JPH019881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、軽量、薄肉の、しかも耐衝撃、曲
げ強度特性に優れた耐候性のある非常階段用の踏
板の開示に係る。

（従前技術） 従前におけるこの種の踏板は、例えば、Ｌ字状
の繊維強化コンクリート踏板（実公昭55−586
号）、表面前縁部に滑り止め凹凸模様を形成した
踏板（実公昭49−18415号）あるいは、全面に前
後方向に向けて凹凸模様を形成した踏板（実開昭
51−99426号）等が存していた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、これら従前における踏板は、
種々の特徴を有しながらも、非常用の階段の様に
屋外に設置されるものの踏板に使用した場合、雨
天の場合には極めて滑り易い欠点があつた。とり
わけ、前記した全面に前後方向に向けて凹凸模様
を形成した踏板にあつては、前後方向への滑り出
しは防げるものの左右方向への滑り出しは防げ
ず、昇り降りに急を要することが予定される非常
階段用の踏板に使用するにはやはり問題があつ
た。

（問題点を解決するための手段） この考案は、かかる従前例における欠陥に鑑み
特に案出されたものであつて、屋外に設置される
非常用階段の踏板として耐衝撃特性、耐熱、耐候
特性等の向上を期すと共に滑りを極力防止するべ
く、側面が略Ｌ字状をなす薄肉の耐アルカリ性グ
ラスフアイバー強化コンクリート（以下、GRC
と略す）の踏板であつて、該踏板の踏面幅が蹴込
み立上り幅より拡幅とされており、且つ該踏板の
全面が、方形の化粧タイル様の浮出し面と、この
浮出し面間に形成される化粧メヂ用の条溝とより
なり、該踏板の踏面前縁部が凹凸縁とされている
非常階段用踏板を提供せんとするものである。

（実施例） 以下この考案の詳細を図面に示す典型的な踏板
の一実施例について説明するに、１は耐アルカリ
性グラスフアイバーの短繊維を通例3wt％ないし
8wt％混入成形した踏板であつて、この成形の手
法としては別途模様面の作出との兼合よりして型
枠面に対する吹きつけ脱絞あるいは型枠内への吹
きつけ打設等によることを最良としたものであ
る。

そして、この踏板１は、側面がＬ字状となるよ
うに踏面１ａに対し踏込み直角に立上らせると共
にこの踏面１ａの前縁に沿つて滑り止め１ｃを凹
凸模様として作出し、又この踏面１ａより蹴込み
１ｂの全面に亘りタイル地模様あるいは舗石模様
その他の随意の装飾模様を浮き出し面１ｄとして
作出し、又この浮出し面１ｄ，１ｄ間には前後方
向並びに左右方向に向かつて化粧メヂ様の条溝１
ｅを作出したものである。

尚、この浮出し面１ｄと条溝１ｅは滑り止めと
して機能するに充分な凹凸をもつて作出されたも
のであつて、該凹凸自体が肉薄とされた踏板１に
おける補強構造体ともされている。

かゝる構成よりなる踏板１における踏面１ａの
奥行き幅寸法は、充分に拡いものとし、蹴込み１
ｂの上縁と次段の踏面１ａとの間に特に構成され
る開口２を当該踏板１上に立ちどまつた歩行者が
直視し得ない程度に蹴込み１ｂより前方に突出し
てある。

尚、叙上における踏板１〜１間に開口２を介在
したことは階段を構成すべき立地条件によつて、
この踏板１〜１間の上下寸法が異なることを調製
する目的において特に設けるようにしたものであ
り、更には採光、通風の点よりも特に必要性が認
められたものである。

又、踏面１ａに対し蹴込み１ｂを特に一体的に
設けるようにしたことは歩行に際し足先の滑り落
ちを防止し、又一般的な物の落下による衝突事故
等を未然に防止することを目的としたものであ
る。

尚、叙上における踏板１の表面に適宜塗着処理
を施す等表面処理を施して浮き出し面１ｄにおけ
る装飾効果を一層助長せしめるようになすことは
施工上特に重要とされたものである。

かゝる構成よりなる踏板１を階段の主梁３〜３
と横梁４〜４とをもつて支承し、適宜ボルト締め
等の手段をもつて締着せしめるようにしたもので
ある。尚、この施工において階段の横幅が不定で
ある場合においては鋸挽き等の手軽の手段をもつ
て踏板１を切断し、目的とする形状、寸法の階段
の成形をなすようにしたものである。

（効果） この考案は叙上における特長ある構成、とりわ
け踏板１の使用素材をGRC材とし、しかもその
形状を蹴込み１ｂより踏面１ａを拡幅の側面Ｌ字
状のもとし、特に表面に滑り止め１ｃと浮き出し
面１ｄを構成したことによつて以下の諸特性の具
体的な奏効を期し得たものである。

即ち、GRC素材は充分に耐衝撃、曲げ強度特
性を有することよりして著しく薄く、配筋のな
い、従つて充分に軽量の蹴込みを有する踏板を単
なる吹きつけ成形あるいは鋳込み成形をもつて容
易に提供し得たものであつて、その成形コストも
割安とされたものである。

又、GRC材は耐候特性に特に優れたものであ
つて、経年的な耐衝撃、曲げ強度特性の変化は驚
くほど微弱のものであり、又耐火、耐熱特性に優
れたことより外回り非常階段用の踏板として特に
最適とされたものである。

更に、かゝる素材的特性よりして特に軽量且つ
切断可能の踏板の提供が約束されたものであつ
て、これが製作、搬送、施工のいずれの面におい
ても確実にコストダウンを保証したものである。

尚、このGRC素材においては型枠面よりの脱
型が極めて円滑になされると共に型枠に面した成
形面が特に緻密なものとされることより踏板１自
体の肉薄化にも拘らず表面に適宜の浮き出し面等
を鮮明に表出し得たものである。

そして、この浮き出し面は装飾として踏板の体
裁を整えることはもちろん、踏面前縁部の凹凸縁
と相俟つて踏面の摩擦を大として滑り止めの効果
をも有しているものである。とりわけ雨天の場合
などには、前記浮き出し面により前後左右方向に
向かつて形成される条溝を雨水が流れ、雨水の歩
行者との接触を極力回避し得ると共に前記浮き出
し面とかかる条溝とにより形成される隅部が踏面
を踏みつけた際にひつかかりとなり、前後方向並
びに左右方向への滑り出しを防止し転倒事故等の
予期せぬ事故を防止し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の典型的な踏板の一実施例で
ある斜視図、第２図は組付け状態を示す側断面図
である。 尚、図中１……踏板、２……開口、３……主
梁、４……横梁を示したものである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側面が略Ｌ字状をなす薄肉の耐アルカリ性グラ
   スフアイバー強化コンクリート踏板であつて、該
   踏板の踏面幅が蹴込み立上り幅より拡幅とされて
   おり、且つ該踏板の全面が、方形の化粧タイル様
   の浮出し面と、この浮出し面間に形成される化粧
   メジ様の条溝とよりなり、該踏板の踏面前縁部が
   凹凸縁とされていることを特徴とする非常階段用
   踏板。