JPH0213367Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はコンベヤベルト、特に耐熱性、耐摩
耗性、耐衝撃性に優れたコンベヤベルトに関す
る。

コンベヤベルトは、例えば鉄鉱石、石炭等のば
ら物の運搬に対し大きな輸送力を持ち動力の消費
も少ないところから広く使用されている。コンベ
ヤベルトの代表的なものの一例としてはその断面
図を第１図に示すように、コンベヤベルト１′の
略中心部に複数本のロープ抗張体２′がベルトの
長手方向に平行して埋め込まれ、ベルトの表、裏
両面にはそれぞれ所定厚さの表カバーゴム層３′
および裏カバーゴム層４′が積層状に一体化され
ている。

この種のコンベヤベルトは輸送物の積載時又は
排出時に重量の大きな輸送物にあつてはその表面
が摩耗しやすく又、衝撃により表面に亀裂が入
り、その周辺部が堀り起されやすく、特に鉄鉱
石、石炭等の重量の大きな、ばら物を輸送する場
合は被輸送物の脱落を防止するためのベルトの樋
状の凹湾曲によつてその中央部分に被輸送物が集
中するため、ベルトの中央部分の摩耗が両端部分
に比べて特に著しく、ベルトの早期偏摩耗を起こ
しやすい。又コークス、クリンカー等の高温物を
輸送する場合はカバーゴムが局部的に焼けて偏摩
耗の一因となる。この偏摩耗によるベルトの損傷
を防止する一手段として従来表カバーゴム層部分
にセラミツク、タングステンカーバイト、窒化硅
素等の耐摩耗性に優れた粒状物を間隔をおいて埋
め込む方法が採用されているが、耐熱性ゴム配合
物と前記耐摩耗性粒状物との接着が悪く、走行
時、耐摩耗性粒状物が剥れ落ちたり、或は耐摩耗
性粒状物間のゴム配合物のみが摩耗し、これが原
因で耐摩耗性粒状物がベルト表面より脱落する等
の欠陥があり、又これら耐摩耗性粒状物は極めて
高価で、ためにベルト自体をしてコスト高なもの
とするなどの解決すべき問題が残つた。

この種の問題に対処するため、短繊維群をゴム
又は合成樹脂層中に一定の配向性をもつて埋設せ
しめた補強体をして、ベルトの表面層の一部とな
し、この折、前記短繊維群をして、ベルト摩擦面
に対して垂直方向に配設せしめた技術は提案さ
れ、ベルトを補強せしめる面において、ある程度
の効果を奏せしめたが、この手段による時、何分
にも補強体中に埋設される短繊維はその量が少な
く、又短繊維の太さも比較的小さいため、鉄鉱
石、石炭等の重量の大きな対象物を積載移送する
時、衝撃により発生するベルト表面の亀裂、つづ
いて該亀裂部周辺部に起る堀り起し事態は完全に
は抑止することが困難であつた。

この考案は前述した重量物、あるいは高温物の
輸送によつてもベルトの偏摩耗及び衝撃による亀
裂の発生を抑止しうるコンベヤベルトを提供する
もので、コンベヤベルトの表カバー層の表面全体
又はベルト表面のうち中央部分に有機、無機、又
は金属繊維からなる織布片群、例えば帆布又はス
ダレ織物の織布片面が摩擦面に対し60〜120゜の配
向性を保つてゴム等の弾性体層内に埋設せしめた
帯状補強層を、該帆布又はスダレ織物の織布片面
をベルト摩擦面にて、かつベルトの進行方向より
60〜120゜の傾斜方向性を保持して配設被覆せしめ
たことを特徴とする。

次に本考案に係るコンベヤベルトの具体的実施
例を図面を用いて説明する。第２図はこの考案の
コンベヤベルト１の横断面図で、ベルト１の略中
心部には複数本のロープ抗張体２がベルトの長手
方向に平行して埋め込まれ、ベルトの表、裏両面
にはそれぞれゴム製あるいは塩化ビニル、ウレタ
ン等の合成樹脂製の所定の厚さからなる表カバー
層３及び裏カバー層４が積層状に一体化されてお
り、以上の構成は従来のコンベヤの構成と略同様
である。

本考案のコンベヤベルト１は、その表カバー層
３のベルト幅方向中央部に、所定幅でかつ所定深
さの溝５をベルト長手方向に凹設し、該溝５内
に、第３図の拡大横断面をもつて例示するゴム又
は合成樹脂層の弾性層６内に、織布片７群、例え
ば帆布又はスダレ織物の織布片面が摩擦面に対し
60〜120゜の配向性を保つて所定のピツチにて埋設
せしめた帯状の補強層８をベルト表面に面一状に
埋設せしめた後、加硫固着する。埋設織布片は最
大幅Ｗでベルトの幅、最大高さＨが表カバー層の
層さに略相当する大きさの帯状を呈し（第３図参
照）、各織布片の面はベルト摩擦面（ベルト表面）
１１にて、かつ矢印にて示すベルト進行方向より
60゜〜120゜の傾斜方向性を保つている（第７図参
照）。これにより帆布又はスダレ織物７を構成す
る縦フイラメント９はその端部をベルト表面側１
０に向け、かつベルト長手方向への同一切断面上
に位置し、結局、各縦フイラメントがベルトの摩
擦面（被輸送物載置面）にて、かつベルト進行方
向に対する角度θが60〜120゜の方向性を保持せし
めて埋設される（第４図）。この際前記帆布又は
スダレ織物の表面は予め接着処理を施してもよ
い。そして、表カバー層３と同材質又は異種材質
のゴム又は合成樹脂弾性層６内に埋設せしめる。

なお前記織布片７として使用される帆布又はス
ダレ織物は芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミ
ド、ポリエステル、塩化ビニリデン等の有機繊
維、その他ガラス繊維、カーボン繊維、セラミツ
ク繊維等の無機繊維、又は、ステンレス繊維、ア
ルミナ繊維等の金属繊維が使用される。

なお上記ゴム又は合成樹脂と帆布又はスダレ織
物から構成された帯状の補強層８は表カバー層３
の巾方向全面に貼着してもよく（第５図）、又は
本補強層８自体をもつてベルト１の表カバー層３
全体を形成せしめてもよい（第６図）。更に上記
抗張体２は図示するロープに限定されるものでは
なく、帆布をもつてこれに替えることもできる。

以上、この考案のコンベヤベルトは表カバー層
の全表面又はその長手中央部の一部に、有機、無
機又は金属繊維からなる帆布又はスダレ織物の織
布片面をベルト摩擦面進行方向より60〜120゜の傾
斜角範囲に配向したゴム又は樹脂と帆布又はスダ
レ織物との帯状の補強層を配設被覆せしめること
により、たとえ重量が大きく、しかも鋭角の角部
を有している鉄鉱石、石炭、硬質砂岩等あるいは
高温のクリンカー、コークス等の輸送物の積載時
又は排出時等のベルトの表面が偏摩耗しやすい状
況下におかれても、それ自体耐熱、耐摩耗、耐衝
撃性を有する帆布又はスダレ織物がベルト摩擦面
にて、かつ進行方向より60〜120゜方向に配設さ
れ、各織布片を構成する繊維群の端面部にて外力
に対応でき、ベルトの局部的偏摩耗や衝撃による
亀裂の発生を抑止し得るので、ベルトの延命化に
大きく貢献することができる。また帆布又はスダ
レ織物はベルトの摩擦面と接触露出している縦フ
イラメントをつなぎとめる様、該縦フイラメント
と直交して横フイラメント１０が入つているため
に、衝撃によりベルト表面に亀裂が入つた場合で
も、該亀裂発生部の繊維周辺部の堀り起しも効果
的に防止できる。

また前記帆布又はスダレ織物の織布片面をベル
ト摩擦面進行方向に対し60〜120゜範囲の傾斜角の
配向性を保持せしめることにより、ベルトの屈曲
性は良好で、ベルトの屈曲疲労性を増大せしめる
懸念は必要ないなど幾多の効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のコンベヤベルトの横断面図、第
２図は本考案を実施したコンベヤベルトの横断面
図、第３図は第２図に示すゴム又は合成樹脂と帆
布又はスダレ織物より構成された補強体の拡大横
断面図、第４図は第２図Ａ−Ａ線における切断面
図、第５図および第６図は他の実施例を示す第２
図に相当する図（但し、本考案実施のベルト横断
面図は織布片に平行位置にてベルトを切断したも
のである）、第７図は織布片の傾斜埋設の許容範
囲を示す説明図である。 図中、１はコンベヤベルト、２は抗張体、３は
表カバー層、４は裏カバー層、５は凹溝、６はゴ
ム又は合成樹脂の弾性層、７は織布片、８は帯状
の補強層、９は縦フイラメントを示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中心部に抗張体を埋め込み、ベルトの表、裏
   両面にカバー層を配したコンベヤベルトにおい
   て、ベルト表面側の少なくとも中央部全長に、
   織布片群を埋設した補強層を形成するに当り、
   該埋設織布片は最大幅でベルトの幅、最大高さ
   で表カバー層の厚さに略相当する大きさの帯状
   を呈し、この織布片群は、織布片面がベルト摩
   擦面（ベルト表面）にて、かつベルト進行方向
   より60゜〜120゜の傾斜方向性を保つていること
   を特徴とするコンベヤベルト。 (2) 前記織布片は帆布をもつて構成されている実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のコンベヤベ
   ルト。 (3) 前記織布片はスダレ織布をもつて構成されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載のコン
   ベヤベルト。 (4) 前記織布片を構成する、端部をベルト表面側
   に向けて織製された各縦フアイバーはベルトの
   長手方向への切断面上に位置している実用新案
   登録請求の範囲第１乃至第３項のうちいずれか
   １項に記載のコンベヤベルト。