JPH0143623B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、静電気障害に弱い半導体素子等の包
装に適する、制電性フイルムに関するものであ
る。

（従来の技術、発明が解決しようとする課題） ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フインフイルムを、静電気障害に弱い半導体素子
等の包装に用いると、しばしば帯電による障害を
おこす為に、制電性をあたえたフイルムが使用さ
れている。制電性をあたえる為には、帯電防止剤
の練り込みや、導電性カーボンブラツクの練り込
みやカーボンブラツクを配合した塗料の、全面あ
るいはパタン状の塗布による方法が知られて居る
が、帯電防止剤の練り込みによるものは、空中湿
度による帯電防止性能の変化が大きく、制電性能
の信頼性に欠ける欠点があつた。又、カーボンブ
ラツクの練り込みやカーボンブラツクを配合した
塗料の全面塗布によるものは、真黒に着色し、内
容物の透視ができなくなる欠点があつた。また、
カーボンブラツクを配合した塗料のパタン状の塗
布によるものは、黒色の塗布部と透明部との性能
差が大きくまた外観も劣る欠点があつた。

他に、特開昭53−88953号には、透視可能な、
金属の蒸着膜や、金属酸化物の膜を導電性材料と
して利用した、制電性フイルムが提案されている
が、上記特開中で特に有用とされているニツケル
などの金属の蒸着膜は、金属特有の光澤が目障り
で透視性を阻害し、又高価である欠点があつた。

また、上記特開中に提案されている、錫やイン
ジユウムの酸化物等は、透明性は非常に良好だ
が、高価である欠点があつた。

主な導電性付与材料が、導電性カーボンブラツ
クである導電塗料の塗布面は、黒色に着色し、透
視することはできない。可視光の透過が可能なほ
ど薄い導電性カーボンブラツクを主な導電性付与
材料とする導電性塗料の塗膜は、導電性に欠ける
と考えられていたので、従来このような薄い塗膜
を、透視可能な導電材料として、産業上有用に用
いる考えは全くなかつた。本発明は、従来技術
の、上記のような欠点を、従来考えられていなか
つた導電性カーボンブラツクを用いて解決したも
のである。

（課題を解決するための手段） 本発明のフイルムは、表面抵抗（JIS K6911に
準拠）を少なくとも10¹²オーム／スケアの値によ
るように改質したあるいは未改質の即ち表面抵抗
が10¹²オーム／スケアよりも大きい透視可能なポ
リオレフインフイルムの片面全面に、主な導電性
付与材料として導電性カーボンブラツクを配合し
た導電性塗料を、可視光の全透過率を25％以上と
するように薄く、然も表面抵抗を10⁹オーム／ス
ケアよりも増大しないように塗布乾燥し、該導電
性塗料塗布面側の表面抵抗10⁹オーム／スケア以
下に改善し、上記未改質のポリオレフインフイル
ム即ち、表面抵抗が10¹²オーム／スケアより大き
いフイルムについては未塗布面の表面抵抗が少く
とも10¹²オーム／スケアの値になるように改善さ
れていることを特徴とする透視可能な制電性フイ
ルムである。

主な導電性付与材料が導電性カーボンブラツク
である塗料の塗布面は通常黒色に着色し、透視す
ることができない。然し、これを非常に薄く塗布
すると、遂に可視光の透過が可能になる薄さに到
達できる。ここに導電性付与材料とは、主とし
て、導電性カーボンブラツクであるが、他に、微
粉末状グラフアイト、金属粉末、酸化錫や、アン
チモンで改質した酸化錫、などの導電性材料を導
電性カーボンブラツクに混合したものも、使用す
ることができる。本発明のフイルムは、包装内容
物を外部から確認できることを目的とするもので
あるが、内容物を容易に確認する為には、全透過
率を25％以上とすることが必要である。単に全透
過率を25％以上とする為には、この透過率に達す
るまで薄く塗布すればよいが、本発明のフイルム
は、塗布面の表面抵抗を低く改善することを目的
とするので、実施例に具体的に例示したような、
特殊な処方と注意が必要である。即ち、例示した
ように、塗料不揮発分中のカーボンブラツク濃度
を、例えば15％とか25％等に、比較的高い価と
し、例えばポリアクリル酸エステルのラテツクス
のような、カーボンブラツクの分散と成膜の良好
なバインダー液中に、よく分散させた塗料とし、
これをフアイル全面に薄く塗布乾燥し、目的とす
る光透過率と表面抵抗が得られたか否かを試験す
る。この場合、若し表面抵抗が充分低下しない場
合には、塗布量を増すか、塗料不揮発分中のカー
ボンブラツク濃度を増すかあるいはカーボンブラ
ツクの分散を更に良くするようにするとよい。カ
ーボンブラツクの塗布量と、光透過率と、表面抵
抗との関係は、カーボンブラツクの銘柄や、分散
等で相当大幅に変化し得るので、導電性充填剤と
されている銘柄を、何種類か試験して、性能の良
いものを選択するのが良い方法である。塗布厚み
の具体例を示すと、下章実施例に示したように、
バインダーを含んだ塗布層として1.5gr／m²から
lgr／m²程度、この中に含まれた導電性カーボン
ブラツクとして0.375gr／m²〜0.15gr／m²程度で
ある。塗布方法としては、極く薄い全面コートが
できるものをえらぶべきで、グラビア塗工法は、
適当な方法である。実施例のような、極く薄い全
面コートをグラビア塗工法で行なうためには、特
に浅い版に用意することが望ましい。

（作用、発明の効果） この制電性フイルムは、導電性カーボンブラツ
クを配合した導電性塗料の塗布面を外側にして、
内側をヒートシールして袋として使用するのに適
する。内容物を入れて密閉した場合、袋内部は空
調湿度の変動も少なく、荷動きなどによつて静電
気の帯電がおこる機会も少ないので、表面抵抗を
減少させる手段として、通常の帯電防止剤使用に
よる方法い用い得る。帯電防止剤は樹脂に練り込
んでもよく、又表面に塗布してもよい。

内側の表面抵抗は、普通の乾燥状態で10¹²オー
ム／スケア以下であることが必要で、これ以上に
表面抵抗が大きいと、静電気障害防止の効果が不
十分になる。

袋の外部は、一般に直接外気にさらされて、乾
燥し易く、又、箱やケースやつめ物などとの接触
で帯電する機会も多く、人体などが強く帯電して
接触する機会も起こるので、比較適低い表面抵抗
が必要で、帯電防止剤類の使用のみでは、効果が
不十分であることが多い。本発明のフイルムは、
特殊な表面コートによつて、表面抵抗を極めて低
く改善していめので、内容物に対する静電気障害
防止の効果が大きい。

以下実施例により説明する。

（実施例） 実施例 １ ポリエチレンに帯電防止剤ケミスタツト1005
（三洋化成製）0.2phrを添加した、厚み150μのフ
イルムのコロナ処理面に、導電性カーボンブラツ
クであるアセチレンブラツク（電気化学製）を
25phr含有するポリアクリル酸エステルラテツク
スの導電性塗料（不揮発分40重量％）を湿量で約
1.5gr／m²グラビア塗工法により塗布し乾燥した。
乾燥塗膜の塗布量は、約0.6gr／m²で、カーボン
ブラツクの塗布量は、約0.12gr／m²の割合にな
る。このフイルムの塗布面の表面抵抗は、２×
10⁵オーム／スケア、非塗布面の表面抵抗は、４
×10¹¹オーム／スケアであり、全透過率は35％
で、物体を透視することができた。このフイルム
の塗布面を外側にて、熱シールして袋を作つた。
この袋は、静電気障害を起し易い物を入れて、熱
シールして用いるのに適し、内容物を容易に透視
することができる。

実施例 ２ 50μのポリエチレンフイルムの片側の、コロナ
処理をした面に、アセチレンブラツク（電気化学
製）を15phr含有するポリアクリル酸エステルラ
テツクスの導電性塗料（不揮発分40重量％）を湿
量で約1gr／m²グラビア塗工法により塗布し乾燥
した。乾燥塗膜の塗布量は約0.4gr／m²で、カー
ボンブラツク塗布量は約0.05gr／m²の割合にな
る。更に、このフイルムの未塗布の面に、帯電防
止剤ケミスタツト2012A （三洋化成製）の水溶
液を、純分で約0.5gr／m²同様に塗布、乾燥した。
このフイルムのカーボンブラツク含有導電性塗料
の塗布面の表面抵抗は、７×10⁸オーム／スケア、
反対の表面抵抗は４×10¹⁰オーム／スケアであつ
た。このフイルムの全透過は38％で透視が可能で
あり、又、カーボンブラツク含有導電塗料布面を
外側にして、ヒートシールにより袋を作ることが
できた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表面抵抗が10¹²オーム／スケアの値に等しい
   かあるいはこれより低く改質したあるいは表面抵
   抗が10¹²オーム／スケアよりも高い未改質の透視
   可能なポリオレフインフイルムの片面全面に、導
   電性付与材料の主成分として、導電性カーボンブ
   ラツクを配合した導電性塗料を、可視光の全透過
   率を25％以上に薄く、塗布乾燥し、改質したもの
   は該導電性塗料塗布面側の表面抵抗を10⁹オー
   ム／スケア以下に改善し、上記未改質のものは塗
   布面側の表面抵抗を10¹²／オーム／スケアに等し
   く、あるいはこれ以下に改善されていることを特
   徴とするヒートシール可能でかつ透視可能な制電
   性フイルム。