JPH0221852Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、苗植付爪機構による苗植付け動作
に追従し、その苗植付け跡を土寄せアームにて土
寄せする田植機の土寄せ装置に関する。

第１図の如き、機体１の後尾に後方上方から遂
時苗２を供給する苗のせ台３を設け、この苗のせ
台３の下端部から、後方に向う苗植付爪４より苗
２を取出し且つ泥土５に植付けてゆく所謂苗のせ
台後傾タイプの田植機にあつては、該爪４が苗２
を取出して泥土５に植付けてゆく時間内の機体移
動量を考慮して、この機体移動にかかわらず苗植
付爪４が泥土５の一定位置にとどまる状態で該位
置に突入し且つ抜き去られるように爪４の回動軌
跡に工夫をこらしているが、このような工夫は従
来は完全ではなく、泥土５に突入した苗植付爪４
が抜き去られるまでに若干引きずられる傾向にあ
り、従つて苗の植付けが確実ではなく、植付け作
業完了後に田に水を満たすと簡単に苗が浮いてし
まう不都合がしばしば発生している。そのため、
苗植付爪４に連動するヘラ状の土寄せアームなる
ものを設け、該爪４が苗２を植付けて泥土５より
抜き去られる時点で、この土寄せアームにて苗植
付け跡の溝部に両側から土寄せして埋めるものが
提案されるに至つている。

ところで、上記した苗植付け時の欠点は、泥土
が流動性に劣る乾き勝手のたとえば粘土質の土質
である場合に顕著であつて、この泥土質のもので
あれば苗植付爪が掘削した溝が容易に、そして自
然に埋め戻されないことに基づいている。しか
し、泥土が流動性に富む軟らかい土質のものであ
れば、苗植付爪４で一旦溝が掘削されても泥土で
容易に、そして自然に埋め戻されてしまう。従つ
て、田の泥土の性状により土寄せアームにより土
寄せ作業を必要とするものと、そうでないものと
に区別される。しかも、土寄せアームは泥土を叩
くように動くので泥土の跳ね返りが多く、従つて
土寄せ作業を必要としない場合は、完全にその運
動を抑止したい要望が発生する。

この考案はかかる要望に答えるもので、苗植付
爪機構と、土寄せアームを保持するロツドとを該
機構の回動力をロツドの往復回転力に変換する伝
達機構を介し連動連結すると共に、この連動連結
部にロツドへの回転力入力を絶つためのクラツチ
を設けてなる田植機の土寄せ装置であることを特
徴とする。

かく構成されたものでは、クラツチにより土寄
せアームを苗植付爪に連動させて土寄せ作業を行
なわせたり、また連動を絶つて土寄せアームを停
止させ、土寄せ作業を行なわせないようにするこ
とが選択自由となるから、泥土の性状に応じ、好
ましい田植え形態を採ることができ、実用上有益
である。

次に、この考案の望ましい実施例構成を第２図
以下の図面を用いて説明する。

第２図において、苗植付爪４は苗植付爪機構６
にて駆動され、爪先端の軌跡がＡに示す曲線を描
いて第１図の苗のせ台３と泥土５とにわたり往復
運動され、これにて前述の苗植付け作業が施こさ
れる。この苗植付爪機構６の背部にはロツド７が
横方向に架設され、該ロツド両端が第４図の所要
フレーム８，８に回転のみ自由に受支されると共
に、このロツド７に第２図および第３図に示す如
く一基の苗植付爪４に対しこれを挾む左右一対の
土寄せアーム９，９が固着される。また、第２図
および第４図に示す如くロツド長手方向（機体幅
方向）の最端部においては、苗植付爪機構６より
クランク軸１０が取出され、このクランク軸１０
のクランクアーム１１と、ロツド７に固着したリ
ンク１２とが連杆１３で結ばれ、しかしてクラン
ク軸１０の一方向回転に伴いロツド７が所定角度
往復回動され、これに伴い土寄せアーム９が第２
図に示す実線上昇位置と破線下降位置（土寄せ位
置）とにわたり、苗植付爪４に連動して回動され
る。

この時、ロツド７はリンク１２側の部分で、こ
のリンク１２を有する短軸ロツド部７ａと、土寄
せアーム９…を固着した長軸ロツド部７ｂとに二
分割され、両ロツド部７ａと７ｂとが相対回転可
能に同軸に第７図の如く嵌合１４されると共に、
両ロツド部７ａと７ｂとの間にクラツチ１５が介
装される。このクラツチ１５は短軸ロツド部７ａ
にキー止めにて取付けた固定デイスク１６と、長
軸ロツド部７ｂにキー止めにて取付けられ且つ固
定デイスク１６に対し進退可能な可動デイスク１
７とを含み、この可動デイスク１７はばね部材１
８の付勢力で固定デイスク１６に常時噛合され、
第１図に示す田植機の操縦ハンドル１９部分に装
備されているクラツチレバー２０を操作すること
でワイヤー２１が引かれ、ばね部材１８に抗し固
定デイスク１６より解脱される。

従つて、クラツクレバー２０を操作しないで固
定デイスク１６に可動デイスク１７を噛合させて
おくならば、苗植付爪機構６の稼動に連動し、ク
ランク軸１０の回転力がクランクアーム１１を経
て連杆１３の略直線運動に変換されたのち短軸ロ
ツド部７ａに入力され、これがクラツチ１５を経
て長軸ロツド部７ｂに伝達され、ロツド７の回動
により土寄せアーム９…が苗植付爪４に追従する
上下運動を行なつて、該爪４による苗植付け跡に
対し所定の土寄せ作業を施こす。故に、この場合
は粘土質の如き流動性に劣る土質の田における田
植え作業に適することになる。

また、クラツチレバー２０の操作で可動デイス
ク１７を固定デイスク１６より解脱して、この状
態にロツクを掛けるならば、短軸ロツド部７ａま
で入力した回転力は長軸ロツド部７ｂに伝達され
ず、土寄せアーム９…は作動しない。それ故、苗
植付爪４のみが稼動し、その場合は軟かい比較的
流動性に富む土質の田植え作業に適する。

このようにして、この考案によれば土質に合わ
せ土寄せアーム９の使用を選択できるのである。

尚、クラツチ１５を切つた際、長軸ロツド部７
ｂが短軸ロツド部７ａから切り離される結果、土
寄せアーム９…による偏荷重で自由回転し、第２
図破線のように土寄せアーム９…が垂れ下がり、
田植え作業上の障害となる惧れが考えられるの
で、クラツチ１５を切つた際、機体等固定フレー
ム側のストツパー部片２２に可動デイスク１７が
係合するように切込み２３を設け、此等の係合で
長軸ロツド部７ｂの自由回転を抑止し、しかして
土寄せアーム９を第２図の実線上昇位置に保つよ
うにするのが望ましい。この構成を第５図および
第６図に示す。

また、苗植付爪４による苗植付爪け動作と、土
寄せアーム９の土寄せ作業とは一定のタイミング
をとつてなされるべきである。故に、上綿のよう
なクラツチ１７を介在させた場合、一旦クラツチ
を切つたのち再びクラツチを入れることによりこ
のタイミング、即ち両デイスク１６，１７の一定
した相対噛合関係が崩れることがあつてはならな
い。そこで、固定デイスク１６と可動デイスク１
７との噛合が両者の一定した位置関係でなされる
ように、第５図および第６図の如く固定デイスク
（もしくは可動デイスク）には一本のクラツチ爪
２４を、そして可動デイスク（もしくは固定デイ
スク）にはこれに対応して一個の爪穴２５を設
け、両者２４，２５が噛合する一定位置関係から
のみ長軸ロツド部７ｂに回転力が伝達されるよう
にしている。しかし、同様な作用が期待できるも
のであれば、上記構成に限定されることはない。

土寄せアーム９を金属板から構成した際、泥土
中に石等の硬い異物があつて、作動中の土寄せア
ーム９がこれに接当すると変形を生じ、以後正常
な土寄せ作業を発揮できなくなる。そのため第８
図の如く土寄せアーム９の先端部を復形力のある
ゴム等の弾性体２６に構成したり、この先端部９
ａを第９図のようにボルト・ナツト緊締具２７を
用いて変換できるようにすれば好適である。特に
弾性体２６の場合、泥土５に対する当りが柔らか
いので、泥土を苗植付け跡にやさしく寄せる働き
があり、金属のように衝撃的に泥土を大きく盛り
上げないので、一層便利である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用する田植機の側面図、
第２図は苗植付爪と土寄せアームとの位置関係お
よび相互の作動軌跡を示す側面図、第３図は第２
図の背面図、第４図はクラツチの装備位置を示す
ロツド背面図、第５図および第６図はクラツチの
作動を示す拡大平面図、第７図は第６図の縦断背
面図、第８図および第９図はそれぞれ土寄せアー
ムの変形構成を示す図である。 ４……苗植付爪、６……苗植付爪機構、７……
ロツド、９……土寄せアーム、１５……クラツ
チ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 苗植付爪機構による苗植付け動作に追従し、そ
   の苗植付け跡に土寄せアームにて土寄せする田植
   機において、上記苗植付爪機構と、上記土寄せア
   ームを保持するロツドとを該機構の回動力をロツ
   ドの往復回転力に変換する伝達機構を介し連動連
   結すると共に、この連動連結部にロツドへの回転
   力入力を絶つためのクラツチを設けてなる田植機
   の土寄せ装置。