JPH0216006Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は頭上弁エンジンのシリンダヘツド装置
に関し、ヘツドカバーを低く形成してエンジンの
全高を短縮できるとともに、ロツカアーム室内に
ブレザー装置配設用の大きな空間を形成できるも
のを提供する。

本考案は、その前提構造として、例えば、第１
図及び第２図に示すように、頭上弁エンジンＥの
シリンダヘツド１とヘツドカバー２との間にロツ
カアーム室３を形成し、ロツカアーム室３内で吸
排気弁４とプツシユロツド６とをロツカアーム７
で連動連結し、ロツカアーム７を枢支するナツク
ル形枢支装置８の支持ボルト８ａをシリンダヘツ
ド１の上壁１２に固定するとともに、ロツカアー
ム７の高さ調節用ナツト８ｂを支持ボルト８ａの
上部にねじ嵌合により固定してなるシリンダヘツ
ド装置に関する。

（背景） 燃料タンクを頭載した汎用縦形エンジンは、以
前は製造コスト重視の面から側弁式エンジンが普
及していた。ところが、最近になつて省エネルギ
ーの一環として運転コスト重視の面から頭上弁エ
ンジンに切替えていこうとする傾向にある。

この場合、大きな問題となるのは、頭上弁式の
ヘツド及びヘツドカバーがエンジンの全高及び重
心を高くしてしまい、従来の側弁エンジンを搭載
していた各種機械に適合できなくなる事である。

そこで、従来の各種エンジン搭載機械を設計変
更する必要がなく、頭上弁エンジンを適合させる
ために、燃料タンク頭載状態で頭上弁エンジンの
全高を側弁エンジンの全高並みに小さくする事が
要請される。このために、一方では燃料タンクの
底面を上向きに凹入させてヘツドにかぶせること
により燃料タンクを下げ、他方ではヘツド及びヘ
ツドカバーの合計の高さを小さくする事が重要で
ある。

（従来技術） 従来の頭上弁エンジンのロツカアーム室内の構
造を示すものとして、従来例Ａ及びＢがある。

従来例Ａ （実公昭59−5130号公報） ロツカアームをシヤフト揺動式支持装置により
揺動支持するものにおいて、シリンダヘツドの上
壁上の周壁のうちプツシユロツド側の側壁部分を
シリンダヘツドの上壁から略垂直に立上げて形成
し、ブレザー装置をクランクケースに付設したも
のである。

従来例Ｂ （実開昭58−163608号公報） ロツカアームをナツクル形枢支装置により枢支
するものにおいて、シリンダヘツドの上壁上の周
壁のうちプツシユロツド側の側壁部分をシリンダ
ヘツドの上壁から略垂直に立上げて形成し、ブレ
ザー装置の配設位置は開示していないものであ
る。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記従来例Ａ及びＢでは下記の問題が
ある。

従来例Ａの場合 シリンダヘツドの上壁上の周壁の上記側壁部分
をシリンダヘツドの上壁から略垂直に立上げて形
成したので、プツシユロツドと上記側壁部分との
間には狭い空間しかなく、この空間にブレザー装
置を配設することはできない。

従つて、本従来例Ａにおいて、ロツカアーム室
内にブレザー装置を付設することを考えたとして
も、ロツカアームの真上空間だけを利用して、こ
の空間にブレザー装置を配設したものになり、こ
れではエンジンの全高が高くなる。

従来例Ｂの場合 シリンダヘツドの上壁上の周壁の上記側壁部分
をシリンダヘツドの上壁から略垂直に立上げて形
成したので、プツシユロツドと上記側壁部分との
間には狭い空間しかなく、この空間にブレザー装
置を配設することはできない。

従つて、本従来例Ｂにおいて、ロツカアーム室
内にブレザー装置を付設することを考えたとして
も、ロツカアームの真上空間だけを利用して、こ
の空間にブレザー装置を配設したものになり、こ
れではエンジンの全高が高くなる。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上記課題を解決するために、下記の
通り構成したものである。

すなわち、シリンダヘツド１の上壁１２のうち
支持ボルト８ａの取付部分１２ｂを弁軸５の支持
ボス部１２ａの上面よりも低く位置させ、シリン
ダヘツド１の上壁１２上の周壁１４のうち、プツ
シユロツド６側の側壁部分１５を横外方に倒れる
傾斜状に形成し、ヘツドカバー２を伏碗状に形成
し、ヘツドカバー２内において、高さ調節用ナツ
ト８よりも横外側で上記側壁部分１５の上端部よ
りも横内側に広い空間Ａを形成し、この空間Ａに
ブレザー装置１０を設けたものである。

（考案の効果） 本考案では、上述のように構成したので、下記
の効果を奏する。

すなわち、シリンダヘツドの上壁のうちナツク
ル形枢支装置の支持ボルトの取付部分を吸排気弁
の弁軸の支持ボス部の上面よりも低く位置させた
ので、ナツクル形枢支装置では最も外方に突出す
る支持ボルトの上端を低い飛び出し状態に維持で
き、ヘツドカバーを浅い伏碗状に形成して、エン
ジンの全高を低くできる。

その上、シリンダヘツドの上壁上の周壁のう
ち、プツシユロツド側の側壁部分を横外方に倒れ
る傾斜状に形成することで、ヘツドカバー内にお
いて、高さ調節用ナツトよりも横外側で上記側壁
部分の上端部よりも横内側に広い空間を形成し
て、この広い空間をブレザー装置配設用として利
用できるようにしたので、この広い空間に大容量
のブレザー装置を付設できながらも、ヘツドカバ
ーを浅い伏碗状に維持できて、エンジンの全高を
低く維持できる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は頭上弁式強制空冷エンジンの縦断正面
図、第２図はロツカアーム室周辺の要部縦断面
図、第３図はその要部平面図であつて、頭上弁エ
ンジンＥはシリンダブロツク１６及びシリンダヘ
ツド１を一体に組付けて構成され、シリンダブロ
ツク１６の中央にシリンダ１７を明け、クランク
軸１８と連動したピストン１９を当該シリンダ内
に上下摺動自在に内嵌する。

上記ピストン１９に接続する連接棒２２の大端
部２５には油掻きスプーン２６を連設し、クラン
クケース２０の下方に設けたオイルパン２７に貯
留する潤滑油を当該スプーンで攪拌し、エンジン
Ｅを飛沫潤滑可能に構成する。

また、シリンダヘツド１の上方に伏碗状のヘツ
ドカバー２を着脱自在に固定し、シリンダヘツド
１の上壁１２とヘツドカバー２との間にロツカア
ーム室３を形成し、シリンダヘツド上壁１２の左
方に吸排気弁４を閉弁バネ３５を介して進退駆動
可能に嵌挿し、当該弁４のヘツド４ｂをシリンダ
ヘツド１に明けた吸排気ポート３６の出口３７に
臨ませる。

さらに、シリンダヘツド上壁１２の右方にナツ
クル形枢支装置８の支持ボルト８ａを前後方向に
二箇立設し、船形のロツカアーム７を当該枢支装
置８に左・右揺動自在に枢支し、ロツカアーム７
の入力端７ａをプツシユロツド６に、また、その
出力端７ｂを吸排気弁４のステム・エンド４ａに
各々接当可能に構成する。また、ロツカアーム７
の高さ調節用ナツト８ｂが支持ボルト８ａの上部
にねじ嵌合により固定されている。

上記プツシユロツド６は、シリンダ１６からシ
リンダヘツド１にかけて形成したオイル戻し用の
空隙２４内に遊嵌され、その下部をタペツト４６
を介してクランク軸１８と連動した動弁カム軸４
７に接当せしめる。

一方、シリンダヘツド上壁１２を上記吸・排気
弁４側からプツシユロツド６側に向つて下り傾斜
状に形成し、しかも当該ヘツド上壁１２上の周壁
１４を上部に行くほど右横外方に倒れる傾斜状に
形成し、上記周壁１４に相応する偏平函状のヘツ
ドカバー２を上方よりシリンダヘツド１に着脱自
在に被せ付ける。

そして、ヘツドカバー２の函状内部のうち、高
さ調節用ナツト８よりも横外側で上記側壁部分１
５の上端部よりも横内側に広い空間を形成し、こ
の空間Ａにブレザー装置１０を配置し、燃焼室か
らクランク室１１に吹き抜け、空隙２４を経てロ
ツカアーム室３に流入するブローバイガス中のオ
イル切りを当該ブレザー装置１０で行なう。

即ち、クランク室に吹き抜けたブローバイガス
は、同時にクランク室に充満する潤滑油ミストを
少なからず含んだままロツカアーム室３に流入
し、このガスを直接大気中に排出若しくはエアク
リーナの浄気室に循環させると大気汚染やクリー
ナエレメントの目詰りの原因となるので、ブロー
バイガスをブレザー装置によりオイル切りする必
要がある。

上記ブレザー装置１０は、上記空間Ａの大部分
を閉じ切る区画壁２８とリード弁３０から成り、
く字状の区画壁２８のプツシユロツド８に近い側
に入口３１を明け、区画壁２８とヘツドカバー内
壁とで構成するブレザー室３２にロツカアーム室
３内のブローバイガスを案内する。

また、区画壁入口３１の裏面にリード弁３０及
び弁押え３３を開閉可能に付設し、ブレザー室３
２のヘツドカバー側壁に排出口３８を明け、導出
管３４の一端を当該排出口３８に接続し、その他
端を大気に開放するか、エアクリーナ４８の浄気
室に接続して、ブローバイガスをリード弁３０で
オイル切りしたのちに、排出口３８からブレザー
室３２外に排出する。

尚、符号４０は、点火栓を、４１はヘツドカバ
ー２上に頭載される燃料タンク、４３はエンジン
冷却風を案内する導風ケースである。

なお、ブレザー装置１０にリード弁を付設する
必要はなく、任意の構造を採ることが考えられ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであり、第１
図は頭上弁式強制空冷エンジンの縦断正面図、第
２図はロツカアーム室周辺の要部縦断面図、第３
図はその要部平面図である。 １……シリンダヘツド、２……ヘツドカバー、
３……ロツカアーム室、４……吸排気弁、６……
プツシユロツド、７……ロツカアーム、１０……
ブレザー装置、１１……クランク室、１２……１
の上壁、１４……１２の周壁、１５……１４の６
側の側壁部分、Ａ……２内の６側空間、Ｅ……頭
上弁エンジン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 頭上弁エンジンＥのシリンダヘツド１とヘツド
   カバー２との間にロツカアーム室３を形成し、 ロツカアーム室３内で吸排気弁４とプツシユロ
   ツド６とをロツカアーム７で連動連結し、 ロツカアーム７を枢支するナツクル形枢支装置
   ８の支持ボルト８ａをシリンダヘツド１の上壁１
   ２に固定するとともに、ロツカアーム７の高さ調
   節用ナツト８ｂを支持ボルト８ａの上部にねじ嵌
   合により固定してなる頭上弁エンジンのシリンダ
   ヘツド装置において、 シリンダヘツド１の上壁１２のうち支持ボルト
   ８ａの取付部分１２ｂを弁軸５の支持ボス部１２
   ａの上面よりも低く位置させ、 シリンダヘツド１の上壁１２上の周壁１４のう
   ち、プツシユロツド６側の側壁部分１５を横外方
   に倒れる傾斜状に形成し、 ヘツドカバー２を伏碗状に形成し、 ヘツドカバー２内において、高さ調節用ナツト
   ８よりも横外側で上記側壁部分１５の上端部より
   も横内側に広い空間Ａを形成し、この空間Ａにブ
   レザー装置１０を設けた事を特徴とする頭上弁エ
   ンジンのシリンダヘツド装置。