JPH0222460B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、回転デイスク装置に係り、特に回転
デイスクを固定するクランプ板における、駆動源
からの振動絶縁に好適な回転デイスク装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

まず、従来の一般的な磁気デイスク装置を、第
１図および第２図を参照して説明する。

第１図、第２図は、いずれも従来の磁気デイス
ク装置の断面図である。

図おいて、１は複数個の回転デイスクに係る磁
気デイスク（以下デイスクという）、２はスペー
サ、３は回転軸、４は、回転軸３に嵌着されたハ
ブである。

複数のデイスク１は、ハブ４の外周に、スペー
サ２と交互に積層されており、その最上段のデイ
スク１の上には、デイスクのゆるみを固定するた
めにクランプ板５Ａまたは５Ｂが設けられてい
る。

第１図は、クランプ板５Ａの中心とした回転軸
３をナツトで締めつけてデイスク１を固定する。
センタークランプ式の構成である。このように構
成すれば、クランプ板５Ａは一体の剛構造として
デイスク１を周方向に均等な力で押えつけてい
た。

また、クランプ板とデイスクとの当接部を柔構
造にしたものとして、例えば特開昭54−25713号
公報に記載されている装置がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術は、実際には、回転時のデイスク
間の発熱を現象させるために、クランプ板５Ａに
は図示しない風穴が数ケ所設けられており、その
結果、風穴の部分が柔構造となつて、デイスク１
を押えつける力が一様でなくなるという欠点があ
つた。

また、第２図は、クランプ板５Ｂとハブ４を複
数のボルト７で固定する構成を示したものである
が、一般にボルト締め付けによる力は、外周方向
に向かつて約60゜の範囲にくさび形に広がるもの
である。したがつて、この範囲内ではデイスク１
を押える面圧は大きいが、範囲の外では小さくな
る。そのため、デイスク１を押えつける力がデイ
スク１の周方向で一様とならず、デイスク１にう
ねり変形が生じてしまうという欠点があつた。

さらに、第１図、第２図の従来におけるクラン
プ板５Ａ，５Ｂは、実動時に、図示しない駆動源
から回転軸３およびハブ４に伝達された振動を、
そのままデイスク１へ伝達してしまうため、情報
の記録、再生を行なうためデイスク面にデイスク
面に空気膜浮上すべき磁気ベツド（図示せず）に
デイスクが接触し、デイスク面の損傷や、ヘツド
の損傷、いわゆるヘツドクラツシユなどの事故を
発生する原因となつていた。

本発明の目的は、回転デイスクへの回転軸やハ
ブからの振動を絶縁でき、容易に加工できる回転
デイスク装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的は、回転軸に嵌着したバブの外周に、
スペーサと交互に積み重ねた複数の回転デイスク
と、周縁で前記回転デイスクに当接し、中央部で
ハブまたは回転軸に締着された前記回転デイスク
を固定するクランプ板とを備えた回転デイスク装
置において、前記クランプ板は前記回転デイスク
に当接する部分と前記ハブまたは前記回転軸に締
着される剛構造部分との間に多数の穴が設けられ
ている柔構造部分を有することによつて達成され
る。

〔作用〕

本発明のクランプ板は回転デイスクに当接する
部分とハブまたは回転軸に締着される剛構造部分
との間に多数の穴が設けられている柔構造部分を
設けているため、回転軸とデイスクとの間を著し
く剛性を低下させることができ、振動の絶縁を図
ることができる。振動が伝わつていく過程におい
て他よりも剛性の低い柔構造部分で振動を吸収で
きるからである。またクランプ板に穴をあけると
いう簡単な加工でこのような効果を達成すること
ができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。

まず、第３図は、従来例および実施例における
クランプ板の面圧分布をあわせて示す。本発明を
説明するための実施例に係る磁気デイスク装置に
適用されるクランプ板の1/4を示す正面図、第４
図、第３図のクランプ板と磁気デイスクの一部を
示す断面図である。

図において、５はクランプ板、５ａは、クラン
プ板５をハブにボルト締めするボルト締付け部、
５ｂは、磁気デイスク１面上に当接する周縁部、
５ｃは、周縁部５ｂと、ボルト締付け部５ａとの
間の円板状の部分での板厚を薄く形成した柔構造
体の部分である。８はボルト穴を示している。

この実施例では、柔構造体の部分５ｃがあるこ
とによつて、回転軸３やハブ４からの振動は吸収
され、デイスク１との振動の絶縁を図ることがで
きる。

また、この実施例において、板厚の薄い部分５
ｃよりも内側の板厚の厚い部分をボルトで固定し
ているが、このボルト締付け部５ａは外周を柔構
造で囲まれているために一体の剛構造となり、あ
たかも多数のボルトまで固定したのと同様の作用
が働き、デイスク１を一様な力で押えつける効果
がある。

第３図のクランプ板の外周部に示した面圧分布
図によれば、上記の実施例の効果が明らかであ
る。

第３図において、破線Ｌは従来例の磁気デイス
ク装置のクランプ板周縁部における面圧分布を示
し、実線Ｍは、本発明の実施例に係る磁気デイス
ク装置の第３図のクランプ板周縁部５ｂにおける
面圧分布を示している。横軸ｘ、縦軸ｙ方向に、
それぞれクランプ板５の外周を０として分布状態
を示す尺度となる数値を記してある。線Ｌ，Ｍは
いずれも有限要素法による解析の結果を得たもの
である。

第３図の実施例による面圧分布Ｍは、あきらか
に従来例による面圧分布Ｌよりも一様な分布にな
つている。

このように本実施例によれば、クランプ板５の
周縁部５ｂのデイスク１に当接する部分と、ボル
ト締付け部５ａの剛構造部分との間に、板厚の薄
い柔構造体の部分５ｃを形成したので、磁気デイ
スク装置の面圧を一様にすることが可能となり、
デイスク１面の凹凸うねりが非常に小さくなる。

また、駆動源から回転軸３、ハブ４を通して伝
酸される振動を絶縁することができる。

これらにより、情報の読み書きを行なう磁気ヘ
ツド（図示せず）が空気膜浮上している磁気デイ
スク装置では、磁気ヘツドの安定した浮上特性が
得られ、ヘツドクラツシユの防止や磁気ヘツドの
位置決め精度の向上を図ることができる。

次に本発明の実施例を第５図を参照して説明す
る。

第５図は、本発明の実施例に係る磁気デイスク
装置に適用されるクランプ板の1/4を示す正面図
である。

図において、１０はクランプ板、１０ａはクラ
ンプ板１０をハブにボルト締めするボルト締付け
部、１０ｂは、デイスク面上に当接する周縁部、
８はボルト孔、１１は多数の長穴である。

本実施例では、ボルト孔８の位置をクランプ板
１０の半径方向の幅の半分より内側にずらし、そ
の外側に長穴１１を多数開口している。これによ
り、長穴１１を設けた部分は剛の面積が少なくな
り、全体として柔構造になり、振動を絶縁するこ
とができる。締付け位置とデイスクの距離が、第
２図の従来のものより長くなるため、力の伝達さ
れる範囲が広がる。さらに、ボルトによる締め付
け力は長穴１１があるため自然の方向に流れるこ
とができず、長穴１１を回避して流れ、力は分散
されて、より広範囲に伝わるために、デイスク面
圧は一様に近くなる。

次に本発明のさらに他の実施例を第６図を参照
して説明する。

第６図は、本発明のさらに他の実施例に係る磁
気デイスク装置に適用されるクランプ板の1/4を
示す正面図である。

第６図の例では、クランプ板１０′の周縁部１
０′ｂとボルト締付け部１０′ａとの間に、第５図
に示した長穴１１のかわりに、多数の丸孔１２
を、孔した柔構造体を形成したものであり、丸孔
１２のほかは第５図と同等である。

本例では、前述の実施例と同様の効果が期待さ
れるほか、穴の加工が容易で製造コストが安価に
なるという利点がある。

なお、前記の各実施例では、磁気デイスク装置
の例を説明したが、本発明は、磁気デイスク装置
に限るものではなく、同等の効果が期待される回
転デイスク装置の範囲で汎用的なものである。

たとえば、光デイスク装置においては、デイス
ク面の凹凸うねりが小さくなると、受光ヘツドの
運動を小さくできるので、外乱の少ない安定した
情報読み出し状態を確保することができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、クランプ
板によるデイスクに対する押えつけ面圧を一様化
し、かつ、回転軸やハブからの振動を絶縁するこ
とによつて、磁気ヘツドの位置決め精度の向上や
ヘツドクラツシユを防止しうる回転デイスク装置
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の磁気デイスク装置の断面図、
第２図は、従来の他の磁気デイスク装置の断面
図、第３図は、従来例および実施例におけるクラ
ンプ板の面圧分布をあわせて示す、本発明を説明
するための実施例に係る磁気デイスク装置に適用
されるクランプ板の1/4を示す正面図、第４図は、
第３図のクランプ板と磁気デイスクの一部を示す
断面図、第５図は、本発明の一実施例に係る磁気
デイスク装置に適用されるクランプ板の1/4を示
す正面図、第６図は、本発明の他の実施例に係る
磁気デイスク装置に適用されるクランプ板の1/4
を示す正面図である。 １…デイスク、２…スペーサ、３…回転軸、４
…ハブ、５，１０，１０′…クランプ板、５ａ，
１０ａ，１０′ａ…ボルト締付け部、５ｂ，１０
ｂ，１０′ｂ…周縁部、５ｃ…板厚の薄い部分
（柔構造体の部分）、８…ボルト孔、１１…長穴、
１２…丸穴。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸に嵌着したバブの外周に、スペーサと
   交互に積み重ねた複数の回転デイスクと、周縁で
   前記回転デイスクに当接し、中央部でハブまたは
   回転軸に締着されて前記回転デイスクを固定する
   クランプ板とを備えた回転デイスク装置におい
   て、前記クランプ板は前記回転デイスクに当接す
   る部分と前記ハブまたは前記回転軸に締着される
   剛構造部分との間に多数の穴が設けられている柔
   構造部分を有することを特徴とする回転デイスク
   装置。