JPH0143090Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はゴルフクラブの改良に関する。

一般に、ボールの飛距離を増加するためには、
ゴルフクラブを速くスイングすることが必要であ
る。そのためには、ゴルフクラブは重いものより
軽いものの方が速くスイングでき有利である。し
かも、ゴルフクラブを軽くすると同時に、ボール
のインパクト時の衝撃に十分耐える強度を、ゴル
フクラブの各部材が有することが必要である。

一例として従来では、所謂ブラツクシヤフト等
で代表される炭素繊維強化プラスチツクにて、ゴ
ルフクラブのシヤフトを形成するものがある。

しかし、上記炭素繊維強化プラスチツクにてゴ
ルフクラブのシヤフトを形成するにも、強度的な
面で、また耐用度の面においても、さらに製作上
の点において、限界がある。

すなわち、従来のシヤフトは繊維状の骨材を合
成樹脂等の母材に複合していたため、母材と骨材
との結合が悪く、長年の使用により経時的な剛性
の低下、いわゆる「へたり」が発生し、この「へ
たり」は特にプロゴルフアーやアマチヤーの上級
者にとつては、フイーリングに大きな影響を及ぼ
すものとして問題となつていた。

またゴルフクラブは天候の如何にかかわらず使
用され、運搬時においてもキヤデイバツク内で隣
接するクラブヘツドがシヤフトに衝突するなど過
酷な条件にさらされるが、従来の繊維状の骨材を
混入したシヤフトは前記のような状況下で使用さ
れている間に、その周囲にクラツクが発生し、こ
のクラツクが徐々に大きくなり、これに水分等が
侵入し、遂には層間剥離現象を起こすという問題
もあつた。

さらにまた、ゴルフクラブのシヤフトは、プレ
ーヤーの力量やスウイングのタイプ等により各種
の可撓性又は剛性のシヤフトが望まれるが、従来
の繊維状骨材の混入シヤフトでは、この要求に十
分に応えるような製造が困難であるという問題も
あつた。

本考案は、上記の点に鑑み、従来のクラブシヤ
フトに比べ、強度、耐用度の面において優れ、ま
た軽量化が計られ、さらに各種のプレーヤーの要
求に対応し得るよう製造可能なクラブシヤフトを
提供することを目的とするものである。

上記の目的を達成するため、本考案は、シヤフ
トをウイスカー強化複合材料にて形成したゴルフ
クラブを提供するものである。

以下、本考案の好適な実施例を図面に従い説明
する。

第１図はゴルフクラブ全体を示し、１はシヤフ
ト、５はヘツド本体、５ａは打球面、６はフエー
スインサートである。

第２図は本考案の実施例の要部を示し、スチー
ル製のシヤフト１として、スチール材を溶融した
中に、ウイスカー２を混入して形成したウイスカ
ー強化複合材料３を使用したものである。シヤフ
ト１としては、スチール材に限らず他の金属材を
使用することも考えられるし、また炭素繊維強化
プラスチツクを主材料とするシヤフト１にウイス
カーを混入することも考えられる。尚、４はシヤ
フト１の中心軸線に形成した中空部である。

上記ウイスカー２は、「ひげ結晶」とも呼ばれ
る顕微鏡スケールの繊維状に成長した単結晶のこ
とであり、単結晶のため一般のスチール材に比較
して、桁違いの引張り強さを有する。例えば、太
さが数ミクロンの炭化ケイ素ウイスカーは、１平
方ミリメートル当り2000キログラムもの引張り強
さを示すこともある。これは普通使用されている
スチール材が、１平方ミリメートル当り50キログ
ラム程度であることに比べ桁違いの強度特性をも
つていることを示す。

このウイスカー２の種類には、各種金属単体の
金属ウイスカー、酸化物又は炭化物ウイスカー、
高分子の高分子ウイスカー等があるが、ゴルフク
ラブに使用するものは、炭化ケイ素ウイスカーが
良いと考えられる。

上記炭化ケイ素ウイスカーは、水、酸に不溶で
あり、化学的に不活性であつて、水素、窒素、一
酸化炭素、1000℃以下の酸素と反応せず、空気中
で1750℃に加熱すると急速に酸化される。従つ
て、無酸素の雰囲気中でスチール材を溶融した約
1600℃の温度の中に、炭化ケイ素ウイスカーを混
入しても、炭化ケイ素ウイスカーの特性が損なわ
れる惧れはない。

上述のシヤフト１は、ウイスカー混入によつて
単位重量当りの強度が増加し従来のものに比べ劣
ることなく軽量化が計れる。又、シヤフトが軽く
なるため、スウイングウエイトが下がるが、ヘツ
ドにシヤフト重量の減少分よりも少い重量を加え
ることによつてもとのバランスに修正できる。こ
こでスウイングウエイトとはスウイング感を計る
尺度であり、クラブのグリツプ端から12インチの
点のクラブ重量のモーメントを規定する方法であ
る。通常同一クラブセツトでは各番手同一のスウ
イングウエイトに調整しており、同一のスウイン
グ感が得られる様にしてある。上述の様にヘツド
重量が重くなつたことにより、ボールに与える運
動エネルギーが増加し、又、ゴルフクラブ全体の
重量が軽くなつたことからもスウイングが速くな
り運動エネルギーが増加する。

本考案は、上述のごとく、ゴルフクラブのシヤ
フトをウイスカー強化複合材にて形成したもので
あるから、シヤフトは従来のものに比べ、強度的
に優れインパクト時の衝撃に耐え、かつ軽量にな
り、従つてスウイングを速くすることができる。

またこのシヤフトの軽量化に見合つて、シヤフ
ト重量の減少よりも少い重量をヘツドに加えるこ
とによりスウイングウエイトを補正してもとのバ
ランスに修正でき、このヘツドの重量を重くした
ことによりボールに与える運動エネルギーが増加
するので、上記のスウイングが速くできることと
相俟つて、ボールの飛距離を増加することができ
る。

さらに、本考案においては、強化繊維として特
にウイスカーを用いており、このウイスカーは炭
素繊維よりも引張り強度が格段に大きいためこの
炭素繊維を強化材として用いたシヤフトよりもそ
の軽量化の効果は大きい。またウイスカーは非常
に微細であるためシヤフトの母材にこのウイスカ
ーを予め混入しておくことにより従来と同様のシ
ヤフト製造方法を適用することができる。すなわ
ちスチールシヤフトの場合は母材にウイスカーを
混入しておき、シヤフト素材管を作り、次にステ
ツプ加工を行いシヤフトを製造し、樹脂製シヤフ
トの場合は、ウイスカー混入樹脂をインジエクシ
ヨン又はコンプレツシヨン成形することによりシ
ヤフトを製造することができる。またウイスカー
の混合比を適当に選択することにより各種の可撓
性・剛性のシヤフトを容易に製造することができ
る。

さらにまたウイスカーは微細な繊維であるた
め、母材の細部にまで行きわたりシヤフト全体を
万遍なく強化することができる。そして、この母
材との結合性が優れていることにより、へたりの
発生し難いシヤフトが得られる。

またウイスカーは微細であるため、シヤフトの
表層部まで隅無く分布し表層部の硬度が向上し傷
の付き難いものとなり、周囲にクラツクが発生し
てもこのクラツクがシヤフト内部まで及ぶほどの
影響を及ぼすことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はゴルフクラブを示す斜視図、第２図は
本考案のクラブシヤフトの一部断面図である。 １……シヤフト、３……ウイスカー強化複合材
料、５……ヘツド本体、６……フエースインサー
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シヤフト１を、母材にウイスカー２を混入した
   ウイスカー強化複合材料３にて形成したゴルフク
   ラブ。