JPH019683Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 この考案は、トラクタのスイングドローバ装置
に関するものである。

考案の技術的背景 一般に、トラクタに装備されている作業機連結
装置の一種であるスイングドローバは、トラクタ
の機体の後部に上下方向の軸心を有する支軸によ
り左右方向回動自在に支持された筒状の外杆及び
この外杆にスライド自在及び任意位置固定自在に
内嵌されて機体後方に延出する牽引杆等により構
成されている。

しかして、牽引杆の後部に設けられた作業機連
結部に作成機を連結する際には、牽引杆を外杆内
から後方に大きく引き出した状態で固定するもの
であり、牽引杆に作業機を連結しない場合及びト
ラクタにスイングドローバを用いない機種の作業
機を連結する場合等には、牽引杆を前方にスライ
ドさせて固定し、牽引杆の後方への突出寸法を最
小にする。

背景技術の問題点 外杆を回動自在に支持する支軸は外杆を上下方
向に貫通して設けられており、牽引杆を前方へス
ライドさせる際に牽引杆の先端部が支軸と干渉す
るとそれ以上に前方へスライドさせることができ
ず、牽引杆の非使用時において後方に大きく突出
した牽引杆が作業の障害となることがある。ま
た、牽引杆の前方へのスライド量を大きくして非
使用時における牽引杆の後方への突出寸法を小さ
くするためには、支軸の位置を前方に移動させな
ければならず、支軸の位置を前方に移動させるこ
とに伴い外杆の長さ寸法が増し、外杆が重量化及
び大型化して非経済的である。さらに、支軸を保
持する保持部材等の取付位置がトラクタの機体の
腹部前方に移動するため、この保持部材等の取付
けにも手間がかかるようになる。

考案の目的 この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、牽引杆を内嵌する外杆の短小軽量化を図ると
ともに、非使用時等における牽引杆の後方への突
出寸法を大きく低減させうるトラクタのスイング
ドローバ装置を得ることを目的とするものであ
る。

考案の概要 この考案は、トラクタの機体の後部に上下方向
の同一軸心上に位置させて先端面が所定の間隔を
おいて対向する二本の支軸を設け、前記支軸の先
端面を内周面に一致させた筒状の外杆を前記支軸
に回動自在に取り付け、後部に作業機連結部を有
する牽引杆を前記外杆にスライド自在及び任意位
置固定自在に内嵌したことにより、支軸と牽引杆
との干渉を防止して牽引杆のスライド動作を支軸
の軸心位置を通過する状態で任意に行い、外杆を
大型化させることなく非使用時における牽引杆の
機体後方への突出寸法を大幅に低減させうるよう
に構成したものである。

考案の実施例 この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。トラクタの機体１の後部背面には下方に向け
て突出した支持板２が固定され、この支持板２に
は前記機体１の下端縁よりも下方に位置して左右
方向に長い開口３が形成され、さらに、開口３の
下縁よりわずかに下方に位置して後方に突出する
受け板４が固着され、この受け板４には後述する
ピンを中心とする円弧上に位置して複数個の係止
孔５が左右方向に配列形成されている。前記機体
１の後部下面には支点金具６が固定され、この支
点金具６には上下方向で対向するとともに中心線
を一致させた支軸である一対のピン７，８が固着
されている。そして、これらのピン７，８により
上下方向から支軸された角パイプ状の外杆９がピ
ン７，８の軸心回りに回動自在に設けられ、外杆
９は前記開口３を貫通して後方に延出されてい
る。なお、第３図及び第４図に示すように、前記
ピン７の先端面は前記外杆９の上部内周面と同一
平面上に位置し、前記ピン８の先端面は前記外杆
９の下部外周面と同一平面上に位置している。ま
た、前記外杆９の上下両面には中心線が一致する
とともに前記係止孔５と対向する挿通孔１０が形
成されている。しかして、一端にワニ口部１１及
び抜差自在なヒツチピン１２等により構成される
作業機連結部１３を有するとともに他端が前記外
杆９にスライド自在に内嵌される牽引杆１４が設
けられ、この牽引杆１４には複数個の固定孔１５
が前後方向に配列形成されている。そして、これ
らの挿通孔１０、固定孔１５、係止孔５を貫通す
るドローバピン１６が抜差自在に設けられ、ドロ
ーバピン１６の頭部にはドローバピン１６の軸心
と直交する向きにコツタピン孔１７が形成されて
いる。前記コツタピン孔１７に挿着されたコツタ
ピン１８の先端部は前記外杆９の上面部に固定さ
れた係止片１９の係止孔２０に抜差自在に差込ま
れており、前記コツタピン１８の頭部にはばね性
を有する切欠きリング２１が扇動自在に設けられ
ている。

このような構成において、ドローバピン１６を
係止孔５、固定孔１５、挿通孔１０から抜取つた
状態においては、牽引杆１４が外杆９に内嵌され
た状態で前後方向にスライド自在及び外杆９がピ
ン７，８を中心として左右方向に回動自在とな
る。そして、牽引杆１４を前後方向にスライドさ
せて固定孔１５と挿通孔１０との位置合わせを行
い、ついで、牽引杆１４と外杆９とを一体的に回
動させてこれらの固定孔１５及び挿通孔１０と係
止孔５との位置わせを行い、これらの固定孔１
５、挿通孔１０、係止孔５を貫通するドローバピ
ン１６を差込むことにより牽引杆１４のスライド
動作及び回動動作の固定を行う。

しかして、牽引杆１４の作業機連結部１３に作
業機を連結する場合には、通常第２図及び第３図
において実線で示すように牽引杆１４を機体１後
方に大きく延出した状態で固定するものであり、
作業機を外した後は第３図はおいて仮想線で示す
ように後方への突出寸法を最小にして固定するも
のである。牽引杆１４の後方への突出寸法を減少
させる場合には、ドローバピン１６を抜取つて牽
引杆１４を外杆９に内嵌させた状態のまま前方に
スライドさせ、所定の位置で再びドローバピン１
６を差込むものである。牽引杆１４を前方にスラ
イドさせる場合、ピン７，８の先端面が外杆９の
上下内周面と同一面内に位置するため、牽引杆１
４はピン７，８に干渉することなくピン７，８の
中心線の延長線と交差する状態で自由にスライド
可能である。したがつて、牽引杆１４がピン７，
８に干渉するために牽引杆１４の前方へのスライ
ド動作が制限されるということがなく、作業機の
非連結時において機体１後方に大きく突出した牽
引杆１４が作業に支障をきたすということが防止
される。また、牽引杆１４とピン７，８との干渉
を防止するためにピン７，８の配設箇所を前方に
変更するという必要がなく、ピン７，８の位置を
前方に変更することに伴う外杆９の長大化及び重
量化が防止され、外杆９の短小軽量化を図れる。
さらに、ピン７，８を固着した支点金具６の機体
１への取付位置が機体１後方となるため、支点金
具６の取付けが容易になる。

考案の効果 この考案は上述のように、トラクタの機体の後
部に上下方向の同一軸心上に位置させて先端面が
所定の間隔をおいて対向する二本の支軸を設け、
前記支軸の先端面を内周面に一致させた筒状の外
杆を前記支軸に回動自在に取り付け、後部に作業
機連結部を有する牽引杆を前記外杆にスライド自
在及び任意位置固定自在に内嵌したので、牽引杆
を支軸との干渉を防止しつつ自由にスライドさせ
ることができ、牽引杆への作業機の非連結時等に
おいては牽引杆の機体後方への突出寸法を最小と
して作業に支障をきたすことを防止でき、さら
に、外杆の短小軽量化を図ることができる等の効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は全体の側面図、第２図はその要部を拡大した
平面図、第３図はその要部を拡大して一部を断面
にした側面図、第４図はその要部を拡大して一部
を切欠いた斜視図である。 １…機体、７〜８…ピン（支軸）、９…外杆、
１３…作業機連結部、１４…牽引杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラクタの機体の後部に上下方向の同一軸心上
   に位置させて先端面が所定の間隔をおいて対向す
   る二本の支軸を設け、前記支軸の先端面を内周面
   に一致させた筒状の外杆を前記支軸に回動自在に
   取り付け、後部に作業機連結部を有する牽引杆を
   前記外杆にスライド自在及び任意位置固定自在に
   内嵌したことを特徴とするトラクタのスイングド
   ローバ装置。