JPH022223B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はリール軸の最大トルクを調整できるテ
ープレコーダのリール駆動装置に関する。

第１図はテープレコーダにおける巻取側リール
軸１の駆動経路を示すもので、リール軸１の下端
に設けられた摩擦板２と、その下方に同軸的に設
けられたプーリ３との間に摩擦部材４を介挿して
フリクシヨン機構５を構成し、モータ６側のプー
リ（モータプーリ）７と上記プーリ３とをベルト
８を介して連動させることにより、モータ６の回
転をフリクシヨン機構５を介してリール軸１へ伝
達するようにしている。

またプレイまたはレコードモードのときは、第
２図の如く磁気ヘツド８を磁気テープ９に接触さ
せ、かつ磁気テープ９をキヤプスタン軸１０とピ
ンチローラ１１とで挾持してキヤプスタン軸１０
を回転させることによりテープ送りする。このと
き、巻取側リール軸１にはキヤプスタン軸１０の
周速度より若干速い回転力を与えてフリクシヨン
機構５においてスリツプを生じさせ、これによつ
てキヤプスタン軸１０と巻取側リールとの間にお
ける磁気テープ９のたるみを防止するようにして
いる。

一方、FF（またはリワインド）モードのとき
は、第３図の如くピンチローラ１１をキヤプスタ
ン軸１０より離し、磁気ヘツド８も磁気テープ９
より離す。これによつて磁気テープ９はキヤプス
タン軸１０に拘束されることなく高速で巻取られ
ることになる。

したがつて、プレイまたはレコードモードのと
きは、フリクシヨン機構５における最大伝達トル
クは、テープのたるみを防止できる程度のごく小
さいものでよいが、FFまたはリワインドモード
ではリール軸１の回転のみにより、しかも高速で
テープ９を巻取るのであるから、伝達トルクが小
さいと巻取ることができない。

さらに、キユー（またはレビユー）モードでは
ピンチローラ１１をキヤプスタン軸１０より離
し、磁気ヘツド８はテープ９に接触させた状態で
テープを高速送りするものであり、磁気ヘツド８
の接触によりFFまたはリワインドモードのとき
より負荷が大きいため、一層大きな伝達トルクを
必要とする。

そこで従来ではフリクシヨン機構５の最大伝達
トルクをキユーまたはリワインドモードに適する
ように大きく設定する必要があつた。

このため、プレイまたはレコードモードではフ
リクシヨン機構５の伝達トルクが大きすぎ、磁気
テープ９に強い張力が作用してテープ９が損傷を
きたすおそれがあつた。

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的は、モータからリール軸に至る
伝達トルクを調節可能とし、これによつてプレイ
またはレコードモードにおけるテープの損傷を防
止するとともに、キユーまたはレビユーモードで
は充分なテープ巻取り力を得ることができるテー
プレコーダのリール駆動装置を提供することにあ
る。

上記目的達成のため、本発明のリール駆動装置
は、モータからリール軸へ至る回転伝達経路中に
伝達トルクの異なる２個のフリクシヨン機構を直
列的に介在させ、伝達トルクの小なるフリクシヨ
ン機構のフリクシヨン機能を適宜喪失させること
により、リール軸のトルクを変化させるように構
成される。なお、伝達力の小なるフリクシヨン機
構は、２個の回転体を同軸的に、かつ互いに独立
的に回転できるように設け、その間に摩擦部材を
介挿して構成され、伝達トルク制御機構は上記２
個の回転体に同時に係合することによりそれらを
一体回転する関係とし、フリクシヨン機能を喪失
せしめるものである。

以下、本発明の実施例を示す。

まず第４図ないし第６図は第１実施例を示すも
ので、第４図はリール駆動機構の背面図である。
図中２１はモータ、２２ａ，２２ｂは磁気ヘツド
２３の両側に設けられた左右一対のキヤプスタン
軸である。また図中２４ａ，２４ｂは各キヤプス
タン軸２２ａ，２２ｂに取着されたフライホイー
ルであり、２５は大プーリであつて、モータ２１
の軸に取着されたモータプーリ２６と、大プーリ
２５と、フライホイール２４ａ，２４ｂとは無端
ベルト２７を介して連動回転するように構成され
ている。

また図中２８ａ，２８ｂは左右１対のリール軸
で、各リール軸２８ａ，２８ｂの下方には、第５
図の如くリールデイスクギヤ２９ａ，２９ｂが取
着され、その上面には摩擦部材（たとえばフエル
ト）３０ａ，３０ｂを介して摩擦板３１ａ，３１
ｂが昇降自在に装着されている。またリール軸２
８ａ，２８ｂの外周には筒状のリール係合体３２
ａ，３２ｂが昇降自在に装着され、このリール係
合体３２ａ，３２ｂと摩擦板３１ａ，３１ｂとの
間にはコイルスプリング３３ａ，３３ｂが介挿さ
れ、摩擦板３０ａ，３０ｂをリールデイスクギヤ
２９ａ，２９ｂ方向へ押圧して第１のフリクシヨ
ン機構３４ａ，３４ｂを構成している。

前記大プーリ２５の上面側には、第６図に示す
如く、これと同径の摩擦板３５が同軸的に設けら
れ、この摩擦板３５の下面には小ギヤ３６が一体
形成されている。そして上記摩擦板３５および小
ギヤ３６は、大プーリ２５と一体に形成された管
状の軸３７に昇降自在に嵌合され、大プーリ２５
と摩擦板３５との間には摩擦部材（たとえばフエ
ルト）３８が介挿されている。さらに、上記管状
の軸３７の軸端には、上記小ギヤ３６と同径のリ
バース用ギヤ３９が、これと一体形成されたスリ
ーブ部４０を圧入して取着されている。また上記
リバース用ギヤ３９と摩擦板３５との間にはコイ
ルスプリング４１が介挿され、摩擦板３５を大プ
ーリ２５方向へ押圧して第２のフリクシヨン機構
４２を構成している。

また、図中４３は前記小ギヤ３６に噛合う大ギ
ヤで、この大ギヤ４３は左右のリール軸２８ａ，
２８ｂから等距離に位置し、その軸には回動アー
ム４４が装着されている。そして上記回動アーム
４４の先端にはアイドラギヤ４５を装着してこの
アイドラギヤ４５を大ギヤ４３に常時噛合わせ、
さらに大ギヤ４３の回転方向と同一方向へ回動ア
ーム４４を回転させて、アイドラギヤ４５を左右
いずれかのリールデイスクギヤ２９ａまたは２９
ｂに選択的に噛合わせるように構成されている。

なお、前記回動アーム４４は、このアーム４４
と大ギヤ４３との間の接触摩擦によつて同ギヤ４
３の回転方向へ回動付勢されるものである。また
前記第１のフリクシヨン機構３４ａ，３４ｂの最
大伝達トルクはキユーまたはレビユーモードにお
いてリール軸２８ａ，２８ｂを回転させるに充分
な大きさに設定され、前記第２のフリクシヨン機
構４２の最大伝達トルクはプレイまたはレコード
モードにおいて磁気テープのたるみを防止しうる
程度に小さく設定されている。

また、第４図に示す如く、前記大プーリ２５の
近傍にはトルク切換ローラ４６が設けられてい
る。このローラ４６は、FFまたはリワインドモ
ードに切換わる際に、その切換動作と関連して作
動し、前記大プーリ２５および摩擦板３５に同時
に周接して両者を一体回転させるものである。し
たがつて、上記トルク切換ローラ４６は、FFモ
ードまたはリワインドモードのときのみでなく、
キユーまたはレビユーモードの際にも大プーリ２
５と摩擦板３５に同時に周接してこれらを一体回
転させ、第２のフリクシヨン機構４２のフリクシ
ヨン機構を喪失せしめることになる。

さらに、前記リバース用ギヤ３９はオートリバ
ース機構（図示せず）に係合する。

このような構成であると、プレイまたはレコー
ドモードでは、モータ２１の回転力が第２のフリ
クシヨン機構４２および第１のフリクシヨン機構
３４ａ（または３４ｂ）を介してリール軸２８ａ
（または２８ｂ）へ伝達され、キヤプスタン軸２
２ａ（または２２ｂ）の周速度とリール軸２８ａ
（または２８ｂ）における巻取り速度との差分は、
伝達トルクの小さい第２のフリクシヨン機構４２
でスリツプして吸収される。したがつて、テープ
に作用する張力は小さいため、テープの損傷を防
止できる。

また、FF、リワインド、キユー、レビユー等
のモードでは、トルク切換ローラ４６が大プーリ
２５と摩擦板３５に同時に周接して第２のフリク
シヨン機構４２のフリクシヨン機能を喪失させる
ので、リール軸２８ａ（または２８ｂ）は第１の
フリクシヨン機構３４ａ（または３４ｂ）におい
て設定された伝達トルクにより回転駆動され、テ
ープを強力に巻取ることができる。

次に、第７図は第２実施例を示すもので、これ
は第２のフリクシヨン機構３４ａ（または３４ｂ）
のフリクシヨン機能を係止ピン５１によつて適宜
喪失させるようにしたものである。すなわち、大
プーリ２５には係止ピン５１が上下動自在に取付
けてあり、摩擦板３５には上記係止ピン５１を挿
入させる係止孔５２があけてある。

そこで、上記係止ピン５１を、FFまたはリワ
インドモードへの切換動作と関連して係止孔５２
内に挿入するように構成すれば、前記実施例と同
様の効果を得ることができる。

また第８図は第３実施例を示すもので、これは
第２のフリクシヨン機構３４ａ（または３４ｂ）
のフリクシヨン機能を係止６１によつて適宜喪失
させるようにしたものである。すなわち、摩擦板
３５の周面に係止爪６１を設け、大プーリ２５の
外周縁部には係止溝６２を設けて、FFまたはリ
ワインドモードへの切換動作と関連して係止爪６
１を回動させ、係止溝６２に係合するように構成
したものである。

このような構成であつても同様の効果を得るこ
とができる。

以上詳述したように、本発明によれば、モータ
からリール軸に至る伝達トルクを適宜調節して、
プレイまたはレコードモードではテープを損傷さ
せず、FF、リワインド、キユー、レビユーモー
ドでは充分なテープ巻取り力を得ることができる
テープレコーダのリール駆動装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来例を示すもので、第
１図はモータからリール軸へ至る回転伝達経路の
概略構成を示す側面図、第２図および第３図はテ
ープ巻取り状態を示す平面図、第４図ないし第６
図は本発明の第１実施例を示すもので、第４図は
背面図、第５図は第４図の−断面図、第６図
は第４図の−断面図、第７図は第２実施例に
おける第２のフリクシヨン機構の断面図、第８図
は第３実施例における第２のフリクシヨン機構の
断面図である。 ２１……モータ、２５……大プーリ（回転体）、
２８ａ，２８ｂ……リール軸、３４ａ，３４ｂ…
…第１のフリクシヨン機構、３５……摩擦板（回
転体）、３８……摩擦部材、４２……第２のフリ
クシヨン機構、４６……トルク切換ローラ（伝達
トルク制御機構）、５１……係止ピン、５２……
係止孔、６１……係止爪、６２……係止溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リール軸を回転駆動するためのモータと、こ
   のモータからリール軸へ至る回転伝達経路中に介
   在してリール軸へ伝達しうる最大トルクを制限す
   る第１のフリクシヨン機構と、同軸的に設けられ
   た互いに独立的に回転自在な２個の回転体間に摩
   擦部材を介挿して構成され前記回転伝達経路中に
   第１のフリクシヨン機構に対し直列的に介在し、
   伝達しうる最大伝達トルクを第１のフリクシヨン
   機構における最大伝達トルクより小さいトルクに
   制限する第２のフリクシヨン機構と、この第２の
   フリクシヨン機構の２個の回転体に同時に係合す
   ることにより両回転体を適宜一体回転させる伝達
   トルク制御機構とを具備したことを特徴とするテ
   ープレコーダのリール駆動装置。 ２ 前記伝達トルク制御機構を、第２のフリクシ
   ヨン機構の２個の回転体に同時に周接する回転体
   とした特許請求の範囲第１項記載のテープレコー
   ダのリール駆動装置。