JPH0214604B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は下水汚泥等の廃棄物を焼却するための
多段焼却炉の燃焼方法に関するものである。

（従来の技術） 下水汚泥のような高カロリーの自然性廃棄物の
焼却には従来から多段焼却炉が広く用いられてい
るが、この種の焼却炉にあつては炉内温度が異常
に上昇し易く、炉を損傷させたり、クリンカーを
生成したり、NOx発生量が増大する欠点があり、
また、排ガス温度の上昇により排ガス処理設備を
損傷させたり、排ガス体積の増大による排ガス処
理費用の増加を招いたりする欠点があつた。そこ
で従来から燃焼帯の温度が異常に上昇したときに
は燃焼ガスの一部を燃焼帯から抽気することによ
り炉内温度の低下を図るようにした多段焼却炉
（例えば、特公昭48−36269号公報）や、乾燥帯の
排ガスの一部を燃焼帯に循環させることにより燃
焼帯の過熱を防止するようにした多段焼却炉（例
えば、特公昭54−11629号）が開発されていた。

（発明が解決しようとする課題） ところが、下水汚泥処理において、消石灰や塩
鉄等の無機凝集剤を用いた従来の脱水処理法に代
わつて、高分子凝集剤を用いた脱水処理法が盛ん
になつてきたことから、最近（高分子系廃棄物）
の発熱量は従来（石灰系廃棄物）の発熱量に比較
して高くなつている。そのため、例えば特公昭48
−36269号に示される多段焼却炉の燃焼方法は、
燃焼帯の異常昇温を検知した後に抽気を開始する
ので応答の遅れにより炉壁の損傷やクリンカー生
成を防止することができぬうえ、抽気量が不安定
であるので抽気された燃焼ガスのエネルギを有効
に利用することが困難であつた。また特公昭54−
11629号に示される多段焼却炉の燃焼方法も、燃
焼帯の異常昇温を検知した後に循環を開始するの
で同様の問題があつた。従つて、炉内温度の異常
昇温を有効に防止するとができ、しかもエネルギ
ロスを防止することができる多段焼却炉の燃焼方
法が望まれていた。

（課題を解決するための手段） 本発明はこのような従来の問題点を解決するた
めに完成されたものであり、乾燥帯と燃焼帯と冷
却帯とを有する多段焼却炉の乾燥帯の排ガスを燃
焼帯の温度に応じて燃焼帯と冷却帯のいずれか一
方又は双方へ循環させるとともに、乾燥帯又は燃
焼帯の排ガスを常時所定量以上中段排気して後段
の熱交換器により熱回収しつつ、廃棄物投入量が
増加したときには更に大量の排ガスを中段排気す
ることを特徴とするものである。

（実施例） 次に本発明を図示の実施例について詳細に説明
する。

１は乾燥帯２と燃焼帯３と冷却帯４とから成る
多段焼却炉の炉体であり、乾燥帯２の上部の廃棄
物投入装置５により投入された下水汚泥のケーキ
のような廃熱物が炉体１の内部に多段に形成され
た炉床６間をアーム７により撹拌されつつ順次下
方へ移動し、乾燥、燃焼、冷却の各工程を経て冷
却帯４の下端から焼却灰として排出されるよう構
成されたものである。乾燥帯２と燃焼帯３又は冷
却帯４との間には循環フアン８を備えた循環ダク
ト９が設けられている。この循環ダクト９には循
環ガス量調節弁１０が介装されており、該循環ガ
ス量調節弁１０は燃焼帯３の温度計１１からの信
号に応じて循環ガス量調節弁１０の開度を制御す
る温度調節器１２に接続されている。また、乾燥
帯２又は燃焼帯３には排気ガス量調節弁１３を備
えた排気ダクト１４が設けられており、該排気ガ
ス量調節弁１３は前記の廃棄物投入装置５に付設
された投入量検出器１５からの信号を受けて排気
ガス量調節弁１３の開度を制御する排気量調節器
１６に接続されている。排気量調節器１６は常時
所定量の燃焼ガスが乾燥帯２又は燃焼帯３から中
段排気されるよう、排気ガス量調節弁１３を開く
とともに、廃棄物投入量が定常状態よりも増加し
たときにはそれに対応させて排気ガス量調節弁１
３を更に大きく開くように設定されているもので
ある。なお、１７は排気ダクト１４に接続され中
段排気された燃焼ガスを冷却する第１熱交換器、
１８は第１熱交換器１７を経た燃焼ガスを循環ガ
スの一部とともに除湿及び脱硫に適した温度まで
更に冷却する冷却塔、１９は脱硫塔、２０は電気
集塵機、２１は排ガスフアンであり、２２は脱硫
後の40℃程度の排ガスを昇温させるための第２熱
交換器である。また、２３は第２熱交換器２２及
び前記の第１熱交換器１７により加熱された排ガ
スを更に加熱する再加熱炉、２４はNOxをアン
モニアと反応させてN₂とH₂Oに分解する脱臭、
脱硝用の触媒反応塔、２５は以上の工程により浄
化された排ガスを大気中に放出する煙突である。

（作用） このような多段焼却路は、燃焼帯３に設けられ
たバーナー２６により燃焼帯３の温度を自燃性廃
棄物が自熱するに必要な温度以上としたうえでパ
イプ２７から廃棄物燃焼用空気を供給しつつ廃棄
物投入装置５によつて廃棄物を炉体１の上部から
継続的に投入すれば、廃棄物は乾燥帯２において
上向するガス流と接触して乾燥され、燃焼帯３に
おいて燃焼したうえ冷却帯４の下端から焼却灰と
して排出されることは従来の多段焼却炉と同様で
ある。

しかし本発明にあつては、燃焼帯３の温度が上
昇傾向を示したときには乾燥帯２と燃焼帯３又は
冷却帯４との間に設けられた循環ダクト９が燃焼
帯３の温度に応じて多量の排ガスを乾燥帯２から
燃焼帯３と冷却帯４のいずれか一方又は双方へ循
環させるので、温度の低い乾燥帯２からの排ガス
により燃焼帯３の温度が直ちに降下される。

また、廃棄物の発熱量は略一定であるために燃
焼帯３の温度上昇は廃棄物投入量の増加が最大の
原因となるものであるが、本発明においては乾燥
帯２又は燃焼帯３に設けられた排気ダクト１４が
常時燃焼帯３から燃焼ガスを中段排気しつつ廃棄
物投入量が増加したときにはそれに対応しつつ更
に多量の燃焼ガスを中段排気するので、投入量の
増加による燃焼帯３の温度上昇が生ずる以前に予
め排気量が増加されることとなる。従つて定常状
態よりも多量に投入された廃棄物が燃焼帯３にお
いて燃焼を開始して燃焼発熱量が増加しても予め
排気量が増加されているために炉内温度の上昇は
抑制され、炉壁の損傷やクリンカーの生成が防止
される。なお、投入量の増加を検出したのち乾燥
帯２又は燃焼帯３の排気量の増加を開始するまで
に一定の時間遅れを持たせることが好ましく、こ
のためには排気量調節器１６に遅延回路を内蔵さ
せる等の手段が用いられる。このように、本発明
の多段焼却炉では常時中段排気が行われているた
めに中段排気された約800℃の燃焼ガスのエネル
ギを有効に利用して排ガス処理が行われる。即
ち、中段排気された燃焼ガスは第１熱交換器１７
によつて冷却されたのち冷却塔１８により冷却、
集塵、除湿されて約40℃の排ガスとなり、更に脱
硫塔１９により脱硫される。次に第２熱交換器２
２により約250℃に加熱され、更に第１熱交換器
１７により400℃程度まで加熱されたうえ触媒反
応塔２４で脱臭、脱硝され、その熱量を第２熱交
換器２２で放出して約200℃の温度で煙突から排
出される。これは触媒反応には高温が必要である
ことに起因する排ガスの冷却及び加熱を２つの熱
交換器を用いることにより外部エネルギの消費を
最小限度に止めて行わせたものであり、中段排気
された燃焼ガスのエネルギは無駄なく利用される
こととなる。

（発明の効果） 本発明は以上の説明からも明らかなように、乾
燥帯の排ガスを燃焼帯の温度に応じて燃焼帯又は
冷却帯へ循環させるとともに、乾燥帯又は燃焼帯
の排ガスを常時所定量以上中段排気しつつ廃棄物
投入量が増加したときには更に大量の排ガスを中
段排気することにより燃焼帯の異常昇温を確実に
防止し、炉壁の損傷やクリンカーの生成を防ぐこ
とができる。また本発明によれば、常時中段排気
される乾燥帯又は燃焼帯の排ガスのエネルギを後
段の熱交換器により熱回収して排ガス処理等に有
効に利用することによりエネルギロスを防止する
ことができる。

よつて本発明は従来の欠点を解決した多段焼却
炉の燃焼方法として、産業の発展に寄与するとこ
ろ極めて大なものがある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示す概略図である。 ２：乾燥帯、３：燃焼帯、４：冷却帯、９：循
環ダクト、１４：排気ダクト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 乾燥帯２と燃焼帯３と冷却帯４とを有する多
   段焼却炉の乾燥帯２の排ガスを燃焼帯３の温度に
   応じて燃焼帯３と冷却帯４のいずれか一方又は双
   方へ循環させるとともに、乾燥帯２又は燃焼帯３
   の排ガスを常時所定量以上中段排気して後段の熱
   交換器により熱回収しつつ、廃棄物投入量が増加
   したときには更に大量の排ガスを中段排気するこ
   とを特徴とする多段焼却炉の燃焼方法。