JPH0161006B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガスを絶縁媒体としたガス絶縁電気機
器に関するものである。

変電所等に設置されるガス絶縁開閉装置は、
SF₆等の絶縁ガスを密封した容器内に、しや断
器、断路器、接地装置等の、開閉回路を構成する
ために必要な電気機器の本体を収納して構成さ
れ、機器本体が大気からしや断されているために
経年劣化がなく、非常に高い信頼性が得られる。
ところが従来のこの種の装置では、電気機器本体
の操作に必要な操作器や制御装置類が大気中に設
けられていたため、大気中の湿気、塵埃、オゾン
等により操作器類が劣化することがあり、定期的
な保守点検が必要不可欠であつた。

本発明の目的は、操作装置の経年劣化を防止
し、保守点検を不要にするかまたは点検回数を従
来より大幅に少なくすることができるようにした
ガス絶縁電気機器を提供することにある。

本発明は、絶縁ガス中に配置された電気機器本
体と、電気機器本体を操作する操作装置とを備え
たガス絶縁電気機器に係わるもので、本発明にお
いては、電気機器本体と操作装置との双方に対し
て共通の容器を設けて該容器内を隔壁により２室
にガス区分する。そしてこれら２室の内の一方に
電気機器本体を、また他方に操作装置の全体をそ
れぞれ配置して、電気機器本体と操作装置とを隔
壁を気密に貫通させて設けられた接続手段により
接続する。容器内の２室にはそれぞれ絶縁ガスを
異なる圧力で充填する。

上記のように構成すると、操作装置全体が絶縁
ガス中に配置されるため、操作装置を大気から隔
絶することができ、大気中の湿気、塵埃、オゾン
等による操作装置の経年劣化を防止することがで
きる。従つて信頼性を向上させることができる上
に、保守点検の頻度を従来に比べて大幅に少なく
することができる。

また上記のように操作装置を配置する室と電気
機器本体を配置すると室とを隔壁によりガス区分
すると、点検または事故時に操作装置と電気機器
本体とが相互干渉するのを防ぐことができるた
め、信頼性を高めることができる。

更に上記のように２室をガス区分して両室内の
ガス圧を異ならせるようにすると、両室内のガス
圧をそれぞれ必要な値に設定することができ、絶
縁ガスによる絶縁を特に必要としない操作装置を
配置した室内のガス圧を電気機器本体を配置した
室内のガス圧よりも低く設定することができる。
従つて絶縁ガスの量を節約することができ、コス
トの上昇を抑えることができる。

尚本明細書において「電気機器」なる語は、し
や断器、断路器或いは接地装置の如き操作が必要
な電気機器単体を意味する外、変電所等の電気所
の開閉回路を構成するようにしや断器、断路器、
接地装置、避雷器等を組合せた開閉装置のように
操作が必要な複数の電気機器を組合せた複合電気
機器をも意味するものとする。

また本明細書において「操作装置」なる語は、
エアシリンダや電磁石或いは電動機等の駆動源に
より、リンク機構等からなる操作機構を介して電
気機器を操作する操作器を意味する外、電気的な
指令信号を、操作器を動作させるための電気信号
に変換したり種々の制御動作を行なつたりする制
御回路が設けられる場合には、操作器と制御回路
との双方を包含する意味にも用いるものとする。

以下図面を参照して本考案をその実施例ととも
に詳細に説明する。

第１図は本発明をガス絶縁開閉装置に適用した
一実施例を示したもので、同図において１はベー
ス２の上に設置された箱形の気密容器である。容
器１内は隔壁３により第１の室４と第２の室５と
に気密に仕切られてガス区分されている。両室内
にはSF₆ガスが所定の圧力で充填されるが、本発
明においては、第１の室４内のガス圧と第２の室
５内のガス圧とに差を持たせて、両室内のガス圧
をそれぞれ必要な値に設定し、無駄な絶縁ガスが
用いられるのを防止する。第１の室４内には、ケ
ーブルヘツドCHd、断路器DS₁，DS₂、ガスしや
断器GCB、及び母線BUSが３相分一括して収納
され、第２図に示した単線結線図に従つて電気的
に接続されている。第１図において母線BUSは
図の紙面と直角な方向に延びる３相の導体６ｕ〜
６ｗを、容器１の側壁に設けた開口を気密に閉じ
るように取付けられた絶縁スペーサ７に支持した
もので、導体６ｕ〜６ｗはスペーサ７を気密に貫
通して他の機器に接続されている。またケーブル
ヘツドCHdは容器１の底壁を気密に貫通して取
付けられ、このケーブルヘツドCHdには、地下
のケーブルピツト８から立上つたケーブル９が接
続されている。

ガスしや断器GCBはSF₆ガス等の消弧性ガスを
封入した密閉容器内に固定電極及び可動電極を消
弧機構とともに収納したもので、このしや断器
GCBを操作する操作杆１０は隔壁３に設けられ
た気密保持構造の貫通部３Ａを摺動自在に貫通し
て第２の室５内に導出されている。各相のしや断
器GCBの可動電極につながる端子とケーブルヘ
ツドCHdとの間及び固定電極につながる端子と
母線BUSの所定の相の導体との間をそれぞれ接
続するように断路器DS₁及びDS₂が設けられ、こ
れらの断路器を操作する操作杆１１及び１２も隔
壁３に設けられた気密保持構造の貫通部３Ｂ及び
３Ｃを摺動自在に貫通して第１の室５内に導出さ
れている。

第２の室５内にはガスしや断器GCBの操作器
１３と断路器DS₁及びDS₂の操作器１４及び１５
とこれらの操作器を制御する制御装置（特に図示
せず。）とが収納され、この制御装置から引出さ
れたリード線は容器１の底壁を気密に貫通して取
付けられたブツシング１６を通して外部に導出さ
れている。操作器１３は前記操作杆（接続手段）
１０を介してガスしや断器GCBに接続され、操
作器１４及び１５はそれぞれ、操作杆（接続手
段）１１及び１２を介して断路器DS₁及びDS₂に
接続されている。第１の室４には圧力計１７、圧
力スイツチ１８及び止弁１９が、また第２の室５
には圧力計２０、圧力スイツチ２１及び止弁２２
がそれぞれ接続され、これらは第１の室４及び５
内へのガスの充排気とガス圧の監視とに使用され
る。また容器１の両端面には、第１の室４及び第
２の室５内での機器の組立や点検等の作業を行な
う際に用いるハンドホール２３及び２４が設けら
れ、これらのハンドホールは常時は蓋２３Ａ及び
２４Ａにより気密に閉じられている。

上記のように、しや断器や断路器の操作器を絶
縁ガス中に密封すると、操作器が大気の影響を受
けないので、結露等によるさびの発生やグリース
の劣化または蒸発、塵埃の付着やオゾンによる部
品の劣化等が生じるのを防ぐことができ、操作器
類の経年劣化を防止することができる。したがつ
て操作装置の点検の頻度を著しく少なくすること
ができ、メンテナンスフリー化を図ることが可能
になる。

上記実施例のように容器１内を隔壁３によりガ
ス区分して機器と操作装置とを別々の室内に収納
するように構成した場合には、操作器の点検作業
等を機器の運転を停止することなく行なうことが
できる。また容器内で万一事故が生じた場合で
も、操作装置と機器の相互干渉がないので信頼性
を高めることができる。

上記実施例のように、容器内に隔壁３を設けて
操作装置と機器とを接続する接続手段の貫通部３
Ａ〜３Ｃを隔壁３に設ける場合、これらの貫通部
３Ａ〜３Ｃの気密保持構造は、万一第２の室５内
の点検が生じたときに、点検の間だけ気密を保持
し得るものでよいので、従来のような信頼性の高
い高価な気密構造の貫通部を無くすことができ
る。また万一運転中に貫通部３Ａ〜３Ｃでガスの
漏洩が生じたとしても第１及び第２の室内には同
じガスが充填されているので事故を生じる虞れは
皆無である。

更に、操作装置の容器を別個に設ける必要がな
いので外観の簡素化を図ることができ、また製造
を容易にすることができる。

上記の実施例では、容器１を箱形としたが、容
器の構造及び形状は任意であり、例えば断面円形
のタンクを用いることもできる。

また操作装置が収納される第２の室側の容器壁
部に透明の窓を設けて、操作器の状態、例えばし
や断器及び断路器の開閉状態等を目視し得るよう
にすることもできる。

第３図及び第４図は本発明をガス絶縁開閉装置
に適用した他の実施例を示したもので、第３図は
内部構造を示し、第４図は単線結線図を示してい
る。この実施例では絶縁ガスが充填された管状の
第１の容器３１〜第４の容器３４が設けられてい
る。第１の容器３１は比較的大径に形成されてい
てその中心軸線を水平方向に一致させてベース３
５上に支持され、この第１の容器３１内は隔壁３
６により第１の室３７と第２の室３８とに仕切ら
れている。第１の室３７内にはケーブルヘツド
CHd、断路器DS₁、接地装置ESW、ガスしや断
器GCB、ブツシング変流器CT及び避雷器様LA
が収納され、これらは第４図の単線結線図に従つ
て電気的に接続されている。ケーブルヘツド
CHdは第１の容器３１の一端の下部に設けられ
た傾斜壁部３１Ａを気密に貫通して取付けられ、
このケーブルヘツドの導体には避雷器LAと断路
器DS₁の各一端が接続されている。各相の断路器
DS₁の他端はガスしや断器GCBの固定電極につな
がる端子に接続され、しや断器GCBの固定電極
につながる端子は変流器CTの中心のブツシング
４０に接続されている。また断路器DS₁の一端に
は接地装置ESWの固定電極４１が設けられ、こ
の固定電極と接地電位部に支持された可動電極４
２とにより接地装置ESWが構成されている。尚
第３図においては、避電器LA、しや断器GCB及
び変流器CTが２相分のみ図示されているが、こ
れらの機器が更に１相分設けられているのは勿論
であり、またケーブルヘツドCHd、断路器DS₁及
び接地装置ESWも３相分収納されているのは勿
論である。第１の容器３１の第２の室３８内に
は、しゃ断器GCB、断路器DS₁及び接地装置
ESWを操作する操作器４３とその制御装置とが
収納され、操作器４３は隔壁３６を気密且つ摺動
自在に貫通した接続手段４４を介して所定の機器
に接続されている。

第１の容器３１の上部には、第１の室３７内に
連通する開口部４５が設けられ、この開口部４５
に前記ブツシング変流器CTを支持した絶縁スペ
ーサ４６を介してＴ字形の第２の容器３２の下端
が気密に接続されている。第２の容器３２の横方
向の両端にはそれぞれ絶縁スペーサ４７及び４８
を介して第３の容器３３及び第４の容器３４が気
密に接続されている。容器３２内には３相分の導
体４９ｕ〜４９ｗが収納され、これらの導体にブ
ツシング変流器CTの中心導体が接続されている。
導体４９ｕ〜４９ｗは絶縁スペーサ４７及び４８
を貫通して支持されている。

第３の容器３３内は隔壁５０により第１の室５
１と第２の室５２とに区画され、第１の室５１内
には断路器DS₂が、また第２の室５２内には断路
器DS₂の操作器５３がそれぞれ収納されている。
断路器DS₂と操作器５３とは隔壁５０を気密に貫
通して設けられた接続手段５４を介して接続され
ている。３相の断路器DS₂のそれぞれの固定電極
には第２の容器３２内の導体４９ｕ〜４９ｗが接
続され、可動電極には母線BUS₁の３相の導体５
５ｕ〜５５ｗが接続されている。これらの導体は
第３の容器３３の側壁に絶縁スペーサを介して接
続された管状容器５６内を通して隣接の機器に接
続されている。また第４の容器３４内は隔壁５７
により第１の室５８及び第２の室５９に区画さ
れ、第１の室５８内には３相の断路器DS₃が収納
されている。第２の室５９内には断路器DS₃の操
作器６０が収納され、操作器６０は隔壁５７を気
密に貫通して設けられた接続手段を介して断路器
DS₃に接続されている。３相の断路器DS₃の固定
電極は第２の容器３２内の導体４９ｕ〜４９ｗに
接続され、可動電極は、母線BUS₂の３相の導体
６１ｕ〜６１ｗに接続されている。これらの導体
は第４の容器３４の側壁に絶縁スペーサを介して
接続された管状容器６２内を通して隣接の機器に
接続されている。

上記の各実施例のガス絶縁電気機器は複数の機
器を組合せて構成されているが、単一の機器から
なるガス絶縁電気機器にも本発明を適用できる。
第５図はその一例としてガスしや断器に本発明を
適用した実施例を示したもので、容器７１内が隔
壁７２により第１の室７３と第２の室７４とに上
下に仕切られている。第１の室７３内には固定電
極及び可動電極からなるガスしや断器のしや断部
７５が収納され、しや断部７５の固定電極につな
がる端子７６及び可動電極につながる端子７７が
容器７１の側壁に設けられた開口部を気密に閉じ
るように取付けられた絶縁スペーサ７８及び７９
を貫通して外部に導出されている。第２の室７４
内には操作器８０が収納され、この操作器８０は
隔壁７２を気密且つ摺動自在に貫通して設けられ
た絶縁操作棒８１を介してしや断部７５の可動電
極に接続されている。第１の室７３及び第２の室
７４内にはSF₆等の絶縁ガスが充填されている。
容器７１の上部には第１の室７３内の機器の組立
及び点検作業を行なうためのハンドホール８２が
設けられ、容器７１の下部には第２の室７４内の
操作器の組立及び点検作業を行なうためのハンド
ホール８３が設けられている。

以上のように、本発明によれば、電気機器本体
と操作装置とに対して共通の容器を設けて該容器
内を隔壁により２室にガス区分し、該２室の一方
及び他方にそれぞれ電気機器本体及び操作装置の
全体をそれぞれ配置して両室内に絶縁ガスを充填
したので、操作装置を大気から隔絶することがで
きる。

従つて大気中の湿気、塵埃、オゾン等による操
作装置の経年劣化を防止することができ、操作装
置の信頼性を向上させることができる上に、その
保守点検の頻度を従来に比べて大幅に少なくする
ことができる利点がある。

また本発明では、操作装置を配置する室と電気
機器本体を配置する室とを隔壁によりガス区分し
たので、点検または事故時に操作装置と電気機器
本体とが相互に干渉するのを防ぐことができ、信
頼性を高めることができる利点がある。

更に本発明では、操作装置を配置した室内と電
気機器本体を配置した室内とを隔壁によりガス区
分して、両室内のガス圧に差を持たせるようにし
たため、絶縁ガスによる絶縁を特に必要としない
操作装置側の室内のガス圧を電気機器本体側の室
内のガス圧よりも低く設定して絶縁ガスの量を節
約することができ、コストの低減を図ることがで
きる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ本発明の第１の実
施例の概略構成図及び単線結線図、第３図及び第
４図はそれぞれ本発明の第２の実施例の概略構成
図及び単線結線図、第５図は本発明の第３の実施
の概略構成図である。 １，３１〜３４，７１……容器、３，３６，５
０，５７，７２……隔壁、４，３７，５１，５
８，７３……第１の室、５，３８，５２，５９，
７４……第２の室、GCB……ガスしや断器、DS₁
〜DS₃……断路器、ESW……接地装置、CT……
ブツシング変流器、LA……避電器、CHd……ケ
ーブルヘツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁ガス中に配置された電気機器本体と、前
   記電気機器本体を操作する操作装置とを備えたガ
   ス絶縁電気機器において、 前記電気機器本体と操作装置とに対して共通の
   容器が設けられて該容器内が隔壁により２室にガ
   ス区分され、 前記２室の内の一方に前記電気機器本体が、ま
   た他方に前記操作装置の全体がそれぞれ配置され
   て、該電気機器本体と操作装置とが前記隔壁を気
   密に貫通させて設けられた接続手段により接続さ
   れ、 前記２室にそれぞれ絶縁ガスが異なる圧力で充
   填されていることを特徴とするガス絶縁電気機
   器。