JPH0156955B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は船舶の船室および開放座席を形成する
船舶用構造部分の改善に関する。

現在のところ、例えば家庭用の帆船やモーター
ボート等の製造において、船室等の内部スペース
の構造はかなり窮屈なものとなることが強いられ
ている。事実、内部スペースに入る時には体を曲
げたりはいつくばる必要があり、船舶の快適さを
大きく損なつている。快適さを向上させるため
に、船の愛好者やメーカーは内部スペースを最大
に確保することを追及している。

これらの解決方法として、分離した船尾や長い
船室を設けて内部スペースを最大限にすることが
意図されてきた。最初は、これらの設計課題は固
定したスペースのための取り付け位置の問題とし
て考えられ、座席空間（帆船では運転席）の場合
では船舶の外部スペースを同じだけ削減すること
を意味した。

十分な内部スペースは、いわゆる家庭用船舶の
ように長い固定した船室構造を有しかつ比較的大
きな寝台スペースが得られる船舶についても追及
されてきたが、結果的には船舶の全長を長くする
かあるいは開放された外部スペースを小さくする
かのいずれかに帰着した。

延伸可能な屋根部分を有し、これにより屋根の
突出スペースが増大できる船舶が従来技術として
提案されている。これは米国特許第2947277号及
び3165762号と、英国特許第612214号に記載され
ている。特に上記米国特許第2947277号には、屋
根の位置が船首又は船尾部分に対して移動可能な
船舶構造が開示されているが、この構造では屋根
が移動しても屋根に覆われる体積すなわち内部ス
ペースは増大しない。

原油価格の上昇に伴う燃料及びオイルの不足
と、一般的な原材料価格の高騰とによつて、内部
および外部スペースの所定の容積の確保は望まれ
ながらも船舶の寸法を拡大することは望ましくな
い。さらに船舶製造者は安全の面をおろそかにす
ることも許されない。

したがつて、本発明の目的は、船舶の外形寸法
を大きくすることなしに必要に応じて船舶の内部
スペースを従来より大きな容積にすることにあ
る。

上述の目的を達成するために、本願発明におい
ては、船体要素に連結された固定屋根で部分的に
覆われた内部スペースおよびこの内部スペースに
隣接して設けられ屋根で覆われていない外部スペ
ースを有する船舶のための構造部分を、ほぼ水平
方向に伸びるとともに前記固定屋根と相対的に水
平方向に運動可能になされた水平部材を有する前
方部と、この前方部の水平部材とは垂直方向にお
いて隔置されほぼ水平に伸びるとともに前記外部
スペースと相対的に水平方向に運動可能になされ
た水平部材を有する後方部と、前記前方部および
後方部に連結されてこれらの間でほぼ垂直方向に
伸びて前記内部スペースおよび外部スペースの間
の隔壁を画成する中間部とから構成している。

したがつて、必要に応じて構造部分を移動させ
ることにより、前記内部スペースと外部スペース
との容積比率を変えることが可能となるのであ
る。このことは、例えば、昼間は内部スペースの
容積を相対的に小さくすることにより大きな容積
の外部スペースを確保し、一方夜間においては、
外部スペースの容積を相対的に小さくすることに
より大きな容積の内部スペースの確保を可能とす
るのである。

次に、構造を図式的に表した図面をを参照しな
がら、実施例と共に本発明をさらに詳細に説明す
る。

第１図を参照すると、本発明による１つの実施
例が示されている。船は通常の方法で作られた船
体要素１および本発明を利用する構造部分３を有
している。これら船体要素１および構造部分３に
よつて内部スペースすなわち船室および外部スペ
ースすなわち開放座席５が画成されている。

構造部分３は、ほぼ水平方向に伸びると共に固
定屋根９と相対的に水平方向に運動可能になされ
た水平部材１５を有する前方部７と、この前方部
の水平部材１５とは垂直方向において隔置されほ
ぼ水平に伸びると共に上記外部スペースと相対的
に水平方向に運動可能になされた水平部材１７を
有する後方部４と、上記前方部および後方部に連
結されてこれらの間でほぼ垂直方向に伸びて上記
内部スペースおよび外部スペースの間の隔壁を画
成する昼間部１３とから構成されている。

構造部分３は、第１図において、内部スペース
２の容積を減少すると共に外部スペース５の容積
を増大するいわゆる昼間位置で示されている。構
造部分３の後方部４と外部スペース５とは共動し
て構造部分が昼間位置へと動くためのスペースを
構成している。この構造部分の後方部４の下方に
は通常帆船内の固定した座席や運転席となる低い
スペース６が残されている。

昼間位置では、構造部分３は船室の固定屋根と
共に標準の船舶構造のデツキ構造と調和した内部
スペースを構成する。船の構造部分３と船体要素
１には移動用レール（図示せず）と必要なシール
とが設けられ、構造部分３が船首方向及び船尾方
向に動いてその端部位置で船の固定要素に当接し
てシールされるようになつている。構造部分の孔
１０は、固定屋根の孔８を通つて低いスペース６
に入ることを可能にしている。孔１０は例えば保
護屋根１１によつて緊密に閉鎖することができ
る。

第２図では、船の構造部分３がいわゆる夜間位
置へと動いた状態を示している。構造部分３の後
方部４が外部スペース５の底部上を後方位置へと
動かされるにつれて、船尾付近に画成される外部
スペース５は約半分削減されるようになる。これ
に対し、船の内部スペース２は同じ量だけ増大
し、船室２の後方の低いスペース６の高さはは通
常の船室の高さと同じになる。したがつて、例え
ば寝台及び生活のための品物の収納が従来の船よ
りもはるかに便利になる。

船を更にわかりやすく示すために、第１図及び
第２図を上方から見た状態を第３図および第４図
にそれぞれ示している。これらの図は構造部分３
の移動によつて内部スペースと外部スペースとの
容積の比率が変化することを明らかにしている。

構造部分３の前方部７は夜間位置において固定
屋根の孔すなわち第３図〜第６図の孔８をカバー
する。

前述の例では帆船を対象としたが、本発明によ
る船室の可動の構造部分３はモーターボートにも
十分うまく適用することができる。

従つて、第７図、第８図は本発明をモーターボ
ートに適用した例を示している。図において、モ
ーターボートの通常の船体要素１は本発明に従い
固定した船室２と可動の構造部分３とを備え、モ
ーターボートの内部及び外部スペース間の容積比
率は前述した帆船の場合と同様にして変化させる
ことができる。第７図では可動の構造部分３がそ
の前方位置（昼間位置に対応）にあり、これによ
りモーターボートの外部スペースは最大になつて
いる。第８図では構造部分３がその後方位置（夜
間位置に対応）に位置決めされ、これにより内部
スペース２が増大しこれに対応して船尾付近の外
部スペースが減少している。モーターボートでは
例えば悪天候や雨の場合には構造部分３を後方位
置に保つて、内部スペース２を広く確保すること
ができる。好天の場合には構造部分３をその後方
位置にすることが便利であり、これにより開放さ
れた広い外部スペースが得られる。

本発明による構造は、従来よりも短い船で、例
えば食料品室やトイレの設備等の共通スペース間
に２つの相互に分離された船室スペースを得るこ
とを可能にする。これまで同等の長さの船では船
尾内の内部スペースは利用が困難であつた。なぜ
ならばそのスペースの大部分は外部スペースの底
部の下方に残されていたからである。４人が寝る
ためには必然的に仕切りや分離スペースのない共
通のスペースを用いなければならなかつた。本発
明の船では２組のカツプルが相互に干渉されるこ
となく彼ら自身の船室内で夜を過ごすことができ
る。通常のアクセスハツチを通つて後方のスペー
スに出ることも可能で、一方同前方のスペースに
いる者は後方のスペースの者に騒音を与えること
なく船首部内のいわゆる帆走スペースを通つて抜
け出すことができる。この通路は同時に緊急出口
として利用できる。

船の構造及び船室２の位置に応じて構造部分３
は必要な変更を加えることができる。例えば魚釣
り用の船のように船室２が船尾に取り付けられて
いる場合には、構造部分３は船室２の前方に設け
ることができる。同様にして船室２が船首と船尾
とに設けられかつ中央が開放している場合には、
構造部分３は後部の前方又は前部の後方あるいは
両方の位置に設けることができる。

前述のレールと封止用シールとの配置によつて
帆船の自己排水作用が維持される。

大きな船においてはデツキ構造が船室の屋根を
構成できるので、本発明は第９図乃至第１２図に
示すように実施される。

第９図乃至第１２図の例では、船に船体１の前
端にある前側船室２ａと船尾にある後側船室２ｂ
とが設けられている。この例では船室の前側と後
側とが分離されているが、船の内部スペースをい
かに分割するかは本発明のポイントにとつて重要
ではない。本発明のねらいは、単純な方法によつ
て内部スペースと外部スペースとを例えば夜間用
と昼間用とに容積比率を変化させる事ができるこ
とにある。

船の固定要素上に堅固に取り付けられるように
設計された構造部分３は、開放座席すなわち外部
スペース５と同じ形状を有する後方部４から成
り、この後方部４は夜間位置において固定の開放
座席５の上に位置付けられる。後方部４は昼間位
置において開放座席５の前方部分を構成する。こ
こでは構造部分３は空所１２内で開口を覆うよう
に取り付けられており、この開口は船のデツキ構
造に取り付けられ、構造部分３が夜間位置に動い
たときは低いスペース６を拡大し、昼間位置に動
いたときは外部スペース、例えば帆船内の運転席
を拡大するようになつている。

第１１図、第１２図の構造部分３の前方部７は
デツキ９の延長部となり、構造部分３が夜間位置
にある時は後側船室２ｂの屋根として作用する。
後側船室の低いスペース６は、夜間位置におい
て、構造部分３の前方部７により、十分な高さが
得られる。夜間及び悪天候の際は、後側船室のこ
の延長部が快適な使用のための重要な部分とな
る。

本発明は帆船及びモーターボートの両方にうま
く適用することができる。本発明を適用できるだ
けの高さがあれば、あらゆる種類の船に利用する
ことができる。

本発明によれば船の内部スペースをこれまで以
上に利用できるという利点が得られる。本発明の
船における利用可能な内部スペースの容積は、従
来の同じサイズの船と比べてはるかに有利であ
る。本発明によれば、必要なだけの外部スペース
を削減することなくより大きな内部スペースを低
コストで得ることができる。

さらに、本発明による摺動及び可動の構造部分
を帆船に適用した場合は、通常の船が帆走すると
きの重量分布をより有利なものにすることがで
き、これによつて帆走の安全性が高められる。

前記レール及びシールの配置が加わることによ
り、構造部分に基づいて得られた内部スペースが
例えば暖かさの点で固定の内部スペースに等しく
なり、さらに船の自己排水性を維持することがで
きるようなシール性能を得ることができる。

本発明による船を製造するには、構成部品を
別々に製造してから船を組み立てるという流れ作
業が可能であり、これにより船及び構造部分の工
業的生産が可能となる。構造部分は既存の船に対
しても製造することができ、これにより現在のス
ペースを改良することが可能になる。構造部分３
を調節するために船のデツキ構造の一部を除去す
ることもできる。

図面には本発明の概念を表すいくつかの実施例
が示されている。しかしながら本発明は、例えば
実施の船に正確に適用するために、請求の範囲内
で修正を加えることが可能である。構造部分のシ
ールもまた１つの位置から他の位置への移し替え
の方法に合わせて用意することができる。第９図
乃至第１２図では、後側船室の屋根が床面のデツ
キレベルではない設計が示されている。しかしな
がら、これは船のデツキとして参照してきたもの
である。なぜならば、本発明の見地からは、内部
スペースの屋根が船固有のデツキ構造からなつて
いるかあるいは内部スペースを覆う下側ブリツジ
構造から成つているかどうかということは、内部
スペースが本発明の適用に十分な高さを有してい
る限り問題ではないからである。船の外部スペー
スは開放座席又は運転席として参照してきたが、
他の種類の開放スペースでもよく作業船と連結し
て用いることもできる。本発明による構造は船の
価格をほとんど上昇させることはなく、収納スペ
ースの面で大きな利点を与えるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る船舶を一部長手方向断面
で示す側面図であつて、摺動可能な構造部分が船
室の上方に位置する「昼間」位置にある状態を表
す。第２図は第１図と同様の側面図であつて、摺
動可能な構造部分が外部スペースの上方に位置す
る「夜間」位置にある状態を表す。第３図は本発
明の船舶の平面図であつて船室を「昼間」位置で
表す。第４図は本発明の船舶の平面図であつて船
室を「夜間」位置で表す。第５図は本発明の船舶
の斜視図であつて船室を「夜間」位置で表す。第
６図は本発明の帆船の斜視図であつて船室を「昼
間」位置で表す。第７図は本発明のモーターボー
トを一部長手方向断面図で示す側面図であつて狭
い状態すなわち「昼間」位置にある船室を表す。
第８図は第７図と同様の側面図であつて広い状態
すなわち「夜間」位置にある船室を表す。第９図
は本発明のさらに他の実施例による船尾部分を図
式化した側面図であつて船舶の構造部分を「昼
間」位置で表す。第１０図は第９図の船舶の運転
席部分の平面図。第１１図は第９図と同様の側面
図であつて構造部分を「夜間」位置で表す。第１
２図は第１１図の船舶の運転席部分の平面図であ
る。 （主要符号の説明）、１：船体要素、２：内部
スペース（船室）、２ａ：前側船室、２ｂ：後側
船室、３：構造部分、４：後方部、５：外部スペ
ース（開放座席）、６：低いスペース、７：前方
部、８：固定部の孔、９：固定屋根、１０：構造
部分の孔、１１：保護屋根、１２：空所、１３：
中間部、１５：水平部材、１７：水平部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 船体要素１に連結された固定屋根９で部分的
   に覆われた内部スペース２およびこの内部スペー
   スに隣接して設けられ屋根で覆われていない外部
   スペース５を有する船舶のための構造部分３であ
   つて、この構造部分が、ほぼ水平方向に伸びると
   ともに前記固定屋根と相対的に水平方向に運動可
   能になされた水平部材１５を有する前方部７と、
   この前方部の水平部材１５とは垂直方向において
   隔置されほぼ水平に伸びるとともに前記外部スペ
   ースと相対的に水平方向に運動可能になされた水
   平部材１７を有する後方部４と、前記前方部およ
   び後方部に連結されてこれらの間でほぼ垂直方向
   に伸びて前記内部スペースおよび外部スペースの
   間の隔壁を画成する中間部１３とから構成され、
   この構造部分が移動することにより前記内部スペ
   ースと外部スペースとの容積比率を変えることが
   可能になされたことを特徴とする船舶用構造部
   分。 ２ 前記内部スペースが船室であり、また前記外
   部スペースが開放座席であり、該船舶用構造部分
   は、前記船室の容積を増大するとともに前記開放
   座席の容積を減少する方向へ移動した夜間位置
   と、前記船室の容積を減少するとともに前記開放
   座席の容積を増大する昼間位置との間で可動であ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の船舶用構造部分。 ３ 昼間位置および夜間位置において、前記前方
   部と前記固定屋根との間及び前記後方部と前記外
   部スペースの固定要素との間がシールされること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の船舶
   用構造部分。