JPH0212351B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、冷凍装置、さらに詳しくは圧縮機、
膨張機、蓄冷器および切替弁によつて構成される
ガスサイクル冷凍装置に関するものである。

ガスサイクル冷凍装置は、圧縮機により圧縮さ
れたヘリウム等の高圧ガスを切替弁を介して膨張
機に導びき、ここでこの高圧ガスを膨張させて超
低温を得、これを蓄冷器に蓄え、被冷却物を冷却
した後、再度切替弁を介して圧縮機に戻すサイク
ルを繰り返えすようになつている。この場合にお
いて高圧ガスの導入と低圧ガスの吐出の切替えを
行なう切替弁は、従来、圧縮機とデイスプレーサ
を連絡する管路の途中に接続された２個の電磁弁
で構成されているか、またはモータとカム機構と
によつて構成されていたため、全体としての構造
が複雑となり、かつ、大型となる問題があつた。

本発明はこの問題を解決した冷凍装置を提供す
ることを目的とする。本発明はこのため、高圧ガ
スの導入と低圧ガスの吐出の切替えを行なう切替
弁を、電磁ソレノイドおよびこの電磁ソレノイド
によつて駆動されるプランジヤで形成し、この切
替弁のソレノイドを往復動デイスプレーサの高温
端部に取り付け、さらにプランジヤの一端を低圧
ガスの吐出孔に使用し、この吐出孔がソレノイド
の電磁力で押されたとき、吐出弁端部に設けた高
圧ガス吸入弁が開弁するようにしたものである。

本発明の一実施例を第１図について説明する
と、１は冷凍装置であつて、２，３はシリンダ、
４はこのシリンダ２，３と一体のケースで、シリ
ンダ２，３とケース４とはハウジングを形成す
る。シリンダ２，３は図示するように直径の相違
するものが２段に積み重ねて形成されており、こ
の内部に、大径部５と小径部６から成る２段式の
デイスプレーサ７がそれぞれシールリング８，９
を介して摺動自在に嵌装されている。デイスプレ
ーサ７の上部は縮径されており、この縮径部（第
１縮径部）１０はシリンダ２の上端にシールリン
グ１１を介して摺動自在に嵌装されている。

デイスプレーサ７の縮径部１０より更に上方部
（第２縮径部）１２はデイスプレーサ７の高温端
部となつており、さらに後述する弁機構１３の電
磁ソレノイド１４の取付部となつている。この部
分はシールリング１５を介してケース４に嵌装さ
れ、その上部には孔１６を有する。ケース４には
高圧ガスの吸入孔１７と低圧ガスの吐出孔１８と
が設けられている。吸入孔１７は図示しない圧縮
機の吐出側に接続されており、吐出孔１８は同圧
縮機の吸入側に接続されている。

デイスプレーサ７の大径部５と小径部６はそれ
ぞれ中空になつており、ここに、蓄冷器１９，２
０が形成されている。大径部５とシリンダ２の上
下部には室２１，２２が形成され、小径部６とシ
リンダ３の下端との間には室２３が形成されてい
る。蓄冷器１９の上部は縮径部１０の内部の孔２
４に連通している。この孔２４と室２１との間に
は、流路抵抗を有する通路２５が設けられてい
る。蓄冷器１９と室２２との間は通路２６で連通
されている。さらに蓄冷器２０と室２２の間は通
路２７で連通しており、室２３との間は通路２８
で連通している。

縮径部１０内の孔２４と、上方部１２の孔１６
と空間２９とは、弁機構１３によつてそれぞれ連
通、遮断するようになつている。この弁機構１３
は、孔１６内にシールリング３０によつて密に、
しかも摺動自在に設けられた弁体３１と、これを
閉弁する方向に附勢するスプリング３２と、弁体
３１を開弁方向に押圧するボール３３と、このボ
ール３３を押圧するプランジヤ３４と、これを開
弁する方向に附勢するスプリング３５とから成つ
ている。プランジヤ３４は、電磁ソレノイド１４
のコイル３６を通電することによつて図における
下方に移動することになる。コイル３６は架台と
なる上方部１２にのみ固定されている。プランジ
ヤ３４の上方部には、プランジヤ３４の飛び出し
防止装置３７が取り付けられている。弁体３１に
は孔３８が設けられており、また縮径部１０と上
方部１２の間には通路３９が設けられている。

このように構成されたこの冷凍装置は、図に
，で示すところにセンサを設け、これらセン
サでデイスプレーサ７の位置を検出し、コイル３
６への通電制御を行なつて使用する。デイスプレ
ーサ７が図示する位置より若干低い下死点にある
とき、センサによつてコイル３６への通電が行
なわれると、プランジヤ３４が下降して弁体３１
がスプリング３２を圧縮し、開弁するので、高圧
ガスは通路３９から孔２４に入り、通路２５から
室２１内に入り、また通路２６から室２２へ、通
路２８から室２３へそれぞれ入つて、デイスプレ
ーサ７を上昇させることになる。

次に上昇したデイスプレーサ７の位置はセンサ
によつて検出され、コイル３６への通電は断た
れることになる。これにより弁体３１は閉じる
が、弁体３１の中央に設けられた孔３８はボール
３３が離れて開くことになる。室２２，２３内に
あつた高圧ガスは蓄冷器１９，２０内を通つて膨
張し、温度を低下させることになる。このとき、
シリンダ２，３の内周部に取り付けた被冷却物を
冷却することになる。そして室２１，２２および
２３内のガスはそれぞれ通路２５，２６および２
８を通つて吐出口から吐出されるので、デイスプ
レーサ７は下降することになる。以下、同様のこ
とを繰り返えすことになる。

第２図は本発明の他の実施例を示すものであ
る。この場合には電磁ソレノイド１４のコイル３
６は架台に直接取付けられ、プランジヤ３４のみ
がデイスプレーサの高温端部にスプリング（圧縮
スプリング）３５を介して取り付けられている。
ただしこの場合には、デイスプレーサの全ストロ
ーク範囲内においてコイル３６による磁束が有効
に使われるようにするために、少なくとも上方部
１２の部分は鉄材で製作することが必要であり、
プランジヤ３４も大径の部分が鉄材であつて、し
かもその長さがほぼストロークと同程度か、それ
以上を必要とする。

このような構成においてプランジヤ３４とデイ
スプレーサの上方部１２とによつて形成される隙
間４０が、常にコイル３６の内部で往復動するよ
うにする。このとき、下死点附近においてコイル
３６に通電し、上死点附近において通電を止める
ようにすれば、第１図の実施例についての説明と
同様に、デイスプレーサがニユーマテイツク力に
よつて往復動することになる。なお、コイル３６
への通電は、デイスプレーサのストロークの上、
下死点あるいはそれよりやや内側位置において、
フオトセンサ等の位置検出器によつて切換えるこ
とができる。

本発明は上述のように、電磁ソレノイド１４と
プランジヤ３４で形成した吐出弁が押されたと
き、高圧ガスの導入弁が開弁するように構成した
ので、従来、外力で駆動していたデイスプレーサ
７を圧縮機からの高圧ガスの圧力で往復動させる
ことができることになる。また、２個の弁機構の
開閉を１個の電磁ソレノイド１４で行なうので、
従来のもののように２個の独立した弁機構を設け
たものより、小型になる利点がある。そしてしか
も、弁端が架台あるいはシリンダ上にではなく、
可動部としてのデイスプレーサ７上にあるため、
閉弁時の振動が直接外に伝わらないという特徴を
もつ。

本発明のさらに大きな特徴は、第１図，第２図
の実施例に共通して言えることであるが、デイス
プレーサ上部に設けられた縮径部１０と、その上
方部１２との直径の差による受圧面積は上方部１
２の直径による受圧面積とほぼ等しくすると同時
に、それぞれの受圧面に高圧および低圧が作用し
て、縮径部全体として単にほぼ圧縮機の吸入、吐
出圧力の中間圧力が作用していることになる。し
たがつて室２１，２２，２３が高圧のときは上昇
力、低圧のときは下降力を持つのである。しか
も、それぞれのガス圧力を与えている空間から直
接、蓄冷器への供給および吐出弁孔を設けるよう
な構造としてあるため、冷凍機全体の構造が著し
く簡単になり、構成部品点数も少なくなるため、
信頼性の向上が図れる。また、弁体３１とプラン
ジヤ３４とを、ボール３３を介して結合したの
で、着座性が向上し、プランジヤ３４の姿勢にか
かわらず、常に安定した弁作用を得られることに
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面図、第２図は
本発明の他の実施例の断面図である。 １…冷凍装置、２，３…シリンダ、４…ケー
ス、７…デイスプレーサ、１３…弁機構、１４…
電磁ソレノイド、１６…吸入孔、１８…吐出孔、
１９，２０…蓄冷器、２１，２２，２３…室、３
１…弁体、３３…ボール、３４…プランジヤ、３
６…コイル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高圧ガス吸入孔と低圧ガス吐出孔とを有する
   ハウジングにデイスプレーサを摺動自在に嵌挿
   し、 該デイスプレーサの一側に蓄冷器を形成する低
   温端部を設けるとともに他側にガス流路を形成す
   る中空部の高温端部を形成し、 該中空部に前記高圧ガス吸入孔と連通する高圧
   ガス通路と、前記低圧ガス吐出孔に連通する低圧
   ガス孔とを形成し、 前記ガス流路には前記デイスプレーサの一側と
   前記高圧ガス通路との連通を遮断可能でかつ遮断
   方向に弾発付勢されかつ前記低圧ガス孔と連通自
   在な中空の弁体を設け、 前記中空部の高温端部側に電磁ソレノイドを設
   け、 さらに前記中空部に、該電磁ソレノイドの励磁
   時に前記弁体を押圧して開弁させ、解磁時に該弁
   体から離間して該弁体を閉弁させるとともに前記
   デイスプレーサの一側と前記弁体の中空孔と前記
   低圧ガス孔とを連通させるプランジヤを挿入した
   ことを特徴とする冷凍装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の冷凍装置におい
   て、電磁ソレノイドをハウジングに固定するとと
   もにソレノイドコイルの長さを少なくともデイス
   プレーサのストロークよりも長くしたことを特徴
   とする冷凍装置。 ３ 特許請求の範囲第１項記載の冷凍装置におい
   て、プランジヤの弁体に対する当接部はボール弁
   に形成されていることを特徴とする冷凍装置。 ４ 高圧ガス吸入孔と低圧ガス吐出孔とを有する
   ハウジングにデイスプレーサを摺動自在に嵌挿
   し、 該デイスプレーサの一側に蓄冷器を形成する低
   温端部を設けるとともに他側にガス流路を形成す
   る中空部の高温端部を形成し、 該中空部に前記高圧ガス吸入孔と連通する高圧
   ガス通路と、前記低圧ガス吐出孔に連通する低圧
   ガス孔とを形成し、 前記ガス流路には前記デイスプレーサの一側と
   前記高圧ガス通路との連通を遮断可能でかつ遮断
   方向に弾発付勢されかつ前記低圧ガス孔と連通自
   在な中空の弁体を設け、 前記中空部の高温端部側に電磁ソレノイドを設
   け、 さらに前記中空部に、該電磁ソレノイドの励磁
   時に前記弁体を押圧して開弁させ、解磁時に該弁
   体から離間して該弁体を閉弁させるとともに前記
   デイスプレーサの一側と前記弁体の中空孔と前記
   低圧ガス孔を連通させるプランジヤを挿入し、 前記デイスプレーサの中空部は縮径されて第１
   および第２縮径部を形成し、第１縮径部は第２縮
   径部よりも低温端部側に位置するとともに該第２
   縮径部は第１縮径部よりも縮径され、該第１縮径
   部と第２縮径部との寸法差による受圧面積を、第
   ２縮径部の直径寸法による受圧面積と略等しく設
   定したことを特徴とする冷凍装置。