JPH0222433Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ばら積運搬船のトツプサイドタンク
内で用いられる足場装置に関し、特に船長方向へ
移動可能に設けられた足場装置に関する。

一般に、ばら積運搬船のトツプサイドタンク
は、バラストタンクに使用されるので、タンク内
面が特殊塗装を施されるようになつている。また
同タンク内におけるブロツク取合部の工作や溶接
等についても、多くの作業が必要になる。

これらの作業のためトツプサイドタンク内に足
場を設ける場合、従来は、船体構造に足場架設用
ピースを多数溶接し、各ピースに取り付けられた
足場支持金具を介して多数の足場板を架設するこ
とが行なわれていた。

しかしながら、このような固定式足場装置で
は、足場の解体時にトツプサイドタンク内で塗膜
の損傷や艤装品の損傷等を起こす恐れがある。ま
たマンホールが狭いため足場解体作業が重筋労働
となり、作業に高い習熟度を要するほか、高所作
業のため危険度も大きい。

さらに、固定式足場では使用資材量が非常に多
くなりボルト、ナツトや固縛用番線などの消耗品
の使用量も多くなる。

そこで、トツプサイドタンク内において２本に
のガイドワイヤーを船体長手方向へ張り、これら
のガイドワイヤーに沿つて足場を移動できるよう
にしたものが開発されているが、ガイドワイヤー
が撓むので足場から下方へ支柱を設ける必要があ
り、足場を使用可能の状態にセツトするのに面倒
な準備作業を要するという問題点がある。

また、船内の移動式足場としては、船内に敷設
したレールに沿い走行移動できるように、足場用
台車を載置するものも開発されているが、トツプ
サイドタンク内ではタンク底面が傾斜しているた
め、レールの敷設が難しく、また万一足場用台車
がレールから脱線した場合に大きな損害を招くと
いう問題点がある。

本考案は、上述の諸点に鑑みて、トツプサイド
タンク内におけるレールの敷設手段に工夫を加え
るとともに、足場用台車のレールからの脱線を十
分に防止できるようにしたトツプサイドタンク内
移動足場装置を提供することを目的とする。

このため本考案のトツプサイドタンク内移動足
場装置は、ばら積運搬船のトツプサイドタンク内
において、船側内面に沿う上下方向の骨材から横
方向に突出するように着脱自在に取り付けられた
レール支持治具と、傾斜したタンク底面に沿う傾
斜骨材から上方に突出するように着脱自在に取り
付けられたレール支持治具とをそなえるととも
に、これらのレール支持治具にそれぞれ着脱自在
に支持された船長方向の２条のレールと、同レー
ル上を走行移動しうる足場用台車とをそなえ、同
台車から下方へ突設されて上記レールと係合しう
る脱線防止部材が設けられるとともに、同脱線防
止部材の通過を許容しうる凹所が上記レール支持
治具に形成されていることを特徴としている。

以下、図面により本考案の一実施例としてのト
ツプサイドタンク内移動足場装置について説明す
ると、第１図はそのトツプサイドタンク内におけ
る配設状態を示す正面図、第２図はその平面図、
第３図はその正面図、第４図は第３図の−矢
視断面図、第５図は第４図の−矢視断面図、
第６図は第４図の−矢視断面図、第７図はそ
の変形例を示す正面図、第８図は同変形例の平面
図、第９図は第８図の−矢視断面図である。

第１〜６図に示すように、ばら積運搬船のトツ
プサイドタンク１内において、レール支持治具２
が船側内面に沿う上下方向の骨材１ａから横方向
に突出し、ボルト取付穴２ａを介して図示しない
ボルトにより骨材付きピースへ着脱自在に複数個
取り付けられるとともに、他のレール支持治具２
が、傾斜したトツプサイドタンク１底面に沿う傾
斜骨材１ｂから上方に突出し、ボルト取付穴２ａ
を介して図示しないボルトにより骨材付きピース
へ着脱自在に複数個取り付けられる。

これらのレール支持治具２にはストツパ爪２ｂ
が形成されており、このストツパ爪２ｂとレール
３に形成されたストツパ穴３ａとを係合させるこ
とによつて、２条のレール３，３がレール支持治
具２に船長方向に沿い着脱自在に支持されてい
る。

そして、足場用台車４が、その作業床５下面に
設けられるローラを介し２条のレール３，３上を
走行可能にそなえられている。

また、足場用台車４の作業床５の両側端部には
起倒式作業床５ａ、スライド式作業床５ｂがそれ
ぞれそなえられており、起倒式作業床５ａはヒン
ジ７を介し起倒可能にスライド式作業床５の一側
端に取り付けられ船側方向に展開できる一方、作
業床５ｂは、作業床５下方に船側方向に沿つて配
設された２条のレール８，８上にスライド可能に
設けられ、作業床５の他側端から船側方向に向つ
て伸長できるようになつている。

一方、足場用台車４の両側端には、その作業床
５下面において、レール３と係合しうるＬ字型の
脱線防止部材９が、この脱線防止部材９に形成さ
れたスライド穴９ａを介しボルト１０により上下
方向にスライド可能に突設されており、足場用台
車４が作業等により停止している際には、ボルト
１０を締付けてレール３と脱線防止部材９とを係
合させ台車４の脱線を防止し、台車４がレール
３，３上を走行する際には、ボルト１０をゆるめ
て脱線防止部材９を下方へスライドさせレール３
との係合を解除する。

なお、レール支持治具２には、足場用台車４の
移動に伴う脱線防止部材の通過を許容しうる凹所
２ｃが形成されている。

また、図中の符号１１は作業床５上に設けられ
る手摺１１を示す。

ところで、本実施例の足場用台車４では、その
レール３，３上における移動は、レール３，３に
沿つて配設される図示しないロープを作業床５上
の作業員が手で引くことによつておこなわれる
が、第７〜９図に示すように、足場用台車４にハ
ンドル１２をそなえ、このハンドル１２の回転を
ローラ６に伝達し台車４を移動させるべく、ハン
ドル１２とローラ６の回転軸との間に傘歯車１
３、球型接続部１４、回転軸１５等を介装しても
よい。

本考案のトツプサイドタンク内移動足場装置は
上述のごとく構成されているので、足場用台車４
を移動させる際には、ボルト１０をゆるめて脱線
防止部材９を下方へスライドさせレール３との係
合を解除した後、台車４の作業床５上における作
業員が、図示しないロープを引くか、あるいは第
７〜９図に示すようなハンドル１２を回転させる
ことによつて、台車４はレール３，３上をトツプ
サイドタンク１内において船長方向に沿い走行移
動する。

なお、足場用台車４が走行移動する場合、起倒
式作業床５ａおよびスライド式作業床５ｂはそれ
ぞれ作業床５上面上および作業床５下方に収納さ
れている。

一方、足場用台車４を停止して作業を行なう際
には、台車４の停止位置において、脱線防止部材
９を上方へスライドさせレール３と係合させた
後、ボルト１０を締付けて固定する。これによ
り、台車４は固定されるとともにその脱線が防止
されるので、作業床５上における作業が安全に行
なわれる。

また、作業床中には、移動中収納されている起
倒式作業床５ａおびスライド式作業床５ｂを船側
方向に展開することにより、足場用台車４上の作
業スペースを広くとることができるのである。

ところで、トツプサイドタンク１内におけるレ
ール３の敷設作業は次のようにして行なわれる。
まず、レール支持治具２を、骨材１ａあるいは傾
斜骨材１ｂの適当な位置に複数個ボルト取付穴２
ａを介し、図示しないボルトによつて取り付け
る。

次に、２条のレール３，３をレール支持治具２
のストツパ爪２ｂとレール３のストツパ穴３ａと
を係合させることにより、船長方向に沿つて配設
する。そして、敷設されたレール３，３上に足場
用台車４を配置するのである。

このように、レール３が容易に取り付け取り外
しできるので、レール３の敷設あるいは解体作業
が非常に容易となるとともに、足場用台車４を移
動させ作業位置で停止することにより作業が行な
われるので、従来のように多量の足場を組む必要
がなくなる。

以上詳述したように、本考案のトツプサイドタ
ンク内移動足場装置によれば、ばら積運搬船のト
ツプサイドタンク内において、船側内面に沿う上
下方向の骨材から横方向に突出するように着脱自
在に取り付けられたレール支持治具と、傾斜した
タンク底面に沿う傾斜骨材から上方に突出するよ
うに着脱自在に取り付けられたレール支持治具と
をそなえるとともに、これらのレール支持治具に
それぞれ着脱自在に支持された船長方向の２条の
レールと、同レール上を走行移動しうる足場用台
車とをそなえ、同台車から下方へ突設されて上記
レールと係合しうる脱線防止部材が設けられると
ともに、同脱線防止部材の通過を許容しうる凹所
が上記レール支持治具に形成されるという簡素な
構成で、次のような効果ないし利点が得られる。

(1) トツプサイドタンク内におけるレールの敷設
あるいは解体作業が非常に容易となるととも
に、レール上を走行する足場用台車を用いるこ
とにより多量の足場を組む必要がなくなるた
め、重筋労働が削減され、高所におけるレール
の敷設あるいは解体作業に要する時間が短縮さ
れることになり、作業の安全性が高まる一方、
足場用の使用資材量が大幅に削減される。

(2) 足場用台車が脱線防止部材によりレール上に
固定されるので、台車の脱線が十分に防止さ
れ、台車上における作業が極めて安全に行なわ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１〜９図は本考案の一実施例としてのトツプ
サイドタンク内移動足場装置を示すもので、第１
図はそのトツプサイドタンク内における配設状態
を示す正面図、第２図はその平面図、第３図はそ
の正面図、第４図は第３図の−矢視断面図、
第５図は第４図の−矢視断面図、第６図は第
４図の−矢視断面図、第７図はその変形例を
示す正面図、第８図は同変形例の平面図、第９図
は第８図の−矢視断面図である。 １……トツプサイドタンク、１ａ……骨材、１
ｂ……傾斜骨材、２……レール支持治具、２ａ…
…ボルト取付穴、２ｂ……ストツパ爪、２ｃ……
凹所、３……レール、３ａ……ストツパ穴、４…
…足場用台車、５……作業床、５ａ……起倒式作
業床、５ｂ……スライド式作業床、６……ロー
ラ、７……ヒンジ、８……レール、９……脱線防
止部材、９ａ……スライド穴、１０……ボルト、
１１……手摺、１２……ハンドル、１３……傘歯
車、１４……球型接続部、１５……回転軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ばら積運搬船のトツプサイドタンク内におい
   て、船側内面に沿う上下方向の骨材から横方向に
   突出するように着脱自在に取り付けられたレール
   支持治具と、傾斜したタンク底面に沿う傾斜骨材
   から上方に突出するように着脱自在に取り付けら
   れたレール支持治具とをそなえるとともに、これ
   らのレール支持治具にそれぞれ着脱自在に支持さ
   れた船長方向の２条のレールと、同レール上を走
   行移動しうる足場用台車とをそなえ、同台車から
   下方へ突設されて上記レールと係合しうる脱線防
   止部材が設けられるとともに、同脱線防止部材の
   通過を許容しうる凹所が上記レール支持治具に形
   成されていることを特徴とする、トツプサイドタ
   ンク内移動足場装置。