JPH0158004B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、溝などを切削加工するための切削工
具、具体的には切削深さの精度を維持することが
必要である場合に使うための切削工具に関する。

工作機械の切削深さの精度は、切刃とホルダ上
の固定点との間の距離を一定に維持することに依
存している。切削工具が植刃を使用する場合に
は、切削深さの精度を確保するために、従来技術
においては特別な工程が採用されていた。それら
の工程は、常時、ホルダ上の同一面に植刃を押し
つけることを含んでいる。植刃を受け装置に向い
押付けるために種々の種類の締付け装置が使用さ
れている。

然しながら、締め付け装置は、切削工具を複雑
にし、貴重な空間をふさぎ、植刃交換を高価と
し、そしてまた切削工具において植刃を使用する
ことの困難性を増加する。従つて近年、締付け装
置を要しない植刃切削工具が提供されてきた。然
しながら、かかる植刃切削工具は、精密加工には
使用不可能である。かかる切削工具の植刃がホル
ダを超えて延びる距離は、送り速度や被切削材な
どの特性によつて変化する。

締付け装置なしで保持される従来公知の植刃
は、米国特許第3785021号にみられるようにばね
の力により保持されるか、あるいはホルダの幾何
学的輪郭に関連する植刃の幾何学的輪郭により保
持されている。この種の自己把持はベルギー国特
許BE853475号にも記載されている。又、ホルダ
に植刃を保持させるくさび状の幾何学的輪郭に加
えて、植刃がその座から外れるのを防ぐ一のばね
を有するものがイスラエル国特許出願第58862号
に記載されている。

前記米国特許に開示されたように、締付け装置
なしでホルダに植刃を保持させるために、ばねの
力を用いる場合には、植刃がホルダを超えて延び
る距離を一定に維持することは、理論的に可能で
ある。然しながら、実際には、植刃を適位置に把
持するホルダ本体のばね要素は、該切削工具の弱
点である。切削工具での加工中、切削力が締付け
装置の安定性を害して真に精密な切削を行なうこ
とは不可能である。

保持目的で、幾何学的輪郭を用いている従来公
知の切削工具で精密切削をなすことは、もちろ
ん、不可能である。すなわち、従来公知の切削工
具における幾何学的輪郭は、ホルダのあごにより
限定される凹所を用いている。該あごは、角をな
し、そして少し大きな角度を有する植刃の締付け
面に衝接している。したがつて、切削作業中、切
削力が植刃に作用すると、植刃は、平衡が達せら
れるまで更にあごの中に押込まれ、該位置に鎖錠
される。然しながら、該平衡点は変化するので、
精密加工に、かかる切削工具を使用することは不
可能であつた。従つて、幾何学的輪郭で工具ホル
ダ内に維持され、そして精密加工に使用できる植
刃の実現が長い間に亘り望まれてきた。

上記欠点を実質的に減少あるいは除去できる新
規で改良された精密溝切削の切削工具を提供する
のが本発明の一目的である。

この発明によれば、一のホルダ１２，４９と、
該ホルダの縁部に一体に形成された１対の剛直な
あご１８，１９；５３，５４と、互いに鋭角をな
しそしてホルダ１２の縁部の方へと拡開するくさ
び形の凹所１６をその間に形成する１対の長手方
向にのびるあごの締付け面２３，２４と、植刃１
４と、互いに鋭角をなしそしてその間に植刃１４
のくさび状の本体部分を画定する１対の長手方向
にのびる締付け面２８，２９と、前記本体部分の
大端部に形成されそして切刃２７を有する植刃１
４の前進端と、前記本体部分の小端部に形成され
た植刃１４の後端とを有する切削工具において、
衝接肩部３１が植刃１４の一方の締付け面の一端
又はその近くに形成され、植刃１４は前記凹所１
６内への挿入により前記の両あご１８，１９間に
摩擦保持され、そして前記の衝接肩部が前記両あ
ご１８，１９の一方の露出した端部２６に衝接し
て、前記凹所１６内への植刃１４の挿入の程度を
制限することを特徴とする切削工具が提供され
る。

本発明の他の特徴は、追加の締付け装置なしで
ホルダにより把持される幾何学的形状を備え、そ
して肩部を有するところの植刃を提供することに
ある。

更に他の特徴は、その切削加工中、ホルダの衝
接面に咬み合つて植刃を安定させる特徴ある面を
肩部に設けた点にある。ホルダ及び植刃の咬み合
いと特徴ある形状によつて、切削工具はその植刃
の安定性が得られるばかりでなく、また強化され
る。かかる特徴ある形は、たとえば逆Ｖに咬み合
う広幅のＶであることができる。

本発明の更に他の特徴は、「自動把持」植刃が
ホルダから偶然にはずれないことを保証するため
に、安全要素としてばね止め金を設けた点にあ
る。もし、かかるばね止め金を使用する場合に
は、ばね止め金を収用する植刃の部分の輪郭は、
ばね止め金が、植刃の位置に影響を与えないよう
にされる。

本発明の更に他の特徴は、回転式の切削工具に
も固定式の切削工具にも使用可能であることであ
る。

本発明の切削工具は、切屑の形状及び流れを制
御する装置により発生される追加の力に基因する
振動に耐える十分な安定性を以つて植刃を位置決
め保持する。

以下添付図面に示す実施例の説明により、本発
明の作用効果を更に明瞭にする。

第１図の切削工具１１は、中心部に取付け用孔
１３を有する回転式のホルダ１２と、その周囲に
取付けられた多数の植刃１４とを有する。植刃は
凹所１６の形状との協同により締付け装置なしに
ホルダ１２に把持されるように形成されている。
植刃１４には凹所１６の上あご１８に衝接する肩
部１７が形成されている点に留意されたい。下あ
ご１９は上あご１８と角度をなし、凹所１６の後
部には植刃１４を除去するのに使う穴２１があ
る。

第２図の部分図では、凹所１６が、それぞれ締
付け面２３，２４を有する上あご１８と下あご１
９とにより形成されているところが示されてい
る。締付け面２３，２４は逆Ｖ字形をなすように
図示されている。上あご１８の前部分２６もまた
外方に延びる頂点をもつた図示するような逆Ｖ字
形の特徴のある形状を持つ。前部分２６はホルダ
１２の肩部衝接面である。

植刃１４もまた図示され、切刃２７、上あご締
付け面２８、下あご締付け面２９、および独得の
ホルダ衝接面３１を持つことが示されている。こ
の実施例では、植刃１４は、植刃１４の肩部１７
が肩部衝接面２６と衝接するように内方に突出す
るＶ形の頂点をもつたＶ形面になつている。

同様に、上あご締付け面２８と下あご締付け面
２９は締付け面２３，２４と合致するように形成
されている。それで、それらの締付け面２８，２
９もまた内方に傾斜したＶ形になつている。

図示された植刃には、また、切削作業中発生す
る切屑の形状を制御する手段３３が示されてい
る。すなわち、図示された上方に突出する部分３
３，３４は切刃２７から少し離れ、植刃の上面３
２の側端に設けられている。

第３図に示す装置は、上あご１８及び下あご１
９の締付け面がそれぞれ内向きのＶ形を有する点
を除いて、第２図に図示されたものと類似であ
る。肩部衝接面３８も逆Ｖ形即ち外方に傾斜した
頂点をもつたＶ形になつている。植刃１４のホル
ダ接触面３９は外方に傾斜した頂点をもつた逆Ｖ
形である。

本発明の範囲内で、前記の衝接面を別の形状に
することが可能である。重要なことは、それらの
形状が相互に合致し植刃の安定に役立つというこ
とである。肩部もまた切削深さを精確にすること
を確実にする。

第１〜３図は回転式切削工具に関するものであ
るが、本切削工具は固定式切削工具にも全く同様
に有効である。第４図では、固定式工具装置４６
が図示されている。装置は、符合４７，４８で部
分的に図した工具機構を持ち、例えば締付けねじ
５２により作動される締付け装置５１によりホル
ダ４９はその工具機構の中に締付けられている。
ホルダ４９の一端部には上あご５３と下あご５４
とにより形成された凹所、及び植刃１４を除去す
るのに使う穴５６もまた設けられている。植刃１
４の接触面はホルダ４９の上あご及び下あごの締
付け面に合致する。植刃１４は、ホルダの肩部衝
接面５８と一致するホルダ接触面３１として図示
されている独得の形を有する肩部１７をもつ。植
刃１４は、切屑制御装置を備えていない切刃２７
を有する。切屑制御装置は、第４図に図示されて
いる固定式の工具装置に対しても使用可能である
ことはいうまでもない。

この発明の範囲内で、異なる切屑制御輪郭を使
うことは可能である。これら異なる輪郭を第５，
６，７図に図示する。各輪郭により定まる切屑の
形は、第５ａ，６ａ，７ａ図に示されている。各
輪郭は切屑に応力を加えて切屑を全体的に強化
し、切屑の幅を狭くする。

溝の中で切削されている切屑を図示している第
７ａ図において、より狭い幅が示されている。第
５図は、植刃１４の切削表面の両側で互いに間隔
をおいて離れている一対の突起３３，３４がある
第２図と第３図の植刃を図示したものに非常に似
ている。切刃２７は突起のすぐ前方に位置し、切
刃のすぐ後方に離れている突起が、切削後未だ熱
くそして柔軟性のあるうちに切屑の形状を制御す
るようになつている。

第６図では、植刃の切刃２７は、間隔６３だけ
離れている一つの切屑制御突起６１を有する。切
屑制御突起６１は植刃１４の上面６２の大体中央
に位置している。第６図の形状は切屑の中央に向
い巻込みを生じ、それで切屑を硬くし、またその
幅を減じる。

第７図の植刃１４は第２図に図示されたような
肩部１７を備えている。肩部１７には、特徴のあ
るホルダ衝接面３１が設けられ、該ホルダ衝接面
３１は内側に頂点を有するＶ型のものである。切
屑制御形状は突出する中央リブ６１と二つの小さ
な側方突出部６４，６６とを有する。それらの突
起はまた、三つとも全部が切刃２７から少し離れ
ている。

第８ａ，８ｂ，９ａ，９ｂ図は、最悪条件下に
おいても、植刃１４が上あごと下あごとの間から
偶然にはずれることのないことを保証するための
装置を有する実施例を示す。第８ａ図に図示する
ばね止め金６８は、第９ａ図に図示する植刃１４
の溝６９にはまる。ばね止め金６８は、第８ａ図
では上あご面から延びている。同様に回転式ホル
ダの下あご面から延びるばね止め金７１を第８図
ｂに図示する。第９ｂ図における溝７２はばね止
め金７１を収容する。第８ａ，８ｂ図は回転式ホ
ルダを図示しているが、この構造は固定式ホルダ
にもそのまま利用される。事実、この止め金一溝
係止装置は第４図に符合７６で指示されている。

溝の形とそれに係合するばね止め金とは、止め
金一溝係止装置が植刃の位置に関係ないようにし
てある。植刃が押し出される際には、止め金と溝
とは、協同して植刃の収外しに抵抗する。

本発明の切削工具は植刃が上あごと下あごとに
より形成された凹所内へ肩部までのみ入るのを確
実にする。これは切刃とホルダとの間の間隔を一
定に維持しそれで「自動把持」型の植刃での精密
切削を可能とする。植刃は回転式ホルダか真直ぐ
なホルダかのいずれかの凹所内に取付けられ、そ
して切削力により、肩部がホルダに衝装するまで
凹所内に押し込まれる。凹所の角度は、肩部なし
の植刃用の工具ホルダで用いられるよりも、通
常、小である。植刃は安定位置に保持され、そし
てその外形は、切削工具の公差がそれらの両極端
にあるときにさえ植刃のくさび形によりホルダに
過度な応力を生ずることなしに肩部がホルダに衝
接するようになつている。

本発明以前においては、切削工具技術者は「自
動把持」植刃保持構造に対し肩部を使うのを差し
控えていた。肩部はこのような保持構造の論理に
反しているからである。「自動把持」あるいは
「くさび形」の植刃保持構造は、ホルダを破損す
ることなしに植刃をホルダの凹所内に保持する力
の釣合いに依存している。切削面と加工片との作
用から生ずる力Ｐは、(1)植刃を凹所から押出そう
とする植刃の締付け面に働く反力から生ずるベク
トル力Ｒと、(2)締付け面と植刃のあご抵抗運動と
の間の摩擦力の合計に少なくとも等しくなければ
ならない。ベクトル力Ｒは、植刃を凹所の中へ深
く押すときに増加し、それゆえホルダの破損前の
ある点で、それらの力は、切削ができるように釣
合いに達しなければならない。力Ｒ、Ｆの両方は
くさび角の三角関係（それぞれsinとtan）であ
る。小さいくさび角の方が上あごと下あごとによ
る一層有効なつかみを与えることは公知である。
しかしながら、小さな角度は凹所のまわりにホル
ダを破損しようとするひずみも増加する。それで
小さすぎる角度はホルダの破損を生じ得る。小さ
な角度はまた凹所の中で植刃のより一層の長手方
向の移動を可能とする。

植刃の肩部が、釣合い点へ向け植刃をホルダの
中で押込もうとするのを妨げようとするか、そう
でなければ、肩部が工具ホルダに接触する前に釣
合い点に達することが考えられた。いずれの場合
でも、肩部は精密切削を可能とさせないと考えら
れた。それで従来の技術では、肩部は使用されれ
ておらず、精密加工に、「自動把持」工具を使う
ことについての問題が残つていた。

この問題は、本発明においては、小さな力で植
刃を肩部までホルダの中へ動かすことができる小
さなくさび角度（従来の装置での8゜〜15゜に比較
してこの装置では6゜〜12゜）を使うことにより、
解決されている。同時に、肩部はホルダを破損す
るほど植刃をくぼみの中へ押込むのを防いでい
る。

本発明の切削工具は、植刃の最小高さで摩擦力
Ｆが植刃をその適所に保持する力Ｒに少くとも等
しくなるのに十分であるような公差を考慮に入れ
て設計されている。

植刃の最大寸法と凹所の最小寸法とで、角度
は、植刃がホルダに破損力を生じないようになつ
ている。力Ｐは肩部により反力を受ける。したが
つて、本発明の切削工具では、植刃の「自動把
持」と肩部のホルダへの衝接が保証され、精密な
溝切削を行うことができる。

本発明の切削工具により得られるもう一つの利
点は、植刃をホルダの上面と並置させることがで
きることである。それで切屑とホルダ間の衝突の
可能性は実際には存在しない。

本発明の原理を特定の実施例について説明して
きたけれども、上記したことは例としての記載に
すぎずこの発明の範囲を制限するものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に掛る回転式切削工具の一実施
例の斜視図、第２図は相互に作用する回転式ホル
ダの凹所と植刃の形状の一実施例を示す斜視図、
第３図は第１図の回転式切削工具の部分分解図で
あつて、さらにもう一つの幾何学的輪郭を図示す
る斜視図、第４図は肩部を設けた植刃を有する
「自動把持」形態を使用した固定式切削工具装置
の斜視図、第５，５ａ；６，６ａ；７，７ａ図は
本発明の切削工具に使用できる種々な切屑制御用
の形態の斜視図と切屑の断面図、第８ａ，８ｂ，
９ａ，９ｂ図は、回転式ホルダの凹所内のばね状
の止め金と、肩部を設けた植刃に設けられた止め
金受入用の嵌合溝の関係を示す斜視図である。 １１：切削工具、１２：回転式ホルダ、１３：
取付け用穴、１４：植刃、１６：凹所、１７：肩
部、１８：上あご、１９：下あご、２３，２４：
締付け面、２６：肩部衝接面、２７：切刃、２
８：上部締付け面、２９：下部締付け面、３１：
ホルダ衝接面、７１：ばね止め金。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一のホルダ１２，４９と、該ホルダ縁部に一
   体に形成された１対の剛直なあご１８，１９；５
   ３，５４と、互いに鋭角をなしそしてホルダ１２
   の縁部の方へと拡開するくさび形の凹所１６をそ
   の間に形成する１対の長手方向にのびるあごの締
   付け面２３，２４と、植刃１４と、互いに鋭角を
   なしそしてその間に植刃１４のくさび状の本体部
   分を画定する１対の長手方向にのびる締付け面２
   ８，２９と、前記本体部分の大端部に形成されそ
   して切刃２７を有する植刃１４の前進端と、前記
   本体部分の小端部に形成された植刃１４の後端と
   を有する切削工具において、衝接肩部３１が植刃
   １４の一方の締付け面の一端又はその近くに形成
   され、植刃１４は前記凹所１６内への挿入により
   前記の両あご１８，１９間に摩擦保持され、そし
   て前記の衝接肩部が前記両あご１８，１９の一方
   の露出した端部２６に衝接して、前記凹所１６内
   への植刃１４の挿入の程度を制限することを特徴
   とする切削工具。 ２ 植刃１４が凹所１６から偶然に外れるのを防
   止する装置が設けられているところの、特許請求
   の範囲第１項に記載の切削工具。 ３ 植刃１４が凹所１６から偶然に外れるのを防
   止する装置がばね止め金６８，７１であるところ
   の特許請求の範囲第２項に記載の切削工具。 ４ ばね止め金６８が入る凹所６９が植刃１４に
   設けられているところの、特許請求の範囲第３項
   に記載の切削工具。 ５ 前記鋭角が6゜から15゜までの間にあるところ
   の、特許請求の範囲第１項に記載の切削工具。