JPH0212788Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、スピーカボツクスの改良に関するも
ので、特にパツシブラジエタを備えるスピーカボ
ツクスに関する。

(ロ) 従来技術 低音増強用のパツシブラジエタを備えるスピー
カボツクスが従来から知られている。しかして、
従来のその様なスピーカボツクスにおいては、バ
ツフル板にスピーカを取付固定するとともに、ス
ピーカから磁気回路を取り除いて作られたパツシ
ブラジエタを前記バツフル板に取付固定していた
ので、スピーカだけの場合に比べ、コストが増大
するという欠点があつた。

(ハ) 考案の目的 本考案は、上述の点に鑑み成されたもので、パ
ツシブラジエタをバツフル板に一体成型して作成
することにより、コストの増大を招くこと無く低
音増強を計ることが出来るスピーカボツクスを提
供せんとするものである。

(ニ) 考案の構成 本考案に係るスピーカボツクスは、スピーカが
取付固定される合成樹脂製のバツフル板と、該バ
ツフル板に一体成型されたエツジ及び振動板から
成るパツシブラジエタとによつて構成される。

(ホ) 実施例 第１図は、本考案の一実施例を示す正面図及び
第２図はその断面図で、１は高音用スピーカ２及
び中低音用スピーカ３が取付固定されたバツフル
板、及び４は該バツフル板１に一体成型されたエ
ツジ５及び振動板６を有するパツシブラジエタで
ある。しかして、前記バツフル板１は、ABS樹
脂、スチロール樹脂、塩化ビニール樹脂等の粘弾
性の高い樹脂を成型加工することによつて作成さ
れている。また、パツシブラジエタ４のエツジ５
及び振動板６は、前記バツフル板の成型加工時に
同時に成型加工して作られている。

ところで、パツシブラジエタ４は、所定の共振
周波数₀を有し、例えば中低音用スピーカ３の背
面から放射される音圧により駆動され、前記共振
周波数₀近傍の音を増強する為に設けるものであ
る。前記パツシブラジエタ４の前記共振周波数₀
は、振動板６の重量、エツジ５のコンプライアン
ス、及びスピーカボツクスの内容積によつて決ま
り、前記振動板６の重量は、その厚みにより、ま
たエツジ５のコンプライアンスも材質が決まれ
ば、その厚みによつて決まる。従つて、前記振動
板６及びエツジ５の厚みを調節すれば、前記共振
周波数₀を自由に設定出来る。

スピーカボツクス全体の周波数特性は、高音用
スピーカ２の周波数特性、中低音用スピーカ３の
周波数特性、及びパツシブラジエタ４の周波数特
性によつて決まり、前記パツシブラジエタ４の共
振周波数₀を、中低音用スピーカ３の低域限界周
波数₁近傍に設定すれば、低域の拡大、及び増強
を計ることが出来る。

第３図は、バツフル板１とエツジ５と振動板６
との連結状態を示す拡大断面図である。第３図か
ら明らかな如く、エツジ５は略Ｕ字型に成型さ
れ、弾力を持つ様に成されている。また、振動板
６の厚みは、バツフル板１の厚みよりも薄く成さ
れており、エツジ５は十分な弾性が得られる様
に、前記振動板６よりも薄く成されている。

エツジ５は、パツシブラジエタ４の振動板６の
周縁をバツフル板１と連結する様、前記振動板６
の周縁に成型されているが、前記エツジ５を前記
振動板６の周縁全体に渡つて成型すると、前記エ
ツジ５の強度を確保する為に該エツジ５の肉厚を
ある程度の厚みにする関係上、合成樹脂の材質の
固さに起因して前記エツジ５が前記振動板６の動
きを十分に許容出来ない。その為、前記エツジ５
は第４図に示す如く、複数の部分５ａに分割され
て形成されており、前記振動板６の動きがなるべ
く制限されない様にしている。ところで、エツジ
５を複数の部分５ａに分割し、それらの間に孔７
を設けると、スピーカボツクス内の音が前記孔７
を介して外部と連通し、低域の音響特性が劣化す
るという欠点が生じる。しかしながら、前記孔７
を設けた場合には、第５図に示す如く、同時に気
柱８を成型することにより、前記欠点が解消され
る。すなわち、前記気柱８を設けると、 〔ただし、Ｃは音速、Ｓは気柱８の断面積、 Ｖはスピーカボツクスの内容積、 ｌは気柱８の長さ〕 という気柱共振が生じるから、前記気柱共振の周
波数₂がパツシブラジエタの共振周波数₀よりも
低くなる様に設定すれば、低域の音響特性に悪影
響を与えることはない。

(ヘ) 考案の効果 以上述べた如く、本考案に依れば、バツフル板
の成型時に同時にパツシブラジエタが成型出来、
前記パツシブラジエタの為の別部品を何ら必要と
しないので、安価なパツシブラジエタ付スピーカ
ボツクスを提供出来るという利点を有する。ま
た、その場合、複数の部分に分割したエツジによ
りパツシブラジエタの振動板をバツフル板に支持
しているので、合成樹脂の材質の固さに起因して
前記振動板が動きにくくなるのを防止することが
出来るとともに、前記エツジを複数の部分に分割
する為に設けられた孔が開孔部となる気柱を形成
し、その気柱の共振周波数を前記パツシブラジエ
タの共振周波数よりも低くしているので、前記孔
を設けたことによる低域の音響特性の劣化を防止
することが出来るという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す正面図、第
２図はその断面図、第３図は、第１図の部分拡大
断面図、第４図は本考案の別の実施例を示す部分
正面図、及び第５図はその断面図である。 主な図番の説明、１……バツフル板、４……パ
ツシブラジエタ、５……エツジ、６……振動板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スピーカが取付固定される合成樹脂製のバツフ
   ル板を有するスピーカボツクスにおいて、前記バ
   ツフル板に一体成型されたエツジ及び振動板から
   成るパツシブラジエタを設けるとともに、前記エ
   ツジに孔を設けて該エツジを複数の部分に分割し
   て形成し、かつ、前記孔が開孔部となる気柱を形
   成し、前記複数の部分により前記振動板を前記バ
   ツフル板に支持するとともに、前記気柱の共振周
   波数を前記パツシブラジエタの共振周波数よりも
   低くなる様にしたことを特徴とするスピーカボツ
   クス。