JPH0215822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は飲食物、とりわけコーヒー、酒など
の液状分を含有する飲食物を加温する容器に関す
る。

《従来技術と問題点》 従来から、酸化、中和、水和反応などの化学的
手段によつて飲食物を加温することは、種々試み
られており、例えば実開昭59−101882号公報に開
示されている。

同号報の加温手段は、水和反応を用いるもので
あつて、発熱剤容器に外部から水を注入して飲食
物を温めている。

しかし、この構成では、食する際には水が必要
であつて、常に水を別に携行しなければならない
という不便さがある。

この不便さを解消するために、発熱剤容器内に
発熱剤と分離した水などの反応誘発剤と、これを
破断する手段を密閉して収納することが考えられ
る。

しかしながら、このような構成にすると、飲食
時以外に誤つて破断する危険性があるとともに、
これを防止する手段を講じなければならず、構造
が複雑となり、コストが嵩むという問題があつ
た。

また、密封しておくと例えば発熱剤として生石
灰などを使用すると、発熱反応に伴つて容器内の
空気が膨張し、膨張力によつて容器が破損する惧
れもあつた。

一方、例えば酸化反応によつて発熱する金属酸
化物などでは、上述した如き問題はないものの、
発熱量が十分でなく、適量の飲食物を適温まで暖
めることが難しかつた。

この考案は、上述した従来の問題点に鑑みてな
されたものであつて、その目的とするところは、
外部から水などを加えることなく任意に発熱させ
て飲食物を加温できるとともに、必要とする時を
除いて誤つて発熱させる危険性がなく、しかも発
熱に伴う膨張空気を確実に排出して容器の破損を
防止できる飲食物加温容器を提供することにあ
る。

《問題点を解決するための手段》 上記目的を達成するため、この考案は、一端が
開封可能に閉止され他端が開口した容器本体と、
この本体の開口端に該本体内に侵入するようにし
て装着され一端が開口した発熱容器と、この発熱
容器内に収納された発熱剤と水袋と、前記発熱容
器の開口端に嵌着され内外を連通する透孔を有す
る裏蓋とからなる容器において、上記発熱容器の
開口端に挿入された切込部を有する中蓋と、上記
裏蓋とこの中蓋とを貫通する排気孔とからなるこ
とを特徴とする。

《作用》 裏蓋の透孔と中蓋の切込部を介して水袋を破断
すると、水袋から放出された水と発熱剤とが接触
して発熱剤の水和反応が起こり、発生した熱が発
熱容器を介して加温対象物に伝達され、これを温
める。

発熱反応に伴つて熱せられて体積の膨張した空
気は排気孔を介して外部に排出される。

《実施例》 以下、この考案の好適な実施例について添附図
面を参照にして詳細に説明する。

第１図および第２図は、この考案に係る飲食物
加温容器の一実施例を示している。

同図に示す加温容器は、両端が開口した円筒状
の容器本体１０と、容器本体１０の上端開口縁に
巻締め装着された上蓋１２と、容器本体１０の下
端開口縁に同じように巻締め装着され下端が開口
した発熱容器１４と、発熱容器１４内に収納され
た発熱剤１６および水袋１８と、発熱容器１４の
開口端に嵌着され、切込部２０が形成された中蓋
２２と、切込部２０と位置対応する個所に透孔２
４が穿設され、前記発熱容器１４と容器本体１０
の巻締め部を抱き込むようにして巻締めされ、発
熱容器１４の下端を閉塞する裏蓋２６と、裏蓋２
６と中蓋２２に穿設された排気孔３６とから概略
構成されている。

上記容器本体１０は、紙を主体とした多層構造
であつて、内側面には樹脂コートが施されて断熱
性を有し、また上記発熱容器１４はアルミニウム
などの比較的薄い金属製の熱良導体であつて、こ
れらの間に加温すべき飲食物２８、例えば酒、コ
ーヒーなどが収納される。

上記上蓋１２には、リフトアツプリング方式な
どの公知の開封手段が設けられている。

上記発熱剤１６としては、水と反応して発熱す
る物質であれば何でもよいが、発熱量、経済性の
点から生石灰が好ましく、また、上記透孔２４よ
りも大きい粒状物が好ましく、さらに、例えば軽
焼ドロマイトなどの発熱量調整剤との併用あるい
は単独使用のいずれでもよい。

上記水袋１８は、比較的破断容易な合成樹脂の
袋体に水を充填したものであつて、発熱容器１４
のほぼ中央部分に位置し、その両側に上記発熱剤
１６が収納されている。

上記中蓋２２は、第２図に詳細を示すように、
円板状の紙材、例えば1.5mm程度のダンボール紙
の周縁を折曲げて上記発熱容器１４の開口端に挿
入され、容器１４内の発熱剤１６や水袋１８を支
持している。

そして、その中央部には、上記透孔２４と位置
対応した個所に十字状の切込部２０があつて、こ
の切込部２０は使用前には閉じているが、後述す
る使用時にピン３４の挿通が容易にできるように
なつている。

また、周縁部には小径の排気孔３６ａが穿設さ
れていて、上記裏蓋２６に設けられた大径の排気
孔３６ｂと同軸上になるように設定されている。

このように構成された中蓋２２は、発熱剤１６
などを支持し且つ発熱容器１４に嵌着するために
は、かなりの強度とある程度の弾力性が必要で、
上述した如く発熱剤１６などを支持するだけでな
く、紙材の吸湿性によつて、ピン３４による破断
で水が発熱容器１４内に放出された際に、水袋１
８の位置などの関係で漏水または噴出の危険性を
防止する機能も有している。

なお、中蓋２２の材質は、上記のものに限定さ
れることなく、強度、弾力性、吸湿性を兼ね備え
たものであればよい。

また、切込部２０の形状も上記のものだけでな
く、例えば−字状、×印状などであつてもよく、
要するに使用前に閉じていて、ピン３が挿通でき
れば形状はどのような形であつてもよい。

一方、上記裏蓋２６に穿設された透孔２４は、
使用時に水袋１８を破断して発熱剤１６を水和反
応させる際にピン３４を挿入するものであるが、
使用前には下面側からシールテープ３０によつて
閉塞されている。

そして、上記上蓋１２の上方には、樹脂製のキ
ヤツプ３２が嵌着され、その内面には水袋１８の
破断用のピン３４が装備されている。

上述の如く構成された加温容器は、飲食物２８
を加温する際に、キヤツプ３２を外し、ピン３４
を取り出し、裏蓋２６のシールテープ３０をはが
し、透孔２４および切込部２０内にこれを挿通し
て水袋１８を破断し、放出された水と発熱剤１６
を接触させ、水和反応による発熱を容器１４を介
して飲食物２８に伝え、これを温める。

ここで、発熱に伴う熱水の吹き出しは、中蓋２
２によつて防止されるとともに、発熱による膨張
空気の排出は、排気孔３６ａ，３６ｂによつてス
ムーズに外部に放出される。

なお、上記シールテープ３０は、裏蓋２６の上
面側に貼着しておき、ピン３４でこれを突き破る
ようにしてもよい。

また、排気孔３６ａ，３６ｂは、１カ所だけで
なく周縁部に複数個所に設けてもよい。

《考案の効果》 以上、実施例で詳細に説明したように、この考
案に係る飲食物加温容器においては、発熱反応に
必要な水が発熱剤と分離して収納されているた
め、別に水を準備することなく任意に飲食物を温
めて食することができる。

また、水袋は発熱容器内に収納され、外部から
ピンなどを使用して突き破らない限り破断される
ことはなく、容器内に破断手段を内装した場合の
ように誤つて破断される惧れがなく、運搬や保管
も安全である。

さらに、発熱反応に伴う膨張空気は、排気孔か
ら外部に放出されるため、容器内の圧力が大きく
なつてこれを破損する惧れもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ断面図である。 １０……容器本体、１２……上蓋、１４……発
熱容器、１６……発熱剤、１８……水袋、２０…
…切込部、２２……中蓋、２４……透孔、２６…
…裏蓋、２８……飲食物、３０……シールテー
プ、３２……キヤツプ、３４……ピン、３６……
排気孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一端が開封可能に閉止され他端が開口した容
   器本体と、該本体の開口端に該本体内に侵入す
   るようにして装着され一端が開口した発熱容器
   と、該発熱容器内に収納された発熱剤と水袋
   と、該発熱容器の開口端に嵌着され内外を連通
   する透孔を有する裏蓋とからなる容器におい
   て、上記発熱容器の開口端に挿入された切込部
   を有する中蓋と、上記裏蓋と該中蓋とを貫通す
   る排気孔とからなることを特徴とする飲食物加
   温容器。 (2) 上記排気孔は上記裏蓋と中蓋との周縁部に少
   くとも１カ所設けられていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の飲食物加
   温容器。