JPH0146371B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、飲料等を充填した容器のヘツドスペ
ースに残存する空気の除去方法に関する。

〔従来の技術〕

ビール、果汁、牛乳等の飲料、その他薬品、化
粧品等は容器への充填後、そのヘツドスペースに
残存する空気を除去した上で、封緘することが品
質管理上極めて大切な問題となつており、従来も
種々の方法が提案されている。

その一例として、特にビールの場合においてビ
ール充填後の容器ヘツドスペースに高圧水を注入
し、容器内のビールに物理的な力を与えて発泡さ
せることにより、ビールを容器よりオーバフロさ
せて空気を除去したうえで打栓するようにした方
法があるが、この方法は、ビールを発泡させてい
るため、製品の炭酸ガス濃度が低下すると共に、
オーバフローにより液ロス及び機械周辺の汚染を
生じる等の欠点があつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

また、液充填後のヘツドスペース内に炭酸ガス
等の不活性ガスを吹き込む方法もあるが、液を充
填するしくみからすると、容器のヘツドスペース
内には、必ず液の上面に相当量の気泡が発生して
いるのが実情で特にビールの場合、その気泡をさ
らに区分してみると、第１図に示すように液面の
すぐ上部には、充填中に液自身から分離した炭酸
ガスを主成分としたクリーム状の気泡イがあり、
その上に、充填中に容器内の空気を巻き込んで形
成された気泡が大気圧下に解放された際に膨張し
て生じた大きな気泡口（通称“カニ泡”と呼ぶ）
があり、特に、このカニ泡は通常の手段では消去
し難い性質を有し高速充填、打栓システムでは充
填から打栓までの時間が極めて短かく、発生して
いる気泡のために、見かけ上のヘツドスペースが
減少しているだけで、このような状態でヘツドス
ペースに不活性ガスを吹込み仮りに見かけ上のヘ
ツドスペースの空気が100％不活性ガスと置換さ
れたとしても、カニ泡内の空気まで置換すること
はできず、結果として置換率が好ましい程度まで
到つていないのが実情であつた。

本発明は、上記した気泡を消去しない限り、ヘ
ツドスペースの残存空気の除去率を高めることが
できない点に着目してなされたもので、その目的
とするところは、気泡を消去することにより、気
泡内の空気をも除去することのできる容器ヘツド
スペースの残存空気除去方法を提供しようとする
ものである。

〔問題点を解決するための手段と作用〕

本発明は、液充填後の容器を封緘機に搬送する
搬送路に臨んで設けられた乾燥された加熱ガスを
該容器のヘツドスペース内に向かつて吹き付ける
ノズルと、同ノズルから吹き出される加熱ガスを
拡散させることなく上記容器の口部付近に滞留さ
せるように設置したカバーとを有し、上記容器の
口部を該カバー内を移動させて、同容器の口部付
近に動圧を発生させ容器ヘツドスペース内を負圧
にし、同ヘツドスペース内に加熱ガスを積極的に
流れ込ませてヘツドスペース内の気泡を加熱ガス
と置換すると共に、同加熱ガスの熱エネルギーで
該気泡を除去するようにしたことを特徴とする。

〔作 用〕

本発明装置においては、ヘツドスペースに供給
された加熱ガスは、その熱エネルギーを気泡表面
に与え、気泡を形成している表面張力のバランス
を崩して気泡を消去することができ、かつ吹込み
ノズルと同一位置に吹き出された加熱ガスを拡散
させず容器の口部付近に滞留させるカバーを設け
て容器の口部付近を加熱ガスの雰囲気とし、容器
口部を同カバー内を移動させて動圧を生じさせて
ヘツドスペース内に加熱ガスを流れ込ませること
により、ヘツドスペース内に残存する気泡内の空
気を含むすべての空気を除去し加熱ガスに置換す
ることができる。従つて、容器ヘツドスペースの
残存空気の除去率を著しく向上させることができ
る。

〔実施例〕

以下、本発明を実施例に基づいて説明する。第
２図において、１は充填機、２は転送スターホイ
ール、３は封緘機、４は排出スターホイール、５
は容器、６は気泡消去装置を示し、充填機１で、
液の充填された容器５は転送スターホイール２
で、封緘機３へ送られて封緘された後次工程へと
排出されるようになつており、通常充填機１から
封緘機３へ転送される間に、ヘツドスペース内の
空気を除去している。

気泡消去装置６は、転送スターホイール２の上
方に設置され転送スターホイール２に転送される
容器５のヘツドスペースに加熱ガスを吹き込むよ
うにしたもので、加熱ガスａの供給される匡体６
ａと、匡体６ａの下面に設けられ、十分加熱乾燥
されたガスを容器５に向けて吹出すノズル６ｂ
と、匡体６ａ内に設けられ一端から加熱用蒸気ｂ
が供給され他端から排出されるようになつている
加熱管６ｃと、ノズル６ｂから吹き出された加熱
ガスが拡散せず、容器の口部付近に滞留するよう
に設置したカバー６ｄとから構成され、矢印ａの
ように供給される加熱ガスを矢印ｂのように供給
される加熱用蒸気で充分に加熱・乾燥させノズル
６ｂから吹出すようにしている。

なお、加熱ガスａとしては、水蒸気のほか、炭
酸ガス、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス
等を用いることができる。また、上記実施例では
加熱ガスを加熱管６ｃに供給する加熱用蒸気で、
加熱乾燥させるようにしているが、電気ヒータ等
を用いることもできる。

いま、充填機１により液の充填された容器は充
填のしくみからヘツドスペースには必ず相当量の
気泡が発生している。

特にビールの場合、第１図に示すように、小粒
でクリーム状の気泡イと、大粒のカニ泡と呼れる
気泡口があり、気泡イの内部は、ほとんどが炭酸
ガスであるが、気泡口の内部はほとんどが空気で
ある。

このような空気を内泡する気泡がヘツドスペー
スに残存する液充填後の容器５は、転送スターホ
イール２によつて封緘機３へ送られるが、この間
に気泡消去装置６の下方で、ノズル６ｂから吹出
される加熱ガスがヘツドスペース内に吹き込まれ
る。ヘツドスペース内に吹き込まれた加熱ガスは
気泡の表面に熱を与え、水蒸気の場合、湿り蒸気
となつて気泡表面に付着し、気泡を形成している
表面張力のバランスを崩し、次々に気泡を消去す
る。

一方カバー６ｄにより容器５の口部付近は加熱
ガスの雰囲気となつており、転送スターホイール
２により送られる容器５は所定のスピードで走つ
ているので、容器５の口部付近には動圧が生じ、
ヘツドスペース内の静圧が、そのスピードで生じ
た動圧に相当する分だけ負圧になることから、カ
バー６ｄ内の加熱ガスは、ヘツドスペース内に流
れ込む。例えば容器のスピードを１ｍ／秒とすれ
ば、容器の口もとより50mm付近まで流れ込むこと
になり、70mm付近までのヘツドスペースがほとん
ど加熱ガスで満されるには、１〜1.5秒あれば充
分であることが実験的に確認された。この時の容
器の口もと付近の温度は、加熱ガス（水蒸気）吹
込時間１〜1.5秒、容器の温度５℃の時で、20〜
25℃であり、２℃で充填されたビール中のタンパ
ク質分への熱影響も全くない。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によれば、容器ヘツドスペ
ースの残存空気を、気泡内の空気を含めて、すべ
て除去し、加熱ガスと置換することができる。

従つて、ヘツドスペース内の空気除去率を著し
く向上させることができ、これに不活性ガス（炭
酸ガス等）置換装置を併用すれば、不活性ガスと
の置換率を向上させることができると共に、公知
のウオータジエツト方式のように、液を発泡させ
て容器よりオーバフローさせる必要もないので、
液ロスや機械汚染の問題も解消することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、液充填後の容器ヘツドスペース部の
状態を示す断面図、第２図乃至第４図は本発明の
実施に用いる装置の一例で、第２図は全体の平面
配置図、第３図は要部の断面図、第４図は第３図
のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。 １……充填機、２……転送スターホイール、３
……封緘機、５……容器、６……気泡消去装置、
ａ……加熱ガス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 液充填後の容器を封緘機に搬送する搬送路に
   臨んで設けられた乾燥された加熱ガスを該容器の
   ヘツドスペース内に向かつて吹き付けるノズル
   と、同ノズルから吹き出される加熱ガスを拡散さ
   せることなく上記容器の口部付近に滞留させるよ
   うに設置したカバーとを有し、上記容器の口部を
   該カバー内を移動させて、同容器の口部付近に動
   圧を発生させ容器ヘツドスペース内を負圧にし、
   同ヘツドスペース内に加熱ガスを積極的に流れ込
   ませてヘツドスペース内の気泡を加熱ガスと置換
   すると共に、同加熱ガスの熱エネルギーで該気泡
   を除去するようにしたことを特徴とする容器ヘツ
   ドスペースの残存空気除去方法。