JPH02121B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は遊星型傾斜ロール圧延機による中実
素材の圧延作業において、従来前端部および後端
部に生じていたクロツプをなくすための圧延法と
その装置に関するものである。

（従来技術） 遊星型傾斜ロール圧延機は、一般に第１図に示
すように、円形断面又はこれに近い多角形断面の
圧延素材Ａの周囲を３個以上の円錐ロール１が自
転かつ公転して圧延素材Ａの絞り加工を行なうよ
うに構成されている。この円錐ロール１は、第２
図に示すように、圧延作用域１ａと、その先端に
位置し後出の実施例１の項で詳述する作用を有す
る矯正作用域１ｂとから形成されるものにするこ
ともある。そして、圧延機は、先端に円錐ロール
１が収着されたロールシヤフト２を、ロータ３に
保持された３個以上の個々のロールヘツド４内で
圧延素材Ａの傾斜軸線上に等間隔に配置し、ロー
タ３は基礎上の固設ハウジング５に対し中空シヤ
フト６を介して回動自在に支承し、またロータ３
を主駆動装置により傘歯車組７を介して回転させ
ると共に、補助駆動装置により傘歯車組８を介し
て中空シヤフト６を回転させ、更に中空シヤフト
６の太陽歯車９、これと噛合する遊星歯車１０並
びに傘歯車組１１を介してロールシヤフト２に連
動させ円錐ロール１を回転させるようになつてい
る。

（発明が解決しようとする課題） ところで、この種圧延機によつて圧延される素
材としては、従来より一般に、前後両端をその軸
線に対し直角に切断した円形断面又はこれに近い
多角形断面の圧延素材Ａが用いられていたので、
圧延素材Ａがガイドチユーブ６より円錐ロール１
に送り込まれた際、素材Ａ最前端の周縁角部が円
錐ロール１の傾斜面に当つて損傷させるおそれが
あり、また圧延開始直後に素材Ａの表層部が前方
に伸張され、第２図ａに示すように前端部に中空
状のクロツプR₁が成形されていた。

更に、圧延終了直前では素材Ａの表層部が後方
に伸張さされ、第２図ｂに示すように、後端部に
前端側クロツプR₁と略同様なクロツプR₂が成形
されていたが、この後端側クロツプR₂の長さは
第３図に示すように前端側クロツプR₁よりもや
や短いものであつた。

ところで、このようなクロツプR₁，R₂の発生
は、素材Ａの両端部では素材中間部のような力の
平衡関係が成立しないためであり、また前端部と
後端部とのクロツプ長さが異なるのは、円錐ロー
ル１と素材Ａ間の圧下力を含めた力の作用状況が
やや相違するためであると考えられる。

従つて、従来は圧延作業後に前後両端部に成形
されたクロツプR₁，R₂を、シヤーにより切断す
る必要があるため、歩止まりが低く、作業能率も
悪くなり、また圧延素材の最前端角部によつて円
錐ロールが損傷されるために、円錐ロールの寿命
が短くなる等の欠点があつた。

（発明の目的） この発明は上述の点に鑑みなされたもので、遊
星型傾斜ロール圧延機への圧延素材の供給前に、
予めその前後両端部を截頭円錐台形に押圧成形し
ておくことにより、クロツプの発生を防止するこ
とを主な目的としている。

なお、前後両端部の截頭円錐台形形状の成形
は、例えばプレスによる押圧形式でも旋盤等によ
る機械加工のいずれでもよく、後続工程にて要求
される鍛練効果によつて選択すればよい。

実施例 １ この発明の主としてプレスによる押圧成形を採
用した圧延法を、第４図に基づいて説明する。

１は前記した圧延機Ｂの円錐ロールを示し、こ
のロール１は接触面が圧延素材Ａの軸線に対し傾
斜し、圧延作業を主に行なう截頭円錐台状の圧延
作用域１ａを有する。この圧延作用域１ａの先端
に位置して、同図に示すように矯正作用域１ｂを
設けることができる。矯正作用域１ｂは圧延素材
との接触面が圧延素材Ａの軸線に平行で、圧延素
材Ａを所定寸法に圧延するための仕上作業を行な
うもので、小径で截頭円錐台形状を有する。

また円錐ロール１は、通常円周方向に120゜の間
隔で３個設けられる。

そして、圧延素材を加熱炉により加熱処理し、
整形圧延機により所定の形状に成形して圧延機Ｂ
に送る圧延ラインにおいて、圧延機Ｂに供給する
前に、圧延素材Ａの前端部A₁を予め前記円錐ロ
ール１の圧延作用域１ａによつて成形される形
状、若しくはこれに近似した形状の截頭円錐台形
に後述のプレス装置により押圧成形すると共に、
圧延素材Ａの後端部A₂も前端の截頭円錐台形と
略対称で後向きの截頭円錐台形に押圧成形する
が、後端側の截頭円錐台形長さは、l₁＞l₂となる
ように前端側よりも短くする。

従つて、このようにして圧延作業を開始すれ
ば、圧延素材Ａの前端部が円錐ロール１の圧延作
用域１ａに沿うようにして接触し、絞り加工され
前方へ送り出されるので、圧延素材Ａの表層部の
前方への伸張が起こりにくくなり、クロツプはほ
とんど生じない。

また、圧延素材Ａの後端部においても、円錐ロ
ール１の圧延作用域１ａにより圧延素材Ａが絞り
加工されながら前方へ送り出される際、圧延素材
Ａの表層部がその後方へ伸張されようとするが、
後方に向けて漸次、外径を縮小した截頭円錐台状
部によつて吸収されるため、クロツプはほとんど
生じない。

実施例 ２ 第５図はこの発明の実施例２を示し、円錐ロー
ル１は、本実施例において圧延作用域１ａの先端
に前記したような矯正作用域１ｂを備えている。

そして、複数（通常３個）の円錐ロール１の圧
延作用域１ａによる圧延作業においても圧延され
ない部分が残るが、その部分はこの矯正作用域１
ｂで圧延されるため、わずかであるが矯正作用域
１ｂによつてもクロツプを生じさせるので、この
ようなクロツプの発生も防止するために、本実施
例においては前記圧延素材Ａの前端部および後端
部を截頭円錐台形に押圧成形する際、更にその前
方および後方に圧延機Ｂを圧延素材Ａが出る際の
圧延後の出側外径に相当する円柱部A₁₁，A₂₂を
同時に押圧成形しておき、この円柱部A₁₁，A₂₂
によつて矯正作用域１ｂによるクロツプの発生を
防止して圧延素材Ａを完全な円形断面に圧延する
ようにしている。なお、前端および後端の円柱部
A₁₁，A₂₂の長さは、円錐ロール１が１回公転し
て得られるピツチ、いいかえれば円錐ロール１の
１公転により圧延素材Ａが圧延機Ｂより送り出さ
れる長さの1/3以下にするが、この理由は円錐ロ
ールが３個以上の場合、相隣接する円錐ロールの
圧延作用域間における未圧延部分は円錐ロールの
ピツチの1/3以下になるからである。

実施例 ３ 次に、この発明の前記圧延法を実施するための
プレス装置の実施例を第６図および第７図に基づ
いて説明する。

プレス装置Ｃは遊星型傾斜ロール圧延機Ｂの前
方に設置され、装置本体１２が圧延素材Ａの圧延
ラインに平行に敷設されたレール１３，１３上に
走行可能に載置される。また、装置本体１２下面
の走行方向にラツク１４を装着すると共に、この
ラツク１４と噛合するピニオン１５を設けて、例
えば直流モータのような回転速度の調整可能な駆
動装置１６に接続し、装置本体１２を速度制御可
能に走行させるようにしている。

そして、圧延素材Ａの前端部を截頭円錐台形に
押圧成形するための前端側プレス機構１７と圧延
素材Ａの後端部を截頭円錐台形に押圧成形するた
めの後端側プレス機構１８を、装置本体１２上に
圧延ラインに沿つてその前後に離間して並設す
る、また、これらのプレス機構１７，１８は、そ
れぞれ一体に組合わされて所定の截頭円錐台形を
構成する凹部１９，２０を有し、かつ圧延素材Ａ
を挟持するように、フレーム２１，２２を介して
相対向移動可能に配装された一対の型材２３，２
４と、フレーム２１，２２の下端に対向的に固設
され、中間のピニオン２５，２６に相噛合するラ
ツク２７，２８からなり、駆動装置２９を介して
ピニオン２５，２６を回転させることにより一対
の型材２３，２４が対向的に移動するようにして
いる。

なお、駆動装置２９は前端側および後端側のプ
レス機構１７，１８の型材２３，２４の駆動に共
通し、、両型材２３，２４の駆動は、例えば伝導
方向切換機構を介して選択的に行なうようにして
いる。勿論、各プレス機構１７，１８に専用の駆
動装置を設け、使い分けても良い。また、符号Ｄ
は整形圧延機、Ｅは加熱炉を示す。

ここで、上記実施例のプレス装置Ｃの作用態様
を説明すると、第６図において、圧延機Ｂに向か
つて圧延ライン上を送られてくる圧延素材Ａを、
その前端部が停止しているプレス装置Ｃの前端側
プレス機構１７の型材２３に対する位置に来たと
ころで、ストツパー（図示せず）により停止さ
せ、型材２３により圧延素材Ａの前端部を截頭円
錐台形に押圧した後、ストツパーを解除して圧延
素材Ａの送りを開始し、圧延機Ｂのガイドチユー
ブ６内に送り込んで、円錐ロール１により圧延作
業を行なわせる。それから、圧延素材Ａの後端部
が後端側プレス機構１８の型材２４に対応する位
置に来た時点で、装置本体１２を圧延素材Ａの移
動速度に同調して走行させながら、圧延作業を中
断することなく型材２４により圧延素材Ａの後端
部を截頭円錐台形に押圧成形する。このようにし
て前記した本発明の圧延法が実施される。

なお、前記実施例では、圧延素材Ａの前後両端
部の押圧成形を、加熱炉Ｅの後方で行なうように
しているが、加熱炉Ｅの前方で行なつてもよい。
また、前記実施例に比べて作業能率は悪くなる
が、所定の前端、後端形状に対応する截頭円錐台
形の型材を備えた２台のプレス装置を、圧延素材
Ａの長さに適合するように配備しておき、圧延素
材をストツパーにより所定位置に停止させた後、
前端部および後端部を同時に押圧成形することも
できる。

（発明の効果） 以上説明したように、この発明の圧延法によれ
ば、圧延素材を遊星型傾斜ロール圧延機により圧
延する際、予め圧延素材の前端部および後端部を
圧延機の円錐ロールの圧延作用域に対応する截頭
円錐台形に押圧成形して圧延を行なうので、圧延
素材の前端部および後端部において素材表層部だ
けが前方或いは後方へ伸張されるようなことがほ
とんど起こらずクロツプの発生を確実に防止でき
る。またこの発明によれば、圧延素材の前端およ
び後端の截頭円錐台形部に作用する円錐ロールの
圧下力は小さくなるが、これらの部分は截頭円錐
台形に押圧成形される際圧下方が作用しているの
で、他の部分に比べて特に鍛練効果が低くなるこ
ともなく、製品として十分に活用でき、従来の圧
延法に比べて歩止まりが向上すると共に、クロツ
プ部分を切り落とす必要がないので、全体的な作
業能率も向上するほか、圧延素材の円錐ロールに
対する送り込みがスムーズでトラブルの発生が少
なくなり、しかも従来のように圧延素材の最前端
角部で円錐ロールを損傷させることがないので、
円錐ロールの寿命も大幅に延長される等の効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な遊星型傾斜ロール圧延機の基
本構造を示す断面図、第２図は従来の圧延法によ
るクロツプの成形過程を示す説明図で、同図ａは
圧延素材Ａの先端部、同図ｂは圧延素材Ａの後端
部を示す。第３図は従来の圧延法により圧延され
た素材の一部分を断面で表わした正面図、第４図
は本発明の圧延法を示す説明図、第５図は本発明
の他の実施例に係る圧延法を示す説明図、第６図
は本発明の圧延法を実施するためのプレス装置を
示す概要平面図、第７図は第６図の−線拡大
図である。 １……円錐ロール、２……ロールシヤフト、３
……ロータ、４……ロールヘツド、５……固設ハ
ウジング、６……ガイドチユーブ、７，８，１１
……傘歯車組、９……太陽歯車、１０……遊星歯
車、１２……プレス装置本体、１３……フレー
ム、１４……ラツク、１５……ピニオン、１６…
…駆動装置、１７，１８……プレス機構、１９，
２０……凹部、２１，２２……フレーム、２３，
２４……型材、２５，２６……ピニオン、２７，
２８……ラツク、２９……駆動装置、Ａ……圧延
素材、Ｂ……遊星型傾斜ロール圧延機、Ｃ……プ
レス装置、Ｄ……整形圧延機、Ｅ……加熱炉、Ｒ
……クロツプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 遊星型傾斜ロール圧延機により３個以上の円
   錐ロールを圧延素材の周囲に自転かつ公転させ、
   絞り加工する圧延作業において、前記円錐ロール
   に前記圧延素材を供給する前に、予め該圧延素材
   の前端部を該円錐ロールの圧延作用域に対応する
   截頭円錐台形に成形すると共に、該圧延素材の後
   端部を、前端部と後端部の中間点を対称の中心と
   した該前端部のの截頭円錐台形に対して対称な截
   頭円錐台形に成形することを特徴とするクロツプ
   レス圧延法。 ２ 前記圧延素材の前端側截頭円錐台形の長さを
   後端側截頭円錐台形よりも長くする特許請求の範
   囲第１項記載のクロツプレス圧延法。 ３ 前記円錐ロールが圧延作用域の先端に矯正作
   用域を備え、圧延素材の前端側截頭円錐台形の前
   方及び後端側截頭円錐台形の後方を、圧延機を圧
   延素材が出る際の圧延後の出側外径に相当する円
   柱部に成形する特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載のクロツプレス圧延法。 ４ 前記圧延素材の円柱部の長さは、前記円錐ロ
   ールの１公転によつて、押し出される圧延素材の
   長さの1/3以下に設定した特許請求の範囲第３項
   に記載のクロツプレス圧延法。 ５ 遊星型傾斜ロール圧延機の前方において、圧
   延ラインに沿つて走行可能に装置本体を設置し、
   該本体上に圧延素材を挟持可能に相対向動し、か
   つ素材の一端部を截頭円錐台形に押圧成形する一
   対の型材をそれぞれ有する素材前端用プレス機構
   と、素材後端用プレス機構とを並設すると共に、
   選択的に一方のプレス機構の型材を駆動させる駆
   動装置を配備し、さらに、前記本体を、素材後端
   側のプレス時に圧延ライン上の素材速度に同調し
   て走行させる駆動装置を備えたことを特徴とする
   プレス装置。