JPH0143935B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は透明なパターン電極と対向電極との間
に少なくともパターン状の遷移金属酸化物よりな
るエレクトロクロミツク体層とそのパターンに対
してネガのパターン状の絶縁体層および固体電解
質層を設けてなり、電気化学的に可逆的な発消色
現象を起こさせるエレクトロクロミツク表示体に
係わるものであり、特に、これを構成する絶縁
層、固体電解質層の一方あるいは双方にこれらの
層に対して安定的に存在できる着色剤を含有させ
ることにより、エレクトロクロミツク体の示す色
変化に第三、第四の色が付加され、デイスプレー
としての表示効果を高めたものに関する。

エレクトロクロミツク体として一般的に用いら
れている酸化タングステン、酸化モリブデンなど
の遷移金属酸化物を例にとれば、電圧印加時に無
色からブルーに変化する。よつて観察者は透明な
酸化タングステン、酸化モリブデン薄膜の背後に
設置されている白色反射板の白色と、エレクトロ
クロミツク体の持つ青色の発色の二色の色変化を
みることになる。

本発明ではこの白色、青色の他に第三、第四の
色を加え、多色化を可能としたものである。

エレクトロクロミツクの表示の多色化は、エレ
クトロクロミツク表示物質を有機物質とする溶液
タイプ、例えば、特開昭50−52627号公報および
特開昭50−87345号公報にみられるように、エレ
クトロクロミツク性を示す金属酸化物に多価金属
を加えて色変化を期待するもの、また、特開昭50
−87344に開示されるごとく種々の色を示す金属
酸化物を利用しようとしたもの等がある。ところ
がいずれも寿命が短かく、いまだ実用化に至つて
いない。さらに電解液を用いる溶液タイプのもの
において、特開昭47−1562号公報や、特開昭51−
14296号公報にて電解液中に白色顔料のTiO₂を懸
濁させてコントラストをあげて用いる方法が既知
であり、また絶縁層と表示色を同色とする技術
（特開昭54−142996号公報）もあるが、これらの
技術内容には本発明の主眼である絶縁層ないし固
体電解質層を着色してカラー表示をさせる概念は
示されていない。溶液タイプのエレクトロクロミ
ツク表示体では着色材を電解液中に懸濁させて多
色化をはかることは原理的に可能であるが、まず
表示体のセル構造がきわめて複雑化すること、ま
た着色材の沈澱の問題や溶液との反応の問題等、
その実用化は困難である。

本発明は本発明者らが先に提案した特願昭56−
26358号、同56―83969号、同56−87760号に示さ
れている印刷法によつてプロトン導電性の固体電
解質層を作製したエレクトロクロミツク表示体を
さらに効果的にしたものである。

すなわち、上記の固体電解質層は、チタン酸、
スズ酸、アンチモン酸、亜アンチモン酸、ジルコ
ニウム酸、ニオブ酸、タンタル酸およびケイ酸か
ら選択された一種もしくは二種以上の混合物を主
成分とし、多価アルコール、水溶性重合体もしく
は水性エマルジヨン型重合体等からなるバインダ
ーおよび揮発性溶媒を混練インキ化したプロトン
導電性インキを印刷・乾燥して層として固形化し
たものであり、前述のエレクトロクロミツク体層
に対して電界の作用によりプロトンを供給できる
ものである。

ここで示されるエレクトロクロミツク表示体の
構造の一例を第１図に示せば、ガラス等の透明基
板１上にパターン状の透明電極２をもうけ、その
上に酸化タングステン、酸化モリブテンに代表さ
れるエレクトロクロミツク体層３を電子ビーム加
熱方式の真空蒸着法等でパターン状に設け、その
パターンに対してネガのパターンになるように絶
縁層４をスクリーン印刷法などの印刷的手段によ
つて設ける。本発明は、絶縁層４を形成する樹脂
インキ中に着色材を加え、パターン状に多重印刷
して複数の色を得るか、あるいはまた、その上に
積層する固体電解質層５を形成するためのプロト
ン導電性インキ中にも着色材を加えることによつ
て表示色をさらにふやすものである。スクリーン
印刷等の印刷法によつて固体電解質層５を形成で
きるので一つ基板上に絶縁層４と同様の多重印刷
をくり返すことにより色の異なつた固体電解質層
５を形成できるものである。

本発明に使用出来る着色材は、絶縁層４中に添
加できるものとしては、その絶縁性に影響を与え
るもの、すなわち絶縁性が低下するものは使用出
来ない。また固体電解質層５中に添加できるもの
としてはそのプロトン導電性に悪影響を与えた
り、表示体のくり返し寿命を著しく縮めたりする
ものは使用できない。

例えば、絶縁層４中にはカーボンブラツクのよ
うに良導体であるものは絶縁性が悪くなり着色材
とすることはできない。また固体電解質層５中に
アシツレツド６やローダミンＢなどの着色材を添
加すると、固体電解質層５の導電率の低下がみら
れ、また、セル作製後、発消色のくり返しテスト
を行なうとエレクトロクロミツク体のエツジ部分
の異変がみられ、くり返し寿命が短かくなるとい
う問題が出てくるので好ましくない。

一般的には、プロトン導電性インキ中に使用す
る溶剤やバインダーに対して溶解等の変化を生じ
ない顔料や染料を添加したものについては導電率
への影響がほとんどなく、しかも発消色のくり返
し寿命においても悪影響がみられず、良好であつ
た。

この原因についてはよくわかつていないが、プ
ロトン導電性インキの揮発溶剤やバインダーに可
溶な物質を添加したインキを印刷し、乾燥を行な
うと、チタン酸、スズ酸、等の固体電解質粒子表
面に折出固化し、固体電解質粒子相互の接触を妨
害したり、発消色を起こさせるための電圧印加に
よつて、添加した着色材自身に反応がおきること
が考えられる。

以下に図面の第２図から第５図に基づく実施例
をもつて説明する。

実施例 １ ガラス透明基板１上に酸化インジウムよりなる
透明電極２を第２図に示すように設けた後、エレ
クトロクロミツク体層３となる酸化タングステン
を電子ビーム蒸着法により第３図に示すパターン
に設けた。その上に絶縁層として第４図に示すよ
うなパターンをスクリーン印刷法により設けた。
このとき透明な部分として東洋インキ製造(株)商品
名SS−25000メジウムを、他の部分はSS−25000
に、顔料を添加した東洋インキ製造(株)商品名
SS25−515，SS25−262，SS25−391を混合調色
したものを用い、スクリーン印刷法により第４図
に示したパターン状に、透明絶縁層４、青色絶縁
層４ａ、茶色絶縁層４ｂ、緑色絶縁層４ｃ、およ
び桃色絶縁層４ｄを設けた。乾燥後、固体電解質
層として0.7Sb₂O₅・0.3Sb₂O₃・nH₂O（ｎ＝１）６
部、グリセリン１部、水１部、酢酸ビニルエマル
ジヨン〔昭和高分子(株)商品名ポリソールＳ−400〕
0.2部を混練インキ化したプロトン導電性インキ
を第５図の５のような形にスクリーン印刷で設
け、さらに上記プロトン導電性インキに米国デユ
ポン社製の顔料、商品名クロマリントナー、
M35，Y2，RT6，GT4をそれぞれ添加調色した
プロトン導電性インキにてオレンジ５ａ、赤５
ｂ、緑５ｃ、黄５ｄの各色調を持つ固体電解質層
を印刷形成した。このあと、第１図に示すように
可逆酸化物質層６として四三酸化鉄、フエノール
変性キシレン樹脂アセチレンブラツク、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルを重量比で
0.3：１：１：４の混練インキ化したもを固体電
解質層５，５ａ，５ｂ，５ｃの上に積層印刷し、
さらに集電体層７として藤倉化成(株)ドータイト
XA−167を積層印刷して対向電極となし、その
上に保護層８として長瀬チバ(株)社製のエポキシ樹
脂、商品名アラルダイトスタンダードを設け重合
硬化し表示体を作製した。

この表示体に＋1.3Vを１秒印加するとブルー
の画面の中から、レモン、パイナツプル、スイ
カ、リンゴ、ミカンといつたパターンがそれぞ
れ、黄、緑、赤、ダイダイといつた色を呈して表
われ、反対にブドウはその形がみえなくなる。

又、−1.3Vを印加すると、レモン、パイナツプ
ル、スイカ、リンゴ、ミカン画像が消えてブドウ
が青色を呈して発現する。

以上のように本発明により白色←→青色の二色の
色変化から複数の色変化が可能になりそのデイス
プレーとしての効果が高まつたものである。

本発明の表示体は固体の電解質を用い、かつイ
ンキ化して印刷により形成できるため表示体の構
造は簡素でしかも容易に製造できる特長を有す
る。さらに本発明では含有混合させる着色材を固
体電解質との反応性のないものを特に選んである
ため長寿命のエレクトロクロミツク表示体を提供
できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を使用したエレクトロクロミ
ツク表示体の一実施例を示す概略断面図である。
第２図は、本発明の表示体のうちの透明電極のパ
ターンの一例を示す平面図であり、第３図は本発
明の表示体の構成要素であるエレクトロクロミツ
ク体層のパターンの一例を示す平面図であり、第
４図は同じく構成要素である着色絶縁層のパター
ンの一例を示す平面図であり、第５図は同じく構
成要素である着色固体電解層のパターンの一例を
示す平面図である。 １…透明基板、２…透明電極、３…エレクトロ
クロミツク体層、４…絶縁層、５…固体電解質
層、６…可逆酸化物質層、７…集電体層、８…保
護層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透明電極と対向電極との間に、少なくともパ
   ターン状の遷移金属酸化物よりなるエレクトロク
   ロミツク体層、そのパターンに対してネガのパタ
   ーン状の絶縁層、およびプロトン導電性インキを
   印刷乾燥して固形化した固体電解質層を設けてな
   り、電気化学的に可逆的な発消色をおこさせるエ
   レクトロクロミツク表示体において、該固体電解
   質層が、チタン酸、スズ酸、アンチモン酸、亜ア
   ンチモン酸、ジルコニウム酸、ニオブ酸、タンタ
   ル酸もしくはケイ酸から選択された少なくとも一
   種を主成分とし、前記ネガのパターン状の絶縁層
   もしくは固体電解質層の一方または双方にこれら
   の層に対して安定に存在できる着色材を含有させ
   たことを特徴とする多色表示型のエレクトロクロ
   ミツク表示体。 ２ 前記固体電解質層が、主成分に対して多価ア
   ルコール、水溶性重合体もしくは水性エマルジヨ
   ン型重合体からなるバインダーおよび揮発性溶媒
   を混練インキ化したプロトン導電性インキを印刷
   乾燥して固形化したものである特許請求の範囲第
   １項記載のエレクトロクロミツク表示体。 ３ 前記着色材が、固体電解質層を形成するため
   のプロトン導電性インキに使用されるバインダー
   および揮発性溶媒に溶解しない顔料もしくは染料
   である特許請求の範囲第１項記載のエレクトロク
   ロミツク表示体。