JPH0222074Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えば嫌気性微生物による汚水処
理を行なう浄化槽に充填せられる接触材に関す
る。

従来の技術 従来、この種の汚水処理用接触材としては、通
水孔を有する波板よりなる濾過板を、その凹凸部
が立体交差するように積層したもの（例えば実開
昭49−62265号公報参照）、および小孔を有する筒
状充填物素材をスペーサ部材を介して多数連結し
て、ブロツク状としたもの（例えば実公昭55−
20398号公報参照）などが知られていた。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、従来の前者の有孔波板よりなる
濾過板は、これを数段積層して、上から汚水を流
し落として使用するものであり、従つてこれは好
気性汚水処理に適するものである。

このような従来の有孔波板よりなる濾過板は、
これを嫌気性微生物による汚水処理に利用した場
合、通水性と通気性が良くないため、充分な汚水
浄化効果が得られないという問題があつた。ま
た、濾過板は波板よりなるものであるため、その
形状が大きなものであり、従つて取扱いが面倒
で、浄化槽への充填作業も容易でないという問題
があつた。

また後者の有孔筒状充填物素材よりなる接触材
は、浄化槽の充填前に、これらをスペーサ部材に
より結合するので、充填のさいに嵩張り、取扱い
が容易でないし、また送気管により空気を供給し
ていて、好気性汚水処理に使用されるものであつ
た。

またスペーサ部材を介してブロツク状となされ
た接触材は垂直状に配置されて使用されており、
このように垂直状となされた有孔筒状充填物素材
よりなる接触材は、確かに通水性と通気性は良い
ものであるが、接触材を垂直状に配置しかつ保持
する作業は非常に面倒であるという問題があつ
た。

勿論、このようにスペーサ部材によつて結合さ
れた有孔筒状充填物素材よりなる接触材を、例え
ば横に倒して使用するものとすると、通水性と通
気性が極端に悪くなるという問題があつた。

この考案の目的は、上記の従来技術の問題を解
決し、浄化槽内に充填した状態で通水性と通気性
にすぐれているとともに、表面に着生した微生物
を確実に保持することができ、従つて汚水の流通
および撹拌を充分に行なうことができて、汚水中
の汚濁物質と微生物との接触が頻繁に行なわれる
とともに、微生物の作用により生じるメタンガス
等のガスを速やかに排出することができて、汚水
をきわめて迅速に浄化することができ、また浄化
槽内にランダムに充填することができて、その充
填作業が簡単で、取扱いに便利な汚水処理用接触
材を提供しようとするにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、接
触基板およびこれの片面に一体に設けられかつ複
数個の通水孔を有する短い中空膨出凸部よりなる
上半体と、接触基板およびこれの片面に一体に設
けられかつ複数個の通水孔を有する短い中空膨出
凸部よりなる下半体とによつて構成され、これら
上半体と下半体とが、それらの接触基板の短い中
空膨出凸部のない面同志を相互に重ね合わせて一
体に結合されている、汚水処理用接触材を要旨と
している。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて詳
しく説明する。

この考案の第１実施例を示す第１図〜第３図に
おいて、１は嫌気性微生物による汚水処理を行な
う浄化槽、２はこれの底部近くに水平に渡された
多数の通過孔１２を有する底板、３は浄化槽１内
において底板２上に充填されたこの考案による接
触材で、これは平面よりみて円形の接触基板４
と、これの上下両面に６個ずつ設けられた長半球
形のかつ接触基板４の径よりは短い中空膨出凸部
５とよりなるものである。接触基板４には多数の
小さい通水孔６があけられるとともに、短い中空
膨出凸部５には多数の大きい通水孔７があけられ
ている。

上記接触材３は合成樹脂製の上半体３ａと同化
半体３ｂとが接着剤を介して相互に接合せられた
ものである。上半体３ａと下半体３ｂとは、それ
ぞれ平面よりみて円形の接触基板４ａ，４ｂと、
接触基板４ａ，４ｂの片面に一体に設けられた通
水孔７を有する略半球形の短い中空膨出凸部５
ａ，５ｂとによつて構成されている。そして、上
半体３ａと下半体３ｂとは、それらの接触基板４
ａ，４ｂの中空膨出凸部５ａ，５ｂのない面同志
を相互に重ね合わせて接着剤により一体に接合さ
れ、また６個の中空膨出凸部５ａ，５ｂは互いに
対向状に配置されている。

接触材３の上半体３ａと下半体３ｂとは、例え
ばプレス成形法により孔あき合成樹脂板（パンチ
ング・シート）の所要部分を若千長い半球形に膨
出せしめることによりつくられたものである。す
なわち、パンチング・シートの所要部分を膨出せ
しめると、同部分にあけられている孔がシートの
膨出に伴つて拡大せられ、これによつて中空膨出
凸部５の周壁に長円形および円形の様々な通水孔
７が形成せられるものである。

なお、接触材３の上半体３ａと下半体３ｂと
は、上記のようなパンチング・シートを用いるこ
となく、その他の方法により製造しても、勿論よ
い。

また接合前においては、接触材３の上半体３ａ
と下半体３ｂとは、それらの中空膨出凸部５ａ，
５ｂを互いに嵌め合わせて重ねることができ、従
つて嵩張らず、保管のためのスペースが少なくて
すむとともに、運搬費が安くつく。

ここで、接触材３の素材としては耐食性にすぐ
れかつ安価なものを使用するのが好ましく、これ
には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチロール等の合成樹脂が使用
される。また接触材３の素材は、その比重が１に
近にものを使用するのが望ましいが、通常0.8〜
1.6の比重を有しておればよい。例えばポリ塩化
ビニルの比重は1.4であるが、上記合成樹脂を２
種以上混合したり、適宜の充填剤を配合したりす
ることにより、接触材３の比重を調整するように
すればよい。なお、浄化槽１の一側上端部には脱
離液排出管１１が接続されている。

上記浄化槽１においては、汚水中の沈澱粒子は
底板の通過孔１２を通つて槽底部に蓄積される。
汚水中の汚濁物質は接触材３の表面に着生した嫌
気性微生物と接触して、微生物により摂食、消化
分解、および同化され、汚水が浄化される。この
場合、接触材３には中空膨出凸部５が設けられて
いるため、凸部５内に微生物が保持され易く、し
かも接触基板４と中空膨出凸部５に多数の通水孔
６，７があけられているから、汚水が流通し易
く、また流通のさい乱流が生じるため、汚水が充
分撹拌され、汚濁物質と微生物との接触が頻繁に
行なわれるとともに、微生物の作用により生じる
メタン、二酸化炭素および水素等のガスが通水孔
６，７を通つて速やかに排出せられ、汚水はきわ
めて迅速に浄化される。そして浄化された脱離液
は槽１の一側上端部の排出管１１より排出される
ものである。

第４図と第５図は、この考案の第２実施例を示
すものである。ここで、上記第１実施例の場合と
異なる点は、接触材３の上下両側の中空膨出凸部
５ａ，５ｂが接触基板４ａ，４ｂの周縁部におい
て相互に円周方向にずれた状態に配置され、上下
に対向する凸部５ａ，５ｂ同志の間にこれらを順
次連通する連通部８が形成されている点にある。
このような接触材３によれば、汚水が連通部８を
通つて上下に対向する中空膨出凸部５ａ，５ｂ内
に順次移行することができるので、汚水が流通し
易く、撹拌効果がさらにすぐれている。

第６図は、この考案の第３実施例を示すもので
ある。ここで、上記第１実施例の場合と異なる点
は、接触材３の接触基板４と中空膨出凸部５とに
第１実施例の場合に比べて小さい通水孔６，７が
あけられている点、および接触基板４ａ，４ｂに
上下に対向する補強リブ９ａ，９ｂが半径方向に
設けられているにある。

このような第３実施例の接触材３によれば、通
水孔７が小さいので、中空膨出凸部５内において
嫌気性微生物を保持し易く、また補強リブ９ａ，
９ｂが設けられているため、強度が大きいものと
なり、接触基板４ａ，４ｂの肉厚を薄くすること
ができて、材料費が安くつくという利点がある。

第７図は、この考案の第４実施例を示すもので
あり、ここでは接触材３の上半体３ａの接触基板
４ａと中空膨出凸部５ａに小さい通水孔６，７が
あけられ、これに対して下半体３ｂの接触基板４
ｂと中空膨出凸部５ｂとに大きい通水孔６，７が
あけられている。

第８図と第９図は、この考案の第５実施例を示
すものである。ここで、上記第１実施例の場合と
異なる点は、接触材３に設けられた中空膨出凸部
５の大きさが接触基板４の中央部より周縁部に至
るものほど漸次小さいものとなされていて、接触
材３が全体としてできる限り球形に近い形状とな
されている点にある。

このような接触材３は方向性がないものである
から、取扱いに便利であるとともに、浄化槽１内
に無駄な空間をなくして最密状態に充填すること
ができ、汚水を効率よく浄化し得るものである。

第１０図〜第１２図は、この考案の第６実施例
を示すものである。ここで、上記第１実施例の場
合と異なる点は、接触材３の中空膨出凸部５が網
かご状に形成せられていて、多数の略方形の通水
孔７があけられているのに対し、接触基板４には
通水孔があけられていない点、接触材３の上半体
３ａと下半体３ｂとが一対の薄肉連結部１３を介
して連結せられていて、これらの薄肉連結部１３
より二つ折りせられることにより、上半体３ａと
下半体３ｂとが組み合わせられている点、および
上下接触基板４ａ，４ｂのうちの一方に所要数の
係合凸起１４が所定位置に設けられるとともに、
同他方に係合孔１５が係合凸起１４に対応するよ
うに設けられていて、相互に組み合わせられた上
半体３ａと下半体３ｂとがこれらの係合凸起１４
と係合孔１５との嵌め合わせにより結合せられて
いる点にある。

このような第６実施例の接触材３によれば、中
空膨出凸部５が多数の通水孔７を有する網かご状
とされているから、通水性が非常に良好であると
ともに、メタンガス等の排出もスムーズである。
また上半体３ａと下半体３ｂの組合わせをきわめ
て簡単に行なうことができるから、接触材３の製
造が容易であり、さらに展開状態においては、接
触材３同志を中空膨出凸部５ａ，５ｂを嵌め合わ
せるようにして順次重ねることができるから、こ
れを保管するためのスペースが少なくてすむとと
もに、運搬費が安くつくという利点がある。

なおこの第６実施例の展開状態の接触材３は、
通常合成樹脂の射出成形により製造されるもので
ある。また、上半体３ａと下半体３ｂの固定手段
は上記のような係合凸起１４と係合孔１５との嵌
め合わせだけでなく、その他適宜の手段を用いる
ことができる。

上記第１〜第６実施例の各種の接触材３は、浄
化すべき汚水中に含まれる汚濁物質の種類および
濃度あるいは嫌気性微生物の種類等に応じて最も
良いものを適宜選択して使用すればよいものであ
る。

なお、上記各実施例においては、短い中空膨出
凸部５は略半球形であるが、これは円錐形、角錐
形、円錐台形および角錐台形等のその他の形状で
あつてもよい。

また中空膨出凸部５には通水孔７が多数設けら
れているが、通水およびガスの排出を考慮する
と、通水孔７は少なくとも２個設けられておれば
よい。通水孔７の大きさおよび形状は勿論任意で
ある。なお、接触基板４には通水孔６を設けない
場合もある。

考案の効果 この考案による汚水処理用接触材は、上述のよ
うに、接触基板およびこれの片面に一体に設けら
れかつ複数個の通水孔を有する短い中空膨出凸部
よりなる上半体と、接触基板およびこれの片面に
一体に設けられかつ複数個の通水孔を有する短い
中空膨出凸部よりなる下半体とによつて構成さ
れ、これら上半体と下半体とが、それらの接触基
板の短い中空膨出凸部のない面同志を相互に重ね
合わせて一体に結合されているもので、接触材は
非常に広い表面積を有しているから、表面に着生
した微生物を確実に保持することができる。また
この接触材を浄化槽内に充填すると、接触材の上
下両側に短い中空膨出凸部が設けられているか
ら、各接触材の上下両側の短い中空膨出凸部同志
の間に、これに隣り合う接触材の短い中空膨出凸
部が嵌まり込むため、接触材は高充填が可能であ
る。

しかも各接触材の上下両側の短い中空膨出凸部
の存在により、上下に隣り合う接触材の接触基板
同志の間には適当な間〓が保持されるとともに、
短い中空膨出凸部は通水孔を有しかつそれ自体中
空で汚水の流通が可能であるから、接触材は浄化
槽内に充填した状態で通水性と通気性にすぐれて
いる。従つて汚水の流通および撹拌を充分に行な
うことができて、汚水中の汚濁物質と微生物との
接触が頻繁に行なわれるとともに、微生物の作用
により生じるメタンガス等のガスを速やかに排出
することができて、汚水をきわめて迅速に浄化す
ることができる。

また浄化槽内には接触材をランダムに充填すれ
ば良いので、その充填作業が簡単で、取扱いが非
常に便利である。

さらに、接触材の上半体と下半体との接触基板
の結合前においては、上半体と下半体とは、それ
らの短い中空膨出凸部を互いに嵌め合わせて重ね
ることができ、従つて嵩張らず、保管のためのス
ペースが少なくてすむとともに、運搬費が安くつ
くという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は第１実施例の本考案品の使用状態の概略断面
図、第２図は第１実施例の斜視図、第３図は第２
図−線に沿う断面図、第４図は第２実施例の
斜視図、第５図は第４図−線に沿う断面図、
第６図は第３実施例の斜視図、第７図は第４実施
例の側面図、第８図は第５実施例の斜視図、第９
図は第８図−線に沿う断面図、第１０図は第
６実施例の斜視図、第１１図は同展開状態の平面
図、第１２図は第１０図−線に沿う拡大
断面図である。 １…浄化槽、３…接触材、３ａ…上半体、３ｂ
…下半体、４，４ａ，４ｂ…接触基板、５，５
ａ，５ｂ…短い中空膨出凸部、６，７…通水孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 接触基板４ａおよびこれの片面に一体に設けら
   れかつ複数個の通水孔７を有する短い中空膨出凸
   部５ａよりなる上半体３ａと、接触基板４ｂおよ
   びこれの片面に一体に設けられかつ複数個の通水
   孔７を有する短い中空膨出凸部５ｂよりなる下半
   体３ｂとによつて構成され、これら上半体３ａと
   下半体３ｂとが、それらの接触基板４ａ，４ｂの
   短い中空膨出凸部５ａ，５ｂのない面同志を相互
   に重ね合わせて一体に結合されている、汚水処理
   用接触材。