JPH0222716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は原子炉遮蔽壁に設けられた開口部を開
閉するシールドプラグの支持構造に関するもので
ある。

原子炉格納容器には、工学的安全設備の一つと
して、原子炉圧力容器を囲繞する如く遮蔽壁が設
けられており、該遮蔽壁は、コンクリート層と該
コンクリート層の表面を被覆する鋼板層とから構
成されて、前記原子炉圧力容器から放射される放
射線を遮蔽する作用を行なつている。

前記遮蔽壁には、前記原子炉圧力容器の点検な
どに際して遮蔽室内への通行路となる開口部が形
成されており、該開口部は、シールドプラグと称
される扉の水平旋回によつて開閉されるようにな
つている。そして、前記シールドプラグは、前記
遮蔽壁と同等の遮蔽効果を得るため、例えば150
ミリメートル以上の板厚を有する鋼板につつて形
成されている。

ところで、このシールドプラグは、前述のよう
な構成となつているため大重量であり、したがつ
て、シールドプラグを蝶番によつて支持しようと
すると、蝶番が大型化してシールドプラグの旋回
半径が大きくなつてしまうという問題がある。ま
た、旋回半径を小さくするために、旋回の中心と
なる支軸および該支軸の軸受け部をシールドプラ
グに内蔵させた場合には、万一、シールドプラグ
が前記開口部を閉塞した状態で支軸あるいは軸受
けに異常が生じた場合に、支軸あるいは軸受けを
遮蔽壁の外側から交換して開閉動作の信頼性を維
持できる構造のものが必要とされている。

本考案は前記事情を考慮して提案されたもの
で、原子炉遮蔽壁の開口部を開閉するシールドプ
ラグの旋回中心となる支軸を、遮蔽壁外方から縦
割り状に脱着可能な軸受けハウジングに軸支させ
ることにより、支軸あるいは軸受けなどの部品を
遮蔽壁外方から容易に交換し得るようにすること
を目的とするものである。

本考案の支持構造は、原子炉圧力容器１を囲繞
する遮蔽壁２に開口部３を設け、該開口部３の上
部および下部内周に軸受ハウジング４を突設し、
各軸受ハウジング４に軸支された支軸５にシール
ドプラグ６を支持させた基本構成となつている。

前記軸受ハウジング４は、前記開口部３の内周
を覆う鋼板３ａに溶接などで固着されるハウジン
グ本体７と該ハウジング本体７に遮蔽壁２の外方
からボルト８を介して固着されるハウジング片９
とからなる分割構造となつている。そして、前記
ハウジング本体７には、前記ボルト８を螺合させ
るためのねじ部７ａが、前記遮蔽壁２の外方へ向
けて形成され、前記ハウジング片９には、前記ボ
ルト８が挿通させられるボルト孔９ａが形成され
ている。また、前記ハウジング本体７およびハウ
ジング片９には、これらを一体に結合した際に、
前記支軸５の基端部を軸支するローラベアリング
などの軸受け１０を保持する保持部となる半円状
の保持孔７ｂ，９ｂがそれぞれ形成されている。

前記シールドプラグ６には、前記軸受ハウジン
グ４収納する如く切欠き部６ａが形成されてお
り、該切欠き部６ａには、前記支軸５の先端部を
保持する半円状の保持孔６ｂを備えた軸受け部６
ｃが突設されている。また、前記軸受け部６ｃに
は、ボルト８，８を介してハウジング片１１が固
着されるようになつており、該ハウジング片１に
は、前記保持孔６ｂと一体となつて前記支軸５を
軸支する保持孔１１ａが形成されている。

そして、前記シールドプラグ６の先端には、テ
ーパー状のオーバラツプ部６ｄが形成されてお
り、該オーバラツプ部６ｄは、シールドプラグ６
が開口部３を閉塞した際に重ね合わせられて、両
シールドプラグ６，６の間から放射線が漏洩する
ことを防止している。また、両シールドプラグ６
と開口部３の内周面との間隙からの放射線の漏洩
は、開口部３の内周に突設した遮蔽板１２によつ
て防止されている。

なお、第１図および第３図において符号１３で
示すものは、前記シールドプラグ６を閉塞状態で
ロツクするためのロツク装置である。

そして、前記シールドプラグ６は、第２図鎖線
で示すように、まず左側のシールドプラグ６を内
側に水平旋回させ、次いで右側のシールドプラグ
６を内側に水平旋回させる操作によつて開口部３
を開口させ、一方、まず右側のシールドプラグ６
を外側に水平旋回させ、次いで左側のシールドプ
ラグ６を外側に水平旋回させる操作により、第２
図鎖線で示すように開口部３を閉塞させることが
できる。

また、前記支持構造において、支軸５あるいは
軸受け１０を点検し、あるいは交換する場合に
は、前記ボルト８を操作してハウジング片９，１
１を軸受ハウジング４あるいはシールドプラグ６
から取り外すことにより、遮蔽壁２の外側から容
易に交換作業を行なうことができる。

なお、前記一実施例においては、軸受け１０を
軸受けハウジング４側に設けるようにしたが、シ
ールドプラグ６側に設けるようにしてもよい。

以上の説明で明らかなように、本考案は、シー
ルドプラグの軸受け部と軸受けハウジングとをそ
れぞれ軸受けの半径方向に向かう断面を介して縦
割り状に分割可能な構造とし、前記軸受け部およ
び軸受けハウジングの一部を構成するハウジング
片を、前記シールドプラグが設けられる遮蔽壁外
方から着脱可能に前記軸受け部および軸受けハウ
ジングに設けたことを特徴とするもので、前記支
軸の保守、点検、交換などの作業を遮蔽壁の外側
から容易に行なうことができるとともに、シール
ドプラグの動作の信頼性を高めることができると
いう効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の一実施例を示す
もので、第１図は本考案の支持構造を適用したシ
ールドプラグの正面図、第２図は第１図−線
に沿う矢視図、第３図は第１図−線に沿う矢
視図、第４図は第１図鎖線で示す部分の分解斜
視図である。 １……原子炉圧力容器、２……遮蔽壁、３……
開口部、４……軸受けハウジング、５……支軸、
６……シールドプラグ、６ａ……切欠き部、６ｃ
……軸受け部、７……ハウジング本体、９……ハ
ウジング片、１０……軸受け、１１……ハウジン
グ片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 原子炉遮蔽壁の開口部を垂直な支軸を中心とす
   る水平旋回によつて開閉するシールドプラグの支
   持構造において、前記シールドプラグに、前記支
   軸を収容する切り欠き部を設け、該切り欠き部
   に、前記支軸を軸支する軸受けと、該軸受けを囲
   んで前記原子炉遮蔽壁に固定する軸受けハウジン
   グとを設けてなり、該軸受けハウジングは、軸受
   けの半径方向に向かう断面を介してハウジング本
   体とハウジング片とに分割可能な構成とされ、前
   記ハウジング本体とハウジング片とは、前記原子
   炉遮蔽壁の外側から内側に向かう連結手段を介し
   て一体に連結されたことを特徴とする原子炉遮蔽
   壁シールドプラグの支持構造。