JPH0213764Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (a) 考案の目的 〔考案の技術分野〕 本考案は、ピストンロツドの摺動部を潤滑する
グリースの充填を、グリースポンプにより行う空
気圧シリンダのグリース充填部の改良に関する。

〔従来技術とその問題点〕 第１図は従来の空気圧シリンダにおけるグリー
ス充填部を示す断面図である。ピストンロツド１
が貫通するロツドカバー２には、ロツドメタル３
がボルト４で固定されている。ロツドカバー２と
ロツドメタル３との間には、内周に凹溝５が形成
され、該凹溝５にロツドパツキン６が挿入され、
ピストン摺動部をシールしている。ロツドメタル
３の内周には、金属製のブツシユ７とダストワイ
パー８が装着されている。またロツドメタル３の
内周には、グリース溜溝９は形成され、該グリー
ス溜溝９は、盲栓１０で塞がれたグリース流通路
１１を介して、グリース流通路１２と連通してい
る。このグリース流通路１２の開口には、グリー
スニツプル１３が取り付けられており、グリース
ポンプをこのグリースニツプル１３に接続するこ
とで、グリース溜溝９にグリースが圧入される。

なお１４はロツドメタルガスケツト、１５はピ
ストン、１６はシリンダチユーブ、１７はヘツド
カバーである。

前記のようにグリースニツプル１３からグリー
ス溜溝９にグリースを充填すると、ロツドパツキ
ン６および軸受け部のグリース潤滑が維持され
る。ところがグリースポンプでグリース溜溝９に
グリースを充填する際に、100Kgｆ／cm²以上の高
圧を伴うので、グリース溜溝９中の空気が圧縮さ
れて圧力が発生するが、この圧力がグリース溜溝
９中に封じ込まれると、グリースを充分に充填す
ることができない。そのためにグリース充填量が
不足し、潤滑を維持することができず、空気圧シ
リンダの寿命を低下させる。また封じ込まれた圧
力でロツドパツキン６やダストワイパー８が変形
したりする。ロツドパツキン６のシール部が変形
すると、シリンダ室１８内の圧縮空気を密封でき
ず、外部へ漏洩するので、ピストンの推進力が得
られない。またダストワイパー８のシール部（オ
イルリツプ）が変形すると、充填したグリースを
密封できず、外部へ漏れ、グリース不足となる。

前記のようにグリース充填を確実に行えないの
で、空気圧シリンダの組み立て前にピストンロツ
ド挿通孔から指でグリース溜溝にグリースを詰め
込んだりしているが、ピストンロツド挿通孔の小
さな小型シリンダの場合は作業が困難であり、ま
た空気圧シリンダの使用によりグリースが消耗し
た後のグリース補充は、依然として解決できな
い。このようにグリース充填が困難なため、グリ
ースアツプの都度、空気圧シリンダを停止させ、
空気圧シリンダによる作業を中断しなければなら
ず、作業効率を低下させるなどの犠牲が大きい。

〔本考案の技術的課題〕

本考案の技術的課題は、従来の空気圧シリンダ
におけるこのような問題を解消し、グリース溜溝
中に圧力が封じ込まれるのを有効に防止できるよ
うにすることにある。

(b) 考案の構成 〔考案の技術的手段〕 この技術的課題を解決するために講じた本考案
による技術的手段は、空気圧シリンダのロツドカ
バー側において、ピストンロツドの摺動部にグリ
ースを供給するためのグリース溜溝を有し、該グ
リース溜溝とシリンダ室との間にリング状のロツ
ドパツキンが装着されており、該グリース溜溝に
は、外部からグリースを供給するためのグリース
流通路が連通している装置を対象としている。

そして、該ロツドパツキンの装着凹部を、シリ
ンダ室側が開口した形状とし、該装着凹部にロツ
ドパツキンを装着すると共に、リング状のパツキ
ン押さえで、該装着凹部のシリンダ室側の閉鎖し
た構成になつている。

前記のロツドパツキンは、その外周部が部分的
に外側に突出して最大外径となつている固定リツ
プを有している。

前記のパツキン押さえは、該ロツドパツキンの
前記固定リツプに対応する位置に、圧力逃げ用の
流通路を有している。

〔技術的手段の作用〕

この技術的手段によれば、グリース溜溝にグリ
ースポンプでグリースを充填すると、グリースは
グリース流通路を通り、グリース溜溝に到達す
る。このときグリース流通路およびグリース溜溝
中の空気は、進入して来るグリースで圧縮され
て、ロツドパツキンをパツキン押さえの方に押し
つける。更にグリースポンプでグリースを充填し
続けると、ロツドパツキンの固定側リツプがピス
トンロツド側に撓んで隙間ができ、圧縮された空
気がパツキン押さえの流通路からロツド側シリン
ダ室に逃げ、グリース流通路およびグリース溜溝
の圧力上昇が防止される。そのため、進入して来
たグリースが、グリース溜溝およびグリース流通
路に充満し、グリースの充填が迅速かつ円滑に行
われる。

なおロツドパツキンの内周面は、ピストンロツ
ドが摺動するために、特にシール性を考慮して複
数の凹凸を形成し、かつ凹部にグリースが溜るよ
うに工夫されている。そのために、グリース充填
時の圧力は、ロツドパツキンの外周面から逃げ
る。

(c) 考案の効果 以上のように本考案の技術的手段によれば、グ
リースポンプでグリース溜溝にグリースを充填す
る際に、グリース溜溝およびグリース流通路中の
空気が、容易にシリンダ室側に押し出されるの
で、グリース充填を容易にかつ確実に行うことが
できる。その結果グリース不足で摺動部が損傷し
て空気圧シリンダの寿命を低下させたり、グリー
ス不足でシール性が低下するようなことが防止さ
れる。

また容易に迅速にグリース充填できるので、空
気圧シリンダの使用中でもグリースアツプを行う
ことができ、空気圧シリンダによる作業を中断さ
せたりする必要がなく、作業効率が大幅に向上す
る。

(d) 考案の実施例 次に本考案による空気圧シリンダが実際上どの
ように具体化されるかを実施例で説明する。第２
図は本考案による空気圧シリンダの実施例を示す
断面図、第３図は第４図は同空気圧シリンダの要
部を拡大して示す断面図で、第１図の構成と同じ
部分には同一符号が付されている。

本考案は、第１図のようにロツドカバー２とロ
ツドメタル３とで密閉した凹溝６を形成する従来
の構成と異なり、ロツドメタル３には、シリンダ
室１８側が開放したＬ字状の凹溝（装着凹部）１
９が形成されている。そしてロツドメタル３とロ
ツドカバー２との間に、該凹溝１９のシリンダ室
１８側の開口部を閉鎖するためのパツキン押さえ
２０が挾まれている。したがつてロツドパツキン
６は、凹溝１９の内壁とパツキン押さえ２０とピ
ストンロツド１で囲まれたリング状の空間に収納
される。シリンダ室１８の圧縮空気がピストンロ
ツド１の外周からダストワイパー８側に漏れるの
を、ロツドパツキン６の内周側の摺動リツプ６１
と外周側の固定リツプ６２とで、シールしてい
る。すなわちロツドパツキン６の内周のリツプ６
１は、ピストンロツド１が摺動するため、複数の
凹凸が環状に形成され、シールを何段も行うと共
に凹部にグリースが溜るようにしている。またこ
の凹部に溜つたグリースによつてもシールの信頼
性が向上する。

ロツドパツキン６の外周の固定リツプ６２は、
可動部がなく、ロツドメタル３に圧接してシール
するだけであるから、ピストンロツド１が摺動す
る内周側のリツプ６１に比べると、凹凸を何段を
設けたりする必要はない。

パツキン押さえ２０には、ロツドパツキン６の
外周側の固定リツプ６２に対応する位置を切り欠
いて流通路２１を設けてある。またロツドパツキ
ン６のシリンダ室１８側の面とシリンダ室１８と
を連通させる連通孔２２を設けてある。

このような構成の空気圧シリンダにおいて、グ
リースニツプル１３から、グリースポンプでグリ
ース流通路１２にグリースを圧入する。するとグ
リースはグリース流通路１２→グリース流通路１
１→グリース溜溝９の順に移動し、グリース溜溝
９に到達する。このときグリース流通路１２，１
１およびグリース溜溝９中の空気が圧縮され、ロ
ツドパツキン６をパツキン押され２０側に押しつ
ける。更にグリースポンプでグリースを充填し続
けると、ロツドパツキン６の外周の固定リツプ６
２が、第４図のようにピストンロツド１側に撓ん
で隙間２３ができる。そのため、圧縮された空気
が隙間２３→パツキン押さえ２０の流通路２１→
シリンダ室１８の順に通過し、グリース流通路お
よびグリース溜溝９中の空気が押し出される。そ
の結果、グリース流通路やグリース溜溝９に高圧
空気が残存することはなく、グリース流通路およ
びグリース溜溝９にグリースが満たされる。した
がつてグリース不足となることがなく、ピストン
ロツドの摺動部の摩耗損傷を防止でき、空気圧シ
リンダが長寿命となる。またグリース溜溝９に高
圧空気が残存しないので、ロツドパツキン６やダ
ストワイパー８が変形してシール力が低下したり
グリースが漏洩したりするのを確実に防止でき
る。

グリース充填後に、シリンダ室１８にポート２
４から圧縮空気を供給してシリンダを作動させる
際に、連通孔２２からロツドパツキン６のシリン
ダ室側面６３に空気圧が作用する。そしてグリー
ス溜溝９に高圧空気が残存しないので、パツキン
押さえ２０に押しつけられた状態のロツドパツキ
ン６は、シリンダ室１８から連通孔２２を通過し
て流入した圧縮空気圧で、最も安定した元の状態
に復元し、シール作用が確実となる。

なお流通路２１および連通孔２２は複数個設け
ると一層有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の空気圧シリンダの断面図、第２
図以下は本考案による空気圧シリンダの実施例を
示すもので、第２図は第１図に対応して空気圧シ
リンダの全容を示す断面図、第３図と第４図は空
気逃げ部を拡大して示す断面図、第５図はパツキ
ン押さえの正面図である。 図において、１はピストンロツド、６はロツド
パツキン、６１は摺動リツプ、６２は固定リツ
プ、６３はシリンダ室側面、９はグリース溜溝、
１１，１２はグリース流通路、１９は装着凹部、
２０はパツキン押さえ、２１は流通路、２２は連
通孔、２３は隙間をそれぞれ示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 空気圧シリンダのロツドカバー側において、ピ
   ストンロツドの摺動部にグリースを供給するため
   のグリース溜溝を有し、該グリース溜溝とシリン
   ダ室との間にリング状のロツドパツキンが装着さ
   れており、該グリース溜溝には、外部からグリー
   スを供給するためのグリース流通路が連通してい
   る装置において、 該ロツドパツキンの装着凹部を、シリンダ室側
   が開口した形状とし、該装着凹部にロツドパツキ
   ンを装着すると共に、リング状のパツキン押さえ
   で、該装着凹部のシリンダ室側を閉鎖したこと、 該ロツドパツキンは、その外周部が部分的に外
   側に突出して最大外径となつている固定リツプを
   有していること、 前記のパツキン押さえは、該ロツドパツキンの
   前記固定リツプに対応する位置に、圧力逃げ用の
   流通路を有していること、を特徴とする空気圧シ
   リンダ。