JPH0218038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は紡績工程において精紡機揚り管糸を巻
返機若しくは他の処理工程へ搬送するため、個々
の管糸をトレイに挿入し、該トレイを案内レール
に沿つて移動し、所定部で該挿入管糸を取り出す
ごとき搬送装置に利用するトレイであつて、特に
搬送装置に搭載された管糸から口糸を引き出し或
はその口出し糸を該管糸のボビン穴に挿通するに
当つて管糸の回転を円滑に行ない得る様に構成し
たものである。

〔従来の技術〕

紡績工程では精紡機揚り管糸を巻返機へ搬送す
るに当つて各種の手段が利用されている。これら
の搬送手段の一例として特開昭58−59167号公報
に、管糸の外径より大径の基盤部を形成し、その
中央部に管糸挿立用ピンを一体的に形成したトレ
イを利用し、該トレイを枠形案内レールに多数遊
装し、該案内レール内に配置した平ベルトに乗せ
て巻返機まで管糸を搬送する手段が示されてい
る。またこの管糸搬送途中において、管糸から口
糸を引き出したり或はこの引き出し口糸を該管糸
のボビン穴へ挿通することも示されており、口糸
引き出しに当つてはトレイに挿立した管糸を回転
させることも示されている。ところがこの様な搬
送手段では管糸のトレイ挿入及び抜き出しを容易
にするため挿設用ピンが低く形成されていること
もあり、挿設管糸を回転させるに当つては回転ロ
ーラを強く当接しなければならず、この強圧が摩
擦となつて管糸の回転を円滑に行なうことができ
ない欠点が指摘された。

［考案が解決しようとする課題］ そこで本考案はトレイに挿立した管糸を確実に
回転させる様なトレイを提供するものであり、単
に回転を容易にするばかりでなく、口糸をボビン
穴に挿入するに当つても好都合なトレイを提供し
ようとするものである。

［課題を解決するための手段］ よつて本考案では、トレイは管糸の外径より大
径で且つその底面側に凹部を形成した基盤部と、
該基盤部のほぼ中央部に設ける管糸挿設用ピンに
よつて構成され、該管糸挿設用ピンには前記管糸
の底面を支持するボビン受段部が形成されると共
に、前記挿設用ピンは上記基盤部に対して回転自
在に支持されてなるものである。

さらに口出し糸をボビン穴に挿入するに当つて
はこの回転自在な管糸挿設用ピンに通気路を形成
して吸引装置と連通する様に構成したものであ
る。

［作用及び実施例］ 第１図（断面図）は本考案に係る管糸搬送トレ
イ１を示し、挿入した管糸７はその一部を断面で
示している。第２図（見取図）は本考案トレイ１
を利用する管糸搬送路８の一部を示し、トレイ１
はコ字形枠９，１０によつて形成される案内レー
ル内に多数が遊嵌され、該案内レールに沿う様に
配置された丸形断面ベルト１１の頂面に底面の一
部が乗つてベルト１１の駆動によつて移動する。
１２はコ字形枠案内レールの脚片部９ａ，１０ａ
に設けた支えローラで前記ベルト１１を支えてい
る。この様に構成される搬送装置では、搬送路８
の特定部でトレイ１の管糸７を挿入し、他の部分
で該管糸をトレイ１から抜き出しているが、この
搬送路８の途中で挿入管糸の口出し糸を探して引
き出したり或はこの引き出し糸をボビン穴に挿入
することもある。しかるにトレイ挿入管糸７を積
極的に回転させるために、例えば第２図に示す様
な回転駆動装置１３の駆動ローラ１３ａを管糸７
のボビン６の根本部に圧接して回転させている
が、ボビン６が小径であり且つピン４との摩擦で
円滑に回転されない。よつて本考案では第３図
（一部破断側面図）及び第４図（第３図の平面図）
に示す様に、トレイ１の基盤部２の底面に凹部２
ａを形成すると共に管糸挿設用ピン４を基盤部２
にベヤリング１４，１４ａを介して取り付けるも
のである。尚基盤部２の上面には案内段部３を、
ピン４の下部にはボビン受段部５を形成したもの
を示しているが、これらは必要によつて環座とな
しピン４に挿入してもよい。また取り付け構成に
当つては、ピン４の突出細軸５ａ先端に螺溝４ｂ
を形成し基盤部の両側にベヤリング１４，１４ａ
を配置して貫通させ、凹部２ａ内において環座及
び締め付ナツト１５をもつて回転自在にしたもの
を示したが、ベアリング１４を一組としてピン４
を挿設したり、或はベアリングに代る他の回転支
持手段を利用してもよい。

一方搬送路８において管糸の口出し糸を管糸ボ
ビンの穴に挿通するに当つては、第６図（一部断
面側面図）の如く、前記ピン４に貫通した通気路
１９を形成し、該通気路１９はピン４の尖鋭先端
においては、傾斜面４ａの一部に折れ曲げて開口
１９ａを形成する。尚この様な通気トレイ１ａを
適用する搬送路８としては、第５図（一部見取
図）に示すごとく管糸挿入部を含めた挿入搬送路
８と口出し糸挿入部を含めた処理搬送路８ｂと管
糸取出し部を含む取出搬送路８ａとで構成し、前
記丸形ベルト１１を搬送案内レール外に設けた大
径駆動プーリ１１ａによつて挿入搬送路８と取出
搬送路８ａに臨ませて構成することが推奨され、
これらの搬送路８，８ａを処理搬送路８ｂで連結
し、該処理搬送路８ｂにおけるトレイ移動は、送
り装置１６によつて１ピツチずつ送られる。尚こ
の送り装置１６には規制板１６ａが設けられて挿
入搬送路８のトレイ移動を作動中規制するように
なつている。そして処理搬送路８ｂには前記通気
トレイ１ａの通気路１９と合致するような通気口
を設けた摺動台が形成され、該トレイ１ａが間欠
移動するとき通気路１９に減圧が作用して管糸７
の上方にある口出し糸７ｃをボビン穴に挿入す
る。尚この様な処理に当つては挿入搬送路８の一
部に口糸引き出し装置１８並びに糸切断装置２０
を設けておく、即ち第５図では挿入搬送路８上に
位置する通気トレイ１ａに管糸７ａが挿入されて
ベルト１１によつて移行し、その途中で前記した
ごとき駆動装置１３の駆動ローラ１３ａを挿入管
糸のボビン６に当接させて管糸を回転させると共
にその周辺に配置した口糸引き出し装置１８及び
図示しないビータの回転等によつて口糸７ｂを出
して移動する。次いでこの口出し糸７ｂは管糸の
移動よつて糸切断装置２０に案内される。そして
送り装置１６の作動によつて該口出し管糸が１ピ
ツチ送られると該案内レールの底面側に設けたサ
クシヨンボツクス１７の減圧が前記摺動台に形成
した通気口とトレイ１ａの通気路１９とが合致
し、管糸の頂面部にボビン穴を介した吸引気流が
形成され、切断された口出し糸７ｂが７ｃで示す
様にボビン穴に挿入される。尚この吸い込み挿入
口出し糸７ｃは通気トレイ１ａの先端に至らぬ長
さで切断されるが、巻き戻されることがあるので
必要によつて該口出し糸吸引部には管糸の頂面外
表に接触する様な糸繰出し規制部材を配置するこ
とが推奨される。

〔考案の効果〕

本考案トレイは、管糸挿設用ピンを基盤部に対
して回転自在に構成したから挿入管糸を軽くしか
も確実に回転させることができる様になり、搬送
途中における口糸引出し等の管糸処理作業を飛躍
的に向上させることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用するトレイの搬送を示す
断面図、第２図は搬送路の一部を示す見取図、第
３図は本考案トレイの一例を示す一部破断側面
図、第４図は第３図の平面図、第５図は搬送路並
びに管糸処理の一例を示す見取図、第６図は本考
案の他の構成例を示す一部破断側面図である。 １……トレイ、２……基盤部、３……案内段
部、４……ピン、５……ボビン受段部、６……ボ
ビン、７……管糸、８……搬送路、９，１０……
コ字形枠案内レール、１１……丸形ベルト、２…
…支えローラ、１３……回転駆動装置、１４……
ベヤリング、１５……ナツト、１６……送り装
置、１７……サクシヨンボツクス、１８……口糸
引出装置、１９……通気路、２０……糸切断装
置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 管糸を個々に挿設し、断面コ字形の案内レー
   ル間に遊嵌して積極的に移動される管糸搬送ト
   レイであつて、該トレイは管糸の外径より大径
   で且つその底面側に凹部を形成した基盤部と、
   該基盤部のほぼ中央部に設ける管糸挿設用ピン
   によつて構成され、該管糸挿設用ピンには前記
   管糸の底面を支持するボビン受段部が形成され
   ると共に、前記挿設用ピンは上記基盤部に対し
   て回転自在に支持されてなることを特徴とする
   管糸搬送トレイ。 (2) 回転自在に挿設した管糸挿設用ピンは、その
   先端尖鋭傾斜面部を除く軸心部に通気路を形成
   すると共に、前記先端尖鋭傾斜部で上記通気路
   を屈曲させて該傾斜部に開口させてなる実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の管糸搬送トレ
   イ。