JPH0217977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車用テレスコピツクステアリング
装置に関するものである。

従来の技術 自動車のステアリングシヤフトを、ロアシヤフ
トと該ロアシヤフトに軸方向に摺動可能に嵌装さ
れたアツパシヤフトとからなるテレスコピツクシ
ヤフトにて構成し、アツパシヤフトをロアシヤフ
トに対し軸方向に摺動調整することによりアツパ
シヤフトに設けられているステアリングハンドル
の前後方向位置を調整できるようにしたテレスコ
ピツクステアリング装置は従来より既に開発され
ている（例えば実開昭58−60568号公報参照）。

考案が解決しようとする問題点 上記のようなテレスコピツクステアリング装置
は、一般にアツパシヤフトとロアシヤフトよりな
るテレスコピツクシヤフトのうち、ロアシヤフト
をコラムシヤフト内に軸受にて回動可能に支持さ
せ、後端にステアリングハンドルを取付けたアツ
パシヤフトを上記ロアシヤフト後端部に軸方向に
スライド移動可能なるよう嵌装した構造となつて
いるものであるから、アツパシヤフトをロアシヤ
フトに対し後方に引き伸しステアリングハンドル
を後方位置とした場合、アツパシヤフトのロアシ
ヤフトによる支持点からオーバハング量が大とな
り、ステアリングハンドル取付端部附近の剛性が
低下し、ステアリングハンドルの振動が増大する
と言う問題を有している。

本考案は上記のような従来の問題に対処するこ
とを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、後端部にステアリングハンドルを取
付けたアツパシヤフトを、コラムシヤフトに回転
可能なるよう支持されているロアシヤフトに、軸
方向に摺動調整及びロツク可能なるよう嵌装して
なるテレスコピツクステアリング装置において、
前後両端部にコラムシヤフトの外周面に隙間なく
嵌合する厚肉部を有し長手方向中央部に内周面が
コラムシヤフト外周面に僅少隙間をもつて対向す
る中厚肉部を有し且つ上記厚肉部と中厚肉部との
間は内周面がコラムシヤフト外周面と大なる隙間
をもつて対向する薄肉部を全周にわたり部分的に
形成した形状の合成樹脂の一体成形品よりなるブ
ツシユを、上記コラムシヤフトの後端部附近の外
周に嵌装固定し、後端部に上記アツパシヤフトを
回転可能に支持する軸受を固設したハウジング
を、上記ブツシユの外周に軸方向に摺動可能なる
よう嵌装すると共に、上記軸受をアツパシヤフト
に軸方向に固定なるよう係止したことを特徴とす
るものである。

作 用 上記の構成において、アツパシヤフトをロアシ
ヤフトに対し摺動させてステアリングハンドルの
前後方向位置を調整すると、軸受はアツパシヤフ
トの軸方向移動と共にハウジングを伴つて軸方向
に移動し、アツパシヤフトの該軸受による支持点
よりのオーバハング量を常に一定に保つと共に、
該ハウジングとコラムシヤフトとの摺動部間に介
装されるブツシユの、厚肉部及び中厚肉部の成形
後のひけにより相対的に外周方向に膨出した薄肉
部のばね作用によつて、ハウジングはガタなく且
つ摺動抵抗少く支持され、更にアツパシヤフトか
らの荷重はブツシユの両端厚肉部を介してコラム
シヤフトにて強固に支持され、更に又該ブツシユ
の中厚肉部の成形後のひけにより表面部に生じる
若干の部分的凹部を摺動面潤滑用のグリース溝と
することにより摺動抵抗を更に低減することがで
きるものである。

実施例 以下本考案を附図実施例を参照して説明する。

図において、１は後端部にステアリングハンド
ル８を取付けたアツパシヤフト、２はコラムシヤ
フト３内に軸受４により回転可能で且つ軸方向に
は移動しないよう嵌装支持されたロアシヤフトで
あり、上記アツパシヤフト１はロアシヤフト２後
端の筒状部２１内に軸方向にスライド可能なるよ
う嵌装され、上記アツパシヤフト１とロアシヤフ
ト２にてテレスコピツクなステアリングシヤフト
が構成されている。

上記アツパシヤフト１の内孔内にはプツシユロ
ツド５が嵌装され、該アツパシヤフト１の内孔の
後端部附近に形成した雌ねじ部１ａにプツシユロ
ツド５の雄ねじ部５ａが螺合し、ロツクレバー６
を回動操作することによりプツシユロツド５が回
動して軸方向にねじ送り又はねじ戻しされるよう
になつている。

又アツパシヤフト１の前端近傍部分には、ロツ
クキー７がアツパシヤフト１の径方向にのみ移動
できるよう取付けられており、前記プツシユロツ
ド５の前端部分がロツクキー７の段部７１に当接
し、該プツシユロツド５が前方に移動するとロツ
クキー７をその前端のカム面７２にてアツパシヤ
フト１の外周方向に押し出しプツシユロツド５を
後方に移動させるとロツクキー７がアツパシヤフ
ト１の中心方向に移動するよう構成されている。

前記ロアシヤフト２の筒状部２１の内周面には
軸方向のロツク溝２１ａが形成され、該ロツク溝
２１ａに上記ロツクキー７が嵌り、プツシユロツ
ド５を前方にねじ送りすることにより、ロツクキ
ー７がロツク溝２１ａの底面に圧接し、このフリ
クシヨンによつてアツパシヤフト１を筒状部２１
にロツクすると共に、該ロツクキー７のロツク溝
２１ａへの嵌合によりアツパシヤフト１の操舵ト
ルクをロアシヤフト２に的確に伝達することがで
きるようになつている。

そしてロツクレバー６を回動操作してプツシユ
ロツド５をねじ戻しすると、前記ロツクキー７の
ロツク溝２１ａ底面への圧接はなくなつてロツク
は解除されアツパシヤフト１をロツク溝２１ａに
沿つて軸方向に摺動調整することができるもので
ある。但し本考案においては、上記アツパシヤフ
ト１とロアシヤフト２とのロツク機構は図示実施
例のものに限らず、任意構成のものを採用し得
る。

１０はコラムシヤフト３の後端部外周にブツシ
ユ９を介して軸方向にスライドできるよう嵌装さ
れたハウジングであり、該ハウジング１０の後端
部にはアツパシヤフト１を回転可能に嵌装支持す
る軸受１１が固設され、該軸受１１はアツパシヤ
フト１に軸方向には相対的に移動できないようス
ナツプリング１２にて係止されている。１３はハ
ウジング１０がコラムシヤフト３に対して回転し
ないようにする廻り止め部材でアツパシヤフト１
及びハウジング１０の軸方向移動範囲を規制する
ストツパを兼ねている。

上記構成により、アツパシヤフト１をロアシヤ
フト２に対し軸方向に摺動させると、軸受１１を
介してハウジング１０がコラムシヤフト３に対し
軸方向に摺動し、アツパシヤフト１は常にロアシ
ヤフト２の筒状部２１とその後方軸受１１との２
個所において支持された状態を保ち、且つ後方の
軸受１１による支持点からステアリングハンドル
８までのオーバハング量はステアリングハンドル
位置を前後に大きく調整しても不変であり、アツ
パシヤフト１の振動剛性は従来装置に比し著しく
増大し、ステアリングハンドル８の振動を大幅に
低減できる。

上記において、軸受１１にかかるアツパシヤフ
ト１の支持荷重は、ハウジング１０を介してコラ
ムシヤフト３にて担持されるものであるから、該
ハウジング１０とコラムシヤフト３との嵌め合せ
部は的確なる支持剛性をもつことが必要であり、
又ステアリングハンドル位置の調整操作が該ハウ
ジング１０とコラムシヤフト３との摺動抵抗によ
つてあまり重くなることがないようにすることも
必要である。

上記のような支持剛性の確保と調整操作をでき
るだけ軽くすると言う両要望を両立させることは
なかなか困難であるが、本考案では第２図乃至第
４図に示すような構造のブツシユ９をハウジング
１０とコラムシヤフト３との嵌め合せ部に介装す
ることにより、容易に且つ安価に上記両要望を両
立させて得たものである。

即ち、ブツシユ９は第２図乃至第４図に示すよ
うに、前後両端部はコラムシヤフト３の外周面に
全周にわたつて隙間なく嵌合する厚肉部９１，９
１とし、長手方向中央部はコラムシヤフト３の外
周面に僅少の隙間をもつて近接対向する中厚肉部
９２とし、上記厚肉部９１，９１と中厚肉部９２
との間はコラムシヤフト３の外周面に大なる隙間
をもつて対向する薄肉部９３を上記中厚肉部９２
とほぼ同じ肉厚の中厚肉部分９２′により円周方
向に複数に区画した形状として、例えばポリアセ
タール系樹脂等の合成樹脂の一体成形にて構成さ
れ、該ブツシユ９はコラムシヤフト３の後端部に
嵌装固定され、該ブツシユ９の外周面に前記ハウ
ジング１０を軸方向に摺動可能なるよう嵌装した
ものである。

尚９４は第１図において廻り止め部材１３が嵌
る案内溝である。

一般に表面が平滑で裏面に部分的に突出部を有
する形状に合成樹脂にてインジエクシヨン成形す
る場合、インジエクシヨン成形後の硬化時上記突
出部（厚肉部）の表面が部分的に裏面側に引かれ
る通常ひけと称される現象が生じ、なかなか完全
に平滑な表面を得ることが困難であると言う問題
を有している。

そこで本考案では上記の合成樹脂のインジエク
シヨン成形後の上記ひけと言う現象を積極的に利
用し、上記のようにブツシユ９の肉厚をほぼ３段
階に設定した構造とすることにより、成形後のひ
けにて厚肉部９１及び中厚肉部９２の部分は表面
が中心寄りに部分的に若干引込み、相対的に薄肉
部９３が外周方向に部分的に膨出した形状に形成
される。

従つてそのひけが生じた状態を正規寸法として
ブツシユ９をコラムシヤフト３に嵌装固着すると
共に、該ブツシユ９の外周面にハウジング１０を
上記若干外周方向に膨出した薄肉部９３と適度な
締代をもつて嵌装することにより、該膨出した薄
肉部９３のたわみによるばね作用にてハウジング
１０をガタなく支持することができると共に、ハ
ウジング１０内周面とブツシユ９との摺動抵抗が
少く、調整操作に支障を与えるようなことは全く
ない。

又アツパシヤフト１からハウジング１０に大き
い荷重が作用したときは、前後両端の厚肉部９
１，９１にて該荷重は支持され、支持剛性も確実
に保持され得る。

更に又、中厚肉部９２及び中厚肉部分９２の表
面のひけによつて生じる若干の凹部はハウジング
１０内周面との間の摺動低抗を減少させる為のグ
リースを溜めるグリース溝となり、機械加工等の
後加工処理を完全に不要とすることができるもの
である。

考案の効果 以上のように、本考案によればテレスコピツク
ステアリング装置において、コラムシヤフトに軸
方向に摺動可能に嵌装しアツパシヤフトを回転可
能に支持する軸受を後端部に取付けたハウジング
を追加し、該軸受をアツパシヤフトに軸方向に固
定なるよう係止すると共に、部分的に薄肉部を有
する合成樹脂の一体成形品よりなるブツシユを上
記コラムシヤフトとハウジングとの摺動部間に介
装した構造を採ることにより、アツパシヤフトの
あらゆる調整装置においてオーバハング量を常に
一定に保ち、ステアリングハンドル位置の前後方
向調整操作性をいささかも損なうことなくアツパ
シヤフトの振動剛性の著しい向上をはかり得るも
ので、アツパシヤフトのロアシヤフトより後方に
突き出た部分の外周がハウジングにてカバーされ
美感の向上をもはかり得ることと相俟つて実用上
多大な効果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す要部縦断側面
図、第２図は第１図のブツシユ部の一半断面図、
第３図はブツシユの斜視図、第４図は第２図のＡ
−Ａ断面図である。 １……アツパシヤフト、２……ロアシヤフト、
２１……筒状部、３……コラムシヤフト、８……
ステアリングハンドル、９……ブツシユ、９１…
…厚肉部、９２……中厚肉部、９３……薄肉部、
１０……ハウジング、１１……軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後端部にステアリングハンドルを取付けたアツ
   パシヤフトを、コラムシヤフトに回転可能なるよ
   う支持されているロアシヤフトに、軸方向に摺動
   調整及びロツク可能なるよう嵌装してなるテレス
   コピツクステアリング装置において、前後両端部
   にコラムシヤフトの外周面に隙間なく嵌合する厚
   肉部を有し長手方向中央部に内周面がコラムシヤ
   フト外周面に僅少隙間をもつて対向する中厚肉部
   を有し且つ上記厚肉部と中厚肉部との間は内周面
   がコラムシヤフト外周面と大なる隙間をもつて対
   向する薄肉部を全周にわたり部分的に形成した形
   状の合成樹脂の一体成形品よりなるブツシユを、
   上記コラムシヤフトの後端部附近の外周に嵌装固
   定し、後端部に上記アツパシヤフトを回転可能に
   支持する軸受を固設したハウジングを、上記ブツ
   シユの外周に軸方向に摺動可能なるよう嵌装する
   と共に、上記軸受をアツパシヤフトに軸方向に固
   定なるよう係止したことを特徴とする自動車用テ
   レスコピツクステアリング装置。