JPH0141273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はスピーカユニツトに関し、特にコーン
振動板を有するコーン形ダイナミツクスピーカユ
ニツトに関するる。

背景技術 現在もつとも多く使用されているハイフアイス
ピーカはダイナミツクスピーカである。その中で
も、振動板がコーン形状をしていて該振動板から
直接空間に音を出すコーン形ダイナミツクスピー
カユニツトは、ハイフアイ再生の基本を形成する
ものであると言える。かかるコーン形ダイナミツ
クスピーカユニツトの従来例を第１図に示す。

第１図において、周側面にボイスコイル１が巻
装されたボビン２は図示せぬ磁気回路に形成され
た磁気ギヤツプ内に挿入されている。ボビン２の
周側面前端部にはコーン振動板３が嵌合せしめら
れ、且つ接着剤等により該ボビンに固着されてい
る。コーン振動板３を後方（該コーン振動板の音
圧発生方向の反対方向）から覆うようにフレーム
（図示せず）が配置されており、且つ上記磁気回
路に固定されている。ボイスコイル１を含むボビ
ン２とコーン振動板３は上記フレームにエツジ４
及びダンパ５を介して保持されている。但し、エ
ツジ４はコーン振動板３と一体に形成されたもの
である。

コーン振動板３の頂部にはセンターキヤツプ６
が取り付けられている。このセンターキヤツプ６
は砲弾型と称されるものであつて、中央部の曲率
半径R₁が他の部分の曲率半径R₂より小であるよ
うに形成されている。砲弾型センターキヤツプ
は、一般によく用いられる球殻型センターキヤツ
プに比してコーン振動板への取り付け部から尖端
までの寸法が大きいことから、スピーカの主軸方
向に対して15゜及び30゜等の方向における指向特性
を改善することを主目的として取り付けられるこ
とが多い。

ところが、砲弾型センターキヤツプはその形状
から明らかなように、音圧放射方向における機械
的強度が大きく、このためセンターキヤツプの高
域共振周波数が高域に移動すると共に鋭いピーク
デイツプが発生し、第２図において実線にて示さ
れるように出力周波数特性に大きな乱れを生ず
る。なお、第２図において破線で示されるのは
30゜方向における特性である。また、上述のよう
に強度が大きいことから、高域共振周波数以下の
周波数帯域においてもコーン振動板３と一体的に
振動してしまい、この重量負荷のためにコーン振
動板３自体の高域特性が乱れ、音圧レスポンスが
減ぜられて幅の広いデイツプ帯域を形成してしま
うという問題があつた。

考案の概要 本考案は上記した点に鑑みてなされたものであ
つて、その目的とするところは指向特性が良好で
あり、且つ、平担な出力周波数特性が得られるス
ピーカユニツトを提供することである。

本考案によるスピーカユニツトは、コーン振動
板と、該コーン振動板の頂部に取り付けられたセ
ンターキヤツプとを含み、該センターキヤツプは
中央部の曲率半径が他の部分の曲率半径より小さ
く、該他の部分に高可撓性部が設けられているこ
とを特徴としている。

実施例 以下、本考案の実施例としてのコーン形ダイナ
ミツクスピーカユニツトを第３図ないし第５図を
参照しつつ説明する。

第３図及び第４図に示されるように、砲弾型セ
ンターキヤツプ１１のうち大きな曲率半径R₂に
て形成された部分であつてコーン振動板３への取
付部近傍に、特に撓み易い部分、即ち高可撓性部
１１ａが設けられている。高可撓性部１１ａは大
きな曲率半径R₂を有する部分のコーン振動板３
への取付部分近傍を、曲率半径R₂に連続し且つ
該曲率半径と相反する曲率半径R₃を以て一重の
波状に形成してなるものである。この高可撓性部
１１ａを設けたことにより砲弾型センターキヤツ
プ１１の特にスピーカ主軸方向、即ち0゜方向にお
けるコンプライアンスが増大し、第５図において
実線にて示されるように高域における鋭いピーク
デイツプが抑制されて出力周波数特性が平坦なも
のとなつている。なお、第５図において破線で示
されるのは30゜方向における特性である。

ここで、砲弾型センターキヤツプ１１の中央
部、即ち小さな曲率半径R₁にて形成された部分
はコーン振動板３の拡径端を含む面３ａ及びエツ
ジ４の音圧放射方向端を含む面４ａにまで達して
いる。砲弾型センターキヤツプ１１がこのように
形成されていることによつて、コーン振動板３の
凹形状内における該砲弾型センターキヤツプの占
有体積が増大している。従つて、該凹形状に起因
する前室効果による振動板前面の空気室の共振が
緩和され、特に中域部分における出力周波数特性
が平坦となつているのである。前室効果は一般
に、振動板前面の空気室容積が大きい場合に著し
く、故に、中域特性が乱れることが知られている
が、これが改善されているのである。

なお、当該実施例の説明においては第１図に示
されるスピーカユニツトと同一部分については同
じ参照符号を用い、且つ、上記以外の部分は第１
図に示されるスピーカユニツトと全く同様に構成
されており詳述はしない。

上記実施例においては砲弾型センターキヤツプ
１１に設けられた高可撓性部１１ａが、中央部以
外の部分の一部を一重の波状に形成して成るもの
であつたが、第６図ａに示されるように、高可撓
性部１１ａを２つの相反する曲率半径R₄，R₅を
有する二重の波状のものとしても上記一重の波状
のものと同等以上の効果が得られる。また、上記
実施例においては砲弾型センターキヤツプ１１の
中央部が小さな曲率半径R₁にて形成されている
が、第６図ｂに示されるようにこれを比較的大き
な曲率半径R₆を以て形成しても良い。更に、第
６図ｃに示す如く、砲弾型センターキヤツプ１１
を中央部を含む部分１１ｂとコーン振動板３に固
定される部分１１ｃとに分割し、各分割部分１１
ｂ，１１ｃの接続部間にゴムなどの粘弾性部材１
３を介装せしめてこれを高可撓性部１１ａとすれ
ばより大きなコンプライアンスが得られる。但
し、上述した砲弾型センターキヤツプ１１の一部
を波状に形成してこれを高可撓性部１１ａとする
ものにおいては、該砲弾型センターキヤツプを形
成する際に高可撓性部１１ａも同時に形成し得る
と共に、第６図ｃに示される砲弾型センターキヤ
ツプのように分割部分どうしを組立てる手間も必
要としないのでコストの低減が図り易くなつてい
るのである。

また、上記実施例においてはエツジ４が音圧放
射方向に凸の形で形成されているが、第７図ａに
示されるように音圧放射方向に対して凹の状態で
設けてもよい。更に、第７図ｂに示されるよう
に、砲弾型センターキヤツプ１１の尖端、即ち中
央央部がコーン振動板３の拡径端を含む面３ａよ
りかなり突出するように該砲弾型センターキヤツ
プを形成しても良い。

効 果 以上詳述した如く、本考案によるスピーカユニ
ツトにおいてはいわゆる砲弾型のセンターキヤツ
プの中央部、即ち尖端以外の部分の所定位置に、
例えば該尖端以外の部分の一部を波状に形成して
なる高可撓性部が設けられている。従つて、砲弾
型センターキヤツプの効果により本来有する良好
な指向特性を維持していると共に、上記高可撓性
部が有する充分なるコンプライアンスによつて高
域におけるピークデイツプが抑制されて平坦な出
力周波数特性を得ることが可能となつているので
ある。また、上記コンプライアンスによつてコー
ン振動板に対する重量負荷が軽減されるので、コ
ーン振動板自体の高域特性が乱れるということも
ないのである。

【図面の簡単な説明】

第１図はコーン形ダイナミツクスピーカユニツ
トの従来例を示す図、第２図は該コーン形ダイナ
ミツクスピーカユニツトの出力周波数特性を示す
図、第３図は本考案に係るコーン形ダイナミツク
スピーカユニツトの側断面図、第４図及び第５図
は該コーン形ダイナミツクスピーカユニツトの
各々一部詳細図及び出力周波数特性を示す図、第
６図ａないしｃ並びに第７図ａ及びｂは該コーン
形ダイナミツクスピーカユニツトの一部変形例を
示す図である。 主要部分の符号の説明、１……ボイスコイル、
２……ボビン、３……コーン振動板、４……エツ
ジ、５……ダンパ、１１……砲弾型センターキヤ
ツプ、１１ａ……高可撓性部、１３……粘弾性部
材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) コーン振動板と、前記コーン振動板の頂部に
   取り付けられたセンターキヤツプとを含み、前
   記センターキヤツプは中央部の曲率半径が他の
   部分の曲率半径より小さく、前記他の部分には
   高可撓性部が設けられていることを特徴とする
   スピーカユニツト。 (2) 前記高可撓性部は前記他の部分の一部を波状
   に形成してなることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のスピーカユニツト。 (3) 前記高可撓性部は粘弾性部材を含むことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項又は第
   ２項記載のスピーカユニツト。 (4) 前記センターキヤツプの前記中央部が前記コ
   ーン振動板の拡径端を含む面あるいはその近傍
   に達するように前記センターキヤツプが形成さ
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項、第２項又は第３項記載のスピーカ
   ユニツト。