JPH022474Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、例えば嫌気性微生物による汚水処
理を行なう浄化槽に充填せられる接触材に関し、
その目的とするところは、表面に着生した微生物
を確実に保持することができるとともに、汚水の
流通および撹拌を充分に行なうことができて、汚
水中の汚濁物質と微生物との接触が頻繁に行なわ
れるとともに、微生物の作用により生じるメタン
ガス等のガスを速やかに排出することができて、
汚水をきわめて迅速に浄化することができ、また
浄化槽への充填作業が簡単で、取扱いに便利な汚
水処理用接触材を提案しようとするにある。

この考案を、以下図面に示す実施例に基づいて
説明する。

この考案の第１実施例を示す第１図〜第３図に
おいて、１は嫌気性微生物により汚水処理を行な
う浄化槽、２はこれの底部近くに水平に渡された
多数の通過孔１２を有する底板、３は浄化槽１内
において底板２上に充填されたこの考案による接
触材で、これは合成樹脂製の上半体３ａと下半体
３ｂとが接着剤を介して相互に接合せられたもの
である。上半体３ａと下半体３ｂとは、周縁部を
除いて上方または下方に脹らんだ断面平たい略台
形の膨出部６ａ，６ｂを有する平面よりみて円形
の接触基板４ａ，４ｂと、膨出部６ａ，６ｂに上
方または下方突出状に設けられた若干長い半球形
の中空部５ａ，５ｂとによつてそれぞれ構成され
ており、相互に結合された上半体３ａと下半体３
ｂの接触基板４ａ，４ｂ同志の内側に膨出部６
ａ，６ｂによつて囲まれた中空部９が形成せられ
ている。接触基板４ａ，４ｂには多数の小さい通
水孔７があけられるとともに、中空凸部５ａ，５
ｂには多数の大きい通水孔８があけられいる。ま
た接触基板４ａ，４ｂの膨出部６ａ，６ｂには中
空凸部５ａ，５ｂ同志を相互に連結するように補
強リブ１０ａ，１０ｂが設けられている。上半体
３ａと下半体３ｂとは、それらの接触基板４ａ，
４ｂの周縁部同志が接着剤により接合され、また
６個の中空凸部５ａ，５ｂは互いに対向状に配置
されている。

接触材３の上半体３ａと下半体３ｂとは、例え
ばプレス成形法により孔あき合成樹脂板（パンチ
ング・シート）をその周縁部を残して脹らませ
て、膨出部６ａ，６ｂを形成すると同時に、膨出
部６ａ，６ｂの所要部分を若干長い半球形に膨出
せしめて、中空凸部５ａ，５ｂを形成することに
よりつくられたものである。すなわち、パンチン
グ・シートの所要部分を膨出せしめると、同部分
にあけられている孔がシートの膨出に伴つて拡大
せられ、これによつて中空凸部５ａ，５ｂの周壁
に長円形および円形の様々な通水孔８が形成せら
れるものである。なお、接触材３の上半体３ａと
下半体３ｂとは、上記のようなパンチング・シー
トを用いることなく、その他の方法により製造し
ても勿論よい。

接合前においては、接触材３の上半体３ａと下
半体３ｂとは、それらの膨出部６ａ，６ｂおよび
中空凸部５ａ，５ｂを互いに嵌め合わせて重ねる
ことができ、したがつて嵩張らず、保管のための
スペースが少なくてすむとともに、運搬費が安く
つく。

ここで、接触材３の素材としては耐食性にすぐ
れかつ安価なものを使用するのが好ましく、これ
には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチロール等の合成樹脂が使用
される。また接触材３の素材は、その比重が１に
近いものを使用するのが望ましいが、通常0.8〜
1.6の比重を有しておればよい。例えばポリ塩化
ビニルの比重は1.4であるが、上記合成樹脂を２
種以上混合したり、適宜の充填剤を配合したりす
ることにより、接触材３の比重を調整するように
すればよい。なお、浄化槽１の一側上端部には脱
離液排出管１１が接続されている。

上記浄化槽１においては、汚水中の沈澱粒子は
底板２の通過孔１２を通つて槽底部に蓄積され
る。汚水中の汚濁物質は接触材３の表面に着生し
た嫌気性微生物と接触して、微生物により摂食、
消化分解、および同化され、汚水が浄化される。
この場合、接触材３の膨出部６ａ，６ｂの間の中
空部９内および中空凸部５ａ，５ｂ内に微生物が
非常に保持され易く、しかも接触基板４ａ，４ｂ
と中空凸部５ａ，５ｂに多数の通水孔７，８があ
けられているから、汚水が流通し易く、また流通
のさい乱流が生じるため、汚水が充分撹拌され、
汚濁物質と微生物との接触が頻繁に行なわれると
ともに、微生物の作用により生じるメタン、二酸
化炭素および水素等のガスが通水孔７，８を通つ
て速やかに排出せられ、汚水はきわめて迅速に浄
化される。そして浄化された脱離液は槽１の一側
上端部の排出管１１より排出されるものである。

第４図と第５図は、この考案の第２実施例を示
すものである。ここで、上記第１実施例の場合と
異なる点は、接触材３の上下両側の中空凸部５
ａ，５ｂが接触基板４ａ，４ｂの周縁部において
相互に円周方向にずれた状態に配置され、上下に
対向する凸部５ａ，５ｂ同志の間にこれらを順次
連通する連通部１３が形成されている点、および
通水孔７，８の大きさが実施例１の場合よりも大
きい点にある。このような接触材３によれば、汚
水が連通部１３を通つて上下に対向する中空凸部
５ａ，５ｂ内に順次移行することができるので、
汚水が流通し易く、撹拌効果がさらにすぐれてい
る。

第６図と第７図は、この考案の第３実施例を示
すものである。ここで、上記第１実施例の場合と
異なる点は、接触基板３ａ，３ｂに設けられた膨
出部６ａ，６ｂが断面凸弧形を有しており、これ
らの膨出部６ａ，６ｂに中央部より周縁部に至る
ほど漸次小さくなる中空凸部５ａ，５ｂが設けら
れていて、接触材３が全体としてできる限り球形
に近い形状となされている点にある。このような
接触材３は方向性がないものであるから、取扱い
に便利であるとともに、浄化槽１内に無駄な空間
をなくして最密状態に充填することができ、汚水
を効率よく浄化し得るものである。

第８図〜第１０図は、この考案の第４実施例を
示すものである。ここで、上記第１実施例の場合
と異なる点は、接触材３の中空凸部５ａ，５ｂが
網かご状に形成せられていて、多数の略方形の通
水孔８があけられているのに対し、接触基板４
ａ，４ｂには通水孔があけられていない点、接触
材３の上半体３ａと下半体３ｂとが一対の薄肉連
結部１４を介して連結せられていて、これらの薄
肉連結部１４より二つ折りせられることにより、
上半体３ａと下半体３ｂとが組み合わせられてい
る点、および上下接触基板４ａ，４ｂのうちの一
方に所要数の係合凸起１５が所定位置に設けられ
るとともに、同他方に係合孔１６が係合凸起１５
に対応するように設けられていて、相互に組み合
わせられた上半体３ａと下半体３ｂとがこれらの
係合凸起１５と係合孔１６との嵌め合わせにより
結合せられている点にある。

このような第４実施例の接触材３によれば、中
空凸部５ａ，５ｂが多数の通水孔８を有する網か
ご状とされているから、通水性が非常に良好であ
るとともに、メタンガス等の排出もスムーズであ
る。また上半体３ａと下半体３ｂの組合わせをき
わめて簡単に行なうことができるから、接触材３
の製造が容易であり、さらに展開状態において
は、接触材３同志を膨出部６ａ，６ｂおよび中空
凸部５ａ，５ｂを嵌め合わせるようにして順次重
ねることができるから、これを保管するためのス
ペースが少なくてすむとともに、運搬費が安くつ
くという利点がある。なお、この第４実施例の展
開状態の接触材３は、通常合成樹脂の射出成形に
より製造されるものである。また上半体３ａと下
半体３ｂの固定手段は上記のような係合凸起１５
と係合孔１６との嵌め合わせだけでなく、その他
適宜の手段を用いることができる。

上記第１〜第４実施例の各種の接触材３は、浄
化すべき汚水中に含まれる汚濁物質の種類および
濃度あるいは嫌気性微生物の種類等に応じて最も
良いものを適宜選択して使用すればよいものであ
る。

なお、上記各実施例においては、接触基板の両
面４ａ，４ｂの膨出部６ａ，６ｂに多数の中空凸
部５ａ，５ｂが設けられているが、中空凸部５
ａ，５ｂは膨出部６ａ，６ｂに１個以上設けられ
ておればよい。また中空凸部５ａ，５ｂは略半球
形であるが、これは円錐形、角錐形、円錐台形お
よび角錐台形等のその他の形状であつてもよい。
中空凸部５ａ，５ｂには通水孔８が多数設けられ
ているが、通水およびガスの排出を考慮すると、
通水孔８は少なくとも２個設けられておればよ
い。通水孔８の大きさおよび形状は勿論任意であ
る。また接触基板４ａ，４ｂには通水孔７を設け
ない場合もある。第１実施例においては接触基板
４ａ，４ｂに補強リブ１０ａ，１０ｂが設けられ
ているため、強度が大きいものであり、接触基板
４ａ，４ｂの肉厚を薄くすることができて、材料
費が安くつくという利点があるが、このような補
強リブ１０ａ，１０ｂを接触基板４ａ，４ｂに設
けない場合もある。

この考案による汚水処理用接触材は、上述のよ
うに、周縁部を除いて上方から脹らんだ膨出部６
ａを有する接触基板４ａおよびこれの膨出部６ａ
に上方突出状に設けられかつ複数個の通水孔８を
有する中空凸部５ａよりなる上半体３ａと、周縁
部を除いて下方に脹らんだ膨出部６ｂを有する接
触基板４ｂおよびこれの膨出部６ｂに下方突出状
に設けられかつ複数個の通水孔８を有する中空凸
部５ｂよりなる下半体３ｂとによつて構成され、
相互に結合された上半体３ａと下半体３ｂの接触
基板４ａ，４ｂ同志の内側に膨出部６ａ，６ｂに
よつて囲まれた中空部９が形成せられているもの
であるから、表面に着生した微生物を確実に保持
することができるとともに、汚水の流通および撹
拌を充分に行なうことができて、汚水中の汚濁物
質と微生物の接触が頻繁に行なわれるとともに、
微生物の作用により生じるメタンガス等のガスを
速やかに排出することができて、汚水をきわめて
迅速に浄化することができ、また浄化槽１へはラ
ンダムに充填すればよいので、充填作業が簡単で
あり、取扱いに非常に便利であるという効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は本考案品の使用状態の概略断面図、第２図は第
１実施例の斜視図、第３図は第２図−線に沿
う断面図、第４図は第２実施例の斜視図、第５図
は第４図−線に沿う断面図、第６図は第３実
施例の斜視図、第７図は第６図−線に沿う断
面図、第８図は第４実施例の斜視図、第９図は同
展開状態の平面図、第１０図は第８図−線に
沿う拡大断面図である。 １……浄化槽、３……接触材、３ａ……上半
体、３ｂ……下半体、４ａ，４ｂ……接触基板、
５ａ，５ｂ……中空凸部、６ａ，６ｂ……膨出
部、７，８……通水孔、９……中空部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周縁部を除いて上方に脹らんだ膨出部６ａを有
   する接触基板４ａおよびこれの膨出部６ａに上方
   突出状に設けられかつ複数個の通水孔８を有する
   中空凸部５ａよりなる上半体３ａと、周縁部を除
   いて下方に脹らんだ膨出部６ｂを有する接触基板
   ４ｂおよびこれの膨出部６ｂに下方突出状に設け
   られかつ複数個の通水孔８を有する中空凸部５ｂ
   よりなる下半体３ｂとによつて構成され、相互に
   結合された上半体３ａと下半体３ｂの接触基板４
   ａ，４ｂ同志の内側に膨出部６ａ，６ｂによつて
   囲まれた中空部９が形成せられている汚水処理用
   接触材。