JPH0160534B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は優れた金属帯鋼を得る連続焼なまし方
法に関する。

ステンレス鋼、普通鋼等の金属帯の代表的な連
続焼なまし法として、金属帯を炉内で電気、ガス
等により間接加熱し、引き続いて、これを冷却装
置に導びくことによつて行なわれている。この型
式の連続焼なまし設備では、炉の長さが大きいた
め大きなスペースを必要とする上設備費が高く、
しかも熱容量が大きいため温度変更に時間がかか
り、又熱処理条件の変更が困難であるとともに熱
効率が低いという欠点がある。他方冷却について
云えば、加熱された金属帯を急速に冷却するため
通常は、冷却用雰囲気ガスを金属帯の表面に噴射
することによつて行なわれる。必要な急速冷却、
例えば、焼なまし温度から150℃程度までの急速
な冷却には、どうしても長い冷却装置が必要であ
る。又雰囲気ガスは噴射に先立つて冷却しなけれ
ばならず、そのために、特別な冷却設備を必要と
する。この冷却方式の更に大きな欠点は、冷却用
雰囲気ガスが金属帯に不均一に当ることにより金
属帯を均一に冷却しにくいということである。

本発明の主な目的は上述の欠点のことごとく解
消する全く新規な発想にもとずく金属帯の連続焼
なまし方法を提供するにある。

本発明の他の目的は金属帯を低温側給電ロール
から加熱帯域を通して溶融ナトリウムに通し、高
温側の給電を前記溶融ナトリウムにより行なうこ
とによつて前記金属帯を給電ロールと溶融ナトリ
ウムとの間で前記加熱帯域内において加熱し、加
熱された金属帯を溶融ナトリウムにより急速冷却
する金属帯の連続焼なまし方法を提供するにあ
る。

好ましくは、加熱帯域は金属帯の酸化、合金化
を防ぐと同時に溶融ナトリウムの酸化を防止する
ために還元雰囲気や不活性或は真空とする。溶融
ナトリウムは、金属帯をその焼なまし温度から
150℃程度まで急速に冷却するのに必要な温度に
維持される。これは、溶融ナトリウムを循環的に
冷却することによつて達成される。

今本発明の金属帯の連続焼なまし方法を実施す
るのに好適な装置を添附図面を参照して詳細に説
明する。

槽１は内部に案内ロール２を有し、かつ溶融ナ
トリウム３で満されている。槽１の一方の側でそ
の頂壁から金属帯導入室４が上方に延びていて加
熱帯域５を構成している。金属帯出口室６は槽の
他方の側でその頂壁から上方に突出し、その内部
に例えば一対のバフロールのようなナトリウム除
去装置７が設けられている。槽の上部と下部とを
結ぶ循環パイプ８が槽の側壁に設けられ、この循
環パイプ８を通して槽内の溶融ナトリウム３を循
環させるための循環ポンプ９がパイプ８に設けら
れている。循環ポンプ９の上流で、循環している
溶融ナトリウム３を冷却するために強制冷却装置
１０が設けられている。

槽１にはその頂壁から下方に延びる仕切壁１１
が設けられていて、溶融ナトリウムの液面と槽の
頂壁との間の空間を金属帯導入室４に通ずる空間
部分１２と出口室６に通ずる空間部分１３とに分
割している。金属帯導入室４と空間部分１２は還
元雰囲気で満され、他方金属帯出口室６と空間部
分１３は不活性ガスで満されている。金属帯導入
室４と空間部分１２は還元雰囲気の代りに真空状
態にされても良い。

符号１４は金属帯導入室４の上流側に配置され
ている低温側の給電ロールを指示し、高温側の給
電電極１５は槽１を通して溶融ナトリウム３内に
差し込まれている。符号１６は金属帯出口室６の
下流に配設されている外部案内ロールである。

焼なましされるべきステンレス鋼、チタンおよ
びチタン合金、又は普通鋼のような金属帯１７は
給電ロール１４、導入室４、案内ロール２、出口
室６、外部案内ロール１６にこの順序で通され、
而して槽１内の溶融ナトリウム３の中を通過す
る。金属帯１７は、給電ロール１４および溶融ナ
トリウム３（給電電極１５を介して）により通電
されることによつて加熱帯域５内で電気的に焼な
まし温度まで加熱される。この加熱は加熱帯域の
還元雰囲気中で或は真空下で行なわれるので、金
属帯の酸化、合金化は完全に防止され、同時に溶
融ナトリウムの酸化も防止される。加熱された金
属帯は溶融ナトリウム３の中を進む間に溶融ナト
リウム３によつて略150℃程度まで急速に冷却さ
れる。金属帯に対する溶融ナトリウム３の冷却能
力は、ポンプ９によつて循環パイプ８を通して溶
融ナトリウムを槽の上部から下部へ循環させ、そ
の過程において溶融ナトリウム３を強制冷却装置
１０によつて冷却することによつて維持される。
冷却された金属帯１７は出口装置６を通つて外部
に引き出される。この際、金属帯１７は溶融ナト
リウムを持ち出す傾向を有するが、金属帯１７を
ナトリウム除去装置７に通すことによつて溶融ナ
トリウムは金属帯１７から完全に除去されること
になる。

本発明の実施例において、金属帯の加熱中、金
属帯から輻射熱の損失が起り、これは熱効率の低
下をもたらすかも知れない。かかる輻射熱の損失
を補償するために、金属帯導入室の加熱帯域を加
熱保温することが望ましい。又上記の例では、槽
内の溶融ナトリウムの冷却は溶融ナトリウムの外
部循環形式のものについて説明されているが、槽
内に熱交換装置を設け、熱交換装置に溶融ナトリ
ウムをその冷却パイプと熱交換関係に循環させて
溶融ナトリウムを冷却させても良い。

上述の例からわかるように、本発明によれば、
金属帯に直接電流を流して金属帯を還元雰囲気あ
るいは不活性ガス中で又は真空下で直接加熱し、
高温側の給電を電極を介して溶融ナトリウムによ
り行うものであるから、次のような種々の特徴を
有する。溶融ナトリウムは電気伝導度が良いので
給電による発熱がほとんどなく、従つて金属帯の
冷却に伴つて起る溶融ナトリウムの温度上昇分だ
けを溶融ナトリウムについて冷却すれば良い。
又、スパークの問題はなく、しかも加熱された金
属帯にキズを生ぜしめる原因は全く存在しない。
溶融ナトリウムはそれ自体、加熱された金属帯の
冷却媒体として働らき、溶融ナトリウムの熱伝導
率が非常に大きいため、金属帯を均一に急速冷却
させることができる。かかる特性のため、溶融ナ
トリウム自体の冷却も容易であり、金属帯の冷却
に必要なナトリウム温度を容易に制御することが
できる。またステンレス鋼は、大気中で300℃以
上の温度にすると有害な酸化皮膜を形成するが、
溶融ナトリウムは融点が100℃程度と非常に低い
ため、ステンレスの冷却に、溶融ナトリウムを使
用すればステンレス鋼を上記酸化皮膜を生成する
温度以下に冷却することが可能である。

【図面の簡単な説明】

添附図面は本発明による金属帯の連続焼なまし
方法を実施するのに好適な装置の概略断面図であ
る。 １…槽、２…案内ロール、３…溶融ナトリウ
ム、４…金属帯導入室、５…加熱帯域、６…金属
帯出口室、７…ナトリウム除去装置、８…循環パ
イプ、９…ポンプ、１０…強制冷却装置、１１…
仕切壁、１２，１３…空間部分、１４…低温側給
電ロール、１５…電極、１６…外部案内ロール、
１７…金属帯。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属帯に直接通電することによつて加熱帯域
   において金属帯を焼なまし温度まで電気的に加熱
   し、引き続いて、加熱された金属帯を急速冷却す
   る金属帯の連続焼なまし方法において、高温側の
   給電を溶融ナトリウムにより行ない、溶融ナトリ
   ウムにより、加熱された金属帯を急速冷却するこ
   とを特徴とする金属帯の連続焼なまし方法。 ２ 前記加熱帯域での金属帯の加熱を還元雰囲気
   あるいは不活性ガス中又は真空下で行ない、前記
   環元雰囲気又は真空は溶融ナトリウムの酸化をも
   防止するのに役立つ特許請求の範囲第１項記載の
   金属帯の連続焼なまし方法。 ３ 金属帯からの輻射熱損失を補償するために前
   記加熱帯域を加熱保温する、特許請求の範囲第１
   項記載の金属帯の連続焼なまし方法。 ４ 溶融ナトリウムによる金属帯の急速冷却後、
   金属帯に付着した溶融ナトリウムを除去する、特
   許請求の範囲第１項記載の金属帯の連続焼なまし
   方法。 ５ 溶融ナトリウムを金属帯の冷却に必要な所定
   温度に維持するために、溶融ナトリウムを冷却す
   る、特許請求の範囲第１項記載の金属帯の連続焼
   なまし方法。