面を参照しながら本考案に
ついて説明する。

第１図，第２図，第３図において、金属キヤツ
プ１は、天板２、スカート部３、およびスカート
部３の下端に連接するタブ４を有している。金属
キヤツプ１には、タブ４の基部の両側縁４ａか
ら、ノツチ部５を介して、スカート部３の外面に
沿い立上り、天板２の外面に沿つて延び、タブ４
の反対側のスカート部３部分の上部において終る
１対の対向する引裂き可能なスコア線６が形成さ
れている。なお７は補強用のリブである。

天板２の内面には、全面にわたりライナー層８
が設けられている。ライナー層８は例えばポリエ
チレン等の熱可塑性プラスチツクよりなり、溶融
プラスチツク粒の押型成形によつて形成れる。ラ
イナー層８の周辺部は比較的肉厚のシール部８ａ
となつており、シール部８ａより内側の中央部８
ｂは比較的薄肉になつている。シール部８ａの外
縁には、容器口部９の端部９ａ（第４図参照）の
形状に対応して、サイドシール可能に、外側斜下
方に延びるテーパ部８a₁が形成されている。

対向するスコア線６に挾まれた領域に対応する
ライナー層８の部分８ｃ内に、タブ４側のシール
部８a′に近接して環状の（第２図の場合は円形
の）引裂き容易なスコア部１０が形成されてお
り、スコア部１０内には、ライナー層８が天板２
の内面と強固に接着された強接着部１２が形成さ
れている。強接着部１２はスコア部１０内の全域
に設けられるのが好ましいが、開封のさいスコア
部１０が引裂かれるかぎりにおいて、必ずしも上
記全域に設けられる必要はなく、図示のように部
分的に設けられてもよい。

一方スコア部１０の外側にあり、かつ一点鎖線
ａよりもタブ４側寄りの区域内のライナー層８部
分は、天板２と弱接着され、弱接着域１３となつ
ている。また一点鎖線ａに対しタブ４と反対側の
区域のライナー層８の部分は、天板２と強固に接
着されて強接着域１５となつている。ここに弱接
着とは、開封のさいライナー層８が天板２より容
易に離れる程度の弱い接着力での接着をいう。

以上の金属キヤツプ１を第４図に示すように、
内容品（図示されない）の収納された容器の容器
口部９に巻締めて密封した後、開封のため第５図
に示すように、タブ４を手指によつて引上げる
と、ノツチ部５からスコア線６の引裂きが始ま
る。そしてタブ側シール部８a′は弱接着域１３内
にあるので、容器口部９の端部９ａ上に残つて、
シール部８a′に接していた天板２の部分はシール
部８a′から上方に離隔する。その後直ちにシール
部８a′近傍のスコア部１０が引裂かれて、スコア
部１０内のライナー層部分１１は、天板２に接着
したままその外側のライナー層部分から分離し
て、ライナー層８には開口部１４が形成される。

従つて内容品がビール等の正内圧性液体の場合
であつても、高圧のガス（例えば炭酸ガス）が開
口部１４を通つて逸出するので、開封に伴ない巻
締力が緩んでも金属キヤツプ１が吹飛ばされるお
それがない。引続いて弱接着域１３内のスコア線
６を引裂くことによつて、巻締力が一層緩むので
金属キヤツプ１を容器口部９から取外して開封す
ることができる。

開口部１４の面積が、容器の内圧等に応じて上
記吹飛びが防止できる程度の大きさを有するよう
に、スコア部１０のプロフイルを定める必要があ
る。またスコア部１０はタブ側シール部８a′に接
近していること、より好ましくは隣接しているこ
とが望ましい。スコア部１０がタブ側シール部８
a′から離れていると、開口部１４が形成される前
に、金属キヤツプ１が吹飛ばされるおそれがある
からである。

本考案は以上の実施例によつて限定されるもの
でなく、例えばまた１対の対向するスコア線が、
シール部８ａ上の天板２の外面又は内面に沿つて
延びるように形成されたタイプの金属キヤツプで
あつてもよい。

本考案の開封容易な金属キヤツプは、天板内面
の全面にわたりライナー層が設けられているが、
対向するスコア線に挾まれた領域に対応するライ
ナー層の部分のタブ側シール部近傍に、引裂き容
易な環状のスコア部が形成され、このスコア部の
内部には強接着部が形成されており、かつ上記の
ライナー層の部分のスコア部外側の、少なくとも
タブ側シール部より金属キヤツプのほぼ中心部に
至る区域が弱接着域または非接着域となつている
ので、開封のさい環状のスコア部が引裂かれて開
口部が形成されるため、正内圧性の内容品が容器
に収納されている場合であつても、金属キヤツプ
が吹飛ばされるおそれがないという効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例である金属キヤツプ
の斜視図、第２図は第１図の金属キヤツプの底面
図、第３図は第１図の−線に沿う縦断面図、
第４図は第１図の金属キヤツプを容器口部に巻締
めた状態を示す縦断面図、第５図は第４図の金属
キヤツプを開封する状態を示す縦断面図である。 １……金属キヤツプ、２……天板、４……タ
ブ、６……スコア線、８……ライナー層、８a′…
…タブ側シール部、８ｃ……対向するスコア線に
挾まれた領域に対応するライナー層の部分、１０
……スコア部、１２……強接着部、１３……弱接
着域、１４……開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天板に沿つて１対の対向するスコア線が形成さ
   れ、該スコア線を引裂いて開封するためのタブが
   設けられ、かつ該天板の内面の全面にわたりライ
   ナー層が設けられた開封容易な金属キヤツプであ
   つて、該対向するスコア線に挾まれた領域に対応
   する該ライナー層の部分のタブ側シール部近傍
   に、引裂き容易な環状のスコア部が形成され、該
   スコア部の内部には強接着部が形成されており、
   かつ該ライナー層の部分の該スコア部外側の、少
   なくとも該タブ側シール部より該金属キヤツプの
   ほぼ中心部に至る区域が、開封のさい該ライナー
   層が該天板より容易に離れる程度の弱接着域，ま
   たは非接着域となつていて、該タブを引上げて該
   スコア線を引裂いて開封するさい、該スコア部が
   引裂かれて、該ライナー層の該スコア部内の領域
   が開口するようになつていることを特徴とする開
   封容易な金属キヤツプ。