JPH0147581B2 - - Google Patents
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Description
〈技術分野〉
本発明はポリエチレンテレフタレート長繊維不
織シートに関し、より詳しくは熱劣化の改善され
た高伸度を有する不織シートに関する。 〈従来技術〉 分子配向と結晶性の高い延伸ポリエチレンテレ
フタレート繊維は良好な耐熱性と寸法安定性を有
するが、破断伸度が小さい。通常得られる未延伸
ポリエチレンテレフタレート繊維は破断伸度が大
であるが、熱劣化し易い欠点を有し、そのために
加熱時に破断強伸度の低下を伴なう。 前記未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を
不織シートに応用することが知られている。その
目的は軟化点が低いことを利用してバインダー用
繊維として延伸繊維に混用することである。(特
開昭57−139554)。同様に延伸繊維と混用するが、
その高伸度を利用して延伸し、不織シートのドレ
ープ性を高めることを目的として用いられる場合
がある(特公昭45−6296)。一方未延伸ポリエチ
レンテレフタレート繊維から成る不織シートを成
型用不織シートとして利用することが検討された
が、熱劣化を生じて物性が低下するために十分満
足するものが得られていない。(特開昭51−
40475)。 本発明者等は未延伸ポリエチレンテレフタレー
ト繊維の有する高伸度と熱収縮性を広範囲の用途
に活用せんとしたが、前述の成型用不織シートの
例のように従来の未延伸ポリエチレンテレフタレ
ート繊維を用いたのでは熱劣化が大なるために利
用分野が著しく限定されることになる。このた
め、本発明者等は、熱劣化を改善することを目的
として繊維の微細構造面から鋭意検討した結果、
単繊維断面の外層部が中心部に比べて高配向、且
つ、高結晶化度にならしめることで前記熱劣化の
改善が得られることを見出し、本発明に到着し
た。 〈発明の目的〉 本発明は熱劣化の改善された高伸度と熱収縮性
を有する不織シートを提供することを目的とす
る。 〈発明の構成〉 本発明の目的は破断伸度100%以上、沸水収縮
率15%以上、繊維断面が半径Rの円形断面を有
し、その中心部の平均屈折率をn‖(0)、中心から
0.8Rの距離の部分における平均屈折率をn‖(0.8)
とすると、n‖(0)≦1.640,{n‖(0.8)−n‖(0)}≧
5.5×10-3且つ{n‖(0.8)−n‖(-0.8)}≦10×10-3を
満たすポリエチレンテレフタレート長繊維からな
る不織シートによつて達成される。 〈構成の具体的説明〉 本発明に於いて用いられるポリエチレンテレフ
タレートからなる長繊維とは公知の重合法で得ら
れた原料を紡糸することによつて得ることがで
き、又、通常ポリエチレンテレフタレートに使用
される添加剤、例えば、艶消し剤、制電剤、難燃
剤、顔料等を含んでも良い。また、重合度につい
ては通常の繊維形成用の範囲であれば特に制限は
なく、又、本発明の目的を損なわない範囲内での
少量の他の成分との共重合、或は、少量の他のポ
リマー、例えばナイロン、オレフイン等を混合す
ることも可能である。構成繊維の断面形状は真円
のほか、本発明の目的を損なわない範囲内での偏
平円でも、或は、星形状の凹凸を有する形状でも
よい。ここで、本発明でいう円形断面とは横断面
形状に対する外接円、内接円の半径をそれぞれ
R1,R2とすると(真円の場合はR1=R2)、その
比の値が1.0〜1.1であり、又、半径Rとは(R1+
R2)/2で示し、中心とは外接円の中心と内接
円の中心を結ぶ直線の中点をいう。 構成単繊維の軸に平行な電場ベクトルを有する
偏光に対する構成単繊維中心部の平均屈折率をn
‖(0)と表示し、同様に、構成単繊維の中心から半
径の0.8倍の距離の部分における平均屈折率をn
‖(0.8)又は、n‖(-0.8)と表示する。 本発明の不織シートを構成する繊維の第1の特
徴は繊維断面に於いて、条件(A)n‖(0)≦1.640、
条件(B){n‖(0.8)−n‖(0)}≧5.5×10-3を満たした
構造にあり、かかる構造に於いては繊維断面の外
層部では高配向かつ高結晶性を持ち、中心部は逆
に外層部よりも低配向かつ低結晶性である、所
謂、二層構造を有する未延伸ポリエチレンテレフ
タレート繊維であることである。又、本発明の二
層構造は、円形断面を保つて中心部から外層部の
方向に漸次配向性、結晶性が増大して、表面の僅
か内側に極大値を有する構造である。 本発明に於いては、条件(B)を満たすことが本発
明の熱劣化を改善させるために必須条件である。
しかし条件(B)を満たしても条件(A)を満たさない場
合、すなわちn‖(0)が1.64以上になると高伸度の
繊維が得られなくなり、得られた不織布も伸度の
低いものとなる。なおn‖(0)が小さくなり過ぎる
と、熱劣化の改善が得られにくくなる。したがつ
てn‖(0)の好ましい範囲は1.590≦n‖(0)≦1.630
である。条件(A)を満たして上で{n‖(0.8)−n‖(0
)}が5.5×10-3以下の場合は熱劣化し易い。本発
明では、{n‖(0.8)−n‖(0)}が大なるほど熱劣化
は改善される。高伸度を有しかつ熱劣化を改善す
るためには条件(A,B)を満たし、しかも沸水
収縮率が15%以上好ましくは20%以上を有するこ
とが必要である。この沸水収縮率の上限は実用上
好ましくは70%までであるがこれ以上であつても
差支えない。 本発明でいう熱劣化とは高温長時間の曝露、又
は、加熱物体との接触における伸度低下を意味
し、熱収縮性とは沸水収縮率を意味する。 本発明に於ける高伸度性とは不織シートを構成
する繊維の破断伸度が100%以上であり、後述す
る部分熱圧着部を設けたあるいは機械交絡させた
本発明の不織シートの破断伸度が70%以上好まし
くは100%以上であることを意味する。この破断
伸度の実用上の上限は200%であるがこれ以上の
範囲であつても何ら差支えない。 更に、本発明の第二の特徴は、局所的な平均屈
折率の分布が繊維の中心に関して対称であること
である。即ち、繊維の中心に於ける平均屈折率
(n‖(0))と繊維の中心から半径の0.8倍の距離の
部分に於ける平均屈折率n‖(0.8)又はn‖(-0.8)の
間に以下の関係を満足することである。いわゆる
繊維の局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に
対して対称であると熱劣化を低下させないために
好ましく、且つ、強力伸度斑が少ない。ここで、
局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に対して
対称であるというのは、平均屈折率n‖の最小値
が(n‖(0)−10×10-3)以上であり、且つ、n‖(
0.8)とn‖(-0.8)の差が10×10-3以下、より好まし
く
は5×10-3以下の場合をいう。尚、上述のn‖(0
),n‖(0.8),n‖(-0.8)、Δn等の値は干渉顕微鏡に
より後で述べる方法で測定したものである。 本発明の不織シートとは長繊維からウエブを形
成させた後該ウエブをエンボスロール等により部
分的に熱圧着したものあるいはニードルパンチ等
により機械的に繊維の交絡を強化させたものなど
である。 尚、本発明に於いて不織シートを構成する繊維
の繊度は30デニール以下、好ましくは、0.5〜15
デニールである。繊維は同一、又は異繊度の繊維
を混用しても良い。更に本発明の目的をそこなわ
ない範囲内で他の繊維からなる繊維を混用しても
よい。又、不織シートの目付は10〜500g/m2の
ものが好ましく用いられるが特に限定はない。 次に、本発明の不織シートの代表的製造法につ
いて添付図面を参照して具体的に説明する。 第2図は、紡糸口金11から吐出されたフイラ
メント群15をエアーサツカー12によつて高速
気流により牽引し、移動するコンベアネツト13
の上でウエブ16を形成させる状態を示すもので
ある。即ち、本発明の二層構造を有する未延伸ポ
リエチレンテレフタレート繊維を得るには、紡糸
直後の比較的短い距離で牽引を終了すること、具
体的には、紡糸口金11とエアーサツカー12の
距離を1000mm以内、好ましくは、800mm以内にす
ること、並びに、紡糸口金直下400mm以内の位置
において冷風チヤンバー14から20℃以下、好ま
しくは、15℃以下の温度の冷風をフイラメント群
の両側から少なくとも0.5m/sec以上の速度で吹
きつけることが必要である。 更に、冷風吹出しゾーンの長さLは、例えば70
mmであり、且つ、フイラメント群への吹付け角度
θは、例えば35゜である。冷風をフイラメント群
の両側から均一に吹き付けることが本発明の局部
的な平均屈折率分布が繊維の中心に対して対称と
なるために必要であり、且つ、フイラメント群を
乱さずに、併も冷風に近い外側のフイラメントと
遠くに位置する中央部のフイラメントを同じ程度
に冷却するために前記風速と吹き付け角度が選ば
れる。 以上述べたごとく本発明の不織シートを構成す
るフイラメントは、紡糸直後の冷却下に於いて急
速に延伸することにより外層部が急冷され結晶性
及び分子配向性が中心より大となつて本発明の二
層構造となるものと考えられる。この際かかる本
発明の製造条件においては紡糸速度、吐出量、圧
気量、紡口径、紡口ホール数等を相互に調整する
必要がある。さらに吹きつけ角度と吹きつけ速度
を好ましく調整して各フイラメントの周囲を均一
にしかも同じ程度に冷却させることが重要であ
る。吐出直後の冷却が適当でない場合、例えば冷
却が不十分か偏つた場合では、本発明で規制する
二層構造は得られない。 かくして得たポリエチレンテレフタレート長繊
維からなるウエブを部分熱圧着あるいは機械的交
絡等を施すことにより本発明の不織シートが得ら
れる。 前記本発明による不織シートの中、熱圧着によ
る部分結合を設けた不織シートは前記ウエブを少
なくとも一方の表面に凹凸模様を有する一対のエ
ンボスロールを用いて、ロール温度70〜130℃、
好ましくは90℃〜120℃の温度にて線圧5〜90
Kg/cm、好ましくは20〜70Kg/cmの下で熱圧着す
ることにより得られる。なおこの熱圧着はウエブ
の全面にわたつて行なうよりも部分的に行なうこ
とが本発明の目的を達成するために重要である。
なおこの部分熱圧着面積比率は5〜50%であるこ
とが好ましい。 一方、ニードルパンチにより繊維どうしの交絡
を強化させた本発明の不織シートを得るに際して
は50〜400回/cm2でパンチングを行なうのがよい。 以上、かくして得られた本発明の不織シート
は、二層構造を有する未延伸ポリエチレンテレフ
タレート繊維から成るために熱劣化が改善され、
しかも未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維の
本来の特性即ち、高伸度と熱収縮性を保持してい
るものである。したがつて本発明による不織布を
各種の熱成型加工を必要とする分野にも使用する
ことができる。 さらに又本発明の不織シートは本質的に軟化温
度が低く、しかも伸度の高い未延伸ポリエステル
長繊維を熱圧着あるいは機械交絡させたものであ
るために引裂強力が高い。 したがつて本発明の不織シートは収縮包装材
料、収縮成型材料、捲縮性手芸材料等に使用して
優れた性能を発揮する。又高伸度を有するため
に、伸長成型材、伸長包装材、衝撃吸収材、メデ
イカル用品等に広く活用することができる。 〈発明の効果〉 本発明による不織シートは前述のように構成さ
れているので、熱劣化の改善された高伸度と熱収
縮性を有する不織シートである。そのために本発
明による不織シートは熱成型、又は熱収縮を必要
とする用途に用いることができる。 〈実施例〉 以下本発明を実施例をあげて具体的に説明す
る。尚実施例に記載した特性の定義及び測定方法
を以下に示す。 ◎ 平均屈折率(n‖・n⊥)、及び平均複屈折
率 透過定量干渉顕微鏡(例えば、東独カールツア
イスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を使
用して、干渉縞法によつて繊維の側面から観察し
た平均屈折率の分布を測定することができる。こ
の方法は円形断面を有する繊維に適用する。 繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電場ベク
トルを持つ偏光に対する屈折率n‖と、繊維軸に
対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折
率n⊥によつて特徴づけられる。 ここで説明する測定は全て緑色光線(波長λ=
549mμ)を使用する。 繊維は光学的にフラツトなスライドガラス及び
カバーガラスを使用し、0.2〜2波長の範囲内の
干渉縞のずれを与える屈折率(N)を有し、且
つ、繊維に対し不活性な封入剤中に浸漬される。
この封入剤中に数本の繊維を浸漬し、単糸が互い
に接触しないようにする。さらに繊維は、その繊
維軸が干渉顕微鏡の光軸及び干渉縞に対して垂直
となるようにすべきである。この干渉縞のパター
ンを写真撮影し、約1500倍に拡大して解析する。 第1図に示すように、繊維の封入剤の屈折率を
N、繊維の外周上の点S′−S″間の屈折率n‖(ま
たn⊥)、S′−S″間の厚みt、使用光線の波長を
λ、バツクグランドの平行縞の間隔(1λに相当)
をD、繊維による干渉縞のずれをdとすると、光
路差ΓはΓ=d/D・λ=(n‖(又はn⊥)−
N)・tで表わされる。 繊維の半径をRとすると、繊維の中心R0から
外周Rまでの各位置での光路差から各位置での繊
維の屈折率n‖(又はn⊥)の分布を求めること
ができる。rを繊維の中心から各位置までの距離
とした時、X=r/R=0、即ち、繊維の中心に
おける屈折率を平均屈折率(n‖(0)又はn⊥(0))
という。Xは外周上において1となり、その他の
部分では0〜1の範囲の値となるが、例えばX=
0.8の点に於ける屈折率をn‖(0.8)(又は、n⊥(0.8
))と表わす。繊維の平均屈折率(n‖)の内外
層差をn‖(0.8)−n‖(0)と表わす。また、平均屈
折率n‖(0)とn⊥(0)より、平均複屈折率(Δn)は
Δn=n‖(0)−n⊥(0)で表わされる。 ◎ 沸水収縮率 0.1g/d荷重下での試料長をL0とし、荷重を
取除き沸水中で30分間処理した後、再度、同じ荷
重下で測定した試料長をLとすると、沸水収縮率
は 沸水収縮率(%)=L0−L/L0×100 で表わされる。 ◎ 強伸度 島津製作所製Auto Graph DSS−2000型万能
引張試験機により、把握長10cm、引張速度20cm/
分で測定した。 ◎ 引裂強力(ペンジユラム法) 6.5cm×10cmの試験片を、タテ・ヨコ方向に各
各3枚以上採取し、エレメンドルフ形引裂強さ試
験機を用いて引裂き、引裂かれたときに示す最大
荷重をタテ・ヨコ方向各々の平均値で表わす。 ◎ 耐摩耗性 タテ20cm×ヨコ3cmの試験片を、摩擦試験機
型(学振型)を用いて荷重500gで100往復摩擦さ
せた後、試験片の外観変化を下記の判定基準に照
らして判定し耐摩耗性の目安とした。 (判定基準) A級:まつたく毛羽立ちがない。 B級:少し毛羽立ちがあるが目立たない。 C級:毛羽立ちが目立つ。 ◎ 熱劣化 (1) 高温長時間の曝露による熱劣化(HR−1) ウエブ中の繊維を30cmの長さに切り取り、10本
ずつ引きそろえた物を10ケ用意して、定長下で
160℃、5分間熱風乾燥器中で処理してサンプル
糸を調整した。このサンプル糸の5ケの破断伸度
の平均値を求めL1とする。次に、残りのサンプ
ル糸を更に150℃、300時間熱処理して破断伸度の
平均値を求めL2とする。この際の伸度保持率
L2/L1×100を熱劣化の目安とした。 (2) 加熱物体との接触による熱劣化(HR−2) 不織シートを一対の平滑な金属ロールを用い
て、上下温度150℃、線圧20Kg/cm、速度10m/
分の条件で加熱加圧させた後破断伸度を測定し
た。加熱加圧前後の破断伸度をそれぞれ5回ずつ
測定し、その平均値から保持率を求め熱劣化の目
安とした。 実施例1〜3、比較例4〜7 孔径0.25mm、孔数1000個の矩型紡糸口金を用い
て、吐出量850g/分で固有粘度0.75のポリエチ
レンテレフタレートを溶融温度290℃で紡出し、
紡糸口金から牽引用エアーサツカー迄の距離
(H・D)と紡糸速度を変えて金網上に捕集して
均一なウエブを取り出した。 この場合は、紡糸口金直下300mmの位置におい
て第2図のごとくフイラメント群の両側に配置し
た冷風チエンバーより13℃の冷風を、吹出しゾー
ン長(l)70mm、吹出し角度(θ)35゜の条件下
で、冷風速度0.8m/secで均一に吹き付けた。 得られたウエブを構成する繊維の微細構造上の
特徴と物性の関係を第1−表に示す。表中の実
施例1〜3は本発明の繊維、比較例4〜7は本発
明の範囲外の繊維である。すなわち比較例4,
5,7では特に冷風を使用せずにH・Dとエアー
サツカー圧着量を適宜変化させて所定の紡糸速度
のウエブを得た場合の繊維であり、比較例6の繊
維は冷風チヤンバを片側だけに配置することによ
り前述の非対称の構造を有する繊維である。 第1−表より、実施例1〜3の本発明の繊維
は屈折率・熱的特性・熱劣化とも十分なものであ
ることが分かる。これに対し、比較例4〜7に示
す本発明の範囲外の繊維は上記特性の何れかにお
いて不十分であることが分かる。
織シートに関し、より詳しくは熱劣化の改善され
た高伸度を有する不織シートに関する。 〈従来技術〉 分子配向と結晶性の高い延伸ポリエチレンテレ
フタレート繊維は良好な耐熱性と寸法安定性を有
するが、破断伸度が小さい。通常得られる未延伸
ポリエチレンテレフタレート繊維は破断伸度が大
であるが、熱劣化し易い欠点を有し、そのために
加熱時に破断強伸度の低下を伴なう。 前記未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を
不織シートに応用することが知られている。その
目的は軟化点が低いことを利用してバインダー用
繊維として延伸繊維に混用することである。(特
開昭57−139554)。同様に延伸繊維と混用するが、
その高伸度を利用して延伸し、不織シートのドレ
ープ性を高めることを目的として用いられる場合
がある(特公昭45−6296)。一方未延伸ポリエチ
レンテレフタレート繊維から成る不織シートを成
型用不織シートとして利用することが検討された
が、熱劣化を生じて物性が低下するために十分満
足するものが得られていない。(特開昭51−
40475)。 本発明者等は未延伸ポリエチレンテレフタレー
ト繊維の有する高伸度と熱収縮性を広範囲の用途
に活用せんとしたが、前述の成型用不織シートの
例のように従来の未延伸ポリエチレンテレフタレ
ート繊維を用いたのでは熱劣化が大なるために利
用分野が著しく限定されることになる。このた
め、本発明者等は、熱劣化を改善することを目的
として繊維の微細構造面から鋭意検討した結果、
単繊維断面の外層部が中心部に比べて高配向、且
つ、高結晶化度にならしめることで前記熱劣化の
改善が得られることを見出し、本発明に到着し
た。 〈発明の目的〉 本発明は熱劣化の改善された高伸度と熱収縮性
を有する不織シートを提供することを目的とす
る。 〈発明の構成〉 本発明の目的は破断伸度100%以上、沸水収縮
率15%以上、繊維断面が半径Rの円形断面を有
し、その中心部の平均屈折率をn‖(0)、中心から
0.8Rの距離の部分における平均屈折率をn‖(0.8)
とすると、n‖(0)≦1.640,{n‖(0.8)−n‖(0)}≧
5.5×10-3且つ{n‖(0.8)−n‖(-0.8)}≦10×10-3を
満たすポリエチレンテレフタレート長繊維からな
る不織シートによつて達成される。 〈構成の具体的説明〉 本発明に於いて用いられるポリエチレンテレフ
タレートからなる長繊維とは公知の重合法で得ら
れた原料を紡糸することによつて得ることがで
き、又、通常ポリエチレンテレフタレートに使用
される添加剤、例えば、艶消し剤、制電剤、難燃
剤、顔料等を含んでも良い。また、重合度につい
ては通常の繊維形成用の範囲であれば特に制限は
なく、又、本発明の目的を損なわない範囲内での
少量の他の成分との共重合、或は、少量の他のポ
リマー、例えばナイロン、オレフイン等を混合す
ることも可能である。構成繊維の断面形状は真円
のほか、本発明の目的を損なわない範囲内での偏
平円でも、或は、星形状の凹凸を有する形状でも
よい。ここで、本発明でいう円形断面とは横断面
形状に対する外接円、内接円の半径をそれぞれ
R1,R2とすると(真円の場合はR1=R2)、その
比の値が1.0〜1.1であり、又、半径Rとは(R1+
R2)/2で示し、中心とは外接円の中心と内接
円の中心を結ぶ直線の中点をいう。 構成単繊維の軸に平行な電場ベクトルを有する
偏光に対する構成単繊維中心部の平均屈折率をn
‖(0)と表示し、同様に、構成単繊維の中心から半
径の0.8倍の距離の部分における平均屈折率をn
‖(0.8)又は、n‖(-0.8)と表示する。 本発明の不織シートを構成する繊維の第1の特
徴は繊維断面に於いて、条件(A)n‖(0)≦1.640、
条件(B){n‖(0.8)−n‖(0)}≧5.5×10-3を満たした
構造にあり、かかる構造に於いては繊維断面の外
層部では高配向かつ高結晶性を持ち、中心部は逆
に外層部よりも低配向かつ低結晶性である、所
謂、二層構造を有する未延伸ポリエチレンテレフ
タレート繊維であることである。又、本発明の二
層構造は、円形断面を保つて中心部から外層部の
方向に漸次配向性、結晶性が増大して、表面の僅
か内側に極大値を有する構造である。 本発明に於いては、条件(B)を満たすことが本発
明の熱劣化を改善させるために必須条件である。
しかし条件(B)を満たしても条件(A)を満たさない場
合、すなわちn‖(0)が1.64以上になると高伸度の
繊維が得られなくなり、得られた不織布も伸度の
低いものとなる。なおn‖(0)が小さくなり過ぎる
と、熱劣化の改善が得られにくくなる。したがつ
てn‖(0)の好ましい範囲は1.590≦n‖(0)≦1.630
である。条件(A)を満たして上で{n‖(0.8)−n‖(0
)}が5.5×10-3以下の場合は熱劣化し易い。本発
明では、{n‖(0.8)−n‖(0)}が大なるほど熱劣化
は改善される。高伸度を有しかつ熱劣化を改善す
るためには条件(A,B)を満たし、しかも沸水
収縮率が15%以上好ましくは20%以上を有するこ
とが必要である。この沸水収縮率の上限は実用上
好ましくは70%までであるがこれ以上であつても
差支えない。 本発明でいう熱劣化とは高温長時間の曝露、又
は、加熱物体との接触における伸度低下を意味
し、熱収縮性とは沸水収縮率を意味する。 本発明に於ける高伸度性とは不織シートを構成
する繊維の破断伸度が100%以上であり、後述す
る部分熱圧着部を設けたあるいは機械交絡させた
本発明の不織シートの破断伸度が70%以上好まし
くは100%以上であることを意味する。この破断
伸度の実用上の上限は200%であるがこれ以上の
範囲であつても何ら差支えない。 更に、本発明の第二の特徴は、局所的な平均屈
折率の分布が繊維の中心に関して対称であること
である。即ち、繊維の中心に於ける平均屈折率
(n‖(0))と繊維の中心から半径の0.8倍の距離の
部分に於ける平均屈折率n‖(0.8)又はn‖(-0.8)の
間に以下の関係を満足することである。いわゆる
繊維の局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に
対して対称であると熱劣化を低下させないために
好ましく、且つ、強力伸度斑が少ない。ここで、
局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に対して
対称であるというのは、平均屈折率n‖の最小値
が(n‖(0)−10×10-3)以上であり、且つ、n‖(
0.8)とn‖(-0.8)の差が10×10-3以下、より好まし
く
は5×10-3以下の場合をいう。尚、上述のn‖(0
),n‖(0.8),n‖(-0.8)、Δn等の値は干渉顕微鏡に
より後で述べる方法で測定したものである。 本発明の不織シートとは長繊維からウエブを形
成させた後該ウエブをエンボスロール等により部
分的に熱圧着したものあるいはニードルパンチ等
により機械的に繊維の交絡を強化させたものなど
である。 尚、本発明に於いて不織シートを構成する繊維
の繊度は30デニール以下、好ましくは、0.5〜15
デニールである。繊維は同一、又は異繊度の繊維
を混用しても良い。更に本発明の目的をそこなわ
ない範囲内で他の繊維からなる繊維を混用しても
よい。又、不織シートの目付は10〜500g/m2の
ものが好ましく用いられるが特に限定はない。 次に、本発明の不織シートの代表的製造法につ
いて添付図面を参照して具体的に説明する。 第2図は、紡糸口金11から吐出されたフイラ
メント群15をエアーサツカー12によつて高速
気流により牽引し、移動するコンベアネツト13
の上でウエブ16を形成させる状態を示すもので
ある。即ち、本発明の二層構造を有する未延伸ポ
リエチレンテレフタレート繊維を得るには、紡糸
直後の比較的短い距離で牽引を終了すること、具
体的には、紡糸口金11とエアーサツカー12の
距離を1000mm以内、好ましくは、800mm以内にす
ること、並びに、紡糸口金直下400mm以内の位置
において冷風チヤンバー14から20℃以下、好ま
しくは、15℃以下の温度の冷風をフイラメント群
の両側から少なくとも0.5m/sec以上の速度で吹
きつけることが必要である。 更に、冷風吹出しゾーンの長さLは、例えば70
mmであり、且つ、フイラメント群への吹付け角度
θは、例えば35゜である。冷風をフイラメント群
の両側から均一に吹き付けることが本発明の局部
的な平均屈折率分布が繊維の中心に対して対称と
なるために必要であり、且つ、フイラメント群を
乱さずに、併も冷風に近い外側のフイラメントと
遠くに位置する中央部のフイラメントを同じ程度
に冷却するために前記風速と吹き付け角度が選ば
れる。 以上述べたごとく本発明の不織シートを構成す
るフイラメントは、紡糸直後の冷却下に於いて急
速に延伸することにより外層部が急冷され結晶性
及び分子配向性が中心より大となつて本発明の二
層構造となるものと考えられる。この際かかる本
発明の製造条件においては紡糸速度、吐出量、圧
気量、紡口径、紡口ホール数等を相互に調整する
必要がある。さらに吹きつけ角度と吹きつけ速度
を好ましく調整して各フイラメントの周囲を均一
にしかも同じ程度に冷却させることが重要であ
る。吐出直後の冷却が適当でない場合、例えば冷
却が不十分か偏つた場合では、本発明で規制する
二層構造は得られない。 かくして得たポリエチレンテレフタレート長繊
維からなるウエブを部分熱圧着あるいは機械的交
絡等を施すことにより本発明の不織シートが得ら
れる。 前記本発明による不織シートの中、熱圧着によ
る部分結合を設けた不織シートは前記ウエブを少
なくとも一方の表面に凹凸模様を有する一対のエ
ンボスロールを用いて、ロール温度70〜130℃、
好ましくは90℃〜120℃の温度にて線圧5〜90
Kg/cm、好ましくは20〜70Kg/cmの下で熱圧着す
ることにより得られる。なおこの熱圧着はウエブ
の全面にわたつて行なうよりも部分的に行なうこ
とが本発明の目的を達成するために重要である。
なおこの部分熱圧着面積比率は5〜50%であるこ
とが好ましい。 一方、ニードルパンチにより繊維どうしの交絡
を強化させた本発明の不織シートを得るに際して
は50〜400回/cm2でパンチングを行なうのがよい。 以上、かくして得られた本発明の不織シート
は、二層構造を有する未延伸ポリエチレンテレフ
タレート繊維から成るために熱劣化が改善され、
しかも未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維の
本来の特性即ち、高伸度と熱収縮性を保持してい
るものである。したがつて本発明による不織布を
各種の熱成型加工を必要とする分野にも使用する
ことができる。 さらに又本発明の不織シートは本質的に軟化温
度が低く、しかも伸度の高い未延伸ポリエステル
長繊維を熱圧着あるいは機械交絡させたものであ
るために引裂強力が高い。 したがつて本発明の不織シートは収縮包装材
料、収縮成型材料、捲縮性手芸材料等に使用して
優れた性能を発揮する。又高伸度を有するため
に、伸長成型材、伸長包装材、衝撃吸収材、メデ
イカル用品等に広く活用することができる。 〈発明の効果〉 本発明による不織シートは前述のように構成さ
れているので、熱劣化の改善された高伸度と熱収
縮性を有する不織シートである。そのために本発
明による不織シートは熱成型、又は熱収縮を必要
とする用途に用いることができる。 〈実施例〉 以下本発明を実施例をあげて具体的に説明す
る。尚実施例に記載した特性の定義及び測定方法
を以下に示す。 ◎ 平均屈折率(n‖・n⊥)、及び平均複屈折
率 透過定量干渉顕微鏡(例えば、東独カールツア
イスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を使
用して、干渉縞法によつて繊維の側面から観察し
た平均屈折率の分布を測定することができる。こ
の方法は円形断面を有する繊維に適用する。 繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電場ベク
トルを持つ偏光に対する屈折率n‖と、繊維軸に
対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折
率n⊥によつて特徴づけられる。 ここで説明する測定は全て緑色光線(波長λ=
549mμ)を使用する。 繊維は光学的にフラツトなスライドガラス及び
カバーガラスを使用し、0.2〜2波長の範囲内の
干渉縞のずれを与える屈折率(N)を有し、且
つ、繊維に対し不活性な封入剤中に浸漬される。
この封入剤中に数本の繊維を浸漬し、単糸が互い
に接触しないようにする。さらに繊維は、その繊
維軸が干渉顕微鏡の光軸及び干渉縞に対して垂直
となるようにすべきである。この干渉縞のパター
ンを写真撮影し、約1500倍に拡大して解析する。 第1図に示すように、繊維の封入剤の屈折率を
N、繊維の外周上の点S′−S″間の屈折率n‖(ま
たn⊥)、S′−S″間の厚みt、使用光線の波長を
λ、バツクグランドの平行縞の間隔(1λに相当)
をD、繊維による干渉縞のずれをdとすると、光
路差ΓはΓ=d/D・λ=(n‖(又はn⊥)−
N)・tで表わされる。 繊維の半径をRとすると、繊維の中心R0から
外周Rまでの各位置での光路差から各位置での繊
維の屈折率n‖(又はn⊥)の分布を求めること
ができる。rを繊維の中心から各位置までの距離
とした時、X=r/R=0、即ち、繊維の中心に
おける屈折率を平均屈折率(n‖(0)又はn⊥(0))
という。Xは外周上において1となり、その他の
部分では0〜1の範囲の値となるが、例えばX=
0.8の点に於ける屈折率をn‖(0.8)(又は、n⊥(0.8
))と表わす。繊維の平均屈折率(n‖)の内外
層差をn‖(0.8)−n‖(0)と表わす。また、平均屈
折率n‖(0)とn⊥(0)より、平均複屈折率(Δn)は
Δn=n‖(0)−n⊥(0)で表わされる。 ◎ 沸水収縮率 0.1g/d荷重下での試料長をL0とし、荷重を
取除き沸水中で30分間処理した後、再度、同じ荷
重下で測定した試料長をLとすると、沸水収縮率
は 沸水収縮率(%)=L0−L/L0×100 で表わされる。 ◎ 強伸度 島津製作所製Auto Graph DSS−2000型万能
引張試験機により、把握長10cm、引張速度20cm/
分で測定した。 ◎ 引裂強力(ペンジユラム法) 6.5cm×10cmの試験片を、タテ・ヨコ方向に各
各3枚以上採取し、エレメンドルフ形引裂強さ試
験機を用いて引裂き、引裂かれたときに示す最大
荷重をタテ・ヨコ方向各々の平均値で表わす。 ◎ 耐摩耗性 タテ20cm×ヨコ3cmの試験片を、摩擦試験機
型(学振型)を用いて荷重500gで100往復摩擦さ
せた後、試験片の外観変化を下記の判定基準に照
らして判定し耐摩耗性の目安とした。 (判定基準) A級:まつたく毛羽立ちがない。 B級:少し毛羽立ちがあるが目立たない。 C級:毛羽立ちが目立つ。 ◎ 熱劣化 (1) 高温長時間の曝露による熱劣化(HR−1) ウエブ中の繊維を30cmの長さに切り取り、10本
ずつ引きそろえた物を10ケ用意して、定長下で
160℃、5分間熱風乾燥器中で処理してサンプル
糸を調整した。このサンプル糸の5ケの破断伸度
の平均値を求めL1とする。次に、残りのサンプ
ル糸を更に150℃、300時間熱処理して破断伸度の
平均値を求めL2とする。この際の伸度保持率
L2/L1×100を熱劣化の目安とした。 (2) 加熱物体との接触による熱劣化(HR−2) 不織シートを一対の平滑な金属ロールを用い
て、上下温度150℃、線圧20Kg/cm、速度10m/
分の条件で加熱加圧させた後破断伸度を測定し
た。加熱加圧前後の破断伸度をそれぞれ5回ずつ
測定し、その平均値から保持率を求め熱劣化の目
安とした。 実施例1〜3、比較例4〜7 孔径0.25mm、孔数1000個の矩型紡糸口金を用い
て、吐出量850g/分で固有粘度0.75のポリエチ
レンテレフタレートを溶融温度290℃で紡出し、
紡糸口金から牽引用エアーサツカー迄の距離
(H・D)と紡糸速度を変えて金網上に捕集して
均一なウエブを取り出した。 この場合は、紡糸口金直下300mmの位置におい
て第2図のごとくフイラメント群の両側に配置し
た冷風チエンバーより13℃の冷風を、吹出しゾー
ン長(l)70mm、吹出し角度(θ)35゜の条件下
で、冷風速度0.8m/secで均一に吹き付けた。 得られたウエブを構成する繊維の微細構造上の
特徴と物性の関係を第1−表に示す。表中の実
施例1〜3は本発明の繊維、比較例4〜7は本発
明の範囲外の繊維である。すなわち比較例4,
5,7では特に冷風を使用せずにH・Dとエアー
サツカー圧着量を適宜変化させて所定の紡糸速度
のウエブを得た場合の繊維であり、比較例6の繊
維は冷風チヤンバを片側だけに配置することによ
り前述の非対称の構造を有する繊維である。 第1−表より、実施例1〜3の本発明の繊維
は屈折率・熱的特性・熱劣化とも十分なものであ
ることが分かる。これに対し、比較例4〜7に示
す本発明の範囲外の繊維は上記特性の何れかにお
いて不十分であることが分かる。
【表】
による限定条件を満たしていないことを示す。
実施例101〜103、比較例104 実施例1〜3と同一のポリエチレンテレフタレ
ートを用い、同一の紡糸装置、及び、同一紡糸温
度で紡出した。この場合において紡糸口金から牽
引用エアーサツカー迄の距離を800mmとし紡糸速
度を変え金〓上に捕集して均一なウエブを取り出
した。この時、紡糸口金直下200mmの位置におい
て、第2図のごとく、フイラメント群の両側に配
置した冷風チヤンバーより、5℃の冷風を吹出し
ゾーン長(l)70mm、吹出し角度(θ)40゜の条
件下で冷風速度1.0m/secで均一に吹き付けた。
得られたウエブを構成する繊維の微細構造上の特
徴と物性の関係を第1−表に示す。 表中の実施例101〜103は本発明の繊維、比較例
104は本発明の範囲外の繊維である。 第1−表より、実施例101〜103の本発明の不
織シートを構成する繊維は、屈折率・熱的特性・
熱劣化とも十分なものであることが分かる。これ
に対して、比較例104に示す本発明の範囲外の繊
維は、上記特性の何れかにおいて不十分であるこ
とが分かる。第1−表と第1−表と比較すれ
ば、容易に判るように冷却条件を変えることによ
り、顕著な2層構造を有する繊維となり、熱劣化
の更に向上した繊維が得られた。
実施例101〜103、比較例104 実施例1〜3と同一のポリエチレンテレフタレ
ートを用い、同一の紡糸装置、及び、同一紡糸温
度で紡出した。この場合において紡糸口金から牽
引用エアーサツカー迄の距離を800mmとし紡糸速
度を変え金〓上に捕集して均一なウエブを取り出
した。この時、紡糸口金直下200mmの位置におい
て、第2図のごとく、フイラメント群の両側に配
置した冷風チヤンバーより、5℃の冷風を吹出し
ゾーン長(l)70mm、吹出し角度(θ)40゜の条
件下で冷風速度1.0m/secで均一に吹き付けた。
得られたウエブを構成する繊維の微細構造上の特
徴と物性の関係を第1−表に示す。 表中の実施例101〜103は本発明の繊維、比較例
104は本発明の範囲外の繊維である。 第1−表より、実施例101〜103の本発明の不
織シートを構成する繊維は、屈折率・熱的特性・
熱劣化とも十分なものであることが分かる。これ
に対して、比較例104に示す本発明の範囲外の繊
維は、上記特性の何れかにおいて不十分であるこ
とが分かる。第1−表と第1−表と比較すれ
ば、容易に判るように冷却条件を変えることによ
り、顕著な2層構造を有する繊維となり、熱劣化
の更に向上した繊維が得られた。
【表】
実施例8〜10、比較例11〜14
実施例1〜3、比較例4〜7の目付約100g/
m2の不織シート用ウエブを上部が均一に配置され
た凸部を有するエンボスロールと、表面が平滑な
下部ロールとの間で熱圧着した。熱圧着条件は熱
圧着部の比率(熱圧着率)12%、上下ロール温度
110℃、線圧20Kg/cmである。但し、比較例12の
繊維ウエブは上下ロール温度235℃で行なつた。 得られた不織シートの機械的特性、熱劣化、耐
摩耗性を第2表に示す。表中の実施例8〜10は本
発明の不織シート、比較例11〜14は本発明の範囲
外の不織シートである。 第2表より、実施例8〜10の本発明の不織シー
トは伸度の高い熱劣化の向上した耐摩耗性に優れ
たものである。これに対し比較例11〜14に示す本
発明の範囲外の不織シートは上記特性のいずれか
において不十分なものであることが分かる。
m2の不織シート用ウエブを上部が均一に配置され
た凸部を有するエンボスロールと、表面が平滑な
下部ロールとの間で熱圧着した。熱圧着条件は熱
圧着部の比率(熱圧着率)12%、上下ロール温度
110℃、線圧20Kg/cmである。但し、比較例12の
繊維ウエブは上下ロール温度235℃で行なつた。 得られた不織シートの機械的特性、熱劣化、耐
摩耗性を第2表に示す。表中の実施例8〜10は本
発明の不織シート、比較例11〜14は本発明の範囲
外の不織シートである。 第2表より、実施例8〜10の本発明の不織シー
トは伸度の高い熱劣化の向上した耐摩耗性に優れ
たものである。これに対し比較例11〜14に示す本
発明の範囲外の不織シートは上記特性のいずれか
において不十分なものであることが分かる。
【表】
【表】
実施例15〜17、比較例18〜21
実施例1〜3、比較例4〜7の各不織シート用
ウエブを用いて、直接ニードルパンチング加工を
行なつた。ニードルパンチング加工は、針# 40
番、突き深さ13mm、パンチ回数100/cm2で行なつ
た。尚、不織シート中の繊維特性は、第一表と同
一である。 得られた不織布の機械的特性、熱劣化を第3表
に示す。表中の実施例15〜17は本発明の不織シー
ト、比較例18〜21は本発明の範囲外の不織シート
である。 第3表より、実施例15〜17の本発明の不織シー
トは伸度の高い熱劣化の改善されたものである。
これに対し、比較例18〜21に示す本発明の範囲外
の不織シートは上記特性のいずれかにおいて不十
分なものがあることが分かる。
ウエブを用いて、直接ニードルパンチング加工を
行なつた。ニードルパンチング加工は、針# 40
番、突き深さ13mm、パンチ回数100/cm2で行なつ
た。尚、不織シート中の繊維特性は、第一表と同
一である。 得られた不織布の機械的特性、熱劣化を第3表
に示す。表中の実施例15〜17は本発明の不織シー
ト、比較例18〜21は本発明の範囲外の不織シート
である。 第3表より、実施例15〜17の本発明の不織シー
トは伸度の高い熱劣化の改善されたものである。
これに対し、比較例18〜21に示す本発明の範囲外
の不織シートは上記特性のいずれかにおいて不十
分なものがあることが分かる。
第1図は繊維の断面半径方向屈折率(n‖又は
n⊥)分布の測定に用いた干渉縞のパターンの一
例を示す図面である。第2図は本発明の不織シー
トを得るための代表的な製造装置を模式的に示す
概略図である。 1……繊維、2……封入剤による干渉縞、3…
…繊維による干渉縞、11……紡糸口金、12…
…エアーサツカー、13……コンベアネツト、1
4……冷風チヤンバー、15……フイラメント
群、16……ウエブ、L……吹出し幅、θ……吹
出し角度。
n⊥)分布の測定に用いた干渉縞のパターンの一
例を示す図面である。第2図は本発明の不織シー
トを得るための代表的な製造装置を模式的に示す
概略図である。 1……繊維、2……封入剤による干渉縞、3…
…繊維による干渉縞、11……紡糸口金、12…
…エアーサツカー、13……コンベアネツト、1
4……冷風チヤンバー、15……フイラメント
群、16……ウエブ、L……吹出し幅、θ……吹
出し角度。
Claims (1)
- 1 破断伸度100%以上、沸水収縮率15%以上、
繊維断面が半径Rの円形断面を有し、その中心部
の平均屈折率をn‖(0)、中心から0.8Rの距離の部
分における平均屈折率をn‖(0.8)とすると、n‖(0
)≦1.640,{n‖(0.8)−n‖(0)}≧5.5×10-3且つ{
n
‖(0.8)−n‖(-0.8)}≦10×10-3を満たすポリエチレ
ンテレフタレート長繊維からなる不織シート。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59050184A JPS60199957A (ja) | 1984-03-17 | 1984-03-17 | 熱劣化の改善された高伸度を有する不織シ−ト |
EP19850102788 EP0156234B2 (en) | 1984-03-17 | 1985-03-12 | Heat-resistant non-woven fabric having a high elongation at break |
DE19853586136 DE3586136T3 (de) | 1984-03-17 | 1985-03-12 | Hitzebeständige, eine hohe Reissdehnung aufweisende, nichtgewobene Stoffbahn. |
KR1019850001637A KR860001835B1 (ko) | 1984-03-17 | 1985-03-14 | 열열화의 개선된 고신도를 갖는 부직시트 |
US06/712,243 US4578307A (en) | 1984-03-17 | 1985-03-15 | Nonwoven sheet having improved heat deterioration resistance and high elongation |
Applications Claiming Priority (1)
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JP59050184A JPS60199957A (ja) | 1984-03-17 | 1984-03-17 | 熱劣化の改善された高伸度を有する不織シ−ト |
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JPS60199957A JPS60199957A (ja) | 1985-10-09 |
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Family Applications (1)
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JP59050184A Granted JPS60199957A (ja) | 1984-03-17 | 1984-03-17 | 熱劣化の改善された高伸度を有する不織シ−ト |
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JP (1) | JPS60199957A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018070490A1 (ja) | 2016-10-14 | 2018-04-19 | 旭化成株式会社 | 生分解性不織布 |
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Citations (2)
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JPS60199958A (ja) * | 1984-03-17 | 1985-10-09 | 旭化成株式会社 | 弾性を有する嵩高性不織布 |
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-
1984
- 1984-03-17 JP JP59050184A patent/JPS60199957A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60199958A (ja) * | 1984-03-17 | 1985-10-09 | 旭化成株式会社 | 弾性を有する嵩高性不織布 |
JPS60199961A (ja) * | 1984-03-17 | 1985-10-09 | 旭化成株式会社 | 熱収縮のない高伸度を有する不織布 |
Cited By (1)
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WO2018070490A1 (ja) | 2016-10-14 | 2018-04-19 | 旭化成株式会社 | 生分解性不織布 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPS60199957A (ja) | 1985-10-09 |
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