JPH0210939Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は三脚組立式魚礁に関し、特に鳥賊の
産卵場並びに魚介類の餌場として適した藻類の増
殖用漁場に好適な魚礁に関する。

《従来の技術》 従来から、海中の適宜箇所に沈設され、魚介類
の増殖を目的とする魚礁は各種提案されており、
また、魚礁は対象とする魚介類の習性に応じて
様々な形状のものが提案されている。

この種の魚礁では、魚介類の増殖を目的とする
場合には、小型の単体礁（小型のブロツク体）を
用いることが主流となつているが、効率的に魚場
を造成するには、大型の組立魚礁が必要となる。

実開昭51−46798号公報には、同一形状の複数
の屋根型コンクリート体を組立てることにより構
成される魚礁が開示されている。

しかしながら、この公報に開示されている魚礁
には以下に説明する技術的課題があつた。

《考案が解決しようとする課題》 すなわち、増殖用魚礁を鳥賊の産卵場として使
用する場合、鳥賊は通常潮通しの良好な岩窟等の
天井面に好んで産卵をするが、上記公報の魚礁で
は、コンクリート体に垂直方向にのびる補強部材
が設けられていて、潮流に対する抵抗が大きく、
潮通しが十分でなかつた。

また、上記公報に開示されている魚礁では、海
底地盤面に対して、面で接触して、魚礁を支持す
る構造なので、洗掘に対する影響が大きくなると
いう問題もあつた。

この考案は、上述した従来の問題点に鑑みてな
されたものであつて、その目的とするところは、
鳥賊の産卵場に適した潮通しを確保しつつ、しか
も、洗掘に対する影響が少ない三脚組立式魚礁を
提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するため、この考案は、同一形
状からなる複数のブロツク体を内部が中空で略三
角柱状に積層連結した組立式の魚礁であつて、前
記ブロツク体は、略長方形の長手方向の両端部の
同一側辺が略三角形状に切欠された一対の切欠部
を有する平板状の天井板と、この天井板の両端に
それぞれ設けられ、前記天井板の端縁と前記切欠
部とに股がつて垂設された略く字形の一対の側壁
と、各側壁の一端に固設され、相互に近接する方
向に前記天井板と平行に延長され、前記天井板よ
りも十分に長さの短い一対の脚部とからなること
を特徴とする。

《実施例》 以下、この考案の好適な実施例について添附図
面を参照して説明する。

第１図から第３図は、この考案に係る三脚組立
式魚礁の一実施例を示すものである。

第１図，第２図は組立てられた魚礁１０の全体
図を示しており、魚礁１０は、第３図に示すブロ
ツク体１２を複数個使用している。

各ブロツク体１２は、鉄筋コンクリート等によ
つて型成形された同一形状を有しており、天井板
１４と一対の脚部１６，１６とから概略構成され
ている。

上記天井板１４は、略長方形状の平板の長手方
向の両端部の同一側辺上に位置する部分が略三角
形上に切欠され、一対の切欠部１４ｂ，１４ｂが
形成された輪郭形状を有している。

上記脚部１６は、天井板１４の短手方向端縁と
切欠部１４ｂとに沿うようにして垂設され、平面
が略く字形に屈曲された側壁１５の一端に固設さ
れている。

そして、脚部１６は、上記天井板１４に対して
平行に、かつ、相互に近接する方向に延長され、
天井板１４に対して十分に短い長さに形成されて
いる。

また、各側壁１５の切欠部１４ｂ側の部分に
は、これを水平方向に貫通する孔部１５ａが設け
られるとともに、脚部１６には、これを鉛直方向
に貫通する孔部１６ｂが設けられ、かつ、上記天
井板１４にもこれを貫通する一対の透孔１４ａ，
１４ａが形成され、前記孔部１６ｂと透孔１４ａ
とはそれぞれ位置対応しており、孔部１５ａは各
ブロツク体１２を横方向に連結するために、ま
た、孔部１６ｂ，透孔１４ａは鉛直方向に連結す
るために使用される。

このような構成のブロツク体１２は、まず３個
を天井板１４の切欠部１４ｂ同士が、相互に当接
するようにして側壁１５の孔部１５ａ間を連通さ
せ、孔部１５ａ内にボルトを挿通して緊結し、内
部が中空で平面が略正三角形状になるように連結
する。

しかる後に、目的に応じて任意の高さ（２層以
上）に略三角柱状に積み重ね、上下の連結は天井
部１４の透孔１４ａと脚部１６の孔部１６ｂにボ
ルトを挿通して行なう。

また、組立てられた魚礁１０の沈設時には、最
上段の透孔１４ａに、吊り下げ用のワイヤーを取
り付けて行なう。

《考案の作用効果》 さて、上述した構成からなる組立式魚礁にあつ
ては、比較的幅広な天井板１４を用いているた
め、この天井板１４の下面は鳥賊の産卵場所とし
て適しているとともに、上面は海藻類の付着基盤
として好適なものとなる。

このとき、魚礁１０の垂直部分は、側壁１５だ
けであり、潮流に対する抵抗が少なく、また、各
天井板１４，１４間には、側壁１５の高さに相当
する多段状の空間が画成されるとともに、内部に
略三角柱状の中空部があるため、潮流はこれらの
部分から自由に流通し、潮通しは極めて良好とな
り、さらにこのことは、魚礁１０の側方投影断面
が小さいことにもなり、浅海域でも波・潮流等の
水平外力に対する影響を受けにくい、安定した魚
礁が得られる。

さらに、魚礁１０が平面略三角形状であること
は、いずれの方向からの外力に対して安定である
とともに、魚礁１０は天井板１４よりも十分に長
さの短い脚部１６によつて三脚状で海底に支持さ
れるため、設置後の安定性もよい上に、ほぼ点支
持状態になるので、洗掘に対する影響が少ない。

さらにまた、一種類の共通するブロツク体１２
で、魚礁が得られることは、製作・組立の施工性
がよく、大量生産に適したものとなる。

以上、実施例で詳細に説明したように、この考
案に係る三脚組立式魚礁は、鳥賊の産卵に適し、
また海藻類の繁茂も促進される等の各種優れた効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す平面図、第
２図は側面図、第３図はブロツク体の斜視図であ
る。 １０……魚礁、１２……ブロツク体、１４……
天井板、１５……側壁、１６……脚部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同一形状からなる複数のブロツク体を内部が中
   空で略三角柱状に積層連結した組立式の魚礁であ
   つて、前記ブロツク体は、略長方形の長手方向の
   両端部の同一側辺が略三角形状に切欠された一対
   の切欠部を有する平板状の天井板と、この天井板
   の両端にそれぞれ設けられ、前記天井板の端縁と
   前記切欠部とに股がつて垂設された略く字形の一
   対の側壁と、各側壁の一端に固設され、相互に近
   接する方向に前記天井板と平行に延長され、前記
   天井板よりも十分に長さの短い一対の脚部とから
   なることを特徴とする三脚組立式魚礁。