JPH0143348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は下り勾配用制動装置に関する。

〔従来の技術と解決しようとする課題〕

従来の電車等は、急な下り勾配は危険であると
して、山や丘を蛇行して軌道が付設されていた。
あるいは山や丘や谷の多い凹凸地形には電車やモ
ノレール等の軌道は敷設不可能とされてきた。

ところで最近は山や丘や谷の多い凹凸地形にあ
る住宅地と、鉄道のメインの駅とを、通勤客や買
物客等を輸送するのに適した新しい交通手段の開
発が要望されるようになつた。そのような凸凹地
形にあつては、車両は上り勾配、下り勾配、及び
平坦地を交互に走行せねばならなくなるが、その
内、平坦地の走行は全く問題がないとして、上り
勾配はチエーン式引揚機構やその他の方式によつ
て車両の登坂が可能である。しかし、下り勾配に
於ては、乗り心地を害さずに、スムーズに制動が
行なわれ、乗客が転倒したり不安感を抱くことも
なく、しかも安全性が大で確実に制動が行なわれ
ねばならないが、従来はこのような条件を備えた
下り勾配用の制動装置はなかつた。

本考案は上述のような用途に使用可能であつ
て、乗客に不安感を与えることなくスムーズな制
動を下り勾配にて作用させることが出来、乗客転
倒のおそれもなく、確実に制動が行なわれ、しか
も車両自体の軽量化と簡素化が可能な下り勾配用
制動装置の提供を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、軌道に沿つて走行
する車両の底面側に鉄綱体又は、磁石を付設する
と共に、該軌道の下り勾配部にはこれに対応して
磁石又は鉄綱片を、急な勾配範囲では高密度で緩
い勾配範囲では低密度で、長手方向に多数個配設
して、上記車両が、非接触状態で制動力を受けて
略均等の速度にて上記下り勾配部を降下するよう
に構成したものである。

〔作用〕

車両が下り勾配部を走行する際には、車両は制
動力を受けるが、急な勾配範囲では磁石又は鉄綱
片は、高密度で配設されているので強い制動力を
受け、また緩い勾配範囲では磁石等は低密度で配
設されているので、僅かな制動力を受けることに
なり、その走行速度は略均等となつて降下する。

〔実施例〕

以下、図示の実施例に基づき本考案を詳説す
る。

第１図と第２図に於て、１は軌道２に沿つて走
行する車両であり、該軌道２は、山や谷や丘のあ
る凹凸地形を含んだ地域に敷設され、下り勾配部
５と平坦部３と図外の上り勾配部を交互に走行す
る。しかして、車両１の底面側には磁石４を付設
すると共に、軌道２の下り勾配部５には、該磁石
４に引寄せられる鉄綱片６…を、長手方向に多数
個配設して、車両１が矢印Ａ方向に下り勾配部５
を降下走行時に、非接触状態にて制動力を受ける
ように構成する。

車両１側の磁石４としては、永久磁石又は電磁
石を使用する。さらに第３図に示すように鉄綱片
６…は軌道２の上面に埋設等して付設するが、下
り勾配部５の勾配の大小に対応して、この鉄綱片
６…の付設密度を、第１図と第２図で明示したよ
うに、長手方向に変化させて配置する。つまり、
急な勾配範囲では高密度で緩い勾配範囲では低密
度でこの鉄綱片６…が配設される。これにより、
車両１は下り勾配５の全長にわたつて、略均等の
速度にて降下するように設定可能となるものであ
る。

また、磁石４が永久磁石の場合には、軌道２の
上面への近接距離を調整自在として車両１の底面
に取付けることによつて、車両１への乗客数の多
少に対応することが可能となる。あるいは、磁石
４が電磁石の場合には、それに流す電流値を車両
１内にて制御することにより、乗客数の多少に対
応することが可能である。

なお、第１図乃至第３図に於て、（上述の実施
例とは逆に、）車両１の底面側に鉄綱体を付設し、
軌道２の下り勾配部５にはこれに対応する磁石を
長手方向に多数個配設して、非接触制動を行なう
も望ましい場合がある。軌道２の磁石としては、
永久磁石片を使用し、第２図と第３図の鉄綱片１
６…と同様に、該永久磁石片を、急な勾配の範囲
には高密度で、かつ緩い勾配の範囲には低密度
で、押込等して設ける。

次に、第４図と第５図に示す別の実施例では、
車両１の底面側に鉄綱体７を付設し、軌道２の下
り勾配部５にはこれに対応する磁石８…を長手方
向に多数個配設する。この磁石８は具体的には電
磁石とし、かつ所定個数の電磁石を複数区画
…に分割して、各々の電磁石群９…は独立的に
電気制御回路１０…にて、ON−OFF制御、ある
いは電磁力の強弱制御が可能なように構成する。

第４図では区画とについて代表的に電気制
御回路を例示したが、１１は、車両１が近づいた
ことを感知して電磁石群９を励磁するセンサーで
あり、また１２は車両１が通過完了したことを感
知することにより電磁石群９への電流を遮断する
センサーである。このようにすれば、車両１が近
づいて来たときにのみ、電磁石群９に電流が流
れ、電気消費量を低減して、省エネルギーに寄付
出来る利点がある。なおセンサー１１，１２とし
てはリミツトスイツチのような接触型でも、ある
いは光や磁気を用いる非接触型のものでも自由に
選択可能である。

なお、車両１としては従来の電車型としたりモ
ノレール用車両型とするも自由であり、また軌道
２の下り勾配部５に電磁石を配設する場合に、登
坂方向（矢印Ａと逆方向）への、逆流磁界を造る
ように電気制御する構成とするも好ましいが図示
省略した。また第２図のように鉄綱片６…や永久
磁石片を軌道２の下り勾配部５に、密度を変化さ
せて敷設するとき、下り勾配の傾斜角度に対応さ
せる外に、乗客の乗り心地を考慮して適度の加速
と減速が行なわれるように密度を決定するのが望
ましいといえる。

〔考案の効果〕

本考案は上述のとおり構成されているので次に
記載する効果を奏する。

非接触にて磁界を切るときの力にて車両１を制
動するから、騒音公害の発生の心配も無いと共
に、各構成部品の耐久性も優れ、かつ、下り勾配
部５を略均等の速度にて降下するので、乗客に不
快感・不安感を与えずにスムーズな制動が実現出
来、乗り心地が非常に優れている。さらに、車両
１側の構造が簡素で軽量化が達成出来、安全性の
高い確実な制動が実現出来た。特に新しい交通手
段として、山や丘を切り開いた凹凸地域内の住宅
地と、鉄道のメイン駅とを、快適に通勤客・買物
客を輸送する場合、さらには、広大な観光地や公
園の凹凸地域内を観光客を周遊させる場合に、下
り勾配部に適用出来る等、将来の応用面は極めて
広大であるといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２
図は簡略平面図、第３図は要部斜視図、第４図は
他の実施例を示す側面図、第５図は正面図であ
る。 １……車両、２……軌道、４……磁石、５……
下り勾配部、６……鉄綱片、７……鉄綱体、８…
…磁石。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軌道２に沿つて走行する車両１の底面側に鉄綱
   体７又は磁石４を付設すると共に、該軌道２の下
   り勾配部５にはこれに対応して磁石８…又は鉄綱
   片６…を、急な勾配範囲では高密度で緩い勾配範
   囲では低密度で、長手方向に多数個配設して、上
   記車両１が、非接触状態で制動力を受けて略均等
   の速度にて上記下り勾配部５を降下するように構
   成したことを特徴とする下り勾配用制動装置。