JPH0216546Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、絶縁被覆された多芯導電線の先端に
ある絶縁被覆を所定長さだけ脱皮させ、かつ絶縁
被覆が脱皮された部分にある多芯導電線を縒る作
業を自動的に行う装置に関し、特にシールド線な
どの脱皮および縒線加工に利用できるように、複
数本の絶縁被覆された多芯導電線を同時に脱皮さ
せ、かつ脱皮部分にある多芯導電線を同時に縒る
ように構成した複式電線自動脱皮線縒機に関す
る。

従来の技術 従来、縒線作業を必要とする電線として、多芯
導電線やシールド線（隔離線）等があつて、電線
直径が小さいものを結線する場合、ドーナツ状に
巻かれた束線から必要な長さに切断した後、スト
リツパで多芯導電線やシールド線の絶縁被覆を脱
皮し、絶縁被覆が脱皮された多芯導電線部分に手
指で縒りをかけていた。

また、電線直径がやや太い多芯導電線に関して
は、絶縁被覆された多芯導電線の先端にある絶縁
被覆を所定長さだけ脱皮され、かつ絶縁被覆が脱
皮された部分の多芯導電線を縒る作業を行なう装
置として、第８図から第１１図に要部のみを図示
した縒線可能なストリツパＳが知られていた。

この縒線可能なストリツパＳの作動を説明して
おくと、まず第８図において、縒線可能なストリ
ツパＳの回転筒Ｓ１の内部へ電線Ｃを人手により
矢印Ｘ方向へ挿入すると、電線Ｃの先端は切刃台
Ｓ３に弾性部材Ｓ４を介して弾力的に保持された
ベベルギア状の円形切刃Ｋを押しあげてストツパ
Ｓ５にまで到達する。

第９図において、電線Ｃを矢印Ｙ方向へ少し引
き戻すと、円形切刃Ｋが弾性部材Ｓ４により円弧
状に弾性復帰するので、円形切刃Ｋの刃部分が電
線Ｃの絶縁被覆にくい込むことになる。

そこで、第１０図に図示のように、電線Ｃの矢
印Ｚ方向へ手指で回転させて電線Ｃの絶縁被覆
C′を切断する。

第１１図において、電線Ｃを引続き手指で矢印
Ｙ方向へ回転させながら回転筒Ｓ１から引き抜く
と、絶縁被覆C′が円形切刃Ｋに引掛かつて脱皮さ
れると同時に、絶縁被覆C′が円形切刃Ｋで回転防
止され、かつ電線Ｃが回転するので、多芯導電線
を縒線Ｗとすることが出来る。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、上記のような従来技術において
は、脱皮および縒線加工を必要とする電線を１回
に１本ずつしか処理できないので、たいへそ不便
であつた。従つて、特に近年、需要が大幅に増加
しているシールド線（複数本の電線を１本のケー
ブルに収納している）の場合結線加工の際線縒工
程に手間がかかり作業能率を上げることが難しい
といつた課題がある。

具体的には、手作業で絶縁被覆の脱皮を行う場
合は、ストリツパを工夫すれば、１回に複数本の
電線を脱皮することも不可能ではないが、絶縁被
覆を脱皮した部分の多芯導電線は手指で１本ずつ
縒らなければならなかつた。また、シールド線な
どに対しては、まず外側の絶縁被覆を脱皮した
後、複数の電線の外周に巻かれたシールド用の細
線を除去したから内部の絶縁電線を１本ずつ手作
業で処理することしか出来なかつた。

前記縒線可能なストリツパＳを使用する場合
は、やはり１回に１本ずつしか処理できず、しか
も円形刃Ｋを電線Ｃの先端で押しつけなければな
らないので、細くて軟らかい電線は加工できなつ
た（第８図から第１１図を参照）。また、ベベル
ギア状の円形切刃Ｋが裸線と接触するので（第９
図と第１０図とを参照）、脱皮した多芯導電線を
傷つけていた。さらに、円形切刃Ｋが弾性部材Ｓ
４で支持される構造なので、脱皮された絶縁被覆
の長さが不均一なものとなつていた。従つて、従
来は上記ストリツパＳが複数本の電線を有するシ
ールド線には利用できないといつた課題がある。

そこで、本考案は上記課題を解決した複式電線
自動脱皮線縒機を提供することを目的とする。

課題を解決するするたの手段 本考案は、上マシンフレームと、 上マシンケースの下方に設けられた下マシンフ
レームと、 上マシンフレームに回転可能に支承されて前方
から順に線押えカム、皮切りカム、線縒りカムお
よび脱皮カムを同軸状に固定した主動軸と、 線押えカム、皮切りカム、線縒りカムおよび脱
皮カムを内包し、主動軸を遊嵌した前後スライド
ベースより前後移動可能に支持されるとともに、
下マシンフレームにより前後移動を案内される可
動マシンボデイと、 上マシンフレームに回動可能に枢支され可動マ
シンボデイ内部の線押えカムの回動に従動する線
押えレバーと、上マシンフレームに固設され線押
えカムに当接する線押えレバーを閉止方向へ回動
するように付勢する線押えスプリングと、線押え
レバーの前端に垂設する線押え上板および下マシ
ンフレーム前端に上方へ突出する線押え下板とを
備え、線押えカムの回動に応じ線押え上板および
線押え下板により複数本の加工対象となる電線を
同時に挟んで挾持する線押え手段と、 可動マシンボデイに枢支されて主動軸に固着し
た皮切りカムの回動に従動して開閉動作する皮切
り上刃、および可動マシンボデイ前端に固定した
皮切り下刃を備え、皮切りカムの回動に応じて複
数本の加工対象となる電線の絶縁被覆を同時に切
り離す皮切り手段と、 可動マシンボデイに枢支されて主動軸の線縒り
カムの回動に従動して水平方向へ往復移動する線
縒上板および線縒下板を備え、線縒りカムの回動
に合せて複数本の裸多芯伝導線を同時に縒る線縒
り手段と、 上下マシンフレーム側に長さ調整可能に支持さ
れたマシンボデイ位置制御棒を可動マシンボデイ
内部にある主動軸の脱皮カムのカム面に当接し、
脱皮カムの回動に従動して切り離された複数の絶
縁被覆部分を前記線押え手段で挟んだまま可動マ
シンボデイを後方へ移動させて切り離された複数
の絶縁被覆部分を同時に脱皮するように構成した
脱皮手段と、 よりなる。

作 用 線押えカム、皮切りカム、線縒りカム、脱皮カ
ムを有する主動軸の回動により可動マシンボデイ
及び線押え手段、皮切り手段、線縒り手段、脱皮
手段が動作して、複数本の電線を線押え手段の線
押え上、下板の間で挟持し、続いて複数本の電線
の絶縁被覆が皮切り手段の皮切り上、下刃の近接
動作により切り離され、その後切り離された絶縁
被覆を挾持する線縒上、下板の水平方向への往復
動により複数の裸多芯導電線を縒り、そして脱皮
手段により可動マシンボデイが後方へ移動して切
り離した絶縁被覆を脱皮する。

実施例 第１図乃至第５図に本考案になる複式電線自動
脱皮線縒機の一実施例を示す。

まず、本考案の要部をなす各部について概略的
に説明し、その後各部の詳細について説明するこ
とにする。

第１図中、複式電線自動脱皮線縒機は、大略上
マシンフレーム４と、下マシンフレーム６と、上
マシンフレーム４に支承された主動軸１と、前後
方向に移動自在に設けられた可動マシンボデイ４
ａと、複数本の電線を同時に挾持する線押え手段
１８′と、複数本の電線の絶縁被覆を切り離す皮
切り手段１７′と、複数本の裸多芯伝導線を縒る
線縒り手段１６′と、絶縁被覆を脱皮する脱皮手
段１５′とよりなる。

上マシンフレーム４に支承された主動軸１は前
方から順に線押えカム１８、皮切りカム１７、線
縒りカム１６および脱皮カム１５を同軸状に固定
されており、後述するようにその回動角に応じて
各部を動作させる。可動マシンボデイ４ａは線押
えカム１８、皮切りカム１７、線縒りカム１６お
よび脱皮カム１５を内包し、主動軸１を遊嵌した
前後スライドベース１９，１４より前後方向に移
動可能に支持されるとともに、下マシンフレーム
６により前後移動が案内される。又、可動マシン
ボデイ４ａは後述するように切断した絶縁被覆を
脱皮する際に脱皮カム１５のカム面の形状に応じ
て後方へ移動する。

線押え手段１８′は上マシンフレーム４に回動
可能に枢支され可動マシンボデイ４ａ内部の線押
えカム１８の回動に従動する線押えレバー１８１
と、同じく上マシンフレーム４に固設されて線押
えレバー１８１を常に閉止方向へ回動するように
付勢する線押えスプリング１８２と、線押えレバ
ー１８１の前端に垂設する線押え上板１８３およ
び下マシンフレーム６前端より上方へ突設する線
押え下板６ａとを備えており、線押えカム１８の
回動により線押え上板１８３および線押え下板６
ａにより複数本の加工対象となる電線Ｃを同時に
挾持する。

第４図に示す如く、可動マシンボデイ４ａに枢
支されて主動軸１に固着した皮切りカム１７の回
動に従動して開閉動作する皮切り上刃１７３と、
および可動マシンボデイ４ａ前端に固定した皮切
り下刃１７３′とを備え、皮切りカム１７の回動
に応じて複数本の加工対象となる電線Ｃの絶縁被
覆C′を同時に切り離す。

第２図及び第５ａ図に示す如く線縒り手段１
６′は、同じく可動マシンボデイ４ａに枢支せれ
て主動軸１の線縒りカム１６の回動に従動して水
平方向へ往復移動する線縒上板１６４および下板
１６４′を備え、線縒りカム１６の回動に応じて
複数本の裸多芯伝導線Ｗを同時に縒る。

又、第１図及び第６ａ図に示す如く、脱皮手段
１５′は上下マシンフレーム４，６側に長さ調整
可能に支持されたマシンボデイ位置制御棒１５′
を可動マシンボデイ４ａ内部にある主動軸１の脱
皮カム１５のカム面に当接し、この脱皮カム１５
の回動に従動して切り離された複数の絶縁被覆
C′部分を前記線押え手段１８′で挟んだまま可動
マシンボデイ４ａを後方へ移動させて切り離され
た複数の絶縁被覆C′部分を同時に脱皮するように
構成されている。

第１図中、主動軸１は一端に回転駆動歯車１１
が設けられており、この回転駆動歯車１１にはマ
グネツトクラツチと減速モータ（これらは周知技
術であるので、ここではその説明を省略する）か
らの駆動力が伝達用チエーンを介して伝達され
る。又、主動軸１の両端は夫々前部固定軸受１
０、後部固定軸受１２により上マシンフレーム４
上で軸承されている。

又、上マシンフレーム４と、下マシンフレーム
６の両側にはフレーム側板３が設けられ、この上
マシンフレーム４と下マシンフレーム６との間に
は主動軸１を有する可動マシンボデイ４ａが前後
方向に移動自在に設けられている。

線押え手段１８′の線押えカム１８上部には線
押えレバー１８１が設けられておりこの線押えレ
バー１８１は線押えスプリング１８２の弾撥力に
より下方に押圧されている。又線押えレバー１８
１の一端は上マシンフレーム４に固定されてい
る。線押えレバー１８１の他端は線押え上板１８
３と連結されている。又、線押え上板１８３は下
マシンフレーム６の前端に設けられた線押え下板
６ａと対向する位置あり、後述するように加工す
べき電線を上、下方向から挟持する。

第４図に示す如く、皮切り手段１７′の皮切り
カム１７下方には補助従動片１７１が設けられて
いる。補助従動片１７１は皮切りカム１７に押圧
されて皮切りレバー１７２を下方に押圧する。そ
のため、皮切りレバー１７２は可動マシンボデイ
４ａに設けられた皮切りレバー１７２の支点１７
５を軸として前端が上方向に回動する。

尚、皮切りレバー１７２の前端には皮切り上刃
１７３が固定され、皮切りレバー１７２の下側に
は上刃引き下げスプリング１７４が設けられてい
る。皮切り上刃１７３は線縒下板１６４′に設け
られた皮切り下刃１７３′に近接する。又、第６
図に示す如く、皮切り上刃１７３の内側には皮切
り刃調整手段１６１ａの上刃位置調整ブロツク１
６１が設けられ、上刃位置調整軸１６１′上に当
接し、位置調整軸１６１′の小径部の段差により、
皮切り上刃１７３の高さ、即ち皮切り上刃１７３
と皮切り下刃１７３′との間隔を調整する。

尚、第４図に示すように、補助従動片１７１
は、皮切りレバー１７２を下方に押圧するととも
に、その下に位置する開閉連動棒１７０を押圧す
る。よつて、開閉連動棒１７０は皮切りレバー１
７２の下方に位置する線縒上板保持レバー１６２
を押圧する。この保持レバー１６２は側方に支点
１６３を有し、支点１６３はボデイ側板４０ａに
支承されている。

尚、保持レバー１６２の逆側についても同様な
構成になつているが、第１図には逆側のボデイ側
板が省略されている。

又、保持レバー１６２は前端が線縒上板１６４
の線縒り溝１６４ａ内に遊嵌状態に挿入されてお
り、支点１６３の前端部分は線挟みスプリング１
６５により下方に押圧されている。これにより、
線縒上板１６４は線縒下板１６４′に近接する方
向に押圧される。

第２図に示す如く、線縒り手段１６′の線縒り
カム１６は上下方向に回動可能に設けられた補助
従動片１６６に摺接し、補助従動片１６６は皮切
りレバー１７２の連動突縁１７２ｂを下方に押圧
するとともに上下動ブロツク１６７を下方に押圧
する。又、上下ブロツク棒１６７ａはスライド座
１６７′の上下方向に貫通する孔１６７′ａに摺動
自在に挿入される。上下動ブロツク１６７は両側
に上斜面１６７ｂと下斜面１６７ｃとを有し、上
下動により上部摺動枠１６８と下部摺動枠１６
８′を左右方向に摺動させる。上部摺動枠１６８
は左ピン穴１６８ａに挿入されたピン１６８ｃを
介して右側連動アーム１６９と連結されており、
連結ロツド１６９ａの先端部１６９ｂは線縒上板
１６４に嵌合する。又、下部摺動枠１６８′も同
様に右ピン穴１６８ｂに挿通されたピン１６８ｃ
を介して左側連動アーム１６９′に連結されてお
り、連結ロツド１６９a′、先端部１６９′ｂは線
縒下板１６４′に嵌合する。

第５図に示す如く、右側連動アーム１６９と可
動マシンボデイ４ａとの間には引き戻しスプリン
グ１６０が介装され、左側連動アーム１６９′と
可動マシンボデイ４ａとの間にも引き戻しスプリ
ング１６０′が介装されている。

又、上下動ブロツク１６７の底部とスライド座
１６７′との間には上下動ブロツク１６７を上方
に押圧する線より圧縮ばね２が介在する。そのた
め、上下動ブロツク１６７は線縒りカム１６の回
動により下方向の押圧力が解除されたとき、ばね
２の押圧力により上下動するとともに、上下部摺
動枠１６８，１６８′及び線縒上、下板１６４，
１６４′は引き戻しスプリング１６０，１６０′の
引張力により往復動して後述するように複数本の
電線を縒る。

保持レバー１６２の下方には線端案内板１５
９′が面対向するように設けられている。この線
端案内板１５９′の下面には線端ストツパ１５９
が固着されており、線端ストツパ１５９は下刃固
定ブロツク１９０の上面に載置され、前後方向の
位置、即ち絶縁被覆の切り離し長さを調整されて
固定される。又、下刃固定ブロツク１９０の前端
には下刃固定柱１９０ａが突出している。この下
刃固定柱１９０ａは線縒下板１６４の線縒り溝１
６４ａに遊嵌し、その端面に皮切り下刃１７３が
固定されている。

第１図及び第３図に示す如く、脱皮手段１５′
の脱皮カム１５はカム面に第１斜面１５ａと、第
１斜面１５ｂと、小斜面１５ｃと、第２平面１５
ｄと、復帰斜面１５ｅとを有する。脱皮カム１５
の上記カム面にはマシンボデイ位置制御棒１５１
の一端が摺接する。この制御棒１５１は後スライ
ドベース１４の孔１４ｂに摺動自在に挿通され、
他端に保持デイスク１５２の外周縁に嵌合する凹
部を有する。保持デイスク１５２はマシンボデイ
位置調整歯車１５３と一体的に設けられている。

そして、第６ａ図に示す如くこの歯車１５３は
ウオーム孔１５３ａがベース１４より後方に突出
する位置調整ウオーム１５２ｂに螺合する。可動
マシンボデイ４ａは主動軸１に摺動自在に嵌合す
る前部スライドベース１９と後部スライドベース
１４により主動軸１に沿つて前後方向に移動す
る。従つて、脱皮カム１５の回動により、制御棒
１５１がカム面を摺接するとベース１４は前後方
向に移動して後述するように絶縁被覆を脱皮す
る。尚、歯車１５３は調整用のウオームホイール
（図示せず）に噛合し、前記制御棒１５１の位置
を調整する。

又、第２図に示すように、上下動ブロツク１６
７とその上方に配設されるスライド座１６７′と
の間には線縒具合調整ブロツク１５６が嵌入され
ている。ボデイ側板４０ｃには線縒具合調整手段
１５４′の線縒調整歯車１５４が支承されている。
この歯車１５４は線縒具合調整軸１５５の一端に
取付けられ、軸１５５の他端のねじ部には前記ブ
ロツク１５６が螺合する。従つて、歯車１５４の
回動によりブロツク１５６が前後方向に移動し
て、その傾斜面に摺接する上下動ブロツク１６７
を上、下動させる。即ち、線縒具合調整手段１５
４′は歯車１５４の回動により線縒具合を調整で
きる。

ここで、上記構成になる複式電線自動脱皮線縒
機の動作について説明する。

尚、実際に作動させる前に、前述した線端スト
ッパ１５９、線縒具合調整ブロツク１５６、制御
棒１５１の位置を予め調整しておく。

まず、モータ（図示せず）の駆動力が回転駆動
歯車１１に伝達されると、主動軸１とともに脱皮
カム１５、線縒りカム１６、皮切りカム１７、線
押えカム１８が回動する。

本実施例では主動軸１に設けられた各カム１５
〜１８の動作に応じて線押え動作、皮切り動作、
線縒動作、脱皮動作の順に各動作が自動的に行な
われる。

主動軸１が回動しはじめると、まず線押えカム
１８が線押えレバー１８１を上方に押圧し、線押
え上板１８３をスプリング１８２の押圧力に抗し
て上動せる。そのため、上板１８３は線押え下板
６ａより離間する。

上記の如く、線押えレバー１８１が上動すると
き、皮切りカム１７は前カム面１７ａが補助従動
片１７１を押圧するとともに開閉連動棒１７０を
下方に押圧する。

そのため、皮切りレバー１７２及び保持レバー
１６２は支点１７５，１６３を軸として時計方向
（第１図中）に回動して皮切り上刃１７３及び線
縒上板１６４が上動し、皮切り下刃１７３′及び
線縒下板１６４′より離間する。

ここで、前方より複数本の電線Ｃが線縒上、下
板１６４，１６４′の間に挿入され、各電線の端
部を線端ストツパ１５９に当接させる。次に線押
えカム１８のカム面が回動するにつれて線押えレ
バー１８１への押圧が減少し、第７図ａに示す如
く、線押えレバー１８１はスプリング１８２の押
圧力により下動する。その結果、複数本の電線は
線押え上板１８３、線押え下板６ａにより上下方
向から挟持される。

第７図ａに示す如く、複数本の電線Ｃが上記の
ように挟持されると、皮切りカム１８の回動によ
りそれまで補助従動片１７１を下方に押圧してい
た前カム面１７ａに代つて後カム面１７ｂ（前カ
ム面１７ａより突出長さが小さい）が補助従片１
７１に摺接する。そのため、皮切りレバー１７２
は上刃引き下げスプリング１７４により時計方向
（第４図参照）に回動附勢されているので、皮切
りカム１７の後カム面１７ｂに応じて、支点１７
５を軸として反時計方向に回動する。よつて、皮
切りレバー１７２の先端に設けられた皮切り上刃
１７３は皮切り下刃１７３′に近接するように下
動する。その結果、複数電線Ｃの絶縁被覆C′は皮
切り上、下刃１７３，１７３′によりその外周上、
下側を切断される。

なお、皮切り上刃１７３が絶縁被覆C′のみを切
断する位置まで下動すると皮切りレバー１７２は
皮切りカム１７によりそれ以上回動できず、皮切
り上刃１７３は電線の裸多芯導電線Ｗを切断しな
いように皮切り下刃１７３′と所定距離離間した
位置で停止する。

次いで、線縒上板保持レバー１６２は補助従動
片１７１を介して皮切りカム１７により押圧され
る開閉連動棒１７０が上記カム面１７ｂに応じて
上動するため、線挟みスプリング１６５の押圧力
により支点１６３を軸として時計方向（第４図参
照）に回動する。そのため、保持レバー１６２の
先端が嵌合する線縒上板１６４が下動し、上記の
ように切断された絶縁被覆C′は線縒上、下板１６
４，１６４′により挟持される。

続いて、脱皮カム１５のカム面に摺接する制御
棒１５１は主動軸１の回動により第１斜面に当接
し後方へ移動する。従つて、位置調整歯車１５
３、位置調整ウオーム１５２ｂを介して制御棒１
５１と一体化された後スライドベース１４も同方
向へ移動する。即ち、前後スライドベース１９，
１４を介して支持された可動マシンボデイ４ａは
主動軸１に沿つて後方へ移動する。その際上マシ
ンフレーム４に設けられた線押え上板１５３は移
動せず、電線を挾持した位置で停止している。
又、可動マシンボデイ４ａの後方への移動により
マシンボデイ位置規制スプリング１３は圧縮され
る。

切断された複数の絶縁被覆C′は第７図ｂに示す
如く線縒上、下板１６４，１６４′に挾持された
まま可動マシンボデイ４ａとともに後方へ移動す
る。さらに、主動軸１の回動により制御棒１５１
が脱皮カム１５の第１平面に当接するとき、上記
絶縁被覆C′は後方に引き出されて裸多芯導電線Ｗ
が露出するが、次の線縒り動作を行なうため、完
全に手き出されたのではなく電線Ｗの先端部分を
包む状態で停止する。

次に、線縒りカム１６の回動により補助従動片
１６６が矢印Ｄ方向（第２図参照）に押圧され
る。よつて、補助従動片１６６は上下動ブロツク
１６７の上下ブロツク棒１６７ａを下方に押圧す
るとともに皮切りレバー１７２の連動突縁１７２
ｂを押圧する。

上下動ブロツク１６７の下動とともにその両側
の上斜面１６７ｂ、下斜面１６７ｃが上、下摺動
枠１６８，１６８′を夫々矢印Ｒ，Ｌ方向にスラ
イドさせる。同時に、上、下摺動枠１６８，１６
８′に一体的に設けられた連動アーム１６９，１
６９′は第５ａ図に示す如く左右方向に回動して
複数本の絶縁被覆C′を挾持している線縒上、下板
１６４，１６４′を夫々逆方向へ移動するように
矢印Ｌ，Ｒ方向にスライドさせる。これにより、
複数の絶縁被覆C′は挾持された位置で回転する。
第７図ｃに示す如く、電線Ｃは線押え上、下板１
８３，６ａにより固定されているので、絶縁被覆
C′の切断により露出した複数本の裸多芯導電線Ｗ
は縒られる。

尚、この線縒り動作時は、前述の如く脱皮カム
１５の回動により可動マシンボデイ４ａが後方に
移動する際絶縁被覆C′が切り離された時点で線縒
りカム１６により皮切りレバー１７２の連動突縁
１７２ｂが下方に押圧される。そのため、皮切り
上刃１７３は僅かに上動して電線Ｃより離間して
おり、線縒動作中に裸多芯導電線Ｗが切断するこ
とを防止する。

次に、上記線縒り動作後、脱皮カム１５に摺接
する制御棒１５１は第１平面１５ｂから小斜面１
５ｃ、第２平面１５ｄに摺接する過程でさらに後
方に押される。そのため、可動マシンボデイ４ａ
はさらに後方へ移動して切断した絶縁被覆C′を完
全に引き抜く。

そして、第７図ｄに示す如く、エアノズル７よ
り圧縮空気が噴出し、上記の如く引ひ抜かれた絶
縁被覆C′は吹き飛ばされる。

さらに、主動軸１が回転し、制御棒１５１が脱
皮カム１５の第２平面１５ｄから復帰斜面１５ｅ
に摺接すると、制御棒１５１は復帰斜面１５ｅと
第１斜面１５ａとの間の空間部に至る。よつて、
脱皮カム１５により制御棒１５１の押圧が無くな
り、可動マシンボデイ４ａは位置制御スプリング
１３の押圧力により前方へ移動し動作前の位置に
復帰する。これで、一連の線縒り、脱皮動作が完
了する。

尚、上記線縒り動作において、上下動ブロツク
１６７とスライド座１６７′との間に挿入される
線縒り具合調整ブロツク１５６の矢印Ｂ，Ｆ方向
の摺動位置に調整することにより上下動ブロツク
１６７の上下動が調整できる。即ち、調整ブロツ
ク１５６が矢印Ｆ方向に移動すると調整ブロツク
１５６の上、下ストロークが短くなり、線縒り
上、下板１６４，１６４′の移動距離が短くなつ
て線縒り具合が緩くなる。調整ブロツク１５６が
矢印Ｂ方向に移動すると、調整ブロツク１５６の
上、下ストロークが長くなり、線縒り上、下板１
６４，１６４′の移動距離が長くなつて線縒り具
合が強くなる。

又、上記制御棒１５１の位置は切り離す絶縁被
覆の長さを決める線端ストツパ１５９の位置に合
わせて調整する必要がある。第７図ｃに示すよう
に切断した絶縁被覆C′の一部が引き抜かれない状
態で線縒上、下板１６４，１６４′が絶縁被覆
C′の上から裸多芯導電線Ｗの端部を挾持して線縒
り動作が行なわれるため、挾持される絶縁被覆部
があまり長すぎると先端の縒つていない部分が緩
んでしまう。又、逆に挾持された絶縁被覆部が短
すぎると線縒りのとき絶縁被覆C′が裸多芯導電線
Ｗからはずれてしまい線縒り作業ができなくな
る。従つて、第７図ｂに示す脱皮作業時絶縁被覆
C′を引き抜く長さは何回か実際に行なつて適切な
長さに調整する。

考案の効果 上述の如く、本考案になる複式電線自動脱皮線
縒機は、線押え手段の線押え上板の上、下動によ
り線押え上、下板間に複数本の電線を一度に挾持
することができ、続いて皮切り手段の皮切り上、
下刃により複数本の絶縁被覆を同時に切断するこ
とができる。さらに線縒り手段の線縒上、下板が
水平方向の逆方向に夫々移動することにより複数
本の裸多芯導電線を縒ることができ、しかも脱皮
手段により可動マシンボデイを移動させて複数本
の絶縁被覆を同時に脱皮させることができる。よ
つて、複数の電線の線縒り、脱皮作業を自動的に
行なうことができ、従来のように１本ずつ縒る場
合よりも作業能率が高められ、例えばシールド線
のように複数本の電線を有するものでも１回の操
作で線縒、脱皮作業を容易に行なうことができ
る。又、主動軸に線押えカム、皮切りカム、線縒
りカム、脱皮カムを設けてなるため、装置全体が
コンパクトな構成にでき、主動軸を回転させるだ
けで一連の線縒、脱皮作業が行なえる等の特長を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になる複式電線自動脱皮線縒機
の一実施例の斜視図、第２図は線縒り手段の駆動
側の分解斜視図、第３図は脱皮カムの斜視図、第
４図は皮切り手段の斜視図、第５図は可動マシン
ボデイ及び下マシンフレームの斜視図、第５ａ図
は線縒り手段の被駆動側の斜視図、第６図は皮切
り刃調整手段の斜視図、第６ａ図はマシンボデイ
位置制御機構の分解斜視図、第７図ａ〜ｄは一連
の線縒り、脱皮作業の動作を説明するための工程
図、第８図乃至第１１図は従来の装置を説明する
ための工程図である。 １……主動軸、４ａ……可動マシンボデイ、６
ａ……線押え下板、７……エアノズル、１５……
脱皮カム、１５′……脱皮手段、１６……線縒り
カム、１６′……線縒り手段、１７……皮切りカ
ム、１７′……皮切り手段、１８……線押えカム、
１８′……線押え手段、１５０……マシンボデイ
位置制御機構、１５１……マシンボデイ位置制御
棒、１５４′……線縒具合調整手段、１５６……
線縒具合調整ブロツク、１５９……端線ストツ
パ、１６４……線縒上板、１６４′……線縒下板、
１６７……上下動ブロツク、１６７′……スライ
ド座、１６８……上部摺動枠、１６８′……下部
摺動枠、１６９……左側連動アーム、１６９′…
…右側連動アーム、１７０……開閉連動棒、１７
２……皮切りレバー、１７３……皮切り上刃、１
７３′……皮切り下刃、１８１……線押えレバー、
１８３……線押え上板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上マシンフレーム４と、 該上マシンフレームの下方に設けられた下マ
   シンフレーム６と、 上マシンフレーム４に回転可能に支承されて
   前方から順に線押えカム１８、皮切りカム１
   ７、線縒りカム１６および脱皮カム１５を同軸
   状に固定した主動軸１と、 前記線押えカム１８、皮切りカム１７、線縒
   りカム１６および脱皮カム１５を内包し、前記
   主動軸１を遊嵌した前後スライドスベース１
   ９，１４より前後移動可能に支持されるととも
   に、前記下マシンフレーム６により前後移動を
   案内される可動マシンボデイ４ａと、 前記上マシンフレーム４に回動可能に枢支さ
   れ前記可動マシンボデイ４ａ内部の線押えカム
   １６の回動に従動する線押えレバー１８１と、
   前記上マシンフレーム４に固設され線押えカム
   に当接する線押えレバー１８１を閉止方向へ回
   動するように付勢する線押えスプリング１８２
   と、線押えレバー１８１の前端に垂設する線押
   え上板１８３および下マシンフレーム前端６よ
   り上方へ穿設する線押え下板６ａとを備え、前
   記線押えカム１８の回動に応じて線押え上板１
   ８３および線押え板６ａにより複数本の加工対
   象となる電線を同時に挟んで挾持する線押え手
   段１８１と、 前記可動マシンボデイ４ａに枢支されて主動
   軸１に固着した皮切りカム１７の回動に従動し
   て開閉動作する皮切り上刃１７３、および可動
   マシンボデイ４ａ前端に固定した皮切り下刃１
   ７３′を備え、皮切りカム１７の回動に応じて
   複数本の加工対象となる電線の絶縁被覆を同時
   に切り離す皮切り手段１７′と、 前記可動マシンボデイ４ａに枢支されて前記
   主動軸１の線縒りカム１６の回動に従動して水
   平方向へ往復移動する線縒上板１６４および線
   縒下板１６４′を備え、前記線縒りカム１６の
   回動に応じて複数本の裸多芯伝導線を同時に縒
   る線縒り手段１６′と、 前記上下マシンフレーム４，６側に長さ調整
   可能に支持されたマシンボデイ位置制御棒１５
   １を可動マシンボデイ４ａ内部にある主動軸１
   の脱皮カム１５のカム面に当接し、前記脱皮カ
   ム１５の回動に従動して切り離された複数の絶
   縁被覆部分を前記線押え手段１８′で挟んだま
   ま可動マシンボデイ４ａを後方へ移動させて切
   り離された複数の絶縁被覆部分を同時に脱皮す
   るように形成した脱皮手段１５′と、 から構成した複式電線自動脱皮線縒機。 (2) 上記皮切り手段１７′は、可動マシンボデイ
   ４ａにそれぞれ枢支されて皮切りカム１７の回
   動に従動する補助従動片１７１、皮切りレバー
   １７２および皮切りレバー１７２の前端に垂設
   した皮切り上刃１７３と、可動マシンボデイ４
   ａに固設した皮切り下刃１７３′とを備え、 前記皮切りレバー１７２を皮切り下刃方向へ
   回動するように付勢する上刃引下げスプリング
   １７４により皮切りカム１７の後カム面１７ｂ
   に合せて加工すべき電線の絶縁被覆を切り離す
   ように構成するとともに、前記皮切りカム１７
   の前カム面１７ａが補助従動片１７１を介して
   前記皮切りレバー１７２を押し下げる時、皮切
   り上刃１７３を開放方向へ回動するとともに開
   閉連動棒１７０を押し下げて前端に線縒上板１
   ６４が嵌入した線縒板保持用上レバー１６２を
   開放方向へ回動し、前記皮切りカム１７の後カ
   ム面１７ｂが補助従動片１７１を介して皮切り
   レバー１７２を復帰させる時、前記開閉連動棒
   １７０をも復帰して、皮切り上下刃１７３，１
   ７３′が複数の絶縁被覆を切り離す時に複数の
   絶縁被覆を線縒上、下板１６４，１６４′によ
   り挟持するように構成したことを特徴とする請
   求項１記載の複式電線自動脱皮線縒機。 (3) 前記線縒り手段１６′は、前記可動マシンボ
   デイ４ａにそれぞれ枢支された線縒りカム１６
   に従動する補助従動片１６６と、補助従動片に
   従動して上下移動し上下運動を水平運動に変換
   する上下斜面を所定位置に形成した上下動ブロ
   ツク１６７と直交し上下動ブロツクの上下斜面
   で水平方向に往復運動するように前記可動マシ
   ンボデイ４ａに枢支された上部摺動枠１６８お
   よび下部摺動枠１６８′と、一端側が前記可動
   マシンボデイ４ａの右側面板に枢支され引戻し
   スプリング１６０を介して上部摺動枠１６８と
   連結するとともに他端側が前記線縒上板１６４
   と連結する右側連動アーム１６９′および一端
   側が前記可動マシンボデイ４ａの左側面板に枢
   支され引戻しスプリング１６０′を介して下部
   摺動枠１６８′と連結するとともに他端側が前
   記線縒下板１６４′と連結される左側連動アー
   ム１６９を備え、 前記上下動ブロツク１６７の上下運動におい
   て前記可動マシシンボデイ４ａ内部に固設した
   スライド座１６７′および上下動ブロツク１６
   ７を常に上方へ復帰するように付勢する線より
   圧縮ばね２を設け、前記線縒りカム１６の回動
   に応じて上下動ブロツク１６７が上下運動し、
   この上下運動を前記上部摺動枠１６８および下
   部摺動枠１６８′によつて水平運動に変換し、
   左右側連動アーム１６９，１６９′を介して前
   記線縒上板１６４および線縒下板１６４′を水
   平方向において往復移動するように構成すると
   共に、線縒りカム１６が補助従動片１６６を押
   動する際に前記皮切り手段１７′の皮切り上刃
   １７３を回動可能に保持する皮切りレバー１７
   ２の一部も押動することにより線縒上板１６４
   および線縒下板１６４′が裸芯導電線を縒る時
   に皮切り上刃１７３が裸多芯導電線から離れる
   方向へ回動するように構成したことを特徴とす
   る請求項１または２記載の複式電線自動脱皮線
   縒機。 (4) 前記脱皮手段１５′は、カム面として第一斜
   面１５ａ、第一平面１５ｂ、小斜面１５ｃ、第
   二平面１５ｄ、復帰斜面１５ｅを有する脱皮カ
   ム１５と、前記上下マシンフレーム４，６に支
   持されたマシンボデイ位置制御機構１５０とを
   備え、 該マシシンボデイ位置制御機構１５０は、前
   記上下マシンフレーム４，６および後スライド
   ベース１４の間に可動マシンボデイ４ａを線押
   えおよび皮切り時には前方に位置するように付
   勢し、脱皮および線縒り時には圧縮されるマシ
   ンボデイ位置制御スプリング１３と、マシンボ
   デイ位置制御棒１５１と、該マシンボデイ位置
   制御棒１５１の位置調整をするウオーム１５２
   ｂと、ウオーム調整用の調整ギア１５３と、該
   調整ギアに隣接されマシンボデイ位置制御棒１
   ５１を回転自在に保持する保持デイスク１５２
   とから構成したことを特徴とする請求項１記載
   の複式電線自動脱皮線縒機。 (5) 前記可動マシンボデイ４ａは、加工すべき電
   線の脱皮線縒長さを決定する線端ストツパ１５
   ９を前記主動軸１の軸線方向において前後移動
   可能に内設するとともに、上下マシンフレーム
   ４，６側に回転可能に支持された調整歯車１５
   ３および調整軸１５５によつて前記皮切り上下
   刃１７３，１７３′からら線端ストツパ１５９
   の前端面までの距離を調整するように形成した
   ことを特徴とする請求項１記載の複式電線自動
   脱皮線縒機。 (6) 前記線縒り手段１６′は、前記上下動ブロツ
   ク１６７およびスライド座１６７′の間に介装
   する線縒具合調整ブロツク１５６と、前記上下
   マシンフレーム４，６に回転可能に支持される
   調整軸１５５と、該調整軸を回転させる調整歯
   車１５４とから構成する線縒具合調整手段１５
   ４′を有し、前記上下動ブロツク１６７の上下
   移動の行程つまり前記線縒上下板１６４，１６
   ４′の左右移動工程を調整するように構成した
   ことを特徴とする請求項１または３記載の複式
   電線自動脱皮線縒機。